
さて。
3年目のマクラーレン・ホンダがついに別離を迎えました。
なんかおかしな印象があったけれど、なるほど納得。今季開幕前から、ホンダとのジョイント解消への動きが進められていたそうな。
恐らく去年アロンソが
『GP2!GP2!ンアッー!(≧Д≦)』
と叫んだ時点で、関係は壊れていたのでしょう。
そう考えれば、疑問が解けると同時に、疑惑が浮かぶ。
疑問1)何故ザウバーへの供給が破談となったか?
→マクラーレン製ギヤボックスの供給とホンダの資金援助で良い契約をまとめたモニシャ、しかし当のマクラーレンが契約解除となれば、ホンダを押し付けられた上ギヤボックス供給も怪しくなる。
そこでモニシャを解任し『契約?何の話だ?知らんな』となった。
疑問2)何故ウイリアムズと交渉したのか?
→マクラーレンと双璧をなす名門プライベーターで、ホンダの上役に説明しやすかったから?しかし、87年の『裏切り』を考えれば、あまりに楽観的すぎた。法外なスポンサーフィーを要求され破談。
疑問3)何故誰でもわかるレベルの猿芝居を打つのか?
→ドライバーは常にNo Powerとホンダの悪口、チームはノーパワーなのにウイングを立てストレート激遅マシンを仕立て。『ホンダがブチ切れて契約解消となれば、違約金を払わなくても済むから』。彼らはレースそっちのけで、そんなことをやっていたワケだ。最低だね。
いかんせんホンダに解約の意思がなかったことから、アロンソのレース放棄というわかりやすい実力行使で強引に解約話につなげた、と。
疑惑1)もはや離婚前提だったのに、マクラーレンとアロンソはホンダに金とマシンを用意させてインディ500に参戦したのか?
疑惑2)ホンダと手を切るためだけに、レースで故意敗退レベルのマシンセッティングをしていたのか?直線番長ならぬ「曲線番長」的なセッティングは、素人目には『コーナーでは勝負できてるのにパワーが足りないから直線でカモられる』様に見える。もしかしたら、アラブの大株主に「そう見せかけて」チーム代表としての責任を回避している?
疑惑3)アロンソは、かつてのセナのような叱咤激励ではなく、ただただチームの犬としてホンダパッシングをしていたのか?
元々マクラーレンがホンダと組んでサイズゼロというコンセプトを打ち出した理由は
『カスタマーエンジンでは勝てないからワークス待遇で、エンジンパワーに頼らないマシン作りをする』ためではなかったのか?サイズゼロの放棄、ワークス待遇の放棄。一貫性がなさすぎる。
アロンソも勝てると信じて契約し、それが出来なかった。賭けに敗れた者は対価を支払わなければならない。それだけの話。
私は別にホンダのファンでもセナのファンでもない。正確には、
ホンダファンとしては09年の撤退劇で愛想を尽かした。セナを好ましく思うようになったのは93年のドニントンから。元来私はプロスト派。
撤退からの復帰は誰でも苦労する。
ポルシェはNAで『そびクソ』なエンジンしか作れなかった。
メルセデスはチャンピオンになるまで6年掛かった。
ルノーはベネトン晩年〜ワークス初期を無駄にした。
当のホンダも結局チャンピオンに返り咲くことは出来なかった。
なのに復帰初年度にサイズゼロを了承した責任はある。
そして、一から作り直したとは言え、開幕から壊れ続けるエンジンしか作れなかった責任はある。
だが、それにしても。
エンジンがダメでもドライバーやマシンや戦術でカバーし勝ちに行く。それが90年代半ば以降のF1じゃないですか。
ドライバー一流・エンジン三流だとしても、マシンや戦術でカバーすれば、ここまでの悲惨な成績にはならなかったハズ。
30年ほどF1を見ていますが、
マクラーレンのマシンが優れていたのは、エイドリアン・ニューエイが居たから。彼の在籍時を除けば、この四半世紀ライバルに比して優れたマシンなんて、作れていない。
いくらエンジニアが優れた作戦を考えても、やる気のないドライバーでは実行出来るハズもなく。
例えロン・デニスが居たとしても、独占供給にこだわる古い脳では、さしたる結果は出せなかっただろうが、少なくともここまでチームがバラバラになるようなマネジメントはしなかっただろう。
残念ながら、口ではいくら威勢の良いことを言っていても、同じエンジンのレッドブルには勝てないことは、みんな知っている。
『二位じゃだめなんですか?』。
いや、だめとは言ってない。でもマクラーレンが二位でいいや、というチームに成り下がってしまったのが、悲しいだけ。というか、二位にすらなれないだろうな、実際。
今回の件で
『そうは言ってもプジョーなんて1年で契約切られたじゃん!』と94年を例に出す人がいますが。
あの時はより経験も力もあったメルセデスという選択肢があったからこそ。しかもそのメルセデスに『こんなクソマシンじゃ勝てない、ニューエイ引き抜け!じゃないと契約解消だ!』と言われる始末。
まぁとにかく、だ。
『神は、見ている』って、トコじゃないの?
真っ当にやってれば、拾う神はいるだろうし、道に背くような輩は落ちぶれるんだろうし。
どちらがマクラーレンでどちらがホンダとは言わない。どちらも落ちぶれたならば、それはどちらもクソだった、ってだけの話。マイナスかけるマイナスはプラスになっても、クソにクソをかけても、そりゃあ『そびえ立つクソ』ってだけだから、ね。
※画像は86年、ブラバム凋落の象徴、BT55。速いが壊れるBMWターボに依頼しマシンコンセプトに沿った特殊なエンジンを製作してもらったが、車体・エンジンとも期待通りの動きを見せず、あげくエースのアンジェリスが事故死。BMWも撤退の憂き目に。
ブラバムを追い出されたゴードン・マレーがBT55と同コンセプトで作ったのが、マクラーレンMP4/4。
Posted at 2017/09/17 17:10:31 | |
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