気になる記事というよりも考えさせられる記事がありました。
毎日新聞の記事ですが、米国が近い将来核搭載型トマホークを引退させるのですが、それを日本に打診してきたことがわかったというないようです。
麻生政権は安全保障と抑止力の関係から慎重な姿勢、ぽっぽ政権は核軍縮の立場からウエルカムなわけです。
(あ、ちなみに今回は政権批判じゃありませんよ)
トマホークというのは米海軍の巡航ミサイルです。
長距離(核搭載型で2500キロぐらいあります)をピンポイントで攻撃できる非常にすばらしい精密誘導兵器です。
湾岸戦争やイラク戦争などで大量に使われましたね。
核兵器搭載タイプは現在では艦船から撤去されて保管中です。
これを廃棄ということでしょう。
核兵器廃絶という、人類の夢という意味では、核兵器の数が減るのは好ましいといえるでしょう。
でも、戦争は勝手に発生するわけではありません。
相手がいてはじめておこるものです。
その戦争をおこさないために欠かせないのは抑止力です。
自衛隊も、日米安保も、在日米軍も、第7艦隊も在韓米軍も、全て日本の独立を守るために日本の平和と安全をまもるため、抑止力として必要なものです。
それは米国の核兵器もまた同じです。
今までなら米軍の核兵器があるために日本や周辺諸国に手を出せなかった中国やロシア、北朝鮮にとっては、とても歓迎するでしょう。
トマホークは精密誘導ですので、非常に効果的かつ精密な核打撃を与えることが出来ますので。
中国やロシアが攻撃用兵器でもない弾道弾迎撃ミサイルについてヒステリーのような抗議をするのは自分のとこの核兵器を無力化されたくないからです。
核兵器は悪魔のような兵器である一方、その抑止力で安全が維持できていたのもまた事実です。
米国の核兵器を廃棄してもそれが結果的に抑止力を失って、日本に3発目の核攻撃が・・・では全く意味がありません。
核兵器の廃棄と抑止は相反する性格ももっているわけで、それは私たちの生存権にすら関係してきます。
「悪魔のような兵器」だから絶対にもってはいけないという単純な考えではなく、現実に存在している以上、それを自分達に向けさせないための選択肢の一つが残念ながら、核兵器ともいえます。
核の軍縮、どう思いますか?
(でも現実問題として、米海軍の核兵器は現在では潜水艦搭載の弾道ミサイルに一本化しちゃってるんですけどね。なのでよく米艦艇入港のときの「核搭載艦入港阻止」というのはちょっとズレちゃってるわけです)
ところでちょっと気になるところが。
記事では
「ブッシュ政権が91年、トマホークを含む戦術核を艦船、潜水艦に積載しないと宣言。その後は米本土で有事に再配備可能な状態で保管されており、03年のイラク戦争で使用された。」
とあります。
トマホークとひとことでいっても、対艦、対地(基地などを核攻撃するタイプ)、対地(重要施設等を精密攻撃するタイプ)にわかれています。
今回廃棄対象なのは核攻撃タイプです。
この記事だとトマホークそのものが全て廃棄対象で、核搭載トマホークをイラク戦争で使ったように誤解を与えるんじゃ・・・・
ちなみにトマホークミサイルは現代の米海軍の打撃力には欠かせない非常にポピュラーな装備で、米海軍の潜水艦やイージス艦から発射されます。

このタイル状になっている垂直発射ランチャの中にトマホークが納められています。
Posted at 2010/02/22 23:51:48 | |
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