GT-R Magazine 116号をご恵贈いただきました。
前号からの続きとなりますが、まずは「NISMO大森ファクトリーの第二世代GT-R誕生25周年プロジェクト」の車体蘇生から見ていくことにしましょう。
当ブログでも掲載してありますとおり、「R32はリヤ廻りが弱い構造になっていると思う、その測定をNISMOが行っているが結果が楽しみである」と、概略このようなことを記しました。
そして、そのボディねじり剛性の測定の結果といいましょうか、所感が今号で記されていました。
いろいろと意見はあったようですが、剛性アップに効果的な箇所であり、かつ「製品として市販化できる」ものは、リヤの隔壁と結論が出たようです。
カッコ書きしましたとおり、NISMOとして一般ユーザーに提案できるものとなれば、やはりボルト止めの製品とのことで、わたしとしては読みどおりであったとひとり頷いているところです。
といいますのも、当該部分、リヤスピーカーのある周辺パネルの構造は強くなく、ざっくばらんに申せば、はっきり言って弱い。
34GTRのように、もっと鉄板を重ねるなり、箱型の構造とするなりすれば、いいと思っていたものです。
もうひとつは、リヤクオーターパネル内のインナーパネルのレインフォース。
ここの部分の溶接見直しも考慮するといいのですが、それを行うにはクオーターパネルを交換する必要がありますから、「製品として市販化」できレベルのものでは、もはやなくなってきますから論外と言われても仕方ないものでしょう。
しかし、ボディ屋からすれば、溶接追加、パネル追加の手が打てるならば、つまり、ボルトオンレベルを超えてもいいと条件を緩和して貰えるならば、より効果的な強化の方法は他にもあるといいたくもなってもくるでしょう。
隔壁の穴を一枚モノの板でボルト止めする製品を開発するようですが、標準装備のパネル以上の大きさのもの、どれだけ大面積で当該部分を覆うことができるのか、そこがポイントとなってくるものと思います。
ただ単に穴を覆う程度にものでしたら、いくらその板の厚みが厚かろうと、ハニカム構造で強度があろうと、取付け部自体がそもそも、それほど強くないのですから、ストレスが逃げていく結果となるでしょう。
もちろん、そのあたりの対処も考慮のうえ、可能な限りの大きなもの、さらには取付けのブラケット類も同時に開発、シートベルト穴周辺を含めて車体の左右をつなぐ役目をもたすことも考えているかもしれません。
いずれにしましても、どのような魅力ある製品がリリースされてくるのかファンとして楽しみであります。
今号で目を惹いたものを、もうひとつ追加で書きましょう。
タイムアタックで素晴らしいタイムをたたき出されたATTKDさんのR32GT-R。
公道を完全に捨てたサーキットスペシャルな仕様でありますが、
そこまで割り切るとできることのひとつとして、巨大なエアロ以外で注目したことは、左のヘッドライトからフレッシュエアを導入するという手立てがあるということです。
ライトを無くした、その穴からダイレクトに、エア吸入口(エアクリーナ)まで外気を送り込む。
この「送り込む」というのがミソでして、エンジンの負圧で吸い込むだけでなく、速度とともに空気の流入速度があがり圧力が高まるイメージ。
バイクやアメ車などのNAエンジンでラムエアー効果というのがありますが、それを狙い、結果としてプラスアルファのレスポンス、パワーアップが実現できるというもの。
ゼロヨンの世界でも、以前どこかのショップさんが製品化していたような記憶があります。
ただ、公道ではライト無しでは走行できませんから、完全にパワー重視の割り切り仕様となります。
前置きはこのあたりにしまして、かつてこのATTKDような仕様にできないかという話をあるバリバリのGT-Rオーナーさんから相談されました事例を紹介してみましょう。
ゼロヨン専用車と同じコンセプトで、ライトはそのまま
車検OK、公道走行できるもの・・・・・
速度があがればあがるほど空気が入ってくるもの・・・・
外気をダイレクトにエアクリの直前まで導く構造で・・・・
そのような要望から、手がけてみたのが、Auto Repair Galleryに掲載した32GT-Rのインテークの改造です。
画像でわかると思いますが、75パイのダクトを2本通し、ファンネルでエアクリの直前まで導きました。
もちろん、ボディ骨格の穴あけと、その周辺の補強板金は必須と考えます。
単なる穴あけでは強度に不安が残ると思いますので、DIY派には念のため。
外気は純正バンパーに取り付けたダクトで集められ、そのままフェンダー内を通ってエアクリまで。
ダクトが2本あわさるとかなり太くなり、ギリギリのクリアランス。
ダクトの取り回し角度もなるべく緩やかに。
と、こんな感じだったでしょうか。
完成後のインプレッションでは、オーナーの興奮した様子がいまでも思い起こされてきます。
アクセルのツキ、コーナー立ち上がりのレスポンスに大きな変化があったようです。
「マジでヤバイよ、これは・・・」
うれしくも、そのように伝えてくださったものです。
ATTKDさんの場合は超割り切り仕様ですから、最高に自由度の高いものが実現できたと思いますが、その裏では自由度が高いがゆえの悩みといいましょうか、アイデアを形にする閃きが訪れるのに、ずいぶんともどかしい思いをしたのではないでしょうか。
私自身を振り返ってみますと、造作に制限ある公道仕様であっても、ああでもない、こうでもないと、ずいぶん悩んだことが思い起こされてきたものです。
それにしましても、富士タイムアタック1分40秒切りの目標と、いったいどこまで32GT-Rは速くなるのでしょうか。 yoshi
