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2026年02月01日 イイね!

Audirvāna Studio V3のFIR演算を試す

Audirvāna Studio V3のFIR演算を試すAudirvāna Studioの次期バージョンV3のベータテストが始まりました。久しぶりのメジャーバージョンアップで力の入った変更となっています。
WindowsおよびMac版は昨年末からテスト中、1月にLinux版とAndroid用リモートアプリが出たのでインストールしてみました。









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ラズパイにインストールしたAudirvāna、システム構成をこんな風にアレンジして車載運用を始めました。ローカル音源はUSBメモリー、QobuzのストリーミングはスマホからのUSBテザリングにより再生するようにしています。インストール手順は以前のブログに。
AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その1再
AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その3

本来ホームオーディオで使うサーバーをクルマに持ち込むことの問題はあり、エンジンOFFの後に再始動すれば選局はやり直し、レジューム再生なんてしてくれません。でも音質はさすがで、DSPアンプに32bit/88.2kHzで入れてやると心地よく鳴ってくれるので気に入っています。

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次期バージョンは画面デザインの刷新と信号処理機能が目玉のようです。
まずはインストールから。Linux版ではコアプレーヤーとスマホ用リモートアプリの両方をベータ版に更新する必要があります。



Audirvāna Studio(ベータ版)のインストール

ラズパイを自宅に持ち帰りネットワークに接続、PCでリモートコンソールを開いて作業を行います。
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overlayrootによるROM化を設定している場合は解除しておきます。

ベータ版のパッケージはAudirvāna公式サイトのMy Audirvānaページでダウンロードできます。

インストール前に現行バージョンをアンインストールします。
Audirvānaを停止
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh stop 
自動起動を停止
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh disable 
アンインストール
$ sudo apt purge audirvana-studio 

ダウンロードしたパッケージをラズパイに転送。psftpを使う方法を上のブログで解説しています。
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インストール
$ sudo apt install -f ./audirvana-studio_X.X.X_arm64.deb 

自動起動に設定、再起動
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh enable 
$ sudo reboot 


コアプレーヤー側は以上で完了。楽曲データベースはそのまま引き継がれ再スキャンは不要でした。



リモートアプリ(ベータ版)のインストール

続いてリモートアプリを更新します。現行バージョンをインストールしておき、アプリストアからベータ版テスターの申し込みを行います。
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しばらくすると(自分の時は翌日)アプリ更新が降ってきてアップデートされました。
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畳み込み演算を試す

Audirvānaに限らず、近年のPC用再生アプリは信号処理機能を搭載・強化する動きが目立っています。オーディオは長い間データを改変することがタブー視されてきましたが、演算性能も向上しており適切な音響補正は是とする論調も増えてきたように思います。(この辺りはカーオーディオの方が進んでますよね)

Audirvāna V3の注目もやはり畳み込み(コンボリューション)演算でしょう。
普通はminiDSPのような専用ハードのDSPチップで実行するFIR演算がラズパイでどれほど使えるのか、試してみます。

・・・

とは言ってみたものの、
で、この後は何をすればいいんですか?
敷居が高いですよねFIR。みん友さんのブログを指を咥えて眺めていた自分も初心者、まずは勉強しないと。
PROSOUNDの連載記事が比較的わかりやすかったのでオススメします。

短期集中連載 超解説FIR! 第1回
短期集中連載 超解説FIR! 第2回
短期集中連載 超解説FIR! 最終回

・・・

各回3回ほど読んで、 FIRの5%くらいは理解できたのか?
インパルス応答(IR)という短い(概ね1秒以下)波形を作って入力波形と演算させれば任意の特性の補正ができる、ということはわかります。ではその波形をどう作るか。まだREWやrePhaseを駆使した音響補正ができる気はしないので、とりあえずその手前をやってみましょうw


FIRで「Lチカ」に相当する最初の一歩はデルタ関数でしょうか。
デルタ関数は時間軸で面積1のパルスを作り、そのまま面積を保って幅をゼロに近づけたもの。その波形をインパルス応答としてソースに畳み込んでも結果が変わらない関数のことです。
「デルタ関数をフーリエ変換して周波数軸に持ってくると定数1になる!」
って、そういえば遠い昔に習ったっけ。仕事で使うことは一生無さそうだけどこんなところで出てくるとは。デジタルオーディオでの最小幅は(1/サンプリング周波数)となります。


AudirvānaのIRファイルは32bit浮動小数点のwav形式などが使えサンプリング周波数は任意です。任意のハイレゾフォーマットに対して畳み込み演算ができ、再生する楽曲と同じフォーマットのIRファイルが無い場合はIRファイル側をレート変換して適用するそうです。楽曲ファイルがレート変換されることはないので音質的に有利ですがCPUの能力的に大丈夫かしら。後で試します。

ファイル長(タップ数)も任意で、仮に最低補正周波数=補正分解能を10Hzとすると1/10秒、96kHzなら9600タップとなります。「補正」周波数であって、例えば10msのフィルターにしても100Hz以下を再生できないわけではないのでご安心を。

波形編集ソフトのSoundForgeで96kHzステレオ/32bitフロート/長さ100msのファイルを作り、中間点50msの1サンプルだけ最大値=0dBFS、他はゼロで埋めてwav形式で書き出しました。これでいいんだろうか?いいことにしよう。
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作成したwavファイルをラズパイに転送
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audirvana(がアクセス可能な)フォルダに移動
$ sudo mv ./delta_96k_100ms.wav ../audirvana/. 

リモートアプリで設定します。設定画面を開き
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Audio - Processing画面へ。畳み込み以外にも実用的な処理が揃っています。Roonみたい。
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畳み込みファイルを指定します。サンプリング周波数別に複数指定できます。
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ちゃんと9600タップと認識されていますね。

任意の楽曲を再生。処理を行わない時と同じ音が出ました。
これだけ理論と手間を費やした結果が何も変わらないのが(期待通りで)素晴らしいw

96kHz音源再生時のCPU負荷(ラズパイCM4S)


再生開始直後にCPU負荷がかなり上がりますが先行して演算を行うようで、しばらくするとゼロ付近に下がりメモリー再生状態に移行します。こいつちゃんと使えるぞ、すげーなラズパイ。

(2026/2/4修正)
試しに192kHzの音源でIRファイル長を200ms(38400タップ)に増やしてみても、高負荷の時間が延びるだけでその間も音飛びなどは特に感じられず再生できました。
想像ですが、プレーヤーとして音源を先読みできる(ローカルもQobuzも同じ)ことが、DSPのようなリアルタイム処理が不得意な汎用CPUで高タップの演算を可能にしているのでは。

miniDSP等と異なりチャンデバは無いので、FIR機能の無いDSPの前段に加えるのが手軽でいいんじゃないでしょうか。Diracのような自動補正も無く調整は手軽ではありませんが、そこは勉強?練習?するとして。
関連情報URL : https://audirvana.com/ja/
Posted at 2026/02/01 15:05:28 | コメント(1) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2026年01月14日 イイね!

オーディオ専用ラズパイ

オーディオ専用ラズパイラズパイで動作するAudirvāna、使ってみれば操作性はアレで車載に向いているとも言えませんが音は頭一つ抜けて良いという悩ましいアプリでした。
このまま正式導入してもいいと思わせるだけのものはあるけど、さらにハードウェアにこだわってみたらどうなるだろうかと、また余計なことをしてみました。








ハードウェア選定

非同期伝送となるUSBやネットワークは同じデジタル伝送でもS/PDIFよりさらにハードウェアの影響を受けにくいはず。USBのクロックのジッターとかスプリアスとか意味わかんない。でもリニア電源をくれてやれば明らかな音質改善効果があり、ノイズを減らすことはそれなりに意味があるようです。

「オーディオ用ラズパイ」で調べてみると、多くはD/AコンバータのHATなどアナログ回路が中心で、ラズパイそのもののデジタル回路、特にUSBの信号品質といった観点でケアされたものがあまり見当たりません。

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Red(Holo Audio)

「Plāys with Audirvāna」の認証もあり、普通はサーバーやトランスポートを別に用意してネットワークDDCとして使うもの。画像からラズパイベースであることはわかりますが、ちょっと高級過ぎてソフトウェアを書き換えて使う人はいないでしょう。AC電源で車載にも不向きですし。

もう少し手軽にベアボーンPC的に使えそうなところで、少し前に出ていた
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USBridge Signature(Allo)

は既にディスコン。DigiOneなどオーディオ用HATで知られたAlloでしたが、しばらく見ないと思ったら買収されて再起動中のようなので期待して待つことにして、今回は
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RAL-NWT01K(ラトックシステム)

を調達しました。
RAL-NWT01Kは、Raspberry Pi CM3+を採用したオーディオトランスポート。
トランスポートとはデジタル出力専用のプレーヤーで、この機種のインターフェースは有線LANとUSB、HDMIのみとシンプルな仕様です。
電源は4.0mm x 1.7mmのDCジャックに5Vを入力します。リニア電源との組み合わせもしやすい設計となっています。

CMはCompute Moduleの略で、ラズパイからSoCとメモリー部分だけ取り出してモジュール化した製品です。
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Raspberry Pi CM3+

ノートPCのSO-DIMMのような形状で、I/O回路や電源、コネクタ部分は「キャリアボード」としてメーカーが独自に設計することができます。
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RAL-KCM3MB01(RAL-NWT01Kのキャリアボード)

CM3+はラズパイ3+相当の性能で、プリインストールされているVolumioは問題なく動作しますがAudirvānaには物足りないのでラズパイ4相当のモジュールに換装しました。ただし
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Raspberry Pi CM4

一般に販売されているCMは4から形状が変わっており、CM3用のキャリアボードには載りません。産業用にCM3と形状互換の
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Raspberry Pi CM4S

という製品があり、こちらを入手する必要があります。
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これだけバリエーションがあってMOQ(最小受注数量)も大きいとなれば、個人に単品で売ってくれるところは少なくなりますわな。

CM3互換であることのデメリットとして、CM4SのコネクタにはCM4のようなPCIeバスは出ておらずキャリアボードとはUSB2.0による接続。高速なGbEやUSB3.0はなく、CPUが速くてメモリーが増えただけのラズパイ3として使うことになります。ラズパイ4と同じ性能は期待できないもののオーディオ用途なら大きな問題はないでしょう。

本体カバーを空けるには前面および背面パネルの上側のねじを六角レンチで外します。
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換装後の状態。作業はメモリー交換と同じで簡単ですが、メーカー保証外の行為であることはお断りしておきます。
オリジナルの状態では特に熱対策はなし。ラズパイ4の消費電力は3より増えており、念のためヒートスプレッダを貼っておきました。各チップの厚みとサイズは以下の通り。
SoC:2.378mm(10 x 10mm)
DRAM:1.04mm(10 x 15mm)
eMMC:0.72mm(11.5 x 13mm)


インストール

RAL-NWT01Kのキャリアボードはラズパイ互換に作られており、ラズパイ用のOSがそのまま動作します。Audirvānaも以前とほぼ同じインストール手順で動きましたので異なる点のみ記しておきます。

eMMCの書き込み方法

Compute ModuleではmicroSDカードの代わりの起動用ストレージとして、基板に実装されたeMMCを使います。SDカードより高速で書き換え耐性も高いのがメリット。SDカードからの起動はeMMC未実装のCMのみ対応しています。

eMMC書き込みモードと通常モードは、キャリアボード上にあるジャンパーピン(画像赤丸)の位置で切り替えます。書き込みモードでmicroUSB端子をPCに接続するとeMMCがUSBストレージとして見えるようになっています。PC側には予めeMMC用のドライバー(ラズパイ公式サイトにあります)をインストールしておきます。

RAL-NWT01Kを電源OFF状態にしてJ6のジャンパーピンを1-2ショートに設定
→microUSB端子をPCに接続
→本体にACアダプターを接続、前面のボタンで電源ON(PCがUSBを認識する)
→PCでドライバーアプリを起動(ストレージとしてマウントされる)
→eMMCをフォーマットアプリでフォーマット
→書き込みアプリでOSを書き込み
→ACアダプターを抜き、J6のジャンパーピンを2-3ショートに戻す
→USBケーブルを抜き電源ON

このあたりはラトックさんのブログに詳しく書かれています。ただしドライバーアプリはCM3とCM4で別になっているので注意。
Volumio3.xxxをCM3+上のeMMCに書き込む

最初eMMCを認識せず、原因は製品付属のmicroUSBケーブルが本体のコネクタに奥まで挿さらなかったためでした。別のケーブルにして解決。


Raspberry Pi OSおよびAudirvānaのインストール

上記のeMMC書き込み以外は以前のブログの手順でできます。
AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その1再

OS書き込み直後の状態ではUSBおよびLANが動作せず。従ってキーボードもリモートコンソールも使えず手も足も出ない状態でしたが、Raspberry Pi OSのブートパーティションはFAT形式になっていて初期設定ファイルをPCで編集することができます。
上の方法でeMMCをマウントした後、PCのテキストエディタ(TeraPadなど、文字コードUTF-8・改行コードLFに設定できるもの)でconfig.txtを開き、以下のように修正しました。


[cm4]セクションにあったotg_modeの行を[all]セクションに移動しています(コメント移動し忘れた)。
[cm5]セクションにあるdtoverlayの設定も同じで、どちらもSoCの内蔵USB(キャリアボード上のLAN/USBコントローラがぶら下がる)をホストモードにするための設定です。どちらが使えるか・適しているかはラズパイの機種により、dtoverlayの設定を試したところ動作はしたものの再生中に音切れが発生しました。otg_modeだと別のコントローラが使われるとのことで、CM4Sはこちらで安定動作しました。


ローカル再生(USBメモリーまたはNAS)の設定

これも以前のブログの手順で大丈夫でした。
AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その3

車載する場合の電源断対策も同じ方法が使えます。途中でGPartedによるパーティション操作を行うため、GPartedを動かすLinux環境にeMMCのドライバーをインストールする必要があります。
$ sudo apt update 
$ sudo apt install rpiboot 
$ sudo rpiboot 

(3行目はUSBケーブルをつないでから実行)


その他の設定

あとの細かい設定は必須ではないのでお好みで。
RAL-NWT01KにあるLEDを利用する場合は設定を追加します。これもブログに説明があります。
Volumio3.xxxをmicroSDカードに書き込む
この中の「LED機能の設定」だけ実施すればOKです。
$ sudo nano /boot/firmware/config.txt 
dtoverlay=act-led,gpio=16
dtoverlay=gpio-poweroff,gpiopin=5


USBオーディオ以外の出力を無効化する設定。
1行目はアナログ出力、2行目はHDMIオーディオです。
$ sudo nano /boot/firmware/config.txt 
dtparam=audio=off
dtoverlay=vc4-kms-v3d,noaudio



残課題

熱対策

連続動作時の温度をs-tuiでモニターしてみました。真冬にしてはヒートスプレッダを付けても少し高めなので夏までには対策を考えたいと思います。

電源供給時の自動起動
RAL-NWT01Kには電源制御ICが入っていて、5Vを入力しても電源ボタンを押すまで起動しません。車載するなら対策したい。幸い回路図を始めドキュメントが充実しているので手は打てそうです。




Audirvāna二号機、ひとまず安定稼働しました。ラズパイ4の「こんな小さなコンピュータからイイ音!」という意外性も楽しいですが、こちらのオーディオ機器然とした姿もなかなかです。

ラズパイも性能が上がり、以前はPCでしか動かなかったアプリも使えるようになっています。ラズパイオーディオはちょっと前に流行った頃よりむしろこれからが旬ではないかと。
オーディオマニアとラズパイ使いは被らないのだろうか。MS-DOS時代はCONFIG.SYSやAUTOEXEC.BATの編集が必須科目、ネットワークにも黎明期から接してきた世代の人ならラズパイやLinuxにも違和感なく接することができる素養はあると思うのですが。
関連情報URL : https://audirvana.com/ja/
Posted at 2026/01/14 20:39:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2025年11月01日 イイね!

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その3

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その3高音質再生アプリのAudirvānaで、これまた高音質配信サービスのQobuzを聴けるようにしました。引き続き、ローカルファイルの再生設定と車載のための電源断対策を行います。












この回は、「その1再」でOS(Raspberry Pi OS)とAudirvānaのインストールまで完了している前提で始めます。

音質優先でスマホをファイルサーバーにした「その2」のシステムはさすがにハードモード過ぎたので今回はイージーモード、素直にUSBストレージを使うことにしました。
Audirvānaはメモリー再生するため、オーディオ出力用のUSBバスをファイル読み込みに使ってもそこまで酷いことにはならんかもと。



システム構成

ルーターを使用する場合
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前回よりはずいぶんシンプルなシステムになりました。これくらいなら自分もやってみようと思ってもらえるのではw
2.4GHz帯のWi-Fiではハイレゾを含むストリームの安定再生は難しかったため有線接続にしました。自宅の5GHz Wi-Fiなら問題ありませんでしたが、5/6GHz帯の屋外利用については厳しい制限があり、
周波数帯屋外での利用条件
5.2GHz帯ディスプレイオーディオなどの車載専用機(40mW以下)以外実質的に禁止
スマホは上記との接続のみ(テザリングは不可)
5.3GHz帯全面禁止
5.6GHz帯利用可能
ただしDFSによる通信切断あり
6GHz帯VLP(25mW以下)で利用可能
対応機種はまだ少ない(ラズパイも未対応)

という状況で、6GHzが有望なものの今は「待ち」です。家庭用のWi-Fi機器はこれらの条件には対応しておらず安易に持ち出すと電波法違反となる可能性もあります。
なお帯域が必要なのは音楽データの流れるルーターとラズパイ間で、コントロール役のスマホは2.4GHzのWi-Fi接続でも問題ありません。
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車載にあたり、クレードル付きのモバイルルーターを使いラズパイとEthernetで接続しました。この方法なら家でもクルマでも同じ設定でいけます。

スマホのテザリングを使用する場合
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(2026/1追記)
テザリングならルーター不要でもっと簡単にできるやん!とやってみました。iPhoneはiOS26現在Ethernetテザリングをサポートしておらず、有線接続したいならUSBテザリングになります。
Ethernet over USBという技術で、論理的にはネットワークですが物理的にはUSB。音質はどちらに近いのでしょうねw

iPhoneの場合、ラズパイに以下のインストールを行います。
$ sudo apt update 
$ sudo apt install ipheth-utils libimobiledevice-utils usbmuxd 

Androidの場合は追加パッケージ無しで利用可能だそうです(未確認)。Ethernetテザリングも使えるのでどちらにするかは悩みどころ。

ラズパイとスマホをUSBケーブルで接続し、スマホの「インターネット共有」をONにするだけで安定して再生できました。USBはラズパイがホストなのでA to CとかA to Lightnngの普通のPC用ケーブルでOKです。
スマホの充電も行えますが、ラズパイのUSB給電能力は弱いので充電速度は遅いか「バッテリーが減らない」「減りが遅い」程度となります。途中にセルフパワーのUSBハブを挟めば強化できます。



ローカル再生の設定

AudirvānaにおけるファイルアクセスはベースとなるOSに依存し、NASやUSBなど使うストレージに合わせてOS側で設定を行います。

楽曲データを入れるUSBメモリーはPCでの扱いが容易なexFAT形式とします。
ラズパイ4のUSBは3.0と2.0のポートがあるので3.0対応のUSBメモリー(SSDではなく普通のもの)を使用、USBオーディオは2.0ポートに接続し問題なく再生できました。

ドライバ類をインストール
$ sudo apt update 
$ sudo apt install exfat-fuse exfatprogs 


USBメモリーをラズパイに接続、ID(PARTUUID)を確認します。
$ blkid 

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microSDカードのパーティションも表示されていますが、注意深く読めばどれがUSBメモリーか見当がつくと思います。

マウントポイントを作成
$ sudo mkdir /mnt/music 
fstabファイルをエディタで開き、調べたIDでマウント条件を記述、保存して終了
$ sudo nano /etc/fstab 
PARTUUID=xxxxxxxx /mnt/misic exfat defaults,ro,nofail 0 0

再起動、再度ログインしマウントされたことを確認
$ sudo reboot now 

$ df -h 
$ ls /mnt/music 


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リモートアプリで「フォルダを追加」すると楽曲のスキャンが始まります。前回のNAS接続より早く自分のライブラリ(400GB弱)の取り込みは30分以下で終わりました。表示されている通りメタデータのみコピーして独自のデータベースを作成するため、ライブラリ本体には手を付けずに済みます(書き換えも可能)。

(2025/11追記)
OSにSMB関連のパッケージ(samba, cifs-utils)をインストールしておくと、この画面に「ネットワークフォルダを追加」というボタンが現れます。楽曲データをNASに置く場合はこちらから登録可能です。
$ sudo apt install samba cifs-utils 


MusicBrainzというデータベースサービスが統合されており、これによるメタデータ補完を設定するとスキャン後にバックグラウンドで解析が行われます。こちらはかなり時間がかかり、自分の場合は一晩ファイルアクセスが続きました。
車載では起動時の自動スキャンはOFFにした方が良いでしょう。リプレイゲイン計算も可能ですが未使用。



ファイルシステムのROM化

ここから先は車載運用のための対策で、ホームオーディオで使う場合は不要です。
$ sudo shutdown -h now 
エンジンOFF前にこんなコマンド入力などやってられませんし、電源ボタンを接続してシャットダウンさせるにしても時間が足りないので、突然電源が落ちてもファイルシステムが破損しないよう対策します。

overlayroot、オーバレイされた(重ねた)ルートファイルシステムという意味で、RO(Read Only)としてマウントしたmicroSDと、RW(Read/Write)属性のRAMディスクを「重ねた」ファイルシステムです。読み出しは普通にSDカードから行い、カード上のファイルに書き込みが発生した時はRAMディスクに書き込みます。書き込み中に電源が切れてもRAM上のデータが消えるだけなのでSDカードは元通り、つまりoverlayrootの動作中に更新したファイルは電源OFFで全て無かったことになります。

ただしAudirvānaは楽曲のデータベースや設定ファイルをコアプレーヤー内部に作成するため、これらのファイルまでROM化すると起動のたびにライブラリを再スキャンしたり設定が元に戻ってしまうことになります。書き換えが必要なファイルはROM化の対象から外す設定を行います。
データベースの書き込み中に電源が落ちた時はファイル破損の可能性があり、新曲を追加した後のスキャン中など注意が必要です。バックアップ推奨。


Audirvāna用データの移動

今回のインストール手順の場合、Audirvānaのデータベースや設定ファイルは /home/audirvana 配下に作成されます。overlayrootはルートパーティションを丸ごとROM化するため、このフォルダを別のパーティションに移動します。

ラズパイをシャットダウン、起動用microSDカードを別のLinuxマシンにセットし、パーティション管理ツールのGParted(Gnome PARTition EDitor)で編集します。
Linuxマシンがない場合は、Windows上の仮想マシンにLinux環境を構築したり(過去の事例)、LiveCD形式といってCDやUSBメモリーからOSごと起動させるGPartedもあります。

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右上のプルダウンでmicroSDカードを選択すると、二つのパーティションが見えるはずです。「boot」とついている小さな領域が起動用のブートローダー、残りがLinux本体です。

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Linux本体のパーティションを少し縮小して

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空いたエリアに「audirvana」パーティションを作成します。容量は1GBもあれば十分でしょう。

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編集が終わったら最後に適用(チェックのボタン)すれば完了です。間違ってPCのSSDを操作して起動不能にしないよう超注意。

カードをラズパイに戻し起動、ログイン、Audirvānaを停止。
追加したパーティションのID(PARTUUID)を確認します。
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh stop 
$ blkid 


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新パーティションを手動でマウントし、/home/audirvanaフォルダーを移動。隠しファイルを含めて移動するコマンド書式です。
$ sudo mkdir /mnt/audirvana 
$ sudo mount /dev/mmcblk0p3 /mnt/audirvana 
$ sudo cp -a /home/audirvana/. /mnt/audirvana/ 
$ sudo rm -rf /home/audirvana 


fstabファイルをエディタで開き、調べたIDでマウント条件を記述、保存して終了
$ sudo nano /etc/fstab 
PARTUUID=xxxxxxxx /home/audirvana ext4 defaults 0 2

再起動し、マウントされたことを確認
$ sudo reboot now 

$ df -h 
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overlayrootのインストール

overlayrootはRaspberry Pi OSでは標準の設定画面で導入できるようになったので簡単です。raspi-configを開き
$ sudo raspi-config 

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「Performance Options」-「Overlay File System」で設定します。
この後のプロンプトでrootパーティション、次にbootパーティションに対して適用するか聞かれます。今回の目的ではルートパーティションのみで良いでしょう。(起動パーティションの方は一度設定したらこのメニューでは解除できなくなった)
終わったらリブートはせずいったんメニューを終了。

cmdline.txtファイルを開き
$ sudo nano /boot/firmware/cmdline.txt 
overlayrootの項目ができているのでrecurse(再帰)禁止フラグを追加、保存して終了。これをしないと追加したパーティションまでROM化されてしまいます。
overlayroot=tmpfs:recurse=0

リブートして有効化。
$ sudo reboot now 

mountコマンドでoverlay関連の表示があれば動作しています。
$ mount 

アップグレードなどファイルを更新する時は、再度raspi-configで設定を戻せばOKです。
(2025/12追記)
raspi-configで設定を戻しただけではROM化が解除されませんでした。cmdline.txtの設定が残っているので、overlayrootの項目を削除してから再起動する必要があります。



車載!

ファイルシステムをROM化しても、起動中それが有効になる前に電源が落ちたらやっぱりファイル破損の原因になります。
車載ではエンジン始動時が問題で、ACCONして起動が始まったちょうどいい(まずい)タイミングでイグニッション=電源OFFとなるので対策します。
以前PCの車載用に製作した、タイマーリレーによる遅延起動回路を使用し、イグニッション終了後に電源ONとなるようにします。

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シガーソケットからの12Vをタイマーリレーに接続、DC/DCコンバータで約6Vに落としリニア電源に入力。クリーンな5Vをラズパイに供給しています。
ノイズの多いラズパイをオーディオに使うのは正直引っかかるところはありますが、電源の5VをほぼそのままUSBのVbusとして出力するラズパイにはリニア電源が有効です。




感想など。

以上で導入完了です。
メリットとしては全ての音源をネイティブ再生できます。自分のプロセッサーは96kHz処理なので192kHzやDSDの音源は96kHzとか88.2kHzに変換しますが、それも高精度なアルゴリズムで処理されます。

対して回線速度の制約を受けるRoon ARCではネイティブ再生できるのは24bit/96kHzあたりが実用限界となります。変換配信で設定できるのはCD品質以下で上限を24/96とかにする機能はないため、高レートの音源はダウンロードを利用しMUSEと称するスマホのDSP演算で変換することになります。MUSEのアルゴリズムも64bit演算の凝ったものですが、自宅に集約したライブラリをロスレス配信というRoon ARCの先進的な仕組みもハイレゾ相手では美しくない対応が必要なことがわかります。
オンラインの時代だぜ?そんなのじきに回線速度も上がって…
と思っていたのにここ数年のモバイル通信は停滞、どころか悪化すら見られる状況なのでオンプレ回帰も準備しておこうかなと。いうのが今回の動機です。何なの5G。

音質について。ハイレゾ音源でなくともAudirvānaの音の良さは感じることができ、心配したUSBをファイルアクセスとオーディオ出力で共用することの弊害も問題なさそうです。Roon ARCともQobuzアプリとも異なり、スマホとラズパイという出力デバイスの違いなのか、自宅のRoonのサブセットとしてのRoon ARCと、機能限定とはいえ*フルセットのAudirvānaの違いなのか。さすがに音質特化で生き残ってきたアプリだけのことはあります。
* Linux版では「メタデータの編集と、イコライジングや音響処理のための信号処理の統合は、当面の間、例外となります」とのこと。

一方、ローカル音源とサブスクの統合という点ではRoon / Roon ARCには一歩、いや数歩譲る感じ。
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こんな感じで、アーティスト表示やプレイリストで自分のライブラリとQobuzを横断的に使うことは可能なものの、一曲再生すればオートプレイでQobuzとローカル取り混ぜて同じアーティストや近しい?曲を引っ張ってくる、といったキュレーション機能はなく(カーオーディオではこれが便利)別のソースとして扱われています。
立ち位置はオーディオファイル向けプレーヤー、あくまで自分で選択した曲を高音質で聴くことに主眼を置いた製品と感じました。

とりあえず月額課金で始めたのを少しお得な年間契約に移行するかどうか、しばらく使って確かめてゆきたいと思います。RoonはLifetimeユーザーになって償却が終わっており、またサブスク料金を支払うだけのメリットがあるのか、モバイル回線の状況はどう変わってゆくのか、さて?




(2025/11追記)
Audirvānaのサンプリングレート変換機能はかなり柔軟で、入力レートごとに出力周波数を設定できるのはもちろん、アルゴリズムもSoXとr8brainという2種類から選択できます。
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SoXの場合

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r8brainの場合

こんな感じで、正直最適化が難しいほど豊富なパラメータがあります。
デフォルトの設定ではr8brainが柔らか、SoXは明確な音質とどちらも魅力的で、Audirvānaの真価はアップサンプル・ダウンサンプルなど処理を行った際に発揮されるように思います。

再生機能に関しては
「再生できればいいでしょ?他に何か必要なの?」
といった割り切りを感じます。キュレーションはQobuzに任せてローカル再生はアルバムに集中しなさい、って思想なのかも。




(2025/12追記)
リゾルトのDSPアンプには普通のCD音源(ローカル・Qobuz問わず)をr8brainで32bit/88.2kHzに変換して入力するといい感じで、ビットパーフェクト原理主義の自分がアップサンプリングを積極的に使いたいと思ったのはこれが初めてのこと。(使い勝手的には車載を勧められるようなものではありませんが・・・)
Audirvānaは2026/1より値上げの(月100円ほどですが)アナウンスがあり、メジャーバージョンアップの予定もあるようなので、まずは1年使ってみようと年間契約に移行しました。

システムをハイレゾ対応に更新して以来、ぶっちゃけ「音源としての」ハイレゾに魅力を感じることはあまり無いものの、マルチレートの音源を「処理する手段としての」ハイビット・ハイサンプルには意味があると感じています。従って、レート変換をどこでどうやるかは重要なテーマとなります。
DSPを前提とする現代のカーオーディオは「必要に迫られて」ビットパーフェクト再生から外れているわけですが、それを前提として受け入れているのはある意味ホームを含めたオーディオの潮流の先端を走っているのではないか、意外とバカにしたもんじゃないぜカヲデ!というのが今年のまとめ。
関連情報URL : https://audirvana.com/ja/
Posted at 2025/11/01 11:54:08 | コメント(0) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2025年10月21日 イイね!

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その2

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その2高音質再生アプリのAudirvānaで、これまた高音質配信サービスのQobuzを聴けるようにしたのが前回。引き続き、ローカルファイルの再生設定と車載のための電源断対策を行います。










(2025/11)簡単にUSBメモリーから再生する方法でやり直しました。音質的にも問題なく、そちらの方がおススメです。

少し使ってみて、音質のためなら他のことは気にしない人向けのアプリだと感じました。もちろんブラウズして再生する基本機能に致命的な問題はないものの、似ているなんて言ってRoonに申し訳なかった。(あくまで個人の感覚です)
特にクルマではRoon ARCやQobuzアプリ、あとAndroid限定かつAndroid Auto未対応ですがUAPP。このあたりでスマホにUSB出力させた方が楽で便利、USB以降の機器がしっかりしていれば音質も一定水準は確保できます。
ならばこちらは使い勝手などガン無視、音質最優先で攻めてみましょう。そこで圧倒的な魅力がなければ勝ち目はなさそうなので。



ローカル再生の設定

すんなり動いたストリーミング再生に対してこっちは少しこだわったら手こずることになり、
Qobuzでいい音出てるしローカル再生要らなくね?
と心折れそうになりました。でもサブスクで配信してないアーティストさんもいるし、これをやらないとRoon+Qobuzの代わりにはならないので頑張ってみました。

AudirvānaにおけるファイルアクセスはベースとなるOSに依存し、NASやUSBなど使うストレージに合わせてOS側で設定を行う必要があります。裏を返せば、OSで扱えるストレージなら何でもライブラリにできるということでもあります。

システム構成
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前回の図、Audirvānaのフルシステムはこんな構成です。PCはラズパイに、ルーターはモバイルルーターかスマホのテザリングにするとして、楽曲データをどこに置くか。

USBストレージをラズパイにつなぐのが簡単ですが、せっかく高音質のAudirvānaなのにオーディオ出力用のUSBバスをファイル読み込みに使いたくない気分(単なるこだわりです)。
以前製作したUPS付きのラズパイをファイルサーバーに仕立て直すのがいいけど、あのケースもう売ってないのよ。そういえばクラファンで出ていたモバイルNASが正式発売になりましたね、あれいいな。ただしお値段ちょい高め。

ちょっと調べて、AndroidスマホをNAS化することにしていくつか構成を考えてみました。

車載システム案1(モバイルルーターを使う場合)
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車載システム案2(サーバー役スマホのEthernetテザリングを使う場合)
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車載システム案3(コントロール役スマホのWi-Fiテザリングを使う場合)
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オーディオ出力部とデータ・制御を分離した、小さいながらネットオーディオの文法に沿ったシステムでしょ?
スマホが2台となっているのは、リモートアプリはWi-Fi接続がないと使えず、安定再生のためにEthernet接続にしたサーバーとは兼用できなかったためです。
おススメは(される人がいるかどうかわかりませんが)接続が安定しているモバイルルーター。自分はiPhoneに入れているpovoのeSIM(1.2TBトッピング済み)を動かせず案3にしました。
なお火災事故も起きておりスマホを車内に放置するのは厳禁です。

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サーバー役のスマホにはLANアダプターを接続し、大量のデータが流れるラズパイにEthernetで伝送します。ギガビットとかの必要はなく100Mで十分。給電機能付きのアダプターなら長時間の車載運用も可能です。
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ハブはUSB給電で動作するものが便利です。


スマホ側の設定

PCやNASで使われるファイル共有プロトコルとしてはSMBがポピュラーですが、スマホでは標準サポートされていない上、使い勝手の良いSMBサーバーアプリも見当たりませんでした。AndroidではLinuxカーネルのセキュリティにより、SMBが利用するTCPのポート(445番)はルート権限でなければ開けないので、おそらくOSレベルで対応してくれないと苦しいですね。

今回はSSHベースのファイル転送プロトコルSFTPを使いました。スマホでSFTPサーバーを動作させ、ラズパイでネットワークドライブとしてマウントします。

SFTPサーバーアプリの
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SSH Server(Banana Studio)
をインストール。有料版はSSH Server、無料版はSSH/SFTP Serverとなぜか名前が違いますが機能は同じ。無料版は広告視聴がありアプリ内課金で回避可能です。残念ながらiOSで同じような機能のアプリは見つからずAndroid限定となります。

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接続ユーザーを作成し公開するフォルダーを設定。名前やパスワードは後でラズパイ側で合わせるのでここでは任意に設定して構いません。
スマホのmicroSDカードも公開可能なので1TB程度のファイルサーバーならこれで実現できそうです。

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利用するネットワークをローカルネット(有線LANなのでeth0、Wi-Fiならwlan0)に限定。インターネット側は外部からのアタックに晒される可能性があり禁止します。

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自動起動の設定が充実していますが有線LAN関連の設定は無し。


ラズパイ側の設定

SFTPクライアントには「Rclone」を使います。SFTPだけでなくGoogleドライブなどオンラインストレージもマウントできる、というかそっちがメインの優れもの。
再度PuTTYでコンソールを開きログイン。
Audirvānaを停止し、Rcloneとファイルシステム操作用の「fuse」をインストール。
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh stop 
$ sudo apt install rclone fuse 


設定は対話形式でできます。
$ sudo rclone config 
最初の接続名(sftp1)は任意、ホスト名は名前でもIPアドレスでも登録可能ですが、サーバー(スマホ)のIPは家とクルマで変わるので名前で定義しました。ユーザー名・パスワード・ポート番号はスマホ側で設定したものに合わせ、その他はデフォルト(ENTER)で大丈夫です。
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hostsファイルに定義したホスト名を登録し名前解決を行います。保存終了したら再起動して反映。以後、スマホのIPアドレスが変わる場合はこのファイルだけ修正すれば対応できます。
$ sudo nano /etc/hosts 
192.168.1.22 musicserver
$ sudo reboot now 

必要なフォルダを作成して
$ sudo mkdir /mnt/music 
$ sudo mkdir /var/cache/rclone 


ネットワークドライブとしてマウントします。名前は先ほど設定したもの。
$ sudo rclone mount sftp1: /mnt/music --allow-other --no-modtime --read-only --vfs-cache-mode off & 

マウントポイントからスマホ内の楽曲が見えれば設定できています。
$ ls /mnt/music 
見えない場合はここまでの設定を再チェック。

ラズパイ起動時に自動マウントさせます。
テキストエディタでfstabファイルを開きマウント条件を追記します。
$ sudo nano /etc/fstab 

sftp1: /mnt/music rclone ro,noauto,nofail,_netdev,allow_other,x-systemd.automount,args2env,vfs_cache_mode=off,config=/root/.config/rclone/rclone.conf,cache_dir=/var/cache/rclone 0 0

編集が終わったら保存して終了。fstabでマウントさせるためにリンクを一つ追加する必要がありました。
$ sudo ln -s /usr/bin/rclone /sbin/mount.rclone 

スマホのSFTPサーバーが動作していることを確認して再起動します。
$ sudo reboot now 

ネットワーク確立後、アクセス発生時に自動マウントされます。

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リモートアプリで「フォルダを追加」すると楽曲のスキャンが始まります。自分のライブラリ(400GB弱)の取り込みは1時間ほどで終わりました。表示されている通りメタデータのみコピーして独自のデータベースを作成するため、ライブラリ本体には手を付けずに済みます(書き換えも可能)。
MusicBrainzというデータベースサービスが統合されており、これによるメタデータ補完を設定するとスキャン後にバックグラウンドで解析が行われます。こちらはかなり時間がかかり、自分の場合は丸一日ファイルアクセスが続きました。
車載では起動時の自動スキャンはOFFにした方が良いでしょう。リプレイゲイン計算は未使用。

スキャンできない場合はfstabの記述をチェック。デバッグには以下のようなコマンドが役に立ちました。
$ dmesg | grep "mount" 
$ dmesg | grep -E "error|fail|warn" 
$ journalctl -b | grep -i mount 




ファイルシステムのROM化

突然電源が落ちてもファイルシステムが破損しないよう対策します。

overlayroot、オーバレイされた(重ねた)ルートファイルシステムという意味で、RO(Read Only)としてマウントしたmicroSDと、RW(Read/Write)属性のRAMディスクを「重ねた」ファイルシステムです。読み出しは普通にSDカードから行い、カード上のファイルに書き込みが発生した時はRAMディスクに書き込みます。書き込み中に電源が切れてもRAM上のデータが消えるだけなのでSDカードは元通り、つまりoverlayrootの動作中に更新したファイルは電源OFFで全て無かったことになります。

ただしAudirvānaは楽曲のデータベースや設定ファイルをコアプレーヤー内部に作成するため、これらのファイルまでROM化すると起動のたびにライブラリを再スキャンしたり設定が元に戻ってしまうことになります。書き換えが必要なファイルはROM化の対象から外す設定を行います。
データベースの書き込み中に電源が落ちた時はファイル破損の可能性があり、新曲を追加した後のスキャン中など注意が必要です。バックアップ推奨。


Audirvāna用データの移動

ラズパイをシャットダウン、起動用microSDカードを別のLinuxマシンにセットし、パーティション管理ツールのGParted(Gnome PARTition EDitor)で編集します。
Linuxマシンがない場合は、Windows上の仮想マシンにLinux環境を構築したり(過去の事例)、LiveCD形式といってCDやUSBメモリーからOSごと起動させるGPartedもあります。

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右上のプルダウンでmicroSDカードを選択すると、二つのパーティションが見えるはずです。「boot」とついている小さな領域が起動用のブートローダー、残りがLinux本体です。

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Linux本体のパーティションを少し縮小して

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空いたエリアに「audirvana」パーティションを作成します。容量は1GBもあれば十分でしょう。

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編集が終わったら最後に適用(チェックのボタン)すれば完了です。間違ってPCのSSDを操作して起動不能にしないよう超注意。

カードをラズパイに戻し起動、ログイン、Audirvānaを停止。
追加したパーティションのID(PARTUUID)を確認します。
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh stop 
$ blkid 

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新パーティションを手動でマウントし、/home/audirvanaフォルダーを移動
$ sudo mkdir /mnt/audirvana 
$ sudo mount /dev/mmcblk0p3 /mnt/audirvana 
$ sudo cp -a /home/audirvana/. /mnt/audirvana/ 
$ sudo rm -rf /home/audirvana 


fstabファイルをエディタで開き、調べたIDでマウント条件を記述
$ sudo nano /etc/fstab 
PARTUUID=xxxxxxxx /home/audirvana ext4 defaults 0 2

再起動し、マウントされたことを確認
$ sudo reboot now 

$ df -h 
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hostsファイルの移動

Audirvānaのデータと同様SFTPサーバー(スマホ)のIPアドレスも変わるので、hostsファイルをROM化の対象から外し編集可能とします。
/etc/hostsをaudirvanaパーティションに移動し、元の場所にシンボリックリンクを作成。
$ sudo mv /etc/hosts /home/audirvana 
$ sudo ln -s /home/audirvana/hosts /etc/hosts 



overlayrootのインストール

overlayrootはRaspberry Pi OSでは標準の設定画面で導入できるようになったので簡単です。raspi-configを開き
$ sudo raspi-config 

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「Performance Options」-「Overlay File System」で設定します。
最初の質問でrootパーティション、次の質問でbootパーティションに対して適用するか聞かれます。今回の目的では最初のrootパーティションのみで良いでしょう。(起動パーティションの方は一度設定したらこのメニューでは解除できなかった)

cmdline.txtファイルにrecurse(再帰)禁止フラグを追加、保存して終了
これをしないと追加したパーティションまでROM化されてしまいます。
$ sudo nano /boot/firmware/cmdline.txt 
overlayroot=tmpfs:recurse=0

リブートして有効化。
$ sudo reboot now 

mountコマンドでoverlay関連の表示があれば動作しています。
$ mount 

設定変更などファイルを更新する時は、再度raspi-configで設定を戻せばOKです。



車載!

ファイルシステムをROM化しても、起動中それが有効になる前に電源が落ちたらやっぱりファイル破損の原因になります。
車載ではエンジン始動時が問題で、ACCONして起動が始まったちょうどいい(まずい)タイミングでイグニッション=電源OFFとなるので対策します。
以前PCの車載用に製作した、タイマーリレーによる遅延起動回路を使用し、イグニッション終了後に電源ONとなるようにします。

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シガーソケットからの12Vをタイマーリレーに接続、DC/DCコンバータで約6Vに落としリニア電源に入力。クリーンな5Vをラズパイに供給しています。
ノイズの多いラズパイをオーディオに使うのは正直引っかかるところはありますが、電源の5VをほぼそのままUSBのVbusとして出力するラズパイにはリニア電源が有効です。




感想など。

以上で導入完了。スマホでサーバーとか言い始めた時点で、ちょっと一般的でないシステムになってしまいました。最初からカーオーディオもターゲットにしているRoon ARCのようにスマートには行かず。

メリットとしては全ての音源をネイティブ再生できます。自分のプロセッサーは96kHz処理なので192kHzやDSDの音源は96kHzとか88.2kHzに変換しますが、それも高精度なアルゴリズムで処理されます。

対して回線速度の制約を受けるRoon ARCではネイティブ再生できるのは24bit/96kHzあたりが実用限界となります。変換配信で設定できるのはCD品質以下で上限を24/96とかにする機能はないため、高レートの音源はダウンロードを利用しMUSEと称するスマホのDSP演算で変換することになります。MUSEのアルゴリズムも64bit演算の凝ったものですが、自宅に集約したライブラリをロスレス配信というRoon ARCの先進的な仕組みもハイレゾ相手では美しくない対応が必要なことがわかります。
オンラインの時代だぜ?そんなのじきに回線速度も上がって…
と思っていたのにここ数年のモバイル通信は停滞、どころか悪化すら見られる状況なのでオンプレ回帰も準備しておこうかなと。いうのが今回の動機です。何なの5G。

音質について。ハイレゾ音源でなくともAudirvānaの音の良さは感じることができます。Roon ARCともQobuzアプリとも異なり、スマホとラズパイという出力デバイスの違いなのか、自宅のRoonのサブセットとしてのRoon ARCと、機能限定とはいえフルセットのAudirvānaの違いなのか。さすがに音質特化で生き残ってきたアプリだけのことはあります。

一方、ローカル音源とサブスクの統合という点ではRoon / Roon ARCには一歩、いや数歩譲る感じ。
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こんな感じで、アーティスト表示やプレイリストで自分のライブラリとQobuzを横断的に使うことは可能なものの、一曲再生すればオートプレイでQobuzとローカル取り混ぜて同じアーティストや近しい?曲を引っ張ってくる、といったキュレーション機能はなく(カーオーディオではこれが便利)別のソースとして扱われています。
立ち位置はオーディオファイル向けプレーヤー、あくまで自分で選択した曲を高音質で聴くことに主眼を置いた製品と感じました。

とりあえず月額課金で始めたのを少しお得な年間契約に移行するかどうか、しばらく使って確かめてゆきたいと思います。RoonはLifetimeユーザーになって償却が終わっており、またサブスク料金を支払うだけのメリットがあるのか、モバイル回線の状況はどう変わってゆくのか、さて?
関連情報URL : https://audirvana.com/ja/
Posted at 2025/10/20 22:34:26 | コメント(1) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2025年10月20日 イイね!

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その1再

AudirvānaでQobuz(自体は簡単だけど車載が大変だった話)その1再全曲ロスレス対応=どれを聴いてもCD品質以上の音源を揃えた高音質配信サービスQobuz(コバズ)。アプリの使い勝手も良く、我が車ではRoon ARCとツートップの主力音源となりました。ローカル音源が聴けるかどうかの違いだけではなく、同じQobuzを再生してもRoon ARCとQobuzアプリではキュレーションが変わって楽しいのです。
もちろん音質は良好でスマホのUSBから結構な音が出ていますが、高音質再生アプリのAudirvānaがQobuzに対応していたので導入してみました。








と、前回の「その1」と同じ始まりなのは、以下の理由により最初からやり直したからです。作業ブログは完成前に上げるものではありませんね・・・



【見直し1】OS変更

前回採用したDietPiのバージョンはDebian13「Trixie」ベースで、この版では後述するoverlayrootが動作せず。バグレポートが出ていたので一つ前のDebian12「Bookworm」を試しましたがこれもダメ。以前使った実績のあるバージョンはサポート終了で公式サイトから消えており、
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Raspberry Pi OS
に変更しました。



【見直し2】有線LANに変更

最後までやって動作確認したところ家のWi-Fi(5GHz)では問題なかったものの、スマホのテザリングでは高レートのハイレゾ音源で安定再生ができず。混雑した2.4GHzのWi-Fiには荷が重いようです。といって屋外で5/6GHz帯のWi-Fiを使うには厳しい制限があり、安易に家庭用の機器を持ち出すと電波法違反となる可能性があります。
そこでラズパイをEthernet接続に変更しました。ラズパイ4BにはLAN端子があるのでケーブルをつなぐだけ。スマホ側の対応については後編で。



Audirvānaとは

オーディオグレードのPC用再生アプリでは老舗の一つといって良いと思います。名前はオーディオ+ニルヴァーナの造語。悟りの境地・涅槃(ねはん)とはまた大きく出たネーミングですなぁ・・・ん?
そもさん!煩悩と同義のオーディオに涅槃などありや?

PCオーディオの時代から高音質のファイル再生に特化したアプリでしたが、現在ではストリーミングやネットワーク再生にも対応する多機能プレーヤーへと進化しています。

昨年登場したLinux版は「Core Player」といい、Windows/Mac版Audirvānaとは大きく異なるもの。それ単体はGUIを持たずモニターやキーボードを繋がないヘッドレスで運用し、操作にはリモートアプリをインストールしたスマホやタブレットを使います。楽曲データはコアプレーヤーに持たせることも外部のNASから読み込むことも可能で、NASにインストールするバージョンもあります。



システム構成
ネットワークオーディオ機器の場合
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USBオーディオ機器の場合
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Audirvānaのフルシステムはこんな感じ。最小構成ならPC1台(またはコアプレーヤー+スマホ)まで縮退可能です。
車載するなら(普通しないと思いますが)ネットワークの構築がキモとなり、一般的にはモバイルルーターか、スマホのテザリングによるWi-Fiネットワークになるでしょう。データをどこに置くかもポイントか。

コアプレーヤーを車載するとして、以前に紹介したスマホのUSBを使うシステムと比べると、USBオーディオ機器につながるコアプレーヤーを使えるのはリモートアプリのみとなります。
ローカル音源・Qobuz・ネットラジオはAudirvānaで聴けるので大方のユースケースはカバーしていると言えますが、RadikoやSoundCloudなどが使えなくなるのはちょっと残念です。CarPlay / Android Auto対応も当然ありません。



Roonとの比較

PC1台でも分散環境でも運用可能、ストリーミング対応などRoonとは共通項が多いことがわかります。大きな違いは出力部分で、
AudirvānaRoon
LAN(UPnP / Chromecast)
USB
LAN(RAAT / AirPlay / Chromecast / Squeezebox)
USB
公衆回線(Roon ARC)

ネットワークオーディオ機器への主力の対応方式がUPnP(DLNA)対独自プロトコルとなっている点が目立ちます。Roonの対応ハードも今や十分増えたので普及度では互角、音質ではRoon Labs.曰くRAATが有利との事ですが具体的な説明がないので何とも。
Roon ARCのようなモバイル機能はAudirvānaには無く、ここも有意差あり。

Qobuzの再生はAudirvānaによるネイティブ対応で、Qobuzアプリを使うQobuz Connectではない点はRoonと同じ。
ということで、出力機器がUSB-DACの場合は両者よく似たシステムになります。



Audirvānaのプラン
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オーディオ再生アプリにもサブスクの波が押し寄せており、月または年払いのStudioと買い切りのOriginの2つのプランがあります。ストリーミングに対応するのはStudioのみで、対応といってもQobuzのライセンスが含まれている訳でもないので抵抗感はありますね…ローカル再生のみならOriginの選択もアリです。



ハードウェア選定
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Raspberry Pi 4 Model B 4GB

Audirvāna公式サイトによると、Core Playerのシステム要件は以下のようになっています。
・インテルまたはARM 64ビットプロセッサー
・Debian または RPM パッケージ
・1 GBのRAM(DSDアップサンプリング使用時は2GB推奨)
詳しいCPU性能の指定はないもののラズパイでも動きそうです。
1GB超のRAMを備えるラズパイは4か5で、メモリー再生や後述する電源断対策を考慮して4GBを選択。リニア電源で駆動したいので消費電流が少なめのラズパイ4としました。
Geekwormのファンレスメタルケースにセット。放熱用グリスは付属しません。

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LattePanda IOTA
より演算性能の高いインテルCPU搭載SBCやミニPCを使ってみるのも面白いかも。



車載にあたっての注意事項

エンジンOFFでいきなり電源が切れる車載運用ではファイルシステム破損のリスクがあります。これはAudirvānaに限らずWindows/Mac/Linuxをベースにするものは基本的に同じで、例えばホームオーディオ用のプレーヤーでも中身はLinuxだったりするものが多く注意が必要です。メニューにシャットダウンの項目があるかどうかで見当がつきます。

今回はファイルシステムを読み込み専用に設定することで対策とします。ただし注意点があり後で解説します。
厳密にはこれだけでは不完全で、100%シャットダウンフリーにするにはOSを含めたシステム全体がRAM上で動作するlightMPDのようなアプローチを検討すべきですがこの対策だけでも十分効果があり、最悪壊れても以下の手順を繰り返せば済む位ならまぁ許容範囲かという判断です。(そのためのこのブログでもあります)



OSの選定

具体的なOSの指定はなくある程度自由度を持たせた要件となっており、OSまでカリカリにチューンしたgentooplayerやHQPlayer等とは異なる設計です。それでも音質的には余計なプロセスの少ないディストリビューションが望ましいだろうと考え最初にDietPiを使ったものの冒頭の理由により断念、ラズパイ公式OSであるRaspberry Pi OSにしました。

microSDカードは4GBもあれば十分で、SDHC規格内の32GB「以下」が無難です。書き込みにはラズパイ純正アプリの
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Raspberry Pi Imager
を使用しました。Raspberry Pi OSなどをダウンロードから書き込みまでこれ一つで実行できるアプリで、バージョンは最新版の一つ前となるDebian12「Bookworm」を選択。Liteとつくのがデスクトップ(GUI)レスで、DietPiほどではないものの軽量版となります。



OSのインストール
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こんな構成で設定してゆきます。
インストールの最初期段階は、ラズパイのHDMIポートにモニターやTV、USBポートにキーボードをつないだ「ローカルコンソール」で設定してゆくのが確実です。OSのインストールが終わったら、以降はPCからネットワーク越しに「リモートコンソール」を開いて設定できます。

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適当なモニターがなければ、PCにUSB接続するHDMIキャプチャーボード(右上、2,000円くらいで購入可能)も使え、ここの画像もそれで取得しています。
書き込んだカードをラズパイにセット、ケーブル類を接続します。ラズパイ4の電源はUSB-C、HDMIはmicroタイプです。5V/3Aと消費電力も上がっていてラズパイ3用からいろいろ買い替えが必要でした。

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起動すると最初にキーボードの設定画面になり、使っているものに合わせます。日本語キーボードあるあるで、設定が違うとパイプ文字「|」が入力できなかったりキーの表示通りにならず後でパスワードが通らない原因となります。

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ユーザー名およびパスワードの設定。DietPiと異なりRaspberry Pi OSで管理者権限rootの使用は推奨されず、基本的にユーザーでの操作となります。Windowsの「管理者として実行」に相当するsudoコマンドを多用することになります。


再起動後、設定したユーザー名でログインし
$ sudo raspi-config 
で設定画面に入ります。

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raspi-configという設定画面です。

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「5 Localization Options」でロケール(地域)とタイムゾーンを設定。今回は使いませんがWi-Fiを使う場合は「WLAN Country」の地域コードを「JP」にしないと電波法を逸脱する可能性があるので必ず設定します。

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「3 Interface Options」ではSSHのみ有効、あとは無効にします。

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「6 Advanced Options」では「Logging」を「Volatile」に設定。ログをRAMに記録することでSDカードへの書き込みを抑制します。

コマンドプロンプトに戻ったらcmdline.txtファイルを編集しIPv6を無効化しておきます。
$ sudo nano /boot/firmware/cmdline.txt 
行の末尾に以下のパラメータを追加、保存して終了。
ipv6.disable=1

再起動、ローカルコンソールでの設定はここまでです。DietPiで追加が必要だったAvahi-daemonはデフォルトで含まれておりインストール不要でした。
$ sudo reboot now 
ログイン画面にIPアドレスが表示されるので覚えておきます。



Audirvānaのインストール

Linux版のインストール手順は公式サイトには詳しく書かれておらず、「わかる人は使ってみてください」な感じ。ネットを漁ってみてもバリエーションがあり、極力OSを軽量に保てるようにしてみました。

USBポートにオーディオ機器を接続。
ネットワーク上のPCからリモートコンソールを開いて設定してゆきます。ローカルコンソールのまま設定を続けることも可能ですが、リモートならモニターもキーボードも片付けられる上、コピペが(このブログとかから)できるので便利です。

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コンソール用アプリのPuTTYでラズパイのIPアドレスを指定し、接続タイプ「SSH」でコンソールを開きます。アドレスはローカルコンソールに表示されていたもので、スマホアプリのFingなどで調べることもできます。
PCのキーボードとモニターを使ってローカルコンソールと同じように操作できます。設定したユーザー名でログインしておきます。

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PCで公式サイトからAudirvāna Studioのパッケージをダウンロード。
ラズパイ用はDebian/ARM64(aarc64)版です。

パッケージをラズパイに転送するには、PuTTYと同時にインストールされるPSFTPを使います。
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使えるコマンドはhelpで表示されます。openで接続、putでアップロード。転送が終わったらexitで閉じます。

リモートコンソールからインストール。
$ sudo apt install -f ./audirvana-studio_X.X.X_arm64.deb 

電源ONで自動起動するようサービスとして登録します。
$ sudo /opt/audirvana/studio/setAsService.sh enable 
$ sudo reboot now 


ラズパイはひとまずここまで。続いてスマホの準備に移ります。



Audirvāna Remoteのインストール

コントロール用アプリをスマホにインストールします。iOS版とAndroid版がそれぞれAppleとGoogleの公式ストアにあります(無料)。

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起動すると、ネットワーク上のAudirvānaを探して表示します。

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ライセンス条件の承諾の後サインインで利用可能となります。公式サイトでメールアドレスを登録すると送られてくる仮パスワードではサインインできず、メールのダウンロード用リンクからサイトに飛んでパスワードを更新しないと有効化されないので注意。有効化後30日間の無料お試し期間がスタートします。

(2025/11追記)
購入できるライセンスはAudirvānaのアカウントごとに1つのようです。コアプレーヤーを複数のデバイスにインストールすることは可能ですが、その場合リモートアプリで接続するデバイスが変わるたびサインインを求められ、それ以外のデバイスは切断されるようになっています。一方1台のコアプレーヤーにリモートアプリを複数接続することは可能で、これはなかなか便利です。

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再生先としてUSBオーディオデバイスを指定。



ストリーミング再生

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Audirvāna RemoteにQobuzのアカウント情報を設定するとあっけなく再生できました。他にTIDALなども対応していますが日本で正規に使えるのはQobuzだけです。
スマホのQobuzアプリやRoon ARCに比べるとちょっと重いですが使えなくはないかな。

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面白そうな設定が多数あるのでポチポチと。



ラジオ再生


Qobuzが再生できるならネットラジオも再生できるはず・・・
リモートアプリの画面左下、メインメニューの「ラジオ」で再生できます。しかしデスクトップ版Audirvānaにはあるステーション追加のボタンがアプリに見当たりません。URLが頻繁に変わるNHKなどでは必須の機能で、案の定プリセットのNHKは再生できず。ダメじゃん・・・
バージョンアップで対応してくれるのを待ちます。



シャットダウン

電源を落とす前にシャットダウン処理が必要では車載運用は難しいので、後で対策します。
$ sudo shutdown -h now 




長くなったのでひとまずここまで。残りのローカルファイル再生や車載については後編で。
(2025/11追記)後編はハードモードイージーモードの2つ用意しました。おススメは簡単な方ですw
関連情報URL : https://audirvana.com/ja/
Posted at 2025/10/20 22:32:49 | コメント(0) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ

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