【謹賀新年】
みんカラでつながりのある皆さん あけましておめでとうございます
今年もよろしくおねがいします yoshi
さて、今号のGTRマガジンのメインテーマは「レストアの意義」となっています。
憚りながら、ぼくも少し登場していまして、ありがたい記念となる号となっています。
その記念の勢いでもって、あらためて書こうと思っていることもありますので、これから2回にわけて掲載していこうと考えています。
【レストアの意義・カナザワボディーリペア編】
まずは、カナザワさんのページから見ていきましょう。
ここで感心した言葉は、「手を入れたところは手術をしたところと同じで弱くなっていたり体力(強度)が落ちていたりします・・・」とカナザワさんが言っているところでしょう。
このようなネガティブな部分をサラって言えてしまうのは、円熟した職人ならではの言葉だと思うものです。
このページ全体を通して感じられてくることですが、そこにはハッタリや脅しがなく、ありのままの事実と現実、そして限界を表していると思います。
おそらく、カナザワさんのファンの人たちは、カナザワさんのそんなスタンス、自信あるのに自信満々でないところが素敵過ぎるくらいにカッコイイのではないでしょうか。
とかく経歴の長い、いわゆるベテランの頑固職人さんにありがちなことですが、権威的なといいますか、ある意味、ものすごく腕に自信がありそうな言葉の数々を聞かれた方も、なかにはいることでしょう。
そのような職人さんは、たしかに経験豊富であり、その頑固さゆえに確立された作業スタイルは職人芸の域となっているものかもしれません。
伝統も仕事においての大事な要素でしょうし、信頼の裏づけにもなるものと思います。
ですが、だからこそ、機器や材料は時代と共に進化していくものでもありますから、それにともなって技術も対応させていくことが、その時代のベストを尽すということになるように思うものです。
カナザワさんは、こう言っていますね。
「あれから8年が経過して、当時とは異なる新しい手法や対策術もあります。過去に仕上げたクルマを見せてもらって、その結果を踏まえ、手を加えたり調整して、あの当時よりも長く乗るためによりよい方法が提供できると思います」
カナザワさんが人気であり続ける理由は、このような謙虚で堅実な考え方、マジメな仕事の姿勢にあるのでしょうね。
「もし、ぼくもRオーナーだったら、カナザワさんにお願いしたいと思うくらいだな・・・」と、以前、職人を引退してからカナザワさんご本人に会ったときに冗談半分に言ったことがあります。
そのとき、多くは話しをしませんでしたが、同じGTR修理業でやってきた者として、どこか爽やかな気持ちの通じるようなところが感じられたものです。
Rオーナーって、それだけ熱い思いを秘めている人が多いものなんですよね。
大切にしたい、いいコンディションでありたい、カッコよく綺麗でありたい・・・
しかし、周囲から目立って、そんな思いを主張するようなことはなく・・・・。
そんなクルマにたいしての世界観が、ぼくが関わってきたGTRオーナーにも共通するところかもしれません。
それでは、最後にカナザワさんのこの言葉でしめていただきましょうか。
「わたしがGT-R専門と謳っているのは長く大切に一生乗りたいというオーナーの気持ちが琴線に触れ、その気持ちに応えてあげたいと考えているからです」
見事なくらいに、GTRオーナーの心にズシッと響くものがありますね。
(それにしても、カナザワさんって男前ですよね~)
【R32の定番となる病巣部位】
P19に掲載されていますR32の錆やすいポイント一覧は、まさにその通りですね。
オーナーさんにとって、とても参考になるものと思います。
つまりは、どの32GTRにも多かれ少なかれあてはまるということでして、たまにはチェックしてみるといいでしょう。
ちなみに、リヤワイパーベースの錆は、酷くなるとナットの取り外しができなくなります。
レストア等でリヤガラスを外すのには、リヤワイパーモーターを先に取り外す必要があるのです。
そうなると、その錆びて腐食した部分を削ったりして(つまり破壊して)リヤワイパーモーターをガラスから外すことになります。
もし、ワイパーのナットが腐食して外せないような状況になっているオーナーさんがいましたら、代替のワイパーモーターを新品ないし中古品でもいいので確保しておくといいでしょう。
【フードヒンジの錆*R33GTRに多い事例】
ボンネットヒンジは、その表面よりも、内部が酷いケースがありますので注意してください。
特にR33は重点注意箇所です。
年数が経過すると、パネルの隙間から入った雨水等によって内部パネルが錆びてくるケースがよくあります。
表面パネルはエアブローで飛ばすことができても、内部パネルばかりは仕方ないですね。
レストア計画で、あわせてみておきたい部分になるでしょう。
参考までに、かつて僕が行った作業の画像をつけておきます。
こんな感じです。
作業手順としては、切開、内部パネルの錆除去、縫合(切開の逆)という感じです。
仕上がりは切開跡のわかりにくい仕上げ、特許申請未定の「イリュージョンテクニック」になります ・笑・ハッタリかましてるかな・・・(^^)
【R33GTRの鬼門封じ*シーリングの前に対策】
純正仕様ではゴム剤でしっかりとシールしてあるのですが、それも経年劣化で収縮したりヒビ割れしていくもののようです。
そこから水分がパネルとパネルの隙間へと入っていき、いずれは年数を経て錆びが広がっていくのでしょうね。
そこで、錆の酷い箇所の分析を行い、シール剤の劣化を見越して、また、水分の流れを考慮し、ブレージング(ろう付け・金色)を行ってあります。
それは、一番やっかいな錆かたをするパネルとパネルの隙間や段差を滑らかに埋め、水分を外側へと流す設計となっているものです。
もちろん、33Rの純正仕様で当該部分に取り付けられている小さな補強板と同等のパネル板もご覧のように製作して入れてありますから、外観は純正仕様と変わりありません。
「安心してください、はいってますよ!」って感じでしょうか・・・(^^)
さて、さらにAピラー(ドア側)部分には純正仕様っぽいMIG溶接をあえてわかりやすく入れてあるのも狙いといえば狙いです。
ですが、そのような細かなことはともかく、一番伝えておきたいことは、錆対策として純正仕様以上にシール剤を充填して耐久性を向上しようとするにしても、まず板金作業の段階で、こういった錆対策をしておくこともできるということです。
そのほうが、後で行うケミカル的な錆対策よりも、より根本的、構造的な錆対策となりますよね。
ま、当時そんなふうに考えてやってみた作業です。
修理作品サイトへのリンクは以下になりますので、もっと見てみたい方はこちらをどうぞ。
Auto Repair Gallery *R33GTR錆修理→
http://www.yoshihisa-style.com/arg/026-11r33.html
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【レストアは下地が命・ガレージヨシダ編】
ガレージヨシダさんの電着塗装が今号でも取り上げられていました。
(ヨシダさん!がんばっていますね~)
まず、ぼくが思うことは電着以前の剥離作業、さらにその前提として「程度のいいボディ」であったということになるでしょう。
つまりは、今回のケース車両が事故歴や修理歴、大きな凹みや酷い錆が無いボディで行ったということです。
おそらく今後は、受注している作業車両においての板金作業や錆修理との兼ね合いがテーマであり、Gマガ誌面でも見せ場となってくるのでしょうね。
もっと程度が劣化しているGTRのほうが、たぶん多く流通していると思いますので、それなりに凹みや修理歴のあるGTRをどの程度あらかじめ板金作業で復元しておくのか、というところがポイントになるのではないでしょうか。
そして、その後、まさに電着塗装の威力発揮となるものでしょう!
もしくは、先に電着塗装を行い、それから板金作業を行うという流れももちろん考えられますが、できるならば先に板金を済ませておくほうがいいように、ぼくは思います。
電着塗装を使ったレストアで一番有効なのは、融雪剤や塩害等でパネルの隙間から腐食しているようなケースになるのでしょう。
といいますのも、塩害車両の部分的なレストアほどたいへんなものはなく、錆の取り残し、錆止め剤の入りきれない場所が多いからです。
ウエットブラストでフレーム、下回りを吹き付け剥離し、それから本体ごと電着層に浸けることによって、手作業でのレストアではカバーしきれない部分が改善される可能性があるように思います。
それでも今号で報告されていますように、フレーム内部や袋状になった部分には剥離しきれない、電着塗装しきれない部分や錆が残るような部分もあることでしょう。
しかし、ここでだいじなことは、けしてモデルケースの車両のような完璧さとはならなくても改善はされるということであり、手作業でのレストアの限界を超えることは確かなことだと思います。
いまはまだ見えてきていない電着を使った作業の組み合わせや、あらたな発想もいろいろと考えられるでしょうから、これからもヨシダさんの作業が楽しみですね。
日本には塩害で朽ちていくクルマが、かなりありますから、こういった作業が行えるということが、もっとポピュラーになっていって欲しいと思います。
(ハチロクとかも復活させたいよね~)
【夢*そのために望むことは・・・】
・熱い思いと腕のある職人が増えること
・製造廃止部品の復活と部品価格の値下げ
・おまけにガソリン価格の下値安定も
・さらには税金の軽減でしょうかね
・あっ、そうだ!高速道路も、もうちっと安くはならんかな・・・
・オービスも、あんまり意味ないんじゃないかな~ 撤去撤廃の方向で
・ついでに、なんの恩恵も優遇もない非エコカーオーナーにバラマキ3万円を・・
ことしは選挙、こういった鼻先のニンジンに惑わされないようにしないとね~
Part2では、あの32GTRを特集します。
それでは、また~ yoshi
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