
外観がカイエン過ぎて、デビュー当初全く興味が沸かなかったアストンマーチン初のSUV DBX

X5から始まった猫も杓子も・・・のブランド顔に下駄履かせて車高高くしただけのスポーツユーティリティーヴィークル。
そもそもジープかランドローバー等の専業メーカーのクロカン以外100%納得の行くものは未だかつてなかった。
もちろんX5やマカンのような良く出来た背の高い車としての使いやすさ、セダンの代用品としての魅力に何度購入のため試乗したことか。
初代カイエン以外は概ね、各メーカーの味を転用複写した出来の素晴らしいものだったと記憶している。
クルマの移動手段としてのカジュアルな使い方、プラス欧州各メーカーの走り味乗り味を加味した走行性能、車高の高さからくる走行上のマイナス点をうまく妥協訂正したそれは、セダンを過去のモノとしたのは当然だと思う。
しかし結局の所カイエンは、911とベンツの2台持ちには敵わないし、X5はM3とアウディオールロードクワトロの2台持ちには、性能満足度の点で劣る。
この点がどうしても、カイエン、X5・・・欧州ブランドの背高クルマで気になって納得が行かない点だった。

所が!アストンマーチンDBXは違う。
ドイツメーカーとイギリス車の組み合わせは、BMW傘下時代のレンジローバーが20年近く経つ今もって、ランドローバー史上最高の出来栄えなのと同じで、中身AMGとアストンの内装、脚周り、エンジンのチューニングはまさに「ちょうどいい!」塩梅。
元々アストンは、VHプラットフォームを引っ提げて新世代小金持ち向けシリーズに入ってから、鈴木亜久里が絶賛しようがどれも全く納得のいかない中途半端感を拭えずにいた。
それこそDB11,ヴァンキッシュ,ヴァンテージV12,DBS・・・毎回購入する気90%で試乗に行き、または何日か借りて乗ってみても、ど〜にもエンジンがフォード=重ったるい、鼻先が重い、足回りもポルシェ(当時996世代〜)ほどのしっかり感は毛頭なく、ベンツほどの鷹揚さも足りない、、、と間違いなくナンバーワンで恋してやまないのは格好だけ、というところに惜しさを感じてきた20年程だった。
今回ドイツAMGの間違いのない機械的精度、性能を手に入れ、これにイギリス車が一番得意とする感性レベルの気持ち良いしっとり感を加えたことで、中途半端感が綺麗に消えた。
元来、ドイツ車程の精密さはなく、一方でイタリア車並の色気一本勝負でもないイギリス車は、純粋なスポーツカーやスーパーカーには向かないはずで、その中間を良しとするSUVが一番あっているのではないかと常々期待していたが、それが想像を超える所で結実している。
更に良い点は、その事実が意外にも世間に知れ渡っていない点。
何故か今回のDBX、格好がアストンっぽくない?からか(別にそんなことはどうでも良いくらい、出来が良い)世間的には話題になってない。
カリナンブラックバッジの総支払い丸々半額で98%同性能、満足感103%という所に驚愕せずにはいられない。
外観や内装は特に好きという訳でもないし、意識にさえ残らない。
アストン的と言うには少し誇張があるとさえ言えるけれど、とにかくGT3RS乗りが満足する加速、止まり方、揺れ方(速いとか硬いという訳ではない)に、ガワは全く目に入らなくなる。
ESP切って乗ると一般道でもRSと並ぶ恍惚感が味わえる。
英国の奥深さに改めて脱帽
Posted at 2020/11/25 13:57:41 |
DBX AstonMartin | クルマ