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2025年10月21日 イイね!

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その2

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その2高音質再生アプリのAudirvānaで、これまた高音質配信サービスのQobuzを聴けるようにしたのが前回。引き続き、ローカルファイルの再生設定と車載のための電源断対策を行います。










少し使ってみて、音質のために面倒をいとわない人向けのアプリだと感じました。似ているなんて言ってRoonに申し訳ない、UI/UXはそのくらい(略)
特にクルマではRoon ARCやQobuzアプリ、あとAndroid限定かつAndroid Auto未対応ですがUAPP。このあたりでスマホにUSB出力させた方が楽で便利、USB以降の機器がしっかりしていれば音質も一定水準は確保できます。
ならばこちらは使い勝手などガン無視、音質最優先で攻めてみましょう。サブスク料金もかかるし、そこで圧倒的な魅力がなければ勝ち目はなさそうなので。



ローカル再生の設定

すんなり動いたストリーミング再生に対してこっちは少しこだわったら手こずることになり、
Qobuzでいい音出てるしローカル再生要らなくね?
と心折れそうになりました。でもサブスクで配信してないアーティストさんもいるし、これをやらないとRoon+Qobuzの代わりにはならないので頑張ってみました。

AudirvānaにおけるファイルアクセスはベースとなるOSに依存し、NASやUSBなど使うストレージに合わせてOS側で設定を行う必要があります。裏を返せば、OSで扱えるストレージなら何でもライブラリにできるということでもあります。

システム構成
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前回の図、Audirvānaのフルシステムはこんな構成です。PCはラズパイに、ルーターはモバイルルーターかスマホのテザリングにするとして、楽曲データをどこに置くか。

USBストレージをラズパイにつなぐのが簡単ですが、せっかく高音質のAudirvānaなのにオーディオ出力用のUSBバスをファイル読み込みに使いたくない気分(単なるこだわりです)。
以前製作したUPS付きのラズパイをファイルサーバーに仕立て直すのがいいけど、あのケースもう売ってないのよ。そういえばクラファンで出ていたモバイルNASが正式発売になりましたね、あれいいな。ただしお値段ちょい高め。

ちょっと調べて、AndroidスマホをNAS化することにしていくつか構成を考えてみました。

車載システム案1(モバイルルーターを使う場合)
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車載システム案2(サーバー役スマホのEthernetテザリングを使う場合)
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車載システム案3(コントロール役スマホのWi-Fiテザリングを使う場合)
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オーディオ出力部とデータ・制御を分離した、小さいながらネットオーディオの文法に沿ったシステムでしょ?
スマホが2台となっているのは、リモートアプリはWi-Fi接続がないと使えず、安定再生のためにEthernet接続にしたサーバーとは兼用できなかったためです。
おススメは(される人がいるかどうかわかりませんが)接続が安定しているモバイルルーター。自分はiPhoneに入れているpovoのeSIM(1.2TBトッピング済み)を動かせず案3にしました。
なお火災事故も起きておりスマホを車内に放置するのは厳禁です。


サーバー役のスマホにはLANアダプターを接続し、大量のデータが流れるラズパイにEthernetで伝送します。ギガビットとかの必要はなく100Mで十分。給電機能付きのアダプターなら長時間の車載運用も可能です。
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ハブはUSB給電で動作するものが便利です。


スマホ側の設定

PCやNASで使われるファイル共有プロトコルとしてはSMBがポピュラーですが、スマホでは標準サポートされていない上、使い勝手の良いSMBサーバーアプリも見当たりませんでした。AndroidではLinuxカーネルのセキュリティにより、SMBが利用するTCPのポート(445番)はルート権限でなければ開けないので、おそらくOSレベルで対応してくれないと苦しいですね。

今回はSSHベースのファイル転送プロトコルSFTPを使いました。スマホでSFTPサーバーを動作させ、ラズパイでネットワークドライブとしてマウントします。

SFTPサーバーアプリの

SSH Server(Banana Studio)
をインストール。有料版はSSH Server、無料版はSSH/SFTP Serverとなぜか名前が違いますが機能は同じ。無料版は広告視聴がありアプリ内課金で回避可能です。残念ながらiOSで同じような機能のアプリは見つからずAndroid限定となります。

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接続ユーザーを作成し公開するフォルダーを設定。名前やパスワードは後でラズパイ側で合わせるのでここでは任意に設定して構いません。
スマホのmicroSDカードも公開可能なので1TB程度のファイルサーバーならこれで実現できそうです。


利用するネットワークをローカルネット(有線LANなのでeth0、Wi-Fiならwlan0)に限定。インターネット側は外部からのアタックに晒される可能性があり禁止します。

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自動起動の設定が充実していますが有線LAN関連の設定は無し。


ラズパイ側の設定

SFTPクライアントには「Rclone」を使います。SFTPだけでなくGoogleドライブなどオンラインストレージもマウントできる、というかそっちがメインの優れもの。
再度PuTTYでコンソールを開きログイン。
Audirvānaを停止し、Rcloneとファイルシステム操作用の「fuse」をインストール。
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh stop 
$ sudo apt install rclone fuse 


設定は対話形式でできます。
$ sudo rclone config 
最初の接続名(sftp1)は任意、ホスト名は名前でもIPアドレスでも登録可能ですが、サーバー(スマホ)のIPは家とクルマで変わるので名前で定義しました。ユーザー名・パスワード・ポート番号はスマホ側で設定したものに合わせ、その他はデフォルト(ENTER)で大丈夫です。
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hostsファイルに定義したホスト名を登録し名前解決を行います。保存終了したら再起動して反映。以後、スマホのIPアドレスが変わる場合はこのファイルだけ修正すれば対応できます。
$ sudo nano /etc/hosts 
192.168.1.22 musicserver
$ sudo reboot now 

必要なフォルダを作成して
$ sudo mkdir /mnt/music 
$ sudo mkdir /var/cache/rclone 


ネットワークドライブとしてマウントします。名前は先ほど設定したもの。
$ sudo rclone mount sftp1: /mnt/music --allow-other --no-modtime --read-only --vfs-cache-mode off & 

マウントポイントからスマホ内の楽曲が見えれば設定できています。
$ ls /mnt/music 
見えない場合はここまでの設定を再チェック。

ラズパイ起動時に自動マウントさせます。
テキストエディタでfstabファイルを開きマウント条件を追記します。
$ sudo nano /etc/fstab 

sftp1: /mnt/music rclone ro,noauto,nofail,_netdev,allow_other,x-systemd.automount,args2env,vfs_cache_mode=off,config=/root/.config/rclone/rclone.conf,cache_dir=/var/cache/rclone 0 0

編集が終わったら保存して終了。fstabでマウントさせるためにリンクを一つ追加する必要がありました。
$ sudo ln -s /usr/bin/rclone /sbin/mount.rclone 

スマホのSFTPサーバーが動作していることを確認して再起動します。
$ sudo reboot now 

ネットワーク確立後、アクセス発生時に自動マウントされます。


リモートアプリで「フォルダを追加」すると楽曲のスキャンが始まります。自分のライブラリ(400GB弱)の取り込みは1時間ほどで終わりました。表示されている通りメタデータのみコピーして独自のデータベースを作成するため、ライブラリ本体には手を付けずに済みます(書き換えも可能)。
MusicBrainzというデータベースサービスが統合されており、これによるメタデータ補完を設定するとスキャン後にバックグラウンドで解析が行われます。こちらはかなり時間がかかり、自分の場合は丸一日ファイルアクセスが続きました。
車載では起動時の自動スキャンはOFFにした方が良いでしょう。リプレイゲイン計算は未使用。

スキャンできない場合はfstabの記述をチェック。デバッグには以下のコマンドが役に立ちました。
$ journalctl -b | grep -i mount 



ラジオ再生


ネットラジオはリモートアプリの画面左下、メインメニューの「ラジオ」で再生できます。しかしデスクトップ版Audirvānaにはあるステーション追加のボタンがアプリに見当たりません。URLが頻繁に変わるNHKなどでは必須の機能で、案の定プリセットのNHKは再生できず。ダメじゃん・・・



ファイルシステムのROM化

突然電源が落ちてもファイルシステムが破損しないよう対策します。

overlayroot、オーバレイされた(重ねた)ルートファイルシステムという意味で、RO(Read Only)としてマウントしたmicroSDと、RW(Read/Write)属性のRAMディスクを「重ねた」ファイルシステムです。読み出しは普通にSDカードから行い、カード上のファイルに書き込みが発生した時はRAMディスクに書き込みます。書き込み中に電源が切れてもRAM上のデータが消えるだけなのでSDカードは元通り、つまりoverlayrootの動作中に更新したファイルは電源OFFで全て無かったことになります。

ただしAudirvānaは楽曲のデータベースや設定ファイルをコアプレーヤー内部に作成するため、これらのファイルまでROM化すると起動のたびにライブラリを再スキャンしたり設定が元に戻ってしまうことになります。書き換えが必要なファイルはROM化の対象から外す設定を行います。
データベースの書き込み中に電源が落ちた時はファイル破損の可能性があり、新曲を追加した後のスキャン中など注意が必要です。バックアップ推奨。


Audirvāna用データの移動

ラズパイをシャットダウン、起動用microSDカードを別のLinuxマシンにセットし、パーティション管理ツールのGParted(Gnome PARTition EDitor)で編集します。
Linuxマシンがない場合は、Windows上の仮想マシンにLinux環境を構築したり(過去の事例)、LiveCD形式といってCDやUSBメモリーからOSごと起動させるGPartedもあります。

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右上のプルダウンでmicroSDカードを選択すると、二つのパーティションが見えるはずです。「boot」とついている小さな領域が起動用のブートローダー、残りがLinux本体です。

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Linux本体のパーティションを少し縮小して

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空いたエリアに「audirvana」パーティションを作成します。容量は1GBもあれば十分でしょう。

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編集が終わったら最後に適用(チェックのボタン)すれば完了です。間違ってPCのSSDを操作して起動不能にしないよう超注意。

カードをラズパイに戻し起動、ログイン、Audirvānaを停止。
追加したパーティションのID(PARTUUID)を確認します。
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh stop 
$ blkid 



新パーティションを手動でマウントし、/home/audirvanaフォルダーを移動
$ sudo mkdir /mnt/audirvana 
$ sudo mount /dev/mmcblk0p3 /mnt/audirvana 
$ sudo cp -a /home/audirvana/. /mnt/audirvana/ 
$ sudo rm -rf /home/audirvana 


fstabファイルをエディタで開き、調べたIDでマウント条件を記述
$ sudo nano /etc/fstab 
PARTUUID=xxxxxxxx /home/audirvana ext4 defaults 0 2

再起動し、マウントされたことを確認
$ sudo reboot now 

$ df -h 



hostsファイルの移動

Audirvānaのデータと同様SFTPサーバー(スマホ)のIPアドレスも変わるので、hostsファイルをROM化の対象から外し編集可能とします。
/etc/hostsをaudirvanaパーティションに移動し、元の場所にシンボリックリンクを作成。
$ sudo mv /etc/hosts /home/audirvana 
$ sudo ln -s /home/audirvana/hosts /etc/hosts 



overlayrootのインストール

overlayrootはRaspberry Pi OSでは標準の設定画面で導入できるようになったので簡単です。raspi-configを開き
$ sudo raspi-config 




「Performance Options」-「Overlay File System」で設定します。

cmdline.txtファイルにrecurse(再帰)禁止フラグを追加、保存して終了
これをしないと追加したパーティションまでROM化されてしまいます。
$ sudo nano /boot/firmware/cmdline.txt 
overlayroot=tmpfs:recurse=0

リブートして有効化。
$ sudo reboot now 

mountコマンドでoverlay関連の表示があれば動作しています。
$ mount 

設定変更などファイルを更新する時は、再度raspi-configで設定を戻せばOKです。



車載!

ファイルシステムをROM化しても、起動中それが有効になる前に電源が落ちたらやっぱりファイル破損の原因になります。
車載ではエンジン始動時が問題で、ACCONして起動が始まったちょうどいい(まずい)タイミングでイグニッション=電源OFFとなるので対策します。
以前PCの車載用に製作した、タイマーリレーによる遅延起動回路を使用し、イグニッション終了後に電源ONとなるようにします。

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シガーソケットからの12Vをタイマーリレーに接続、DC/DCコンバータで約6Vに落としリニア電源に入力。クリーンな5Vをラズパイに供給しています。
ノイズの多いラズパイをオーディオに使うのは正直引っかかるところはありますが、電源の5VをほぼそのままUSBのVbusとして出力するラズパイにはリニア電源が有効です。




感想など。

以上で導入完了。スマホでサーバーとか言い始めた時点で、ちょっと一般的でないシステムになってしまいました。最初からカーオーディオもターゲットにしているRoon ARCのようにスマートには行かず。

メリットとしては全ての音源をネイティブ再生できます。自分のプロセッサーは96kHz処理なので192kHzやDSDの音源は96kHzとか88.2kHzに変換しますが、それも高精度なアルゴリズムで処理されます。

対して回線速度の制約を受けるRoon ARCではネイティブ再生できるのは24bit/96kHzあたりが実用限界となります。変換配信で設定できるのはCD品質以下で上限を24/96とかにする機能はないため、高レートの音源はダウンロードを利用しMUSEと称するスマホのDSP演算で変換することになります。MUSEのアルゴリズムも64bit演算の凝ったものですが、自宅に集約したライブラリをロスレス配信というRoon ARCの先進的な仕組みもハイレゾ相手では美しくない対応が必要なことがわかります。
オンラインの時代だぜ?そんなのじきに回線速度も上がって…
と思っていたのにここ数年のモバイル通信は停滞、どころか悪化すら見られる状況なのでオンプレ回帰も準備しておこうかなと。いうのが今回の動機です。何なの5G。

音質について。ハイレゾ音源でなくともAudirvānaの音の良さは感じることができます。Roon ARCともQobuzアプリとも異なり、スマホとラズパイという出力デバイスの違いなのか、自宅のRoonのサブセットとしてのRoon ARCと、機能限定とはいえフルセットのAudirvānaの違いなのか。さすがに音質特化で生き残ってきたアプリだけのことはあります。

一方、ローカル音源とサブスクの統合という点ではRoon / Roon ARCには一歩、いや数歩譲る感じ。

こんな感じで、アーティスト表示やプレイリストで自分のライブラリとQobuzを横断的に使うことは可能なものの、一曲再生すればオートプレイでQobuzとローカル取り混ぜて同じアーティストや近しい?曲を引っ張ってくる、といったキュレーション機能はなく(カーオーディオではこれが便利)別のソースとして扱われています。
立ち位置はオーディオファイル向けプレーヤー、あくまで自分で選択した曲を高音質で聴くことに主眼を置いた製品と感じました。

とりあえず月額課金で始めたのを少しお得な年間契約に移行するかどうか、しばらく使って確かめてゆきたいと思います。RoonはLifetimeユーザーになって償却が終わっており、またサブスク料金を支払うだけのメリットがあるのか、モバイル回線の状況はどう変わってゆくのか、さて?
関連情報URL : https://audirvana.com/ja/
Posted at 2025/10/20 22:34:26 | コメント(1) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2025年10月20日 イイね!

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その1再

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その1再全曲ロスレス対応=どれを聴いてもCD品質以上の音源を揃えた高音質配信サービスQobuz(コバズ)。アプリの使い勝手も良く、我が車ではRoon ARCとツートップの主力音源となりました。ローカル音源が聴けるかどうかの違いだけではなく、同じQobuzを再生してもRoon ARCとQobuzアプリではキュレーションが変わって楽しいのです。
もちろん音質は良好でスマホのUSBから結構な音が出ていますが、高音質再生アプリのAudirvānaがQobuzに対応していたので導入してみました。








と、前回の「その1」と同じ始まりなのは、以下の理由により最初からやり直したからです。作業ブログは完成前に上げるものではありませんね・・・



【見直し1】OS変更

前回採用したDietPiのバージョンはDebian13「Trixie」ベースで、この版では後述するoverlayrootが動作せず。バグレポートが出ていたので一つ前のDebian12「Bookworm」を試しましたがこれもダメ。以前使った実績のあるバージョンはサポート終了で公式サイトから消えており、
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Raspberry Pi OS
に変更しました。



【見直し2】有線LANに変更

最後までやって動作確認したところ家のWi-Fi(5GHz)では問題なかったものの、スマホのテザリングでは高レートのハイレゾ音源で安定再生ができず。混雑した2.4GHzのWi-Fiには荷が重いようです。といって屋外で5/6GHz帯のWi-Fiを使うには厳しい制限があり、安易に家庭用の機器を持ち出すと電波法違反となる可能性があります。
そこでラズパイをEthernet接続に変更しました。ラズパイ4BにはLAN端子があるのでケーブルをつなぐだけ。スマホ側の対応については後編で。



Audirvānaとは

オーディオグレードのPC用再生アプリでは老舗の一つといって良いと思います。名前はオーディオ+ニルヴァーナの造語。悟りの境地・涅槃(ねはん)とはまた大きく出たネーミングですなぁ・・・ん?
そもさん!煩悩と同義のオーディオに涅槃などありや?

PCオーディオの時代から高音質のファイル再生に特化したアプリでしたが、現在ではストリーミングやネットワーク再生にも対応する多機能プレーヤーへと進化しています。

昨年登場したLinux版は「Core Player」といい、Windows/Mac版Audirvānaとは大きく異なるもの。それ単体はGUIを持たずモニターやキーボードを繋がないヘッドレスで運用し、操作にはリモートアプリをインストールしたスマホやタブレットを使います。楽曲データはコアプレーヤーに持たせることも外部のNASから読み込むことも可能で、NASにインストールするバージョンもあります。



システム構成
ネットワークオーディオ機器の場合
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USBオーディオ機器の場合
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Audirvānaのフルシステムはこんな感じ。最小構成ならPC1台(またはコアプレーヤー+スマホ)まで縮退可能です。
車載するなら(普通しないと思いますが)ネットワークの構築がキモとなり、一般的にはモバイルルーターか、スマホのテザリングによるWi-Fiネットワークになるでしょう。データをどこに置くかもポイントか。

コアプレーヤーを車載するとして、以前に紹介したスマホのUSBを使うシステムと比べると、USBオーディオ機器につながるコアプレーヤーを使えるのはリモートアプリのみとなります。
ローカル音源・Qobuz・ネットラジオはAudirvānaで聴けるので大方のユースケースはカバーしていると言えますが、RadikoやSoundCloudなどが使えなくなるのはちょっと残念です。CarPlay / Android Auto対応も当然ありません。



Roonとの比較

PC1台でも分散環境でも運用可能、ストリーミング対応などRoonとは共通項が多いことがわかります。大きな違いは出力部分で、
AudirvānaRoon
LAN(UPnP / Chromecast)
USB
LAN(RAAT / AirPlay / Chromecast / Squeezebox)
USB
公衆回線(Roon ARC)

ネットワークオーディオ機器への主力の対応方式がUPnP(DLNA)対独自プロトコルとなっている点が目立ちます。Roonの対応ハードも今や十分増えたので普及度では互角、音質ではRoon Labs.曰くRAATが有利との事ですが具体的な説明がないので何とも。
Roon ARCのようなモバイル機能はAudirvānaには無く、ここも有意差あり。

Qobuzの再生はAudirvānaによるネイティブ対応で、Qobuzアプリを使うQobuz Connectではない点はRoonと同じ。
ということで、出力機器がUSB-DACの場合は両者よく似たシステムになります。



Audirvānaのプラン
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オーディオ再生アプリにもサブスクの波が押し寄せており、月または年払いのStudioと買い切りのOriginの2つのプランがあります。ストリーミングに対応するのはStudioのみで、対応といってもQobuzのライセンスが含まれている訳でもないので抵抗感はありますね…ローカル再生のみならOriginの選択もアリです。



ハードウェア選定
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Raspberry Pi 4 Model B 4GB

Audirvāna公式サイトによると、Core Playerのシステム要件は以下のようになっています。
・インテルまたはARM 64ビットプロセッサー
・Debian または RPM パッケージ
・1 GBのRAM(DSDアップサンプリング使用時は2GB推奨)
詳しいCPU性能の指定はないもののラズパイでも動きそうです。
1GB超のRAMを備えるラズパイは4か5で、メモリー再生や後述する電源断対策を考慮して4GBを選択。リニア電源で駆動したいので消費電流が少なめのラズパイ4としました。
Geekwormのファンレスメタルケースにセット。放熱用グリスは付属しません。

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LattePanda IOTA
より演算性能の高いインテルCPU搭載SBCやミニPCを使ってみるのも面白いかも。



車載にあたっての注意事項

エンジンOFFでいきなり電源が切れる車載運用ではファイルシステム破損のリスクがあります。これはAudirvānaに限らずWindows/Mac/Linuxをベースにするものは基本的に同じで、例えばホームオーディオ用のプレーヤーでも中身はLinuxだったりするものが多く注意が必要です。メニューにシャットダウンの項目があるかどうかで見当がつきます。

今回はファイルシステムを読み込み専用に設定することで対策とします。ただし注意点があり後で解説します。
厳密にはこれだけでは不完全で、100%シャットダウンフリーにするにはOSを含めたシステム全体がRAM上で動作するlightMPDのようなアプローチを検討すべきですが、最悪壊れても以下の手順を繰り返せば済む位ならまぁ許容範囲かという判断です。(そのためのこのブログでもあります)



OSの選定

具体的なOSの指定はなくある程度自由度を持たせた要件となっており、OSまでカリカリにチューンしたgentooplayerやHQPlayer等とは異なる設計です。それでも音質的には余計なプロセスの少ないディストリビューションが望ましいだろうと考え最初にDietPiを使ったものの冒頭の理由により断念、ラズパイ公式OSであるRaspberry Pi OSにしました。

microSDカードは4GBなどで十分で、SDHC規格内の32GB「以下」が無難です。書き込みにはラズパイ純正アプリの
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Raspberry Pi Imager
を使用しました。Raspberry Pi OSなどをダウンロードから書き込みまでこれ一つで実行できるアプリで、最新版の一つ前のバージョンを選択。Liteとつくのがデスクトップ(GUI)レスで、DietPiほどではないものの軽量版となります。



OSのインストール
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こんな構成で設定してゆきます。
インストールの最初期段階は、ラズパイのHDMIポートにモニターやTV、USBポートにキーボードをつないだ「ローカルコンソール」で設定してゆくのが確実です。OSのインストールが終わったら、以降はPCからネットワーク越しに「リモートコンソール」を開いて設定できます。

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適当なモニターがなければ、PCにUSB接続するHDMIキャプチャーボード(右上、2,000円くらいで購入可能)も使え、ここの画像もそれで取得しています。
書き込んだカードをラズパイにセット、ケーブル類を接続します。ラズパイ4の電源はUSB-C、HDMIはmicroタイプです。5V/3Aと消費電力も上がっていてラズパイ3用からいろいろ買い替えが必要でした。

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起動すると最初にキーボードの設定画面になり、使っているものに合わせます。日本語キーボードあるあるで、設定が違うとパイプ文字「|」が入力できなかったりキーの表示通りにならず後でパスワードが通らない原因となります。

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ユーザー名およびパスワードの設定。DietPiと異なりRaspberry Pi OSで管理者権限rootの使用は推奨されず、基本的にユーザーでの操作となります。Windowsの「管理者として実行」に相当するsudoコマンドを多用することになります。


再起動後、設定したユーザー名でログインし
$ sudo raspi-config 
で設定画面に入ります。

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raspi-configという設定画面です。

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「5 Localization Options」でロケール(地域)とタイムゾーンを設定。今回は使いませんがWi-Fiを使う場合は地域コードを「JP」にしないと電波法を逸脱する可能性があるので注意。

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「3 Interface Options」ではSSHのみ有効、あとは無効にします。

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「6 Advanced Options」では「Logging」を「Volatile」に設定。ログをRAMに記録することでSDカードへの書き込みを抑制します。

コマンドプロンプトに戻ったらcmdline.txtファイルを編集しIPv6を無効化しておきます。
$ sudo nano /boot/cmdline.txt 
行の末尾に以下のパラメータを追加、保存して終了。
ipv6.disable=1

再起動、ローカルコンソールでの設定はここまでです。
$ sudo reboot now 
ログイン画面にIPアドレスが表示されるので覚えておきます。



Audirvānaのインストール

Linux版のインストール手順は公式サイトには詳しく書かれておらず、「わかる人は使ってみてください」な感じ。ネットを漁ってみてもバリエーションがあり、極力OSを軽量に保てるようにしてみました。

USBポートにオーディオ機器を接続。
ネットワーク上のPCからリモートコンソールを開いて設定してゆきます。

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コンソール用アプリのPuTTYでラズパイのIPアドレスを指定し、接続タイプ「SSH」でコンソールを開きます。アドレスはローカルコンソールに表示されていたもので、スマホアプリのFingなどで調べることもできます。
PCのキーボードとモニターを使ってローカルコンソールと同じように操作できます。設定したユーザー名でログインしておきます。

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PCで公式サイトからAudirvāna Studioのパッケージをダウンロード。
ラズパイ用はDebian/ARM64(aarc64)版です。

パッケージをラズパイに転送するには、PuTTYと同時にインストールされるPSFTPを使います。
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使えるコマンドはhelpで表示されます。openで接続、putでアップロード。転送が終わったらexitで閉じます。

リモートコンソールからインストール。
$ sudo apt install -f ./audirvana-studio_X.X.X_arm64.deb 

電源ONで自動起動するようサービスとして登録します。
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh enable 
$ sudo reboot now 


ラズパイはひとまずここまで。続いてスマホの準備に移ります。



Audirvāna Remoteのインストール

コントロール用アプリをスマホにインストールします。iOS版とAndroid版がそれぞれAppleとGoogleの公式ストアにあります(無料)。

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起動すると、ネットワーク上のAudirvānaを探して表示します。

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ライセンス条件の承諾の後サインインで利用可能となります。公式サイトでメールアドレスを登録すると送られてくる仮パスワードではサインインできず、メールのダウンロード用リンクからサイトに飛んでパスワードを更新しないと有効化されないので注意。有効化後30日間の無料お試し期間がスタートします。

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再生先としてUSBオーディオデバイスを指定。



ストリーミング再生

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Audirvāna RemoteにQobuzのアカウント情報を設定するとあっけなく再生できました。他にTIDALなども対応していますが日本で正規に使えるのはQobuzだけです。
スマホのQobuzアプリやRoon ARCに比べるとちょっと重いですが使えなくはないかな。

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面白そうな設定が多数あるのでポチポチと。



シャットダウン

電源を落とす前にシャットダウン処理が必要では車載運用は難しいので、後で対策します。
$ sudo shutdown -h now 




長くなったのでひとまずここまで。残りのローカルファイル再生や車載については後編で。
関連情報URL : https://audirvana.com/ja/
Posted at 2025/10/20 22:32:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2025年09月26日 イイね!

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その1

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その1全曲ロスレス対応=どれを聴いてもCD品質以上の音源を揃えた高音質配信サービスQobuz(コバズ)。アプリの使い勝手も良く、我が車ではRoon ARCとツートップの主力音源となりました。ローカル音源が聴けるかどうかの違いだけではなく、同じQobuzを再生してもRoon ARCとQobuzアプリではキュレーションが変わって楽しいのです。
もちろん音質は良好でスマホのUSBから結構な音が出ていますが、高音質再生アプリのAudirvānaがQobuzに対応していたので導入してみました。








(2025/10追記)
問題があり、OSを変更してやり直すことにしましたのでこちらへどうぞ。
このブログはDietPiへのインストール事例として残します。



Audirvānaとは

オーディオグレードのPC用再生アプリでは老舗の一つといって良いと思います。名前はオーディオ+ニルヴァーナの造語。悟りの境地・涅槃(ねはん)とはまた大きく出たネーミングですなぁ・・・ん?
そもさん!煩悩と同義のオーディオに涅槃などありや?

PCオーディオの時代から高音質のファイル再生に特化したアプリでしたが、現在ではストリーミングやネットワーク再生にも対応する多機能プレーヤーへと進化しています。

昨年登場したLinux版は「Core Player」といい、Windows/Mac版Audirvānaとは大きく異なるもの。それ単体はGUIを持たずモニターやキーボードを繋がないヘッドレスで運用し、操作にはリモートアプリをインストールしたスマホやタブレットを使います。楽曲データはコアプレーヤーに持たせることも外部のNASから読み込むことも可能で、NASにインストールするバージョンもあります。



システム構成
ネットワークオーディオ機器の場合
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USBオーディオ機器の場合
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Audirvānaのフルシステムはこんな感じ。最小構成ならPC1台(またはコアプレーヤー+スマホ)まで縮退可能です。
車載するなら(普通しないと思いますが)ネットワークの構築がキモとなり、一般的にはモバイルルーターか、スマホのテザリングによるWi-Fiネットワークになるでしょう。データをどこに置くかもポイントか。

コアプレーヤーを車載するとして、以前に紹介したスマホのUSBを使うシステムと比べると、USBオーディオ機器につながるコアプレーヤーを使えるのはリモートアプリのみとなります。
ローカル音源・Qobuz・ネットラジオはAudirvānaで聴けるので大方のユースケースはカバーしていると言えますが、RadikoやSoundCloudなどが使えなくなるのはちょっと残念です。CarPlay / Android Auto対応も当然ありません。



Roonとの比較

PC1台でも分散環境でも運用可能、ストリーミング対応などRoonとは共通項が多いことがわかります。大きな違いは出力部分で、
AudirvānaRoon
LAN(UPnP / Chromecast)
USB
LAN(RAAT / AirPlay / Chromecast / Squeezebox)
USB
公衆回線(Roon ARC)

ネットワークオーディオ機器への主力の対応方式がUPnP(DLNA)対独自プロトコルとなっている点が目立ちます。Roonの対応ハードも今や十分増えたので普及度では互角、音質ではRoon Labs.曰くRAATが有利との事ですが具体的な説明がないので何とも。
Roon ARCのようなモバイル機能はAudirvānaには無く、ここも有意差あり。

Qobuzの再生はAudirvānaによるネイティブ対応で、Qobuzアプリを使うQobuz Connectではない点はRoonと同じ。
ということで、出力機器がUSB-DACの場合は両者よく似たシステムになります。



Audirvānaのプラン
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オーディオ再生アプリにもサブスクの波が押し寄せており、月または年払いのStudioと買い切りのOriginの2つのプランがあります。ストリーミングに対応するのはStudioのみで、対応といってもQobuzのライセンスが含まれている訳でもないので抵抗感はありますね…ローカル再生のみならOriginの選択もアリです。



ハードウェア選定
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Raspberry Pi 4 Model B 4GB

Audirvāna公式サイトによると、Core Playerのシステム要件は以下のようになっています。
・インテルまたはARM 64ビットプロセッサー
・Debian または RPM パッケージ
・1 GBのRAM(DSDアップサンプリング使用時は2GB推奨)
詳しいCPU性能の指定はないもののラズパイでも動きそうです。
1GB超のRAMを備えるラズパイは4か5で、メモリー再生や後述する電源断対策を考慮して4GBを選択。リニア電源で駆動したいので消費電流が少なめのラズパイ4としました。
Geekwormのファンレスメタルケースにセット。放熱用グリスは付属しません。

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LattePanda IOTA
より演算性能の高いインテルCPU搭載SBCやミニPCを使ってみるのも面白いかも。



車載にあたっての注意事項

エンジンOFFでいきなり電源が切れる車載運用ではファイルシステム破損のリスクがあります。これはAudirvānaに限らずWindows/Mac/Linuxをベースにするものは基本的に同じで、例えばホームオーディオ用のプレーヤーでも中身はLinuxだったりするものが多く注意が必要です。メニューにシャットダウンの項目があるかどうかで見当がつきます。

今回はファイルシステムを読み込み専用に設定することで対策とします。ただし注意点があり後で解説します。
厳密にはこれだけでは不完全で、100%シャットダウンフリーにするにはOSを含めたシステム全体がRAM上で動作するlightMPDのようなアプローチを検討すべきですが、最悪壊れても以下の手順を繰り返せば済む位ならまぁ許容範囲かという判断です。(そのためのこのブログでもあります)



OSの選定

具体的なOSの指定はなくある程度自由度を持たせた要件となっており、OSまでカリカリにチューンしたgentooplayerやHQPlayer等とは異なる設計です。それでも音質的には余計なプロセスの少ないディストリビューションが望ましいだろうと考え、以前にも取り上げた
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DietPi
にしました。

普通にラズパイ4を選択すれば要件通りの64bit版ARMv8用になります。公式サイトからダウンロードしたファイルを展開して1GBほどのimgファイルを取り出しておきます。

microSDカードは購入できる最小容量クラスで十分で、32GB「以下」が無難。書き込みにはラズパイ純正アプリの
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Raspberry Pi Imager
を使用しました。Raspberry Pi OSなどをダウンロードから書き込みまでこれ一つで実行できるアプリですが、
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一番下、予めダウンロードしておいたimgファイルを焼くこともできます。



OSのインストール
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こんな構成で設定してゆきます。
インストールの最初期段階は、ラズパイのHDMIポートにモニターやTV、USBポートにキーボードをつないだ「ローカルコンソール」で設定してゆくのが確実です。OSのインストールが終わったら、以降はPCからネットワーク越しに「リモートコンソール」を開いて設定できます。

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適当なモニターがなければ、PCにUSB接続するHDMIキャプチャーボード(右上、2,000円くらいで購入可能)も使え、ここの画像もそれで取得しています。
書き込んだカードをラズパイにセット、ケーブル類を接続します。ラズパイ4の電源はUSB-C、HDMIはmicroタイプです。5V/3Aと消費電力も上がっていてラズパイ3用からいろいろ買い替えが必要でした。

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起動しました。表示されている初期ユーザーとパスワードでログインすると、

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最初にOS更新(DietPi-Update)が走りますがネットワーク接続がないとして中断します。この状態では何か設定を変更するとネットにアクセスしようとして数10秒タイムアウト待ちとなることがあります。「フリーズした!」とあわてて電源を落としたりせず、まずは家のWi-Fiアクセスポイントに接続します。
「Network Settings」を選択して「Select」(カーソルキーとTABキーが使えます)

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IPv6はOFFで良いでしょう。ONにする時は外部から侵入されないようルーターの設定を確認しておきます。
オンボードWi-Fiを有効にして設定に入ります。

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電波法を逸脱する可能性があるので、カントリーコードは必ずJPにします。「Scan」でアクセスポイントの登録へ。

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APは5つまで登録できます。複数登録した場合は起動時に見つかったAPの中で最も電波の強いものに接続するので、クルマで使うモバイルルーターなどもここで登録して大丈夫です。(後で追加も可能)
SSIDとパスキーを入力、画面を戻って「Apply」すると再起動を促され、再度ログインするとOS更新を行って続行します。

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サーベイ(情報提供)に参加するかどうか

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キーボードの設定。使っているものに合わせます。日本語キーボードあるあるで、設定が違うとパイプ文字「|」が入力できなかったりキーの表示通りにならず後でパスワードが通らない原因となります。

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rootおよびdietpiユーザー用のパスワード設定

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ソフトウェアインストール用のパスワード設定

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UART(シリアル)は使用しないので「Yes」で無効にします。

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ここがメニューの最上位、DietPi-Softwareです。
SSHサーバーとして軽量の「Dropbear」がデフォルトで有効になっていますが、OpenSSHに変更します。

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最初にDietPi-Configを選択し設定を行います。
Audio OptionsでインストールできるALSAはAudirvānaに含まれているようで、ここで設定しなくても大丈夫でした。Language/Regional Optionsを選択。

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地域とタイムゾーンを設定します。

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DietPi-Softwareに戻り、Search Softwareから「Avahi-Daemon」を検索して追加。スマホからCore Playerを発見するために必要なコンポーネントです。

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DietPi-Softwareに戻って「Install」

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設定内容を確認し「OK」でインストールが始まります。ここまでコマンド入力も設定ファイル編集も一切なく完了です。至れり尽くせりですね。

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ローカルコンソールでの設定はここまで。インストールが終了しコマンドプロンプトに戻ったら、logoutしキーボードを外してOKです。画面左上に表示されているIPアドレスを覚えておきます。



Audirvānaのインストール

Linux版のインストール手順は公式サイトには詳しく書かれておらず、「わかる人は使ってみてください」な感じ。ネットを漁ってみてもバリエーションがあり、極力OSを軽量に保てるようにしてみました。

USBポートにオーディオ機器を接続。
ネットワーク上のPCからリモートコンソールを開いて設定してゆきます。

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コンソール用アプリのPuTTYでラズパイのIPアドレスを指定し、接続タイプ「SSH」でコンソールを開きます。アドレスはローカルコンソールに表示されていたもので、スマホアプリのFingなどで調べることもできます。
PCのキーボードとモニターを使ってローカルコンソールと同じように操作できます。

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管理者権限「root」でログイン。(以降、プロンプトが#となっているものは「root」、$はビルトインユーザー「dietpi」でのログインを示しています。)

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PCで公式サイトからAudirvāna Studioのパッケージをダウンロード。
ラズパイ用はDebian/ARM64(aarc64)版です。

パッケージをラズパイに転送するには、PuTTYと同時にインストールされるPSFTPを使います。
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使えるコマンドはhelpで表示されます。openで接続、putでアップロード。転送が終わったらexitで閉じます。

リモートコンソールからインストール。
# apt install -f ./audirvana-studio_X.X.X_arm64.deb 

電源ONで自動起動するようサービスとして登録します。
# /opt/audirvana/studio/setAsService.sh enable 
# reboot now 


ラズパイはひとまずここまで。続いてスマホの準備に移ります。



Audirvāna Remoteのインストール

コントロール用アプリをスマホにインストールします。iOS版とAndroid版がそれぞれAppleとGoogleの公式ストアにあります(無料)。

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起動すると、ネットワーク上のAudirvānaを探して表示します。

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ライセンス条件の承諾の後サインインで利用可能となります。公式サイトでメールアドレスを登録すると送られてくる仮パスワードではサインインできず、メールのダウンロード用リンクからサイトに飛んでパスワードを更新しないと有効化されないので注意。有効化後30日間の無料お試し期間がスタートします。

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再生先としてUSBオーディオデバイスを指定。



ストリーミング再生

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Audirvāna RemoteにQobuzのアカウント情報を設定するとあっけなく再生できました。他にTIDALなども対応していますが日本で正規に使えるのはQobuzだけです。
スマホのQobuzアプリやRoon ARCに比べるとちょっと重いですが使えなくはないかな。

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面白そうな設定が多数あるのでポチポチと。



シャットダウン

電源を落とす前にシャットダウン処理が必要では車載運用は難しいので、後で対策します。
# shutdown -h now 




長くなったのでひとまずここまで。残りのローカルファイル再生や車載でちょっと手こずっており結果は後日。
関連情報URL : https://audirvana.com/ja/
Posted at 2025/09/26 21:11:43 | コメント(2) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2024年07月07日 イイね!

仮想化オーディオサーバーをProxmox VEで再構築した

仮想化オーディオサーバーをProxmox VEで再構築した自宅のファイルサーバー兼オーディオサーバーを仮想化基盤上に構築したのが3年前。その後Roon ARCが登場しカーオーディオでも便利に使っていますが、vSphere Hypervisor(ESXi)の無償版はvmware社の買収を機に提供終了となってしまい見直しが必要になりました。
稼動中のシステムを大急ぎで更新したためダイジェストのレポートとなります。本来システム更新に強いはずの仮想化なのに、基盤が無くなったのでは致し方なし。








無償版ESXiの利用期限について

自分が使っているESXi7のサポート期限は2025/4/2まで。ESXi8なら2027/10/11までですが、既にインストーラ・ライセンスともダウンロードできなくなっておりこれらを入手済みの人以外8へのアップグレードはできません。
サポート終了後も使い続けることはできますがESXiを狙ったランサムウェアなどもあり、7以前の人は早めの移行をオススメします。

(2025/4/15追記)
無償版ESXi8の提供が再開されました。うれしいが戻るかといえば・・・PVEが安定動作したしHomebridgeも便利だし、というわけで今すぐには無いかな。


ソフトウェア
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こんな構成で計画しました。NASに保存した楽曲ファイルをRoonのサーバー(コア)で再生するシステムです。ホームオーディオはRoon、カーオーディオもRoon ARCがメインになったので、DLNA/UPnP対応は今回無し。

Proxmox Virtual Environment (VE)は、Linuxベースの仮想化基盤。サポート無しなら無償利用可能です。
KVMによるハイパーバイザー機能とLXCによるコンテナ機能の両方を備えた多機能環境で・・・なんかピンと来ないので使って確かめることにします。

実はProxmox VEにはZFSによるファイルサーバー機能があり、後で紹介するTrueNASにも仮想化ホスト機能があったりするのですが、今回はオーソドックスに「餅は餅屋」の方針としました。

オーディオ用なら、NASとRoonは別PCにしてリニア電源駆動、さらにSFPで繋いだりした方が良いんですかね?仮想化してネットワークの電気的動作がないのとどっちが有利なのか、それも面白そうなテーマですが自分は使い勝手優先で行きます。


ハードウェア
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PC本体:PN41(ASUS)
RAM:W4N3200CM-8GR DDR4-3200(PC4-25600) 8GB×2枚 (Crucial by Micron)
M.2 SSD:SNVSE/500G Kingston SSD NV1-E 500GB M.2 2280 NVMe(キングストンテクノロジー )
 ※画像のキオクシアから変更しています
SATA SSD:WDS200T1R0A-EC WD Red SA500 2.5インチSSD 2TB(Western Digital)

PCは前回のまま。Jasper Lakeで省電力、手の平サイズのミニPCです。4コア、16GB、500GB+2TBの構成ですが仮想化環境ではコアとメモリーは多いほど使いでがあります。Jasper LakeなどAtom系列のCPU(最新はAlder Lake-N)ならPコアとEコアの割り当てに悩むことがなく使いやすいです。
M.2のSSDはProxmoxおよび仮想マシンのシステム用、NASのデータ用にSATAのSSDを割り当てます。

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HomePod mini(Apple)
HomePodは音楽再生用ではありません。ちょっと便利な使い方を最後に紹介します。


Proxmox VEのインストール

既に多くの方が記事にされており情報には困りません。
今回こちらを参考にさせていただきました。ありがとうございます!
ProxmoxVEのインストール - New technologies in our life

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Proxmoxの公式サイトからダウンロードしたISOファイルでインストール用USBメモリーを作成します。作成用アプリはRufusEtcherなど。最近はRaspberry Pi Imagerをよく使っています。

HDMIポートにモニター、USBポートにキーボードを接続してローカルコンソールとします。
BIOSで起動順序をUSBメモリー優先、仮想化支援機能を有効に設定。作成したUSBメモリーで起動するとインストーラが立ち上がります。
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3%で止まるのはあるあるらしい。焦らず待つ。

一通りインストールが終わったらローカルコンソールの役割は終了。キーボードは後で使うのでそのまま、モニターは外しても大丈夫です。以降はネットワーク上の別のPCから操作できます。

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ブラウザでProxmoxVEのIPアドレスを開くと管理画面にアクセスできます。VMの作成・起動などここで操作可能で、ESXiと比べても違和感ありません。ProxmoxやNASのアドレスは(RoonもルーターのUPnPが安定しない時は手動でポート解放を設定することになるので)固定しておいた方が便利でしょう。


TrueNAS Coreのインストール

ファイルサーバーは前回に続きTrueNASを使用します。業務用途にも使用可能な高速・高信頼性を誇るNAS用アプライアンスです。自宅でも3年間停電以外で止まったことはなく極めて安定しています。

TrueNASは現在
・従来からのFreeBSDベースのTrueNAS Core
・新しく登場したLinuxベースのTrueNAS Scale
の二本立てとなっています。どちらにするか?
最新のハードウェアに素早く対応するためにLinuxの力を借りたい、ということのようですが今回ハードウェアは仮想化するのでそのメリットは無し、というか、最新ハードでもジェネリックに見せられるのは仮想化のメリットです。よって信頼と実績の(古いSMBv1も使える)Coreを選択しました。いずれはScaleに一本化されてゆくのかもしれませんね。

仮想マシンのセットアップはESXiとほぼ同じ感覚でできました。
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インストール用ISOファイルをアップロードしておき、

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仮想マシンのスペックを設定。2コア/8GB/32GBを割り当てました。
ISOファイルは仮想的な起動用CDドライブに指定します。

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PuTTYでSSHを開き

root@pve:~# ls /dev/disk/by-id 
データ用SSDのIDを調べて

root@pve:~# qm set 100 -scsi1 /dev/disk/by-id/ata-WDC_WDS200T1R0A-68A4W0_21154F441607 
qmコマンドでパススルー設定。SSD全体を1台のVM専用に割り当てます。100は作成したVMのID、2台目のSCSIドライブでscsi1としています。

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仮想マシンにパススルーされたSSDが追加されたことを確認して起動

TrueNAS自体のインストールや設定はこちらのブログを参考にさせていただきました。ありがとうございます!
TrueNAS Core - きりしま屋

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インストールが終わったらブラウザでTrueNASのIPアドレスを開くと管理画面が現れます。引き続き初期設定を済ませます。
・ユーザーの追加
・プールの作成
・SMB(Windows)共有サービスの追加

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データセットを2つ作成し、Windows用のshare、Roon用のroonとしました。
同名の共有フォルダにそれぞれのユーザーからのアクセス権を設定します。方針はお好みで。
TrueNAS の SMB を ACL Manager で説明してみる

フォルダWindowsユーザーRoonシステム
shareフルコントロール読み取り専用
roonフルコントロールフルコントロール

楽曲データはshare内に保存、roonはバックアップデータ用です。PCで購入・リッピングした楽曲データを保存すればRoonが勝手にライブラリに追加してくれます。このあたりRoonのストレージにはNASが適しているように思います。

ここまで来たらNASのデータを復旧できます。
FreeFileSyncでリストアを開始して一眠り。


smartmontoolsのインストール

リストアが終わったので作業再開。
先に行ったSSDのパススルーは物理的なPCIeではなく論理的なディスクドライブとして行ったので、S.M.A.R.T.による状態監視は仮想化基盤の方で行います。
最新バージョンでは最初からインストールしてあり作業不要でした。
Proxmox VEはDebianベースなので、こういったツールが充実しています。


ROCK(Roon Optimized Core Kit)のインストール

Roon Labs.謹製のOS込みRoonサーバーです。不要なプロセスを除きRoonに最適化してあるので安定性ではこれが一番。インテル(現在はASUS)のNUC用ですがProxmox VEでも利用可能です。
仮想環境へのROCKのインストールにはちょっとコツがあって、インストール用のUSBメモリーとキーボードは仮想化できず実デバイスを接続する必要があります。

Roon ROCK on Proxmox Virtual Machine
こちらの方法でインストールできました。

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リソースは2コア/4GB/128GBを割り当てました。

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ROCKの管理画面。管理といってもIPアドレスの設定くらいで、ほとんどの設定はRoonアプリから行います。ライブラリにAACやmp3がある場合はコーデック(ffmpeg)を追加します。
Roon OS Missing Codecs

PCでRoonアプリを起動するとコアを見つけてくれます。Roon Remoteアプリをインストールしたスマホなどでも可能です。
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Roonのライセンスはコア単位なので、1ライセンスで運用できるコアは1台のみ。旧サーバーとはここでお別れ(削除はされず無効状態)となります。

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ログイン後、楽曲フォルダを登録します。ホスト名が通らずIPアドレスで指定しました。

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TrueNASの音楽フォルダが見えました。「Select this folder」すると楽曲のスキャンが始まります。仮想ネットワークでつながっているので高速です。
数分で普通に使えるようになり、引き続きバックグラウンドで曲の解析が行われ数日間はCPUパワーを消費します。サーバーなので放っておけばよいです。(状況は「Settings」-「Library」で確認できます)


Homebridgeのインストール

HomebridgeはAppleのHomekit互換のスマートホームアプリ。
仮想化とスマートホームに何の関係が?
と思いますよね。HomebridgeをProxmox VEにインストールすると、

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なんとiPhoneのホームアプリで仮想マシンを管理できます。これって・・・
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赤木リツコ博士の自爆リモコンじゃん!
あるいは「ダイ・ハード4.0」か。自宅を爆破されるのはもう現実ですね。

さらに、HomePodかApple TVがあると外出先からも利用可能となります。これらがHomekitのセキュアなゲートウェイになるというわけで、さすが「スマート」スピーカー、こんな機能が仕込まれているとは。
HomePodは設置してあるだけでよく特別な設定は不要、その設置もWi-Fi設定済みのiPhoneを近付けるだけ、と良く出来ています。

Homebridgeのインストールはこちらのスクリプトが簡単です。
Proxmox VE Helper-Scripts(Homebridge LXCで検索)

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コンソール(画面の「Shell」)にスクリプトを貼り付けて実行するとHomebridgeがコンテナ形式でインストールされます。設定は「Advanced」でこんな感じ。
インストール後、表示されるバーコードをiPhoneで読み取って登録。

続いてプラグインのタブから「Homebridge Proxmox」を検索して追加します。
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正しく設定できるとアプリにVMが現れます。

Roon ARC自体は十分実用的なものの、Roonのサーバーは年中無休といえるほどは安定しておらず、自分の環境ではバージョンにもよりますが月1~数回ほど固まります。ホームオーディオならサーバーを再起動させるのは大した手間ではありませんが外出中にこれが起こると致命的なので、リモートでRoonサーバーをリセットできるようにしたかったのです。

(2024/8/10追記)今回の環境は非常に安定しており、1か月連続稼働で何ら問題が出ておらずリモートリセットを使う場面がありません。嬉しい誤算です。

(2025/3/19追記)外出中にRoonサーバーが無応答となり、初めてリモートリセットを使いました。電源OFFのようなものなのであくまでも最終手段ですが、あるとないでは大違い。助かりました。




以上で完了。なんとかダウンタイム1晩+αで移行できました。やれやれ。
しばらく使って安定動作を確認できたら
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アイドル育成ゲームみたいな名前のNAS(Core i3-N305搭載!)に同じ環境を構築して次期サーバーに、と狙っているところです。
Posted at 2024/07/07 22:50:56 | コメント(2) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2024年05月25日 イイね!

CarPlayでUSBオーディオ

CarPlayでUSBオーディオ中学生の時、オーディオ店の試聴会でおじさん達を横目に
「右のスーパーツイーター鳴ってないですよ、それ」
とうっかり口走ったら追い出されました。若かったな~(遠い目)
それなりに機器を買えるようになる頃には聴力が衰えているなんて、オーディオとは無情な趣味です。










遅ればせながら我が車もハイレゾ対応を果たしました。96kHz処理となったプロセッサーアンプは48kHzまで、スピーカーも30kHzまでは出せるはず。
あ、これだと業界の定義には足りないんだっけ。まぁ、40kHzを再生できれば高音質!なんてものではないことは皆さんもう気付いてるんでしょ?気にせず進みます。
これまでプロセッサーが未対応であるのを言い訳にCD音質特化でやってきたのですが逃げられなくなったので、クルマで快適に、しかしダウンサンプルなど無くちゃんとハイレゾ体験するには?と考えていた方法を試してみました。


システム図
こんなシステムで実験しました。普通は黒のライン、今回は下のラインで、ここでのUSBはUSBメモリーではなくスマホからのUSBオーディオ出力であることに注意してください。
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ディスプレイオーディオ(ワイヤレスCarPlay対応品)
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国内メーカーではアルパインに続きカロからも対応機種が出ました(2024/11 ケンウッドも)。そちらはAndroid Autoもワイヤレス対応していますが、今回の使い方ではiPhoneをおススメしておきます。理由は後ほど。
CarPlayでは有線接続の方が音質が良いとされています(末尾に遠回しに書かれています)が、今回さらに高音質を目指すためスマホのUSBは別のUSBオーディオ出力用に使います。ワイヤレス接続となるDAは操作専用に使い音質には関与しません。
この場合車載ルーターなど他のWi-Fiネットワークには参加できません。これはワイヤレスCarPlayが(Android Autoも)通信方式として1対1接続のWi-Fiダイレクトを使用するためです。

USBオーディオ機器
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プロセッサー、DAC、DDCなどお好みで。上でも述べた通りUSBにはいくつかタイプがあり、ここで使えるのはUSB Audio Class対応のものです。

Lightning - USB 3カメラアダプタ
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スマホに給電しながら使えるのは「3」がつく方のアダプタ。本体部のUSB(A端子)側にUSB機器、Lightning側に電源を接続します。
最新のUSB-C対応iPhoneの場合は、Apple純正の同等品はまだ無くHDMI付きの大柄なものになるようです。市販のPD対応HUBは使えるんだろうか。

CarPlay/USBオーディオ対応アプリ

(2024/8/10更新)自分はこんなアプリを使ってます(データ専用SIMのため電話は未使用)。このうち「Apple Music」「Roon ARC」「ベルリンフィル(Digital Concert Hall)」はロスレスやハイレゾロスレスに対応しています。
今回は「自宅からロスレス配信」のRoon ARCで試します(他のアプリも追記)。述べたようにWi-Fiは使えないのでモバイル通信で受信します。


接続手順
スマホをCarPlayに接続しておきます。といってもエンジン始動で自動接続するので初回以外特にすることはありません。

スマホとUSBオーディオ機器を(こちらは物理的に)接続。
コントロールセンターを呼び出し、右上のAirPlayアイコンをタップ。
※アプリ側に同様の設定がある場合はそちらでも可能です。
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CarPlayとUSBオーディオが表示されています。
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USBオーディオ(「Primary Play Interface」がプロセッサーのUSB入力)を選択すると、画面はCarPlayのまま音声だけUSB側に切り替わりました。成功です。
実は以前USBオーディオの代わりにAirPlayレシーバーで同じことができないかと試した(この場合CarPlay側が有線接続)のですが、その時はAirPlayを選択するとCarPlayの接続が切れてしまいました。USBオーディオに対しては音声のみルーティングできるようです。

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もちろんハイレゾもロスレス伝送できています。CarPlayの音声仕様はUSB接続のロスレスでも48kHz止まりでワイヤレス接続時はAAC伝送(WWDC2016のプレゼンテーションより)、DAにはデジタル出力もないのに対してアドバンテージです。

ただし以前実験した結果では、4G回線でRoon ARCを使ってストリーミングできるハイレゾは24bit/96kHzがぎりぎりいけるかどうかで、安定的に常用するのは困難でした。その後回線を変更し96kHzの成功確率は上がりましたが、それでも100%にはなっていません。
高レートの音源はRoon ARCのダウンロード機能を使って予めスマホにコピーし、CDフォーマットはストリーミングするよう設定すれば全ての音源をロスレス再生できます。自分のライブラリを集計してみたら、512GBのiPhoneが必要と出ました…

このように最初だけスマホでの操作が必要ですがあとは自由。
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通常のCarPlayとしてDAの画面で操作することも、

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カメラアダプターが野暮ったいのと白くて目にうるさいので、CableJiveの延長ケーブルを使ってコンソールボックスに隠しました。

ナビアプリと併用したり、DAとスマホで2画面運用することも可能です。CarPlay対応でないアプリもこの方法で使えます。
残念ながらナビアプリの音声はUSB側には割り込んでくれませんでした。これさえクリアできればパーフェクトだったのに惜しい。(これは再生アプリがUSBを排他的に使用できていることの証左でもあります。96kHzや192kHzで再生中に案内音声を割り込ませる「ハイレゾ対応ナビアプリ」なんてあったらたまげるけどねw。余計な音声が出ないのでかえって好ましいという人もいると思います。)
案内が必要な時は音質を気にしている場合でもないのでアナログ接続を使えばいいか。




以上で実験終了。
ガチなオーディオではUSBと言えどソースユニットによる音質差はあり、今回のようなスマホベースのシステムで高級DAPやハイエンド車載プレーヤーのレベルまで行けるかどうかはわかりませんが、ロスレスで伝送できておりデータとしては同じ。十分高音質と言ってよいと思います。それが使い勝手の良いCarPlayで得られるのは魅力です。
ワイヤレスCarPlayなら今後も純正採用されるでしょうから、社外品の接続が難しくなってきたカーオーディオでは希望が持てる方法ではないでしょうか。

加えて、演算能力に長けるスマホなら信号処理による音質向上も期待でき、「化ける」可能性もあるのでは?と思っていますが、このネタはいずれまた。




(2024/9/9追記)
ロスレス再生が可能な他のアプリも試してみました。CarPlayとスマホの画面を並べています。

Apple Music / アップルミュージック

Apple Musicでは、44.1/48kHzのALACを「ロスレス」、88.2/96/176.4/192kHzを「ハイレゾロスレス」と表示します。配信されているフォーマットはスマホ側には表示されますがCarPlayの画面ではわかりません。


ロスレスのバッジをタップするとフォーマットが表示されます。


ロスレスやハイレゾロスレスでの配信には設定が必要です。設定してもディスプレイオーディオでは48kHz再生となるのは上で挙げた資料の通り。またUSB出力を選択し設定した音源があっても、回線速度が十分でない時は自動で下位のフォーマットにフォールバック(縮退)されるようです。フォールバックとは通信状態に合わせてデータ量を調整する(減らす)技術で、その昔電話回線にモデムをつないでいた人なら実体験としてご存じでは。

フォールバック状態ではこのような表示になります。「利用可能」だけど何らかの理由でそうなっていないことを示しており、この時は普段96kHzで再生される音源が48kHzで配信されていました。音質よりも安定して聴けることを優先しているわけで、Roon ARCが音飛びしようとエラーになろうと設定した音質で再生しようとするのに比べると設計思想の違いが見えて面白いですね。どちらが優れているとは言えません。


Apple Music Classical / アップルミュージック・クラシカル

Apple Music Classicalもロスレスやハイレゾロスレスでの再生が可能です。回線速度に対する挙動はApple Musicと同じ。
アプリはまだCarPlayに対応しておらず選曲をスマホで行う必要がありますが、この通り再生中の曲はDAに表示されました。
(2024/11/13追記)CarPlayに対応しました。


Digital Concert Hall / デジタル・コンサートホール

ベルリンフィルの配信サービス、デジタル・コンサートホール。動画が見られるスマホの画面にもフォーマット表示は見当たりませんが歯車アイコンの設定画面で確認可能です。


「ハイレゾ」設定で48kHzまたは96kHz(音源により固定)のFLACになります。回線速度が足りなければ自動的に「通常モード」のAACにフォールバックされます。つまりロスレス再生のためには96kHzまで対応する必要があり、再生システム的にも回線速度的にもApple Musicよりハードルは高めです。


回線が不安ならダウンロード機能が使えます。ただし動画や曲により空間オーディオも含まれるためデータ量は大きく、ダウンロード速度も速くないので家で準備しておいた方が良さそうです。クラシックなら1回ダウンロードすれば一日もつ場合が多いでしょうから負担感はそれほどでも。


Qobuz / コバズ

(2024/11/3追記)
全曲ロスレス対応の高音質配信サービス、Qobuzが日本で待望のサービスインを果たしたので早速加入しました。始まったばかりで楽曲のラインナップやメタデータの整備が追いついていない感はあるもののそのうち改善されてゆくでしょう。
QobuzはRoonと統合可能なためRoonのユーザーはRoonやRoon ARCアプリから利用できますが、このQobuzアプリもCarPlay対応しており使いやすく仕上がっています。高音質をうたうだけに?フォーマットの表示が他より直接的です。

回線速度が遅いと、バッファリングのため再生開始が遅れます。挙動としてはRoon ARCと同様フォールバックを避け音源のサンプリング周波数を守ろうとする傾向のようです。(本当によわよわな回線ではわかりませんが)
バッファリングは再生開始直後の早い時期に1曲分終わらせる動作で、次々にスキップしながら丸一日使ったらデータ量が10GBを超えましたw


ハイレゾ配信の上限を96kHzと192kHzから選べるのは現在のモバイル回線の実力に合っており、(DSPの処理レートが96kHzや192kHzへの移行期にある)カーオーディオでも使いやすいです。Roon ARCではCD Qualityの上はOriginal Formatとなりこういう設定ができないので、自分のライブラリがある程度カバーされたらこっちを主力アプリにしてもいいかも、と思いました。




回線状態さえ良好なら、という条件はつくものの各アプリとも音源通りのサンプリング周波数でUSB出力できており、アプリを切り替えても特に問題なく周波数がスムーズに切り替わります(USBDACモードにしたDAPで確認済み)。iOSでのUSBオーディオの処理はAndroidはもちろんMacOSと比べても洗練されているように思います。
また今回利用したアプリでは強制的なアップサンプリングもなくCD音源が44.1kHzで出力されるのもオーディオ的には安心できる動作です。Roon ARCでは明示的にアップサンプルすることも可能で、この「明示的に」選択できるのが大切なんです。

対してAndroidの場合ハイレゾ再生するには、というかそれ以上に重要なOSによるデータ改変なく再生するには、UAPPやRoon ARCのように独自のUSBドライバーを備えたアプリが必要で、その仕組みをもたない多くのストリーミングアプリではOSのミキサーを介した48kHz(ビット数はAndroid OSのバージョンにより16または24bit)での出力となります。ただ一部の機種では独自にOSを拡張してハイレゾ対応していたりと状況は複雑で、このあたりの事情は自分がAndroidでUSBオーディオを追いかけ始めた2014年から大きくは変わっていません。
HiByやiBassoなどSRC回避機能を備えたDAPという選択もできるようになりましたが、スマホのようなディスプレイオーディオとの連携は困難です。OS側ではようやく対応の動きがあったところなので、市場の入れ替えが進みアプリが対応するまでもうしばらくかかりそうです。

Android派の自分ですが、オーディオ端末としてiOSは優秀と認めざるを得ません。ストリーミングとローカル再生を取り混ぜ利用するには様々なアプリでイイ音で楽しめることが要求され、そういう使い方では依然差は埋まっていない感があります。
(2024/11追記)試していませんが、QobuzはUAPPやRoon ARCに対応しており、この組み合わせがAndroidにとって一つの解になるかも。


Geminiさんにちょっと意地悪な質問をしてみました。




(2024/11/17追記)自分の環境ではワイヤレスCarPlayとスマホのテザリング(インターネット共有)を併用可能なことがわかりました。レー探などWi-Fi接続が必要な機器がある場合はこれで対応できます。
共有はCarPlay接続後にONにする必要があり、ONのままにしていると次にエンジンを始動した時にCarPlayが自動接続されません。ちょっと面倒なので

iOSのオートメーション機能を利用し、CarPlayの接続に連動して共有をON/OFFさせるようにしました。
(2025/8/14追記)
ワイヤレスCarPlay接続用Wi-FiではDAがアクセスポイント、テザリングはスマホがアクセスポイントのため、スマホは親機と子機の同時動作が必要となります。このうち子機の周波数帯(2.4GHz/5GHz)はCarPlay接続時にDAとのネゴシエーションで決まるため選べません。自分の機種では2.4GHz、ワイヤレスAndroid Autoが5GHz必須のため両対応の機種ではCarPlayも5GHzとなるようです。
このときテザリング(=親機=アクセスポイント)動作が可能か・周波数帯がどうなるかはスマホのWi-Fiチップ次第で、自分のiPhone SE(3rd)ではクライアントと同じチャンネルが使用され2.4GHzでテザリングできています。
5GHz接続時のテザリングについては確認できていませんがこの周波数帯の屋外利用は制限が厳しく、DAが利用する5.2GHz帯でのテザリングは禁止(総務省HP)となっています。5.2GHzで子機動作しながら2.4GHzや6GHzで親機になれるかどうかですが、「ワイヤレスCarPlay接続時にテザリングはできない」という情報も多いところをみると不可かもしれません。5GHz(6GHz) Wi-Fi対応のレー探もまだ無いので2.4GHzしか使えないDA7Zで結果的に正解でした。
Posted at 2024/05/25 15:49:08 | コメント(1) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ

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「@なかるう のではなく、CableJiveのライトニング延長ケーブルが機能しなくなっていました。メジャーバージョンアップ怖い。」
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