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2018年08月08日

GTR magazine9月号『Rで巡る日本の絶景』



「Rで絶景を巡る旅」を読んでみて

記事冒頭にある、「最近のGTRワールドは変化を好まず、少し停滞気味」だとの言葉が気にかかった。
それは、ユーザーの意識が守りに入り、
「維持、保管」がGTRライフのスタンダードになっているとのこと。
もちろん、GTRに対しての「情熱」こそ変わらずあるものの、
それは「走る体験の情熱」から「所有することへの情熱」へと気持ちの変遷がみられるということのようだ。
これは、レストアをしてきた職人側の考え方からすれば、ちょっと頭が痛い。
なぜならば、ボディ外板部品の在庫があやしくなってきている昨今、できるかぎり大切にしてもらいたいからだ。
そのためには、あえて極論をいえば、乗っては欲しくない。
金属で出来ているクルマは湿気が大敵であるがゆえ、
空調の行き届いたショールームのようにして保管するのがベスト。
サビや劣化のスピードがいちばん遅く、痛み難い。

ただ、それは、大きな矛盾をはらんでいることも承知していて、
職人として、そこに葛藤をずっと抱えてきていた。
それは、「走る」というクルマとしての存在意義を、ある意味、抑制、抑圧している自分がいたから。
それというのも、レストア等の修理は、ちいさな飛び石ひとつで塗装が台無し、という世界。
仮に、テスト走行中に100%のもらい事故であって万全に補償されたとしても、気持ちの晴れることのない世界。
いま思い返しても、それはそれは恐ろしいくらいに神経を尖らせていたものだ。
なにしろ、高速道路での試運転や、走行シーンの撮影など、リスクのある行為をずいぶん重ねていたから。
それでも無事に大過なくクリアしてきたのは、きっと依頼者の願いが味方してくれていたのだと思う。



クルマを所有するということは、それは、やはり「走る体験」がしたいからだろう。
そのためには、「走れるクルマ」に仕上げる必要がある。
今回の企画のように、遠い旅に出られるくらいに。
あたりまえだけど、そのあたりまえは結構ハードルが高く、難しい。
たとえフレームを数値通りに修正できたとしても、足回り部品等とのマッチングがあわなければ、
不安定なクルマになることもある。
アライメントもしかり。
数値至上主義の罠ともいえるような不思議な現象も体験してきた。
完璧なメジャリングができ、「これはテスト走行するまでもないな」なんて思っていたものの、
あとで地獄をみたこともある。
皆さんにも、こんな経験はないだろうか?
「データ上は正しいのに・・なぜ・・」とか、
「理論上は間違っていないのに・・」とか、そういうことって。

そんな経験をしてきたものだから、それからは大きな損傷でなくても必ず自分でテストすることにしていた。
ようは、若い子に任せていいところとダメなところとがあるということ。
後進を育てるため、経験を積ませるために任せることは必要だけど、念のための確認も必要。
そのあたりは厳しくしすぎても、緩くしすぎても、誰のためにもならない。
もし、どこかおかしいところが残っているようだったら、共に究明していくのが理想だと思う。
見逃すでもなく、「信頼したから」と無為に責任を取らせようとするのでもなく。

「トラブルシュートこそ成長できる最高の機会」と上の立場にある者が考えられるかどうか。
特にスポーツ系は、速度域が低いうちは良くても高速域で問題が明るみになることもある。
そこを保証できるくらいまで、上の立場にある者が自分を追い込めるかどうか。
いい工場とは、そんなマインドをもった関係性のある工場だと思う。
また、失敗を失敗として受け入れ、そして、いかにしてクリアにしていくか。
そここそが熟練した者が魅せる真の腕の見せ場になるのだと思う。

それもこれも、すべては最終的な目的、「走る体験」のため。
たとえ、将来「飾るGTR」になる運命であったとしても、
走りの情熱を醸し出す、そんな雰囲気のあるクルマに仕上げたい。
抽象的だけど、ほんとうに走る車とそうでない車というのの違いは、
見る人が見ればきっと感じられるだろうから。

走る体験をもっとしたくなる、そんなクルマ。
情熱を掻き立てられる、そんな最高の一台。
共に遠い旅に出、夕陽を浴び、景色と風に流れていく。
リアルな体験でもって追求し、追い込んでいったものは心を惹く。
yoshi

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Posted at 2018/08/08 19:37:14

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