まぁ半年ほど前まででしたら、「日本が東アジアの平和を脅かしている」という言葉は市民団体という名のあやしぃ政治結社の寝言だったわけですが、それとは全く違った意味で現実のものになってきています。
産経新聞の記事ですが、米国の元高官が新政権が「東アジアの安保の基盤を侵食し始めたと」と強く批判する論文を発表したんだそうです。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/091022/amr0910221918006-n1.htm
その高官は、鳩山政権の安保政策を「分裂症」と評し、
日本国民の安全を守る責任を強調したんだとか。
同盟国のアメリカには新政権は日本国民の安全を守るようには全く見えないと言ってるんですよ。
まぁそうでしょうね。
普天間移設についてはとりあえずさておき(あれも2国間でちゃんと合意してるのに今になってチャラにしたいなんて、常識的に考えても「ありえない」話なんですけどね・・・)、米国に核兵器の先制使用の禁止を押し付けたり、非核三原則を法制化させるなど、常識を疑いたくなるようなことなかりやってますからね。
核廃絶という人類究極の理想を求めるのは結構ですが、一番大切なのは「日本国民に広島・長崎の惨劇を三度味あわせない」ということのはずです。
人類究極の理想の前に、まずは国民を戦火にあわせないことが重要なんじゃないですか?
日本に在日米軍の核兵器があるか、それともないのかははっきりしていません。
それは「あるのかないのかをあいまいにする」ことが抑止につながるからです。
例えば自分が強盗だったとして、拳銃で武装してるかもしれないコンビニと、確実に非武装なコンビニ、どちらを襲いますか?
これが抑止です。
核兵器の先制使用の禁止は、確かに一見すると平和っぽく感じるかもしれません。
でも同盟国のアメリカが核兵器を使うかもしれないから、日本を攻撃する意図のある国は日本には手を出しにくいというのも事実です。
核兵器は悪魔の兵器ですが、現実に存在していて、しかも廃絶が誰の目にも不可能なのは確かなのですから、どうやってそれを利用していくか、どうやって自国民を核兵器から守っていくかが重要なはずです。
小学校のホームルームじゃないんですから「ダメだったらダメなんだい」では通用しません。
さらに、ここに非常に興味深いというか呆れたニュースがあります。
朝日新聞の記事ですが、北朝鮮の船舶に対しての検査法案について、
http://www.asahi.com/politics/update/1022/TKY200910220430_02.html
ここに注目。
「従って、自衛隊がうんぬんかんぬんということを将来的に考える必要もないと、そのように思っています」
要するに、何を搭載してるかわからん北朝鮮の怪しい船には海上保安庁で充分だから自衛隊は今後、将来的に考える必要はないと言い切ってます。
北朝鮮の不審船事件のとき、何を搭載してました?
対戦車ロケット砲に対空機関銃、対空ミサイルですよ?
これがその証拠です。

23mm対空機関銃

自動小銃

対戦車ロケット砲

地対空ミサイル
※これらの不審船に搭載されていた武器は横浜の海上保安資料館で見ることが出来ます。
北朝鮮が怪しい貨物(この場合は生物化学兵器や核兵器、弾道ミサイル、またはその関係)を運んでいるのなら、当然必死になって隠そうとするでしょうから手段は選ばない可能性があります。
軍隊を相手に戦うことを前提にしていない海上保安庁では対空ミサイルを使われたら手も足もでません。
海上保安庁が対処できないのならば海上自衛隊というのならわかりますが、最初から考える必要すらないというのでは呆れます。
さらに恐ろしいことに
毎日新聞の記事ですが、
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091023ddm005010013000c.html
このただでさえ中身が怪しい検査法ですが、それすら通さない可能性があります。
「次から次へとやりたい法案が出てくるが、非常に難しい状況だ。臨時国会で仕上げるのは、一般論的に極めて難しい」と国会対策委員長が言ったのだとか。
アメリカに核兵器の先制使用禁止を押し付けてまで核兵器をどうのこうのと言ってたのに、北朝鮮のは無視ですか?
核兵器拡散ほど悲惨なものはないのに、日本に照準を合わせてはいないアメリカの核兵器禁止ばかりを訴えて、日本を直接狙ってる中国や北朝鮮の核兵器にはスルーですか?
非常に判りやすいですね。
さてタイトルの「日本が東アジアの平和を脅かしている?」です。
つまり、ロシアと中国という強大な軍事大国が覇権をねらっており、さらに南北朝鮮や台湾問題といった世界でも類を見ない不安定な地域がこの東アジアです。
そこで米国の核兵器という「力」が小さくなったりあるいは無くなればどうなるでしょう?
アメリカの先制核攻撃という抑止力がなくなれば、ただでさえ危険な地域がますます一触即発になるのは目に見えています。
このむ、好まざるに関わらず、米国の核兵器はこの地域の安定に一役買っていたのは紛れも無い事実です。
日本ばかりではなく、日本という後方支援の基地から核兵器がなくなれば台湾、韓国もそれだけ危機への影響につながります。
さらに各国が北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルが拡散しないよう注目し、努力してるのに、日本は検査法すら出し惜しみ。
それは日本人が日本人の手で核兵器の拡散に手を貸していることに他なりません。
本当の意味で日本が極東アジアの平和を脅かしつつあるようです。
しかも武力を一切用いずに。