
Roonがバージョン2.0となり、新たに登場したスマホアプリのRoon ARCとの組み合わせにより、自宅のサーバー(Roonコア)に保存した音楽ライブラリを外出先で再生できる!ようになりました。やるなRoon。
Roonの紹介動画です。
ちょっと古いですが以前レビューしていますのでご覧ください。
Roonとラズパイで遊ぶ
このブログが2016年で、当時はRoonでコアと称するサーバーアプリをWindowsにインストールしましたが、その後PCの更新にともないコアを再構築。仮想化基盤上にTrueNASのファイルサーバーを立て、それをLinux版のRoonコアから参照する構成としました。
仮想化オーディオサーバーの製作(1) (ESXi)
仮想化オーディオサーバーの製作(2) (TrueNAS/OpenMediaVault)
仮想化オーディオサーバーの製作(3) (MinimServer/Roon)
(別に、こんな凝ったことしなくてもRoonは使えますよw)
(2024/7追記)無償版ESXiが提供終了となったので作り直しました。
仮想化オーディオサーバーをProxmox VEで再構築した
そしてこちらが今回の新機能Roon ARCの動画です。
何の説明もないイメージ映像ですが、これはもう・・・みんカラで取り上げないワケにはいくまいて。
ARCを使用するのに追加料金は発生しません。とはいうものの、Roon自体のライセンスフィー(月間$12.99/年間$119.88/永年$699.99の3択)は円安で厳しくなりました。永年契約が$500以下だった(しかも円高の)時に購入した人は得しましたね。
(2022/12/6追記)価格改定のアナウンスがあり、2023/1からは月間$14.99/年間$149.88/永年$829.99となるそうです。
自宅にRoon環境のセットアップが完了している前提で始めます。
(2024/6追記)これは重要かもしれません。自分はRoon ARCの実装前からRoonを使っていたので気が付きませんでしたが、いきなりサーバーのセットアップからARCまで全部やろうとすると、動かなかった時に何が悪いのか途方に暮れる可能性大です。まずは自宅内で確実にRoonとして使えることを確認してから、が良いと思います。
まずはサーバー側から。
Roonコアを最新版にバージョンアップし、「Settings」→「Roon ARC」画面を開くと、配信可能かどうかチェックしてくれました。

おや?エラーです。仕方ない調べますか。
公式のガイド
Getting Started With ARC
ARC Port Forwarding
によると、ARCクライアントへの配信を行うための条件は、
・ルーターがUPnPまたはNAT-PMPによるポート開放に対応していること
とあり、未対応の場合は手動でポート開放を行う必要があります。(ポート番号は上の画面で表示・変更可能)
UPnPやNAT-PMPは、対応ルーターならたいていメニューにその設定があるので有効であることを確認します。条件を満たす環境であれば、おそらく何もしなくても配信可能となっているでしょう。
手動でのポート開放は、オンラインゲームや自宅サーバーをやっている人なら馴染みがあると思いますが、ある程度ネットワークやルーターの知識が必要になります。
さてエラーの原因は・・・
自分のインターネット環境は、高速化のためIPoE契約(IPv6 IPoE。商品名でv6オプションとかv6プラスなどと呼ばれているもの)に移行しており、IPv4用にDS-Lite(transix)接続を使っているため、原理的にポート開放ができない状態でした。
そこでルーターの設定を変更、v4の接続方式を従来のPPPoEに戻したところ

配信可能となりました。サーバー側で設定などは特になく、これだけで準備完了です。
以上の結果から、どうやら現時点ではIPv4でのポート開放が必要で、従って
・インターネットのプロバイダーがIPv4のグローバルアドレスを発行していること
も条件となりそうです。CATVインターネットなど、グローバルアドレスがオプションサービスだったり対応不可のケースもあるので注意です。
ひとまず回避したけど、せっかくIPoEにしているのにPPPoE接続では速度アップは限定的で、恩恵にあずかれないのはもったいないなぁ・・・ARCが使えそうだったら対策を考えることにします。
同じIPoEでもMAP-E接続の場合は手動でポート開放の設定ができるようです。いずれにせよひと手間かかりますのでIPoE契約の人は注意してください。
(2022/10/1追記)
IPv6でのUPnPによる配信については、まだ対応するルーターが限られており、ネットワークの状況を考えてもRoon Labsの選択は間違いではないと思います。しかしv4のIPアドレスが枯渇した現在、多くの人が配信側に回る可能性のあるサービスこそv6対応を推進して欲しいな、とも。
(2023/5/21追記)
Roonの最新バージョン2.0.16でIPv6に対応したとのこと。やるなRoon。
(2025/1/4追記)
Roonのバージョン2.0.36(2024/5リリース)で、VPNサービス・Tailscale経由での接続に対応しました。ポート開放ができない環境の対策として使えそうです。
続いてクライアント側をセットアップします。
スマホにRoon ARCをインストールし、起動します。
とりあえず自宅ネットワーク内で、AndroidスマホをWi-Fi接続して試してみました。
初回の起動画面。
Roonのユーザー認証。

Roon ARCから自宅サーバー(コア)へのアクセスは自分しかできないようになっていますが、ポート開放自体ある程度のセキュリティリスクを伴う行為ですので、そこは理解の上で。
認証が終わると、あっさりコアを見つけてくれました。
初回接続時は何やら同期が走りますが、すぐに終わります。
ユーザープロファイルを選択できるようです。
Roonっぽい画面になりました。この時点で普通に再生可能で、次回以降はこの画面から開始となります。

Wi-FiがつながっていればWi-Fiで、無ければモバイル回線を使って再生します。Wi-Fiは自宅内でも、またモバイルルーターなど自宅外でも使用可能で、コアと同一ネットワーク内でしか使用できないRoon Remoteとの最大の違いです。
ただしRoon Remoteのようにネットワーク内のRoon機器を操作することはできず、出力先はスマホのイヤホン端子、またはスマホに(USBやBluetoothなどで)接続した機器に限定されます。今のところARCはRemoteの後継ではなく補完関係の別アプリとして設計されているようです。
ダウンロードのアイコンは、Wi-Fi接続時に楽曲をローカルストレージに保存しておき、外出時の通信量を抑えるためのもの。回線速度が追いつかないような高レートのハイレゾ音源をロスレス再生する場合にも使えそうです。
設定画面を下の方にスクロールすると・・・
皆さんの興味はここですよね?再生設定の「Automatically pick best quality」をOFFにすると・・・
Wi-Fi接続時とセルラー(回線)接続時で個別に音質を設定できます。
4段階の設定があります。「Original Format」や「CD Quality」を試してみたいところ。
現在のバージョンでは、microSDへのダウンロードはできないようです。
USB出力は使えるのか?UAPPのようにビットパーフェクトで再生できるのか?
車に持ち込んで試してみたいと思います。
(2022/10/3追記)
現在、Android版のRoon ARCではUSBオーディオ機器を接続してもサンプリングレートは48kHz固定となり、OSのミキサーを回避したビットパーフェクト再生はできません。(何シテル?では16bitとつぶやきましたが、実際に試したところ24bit/48kHzでした。)
一方、iOS版は96kHz以上のハイレゾやDSDもそのままUSB出力可能となっています。イヤホン端子やBluetoothでRoon ARCを楽しむ分にはAndroidでも問題ありませんが、「ガチに」オーディオするなら、iPhoneにUSBオーディオをつなぐしかない状況と言えそうです。
実はAndroidにおけるRoonのオーディオ出力はARCが出る前から同じ仕様だったので予想できたことですが・・・ちょっと期待が過ぎたようです。
この件については公式のコミュニティに
スレッドがあり、「いっそオーディオ出力はARCからUAPPを呼び出したら?」なんて提案まで上がっています。UAPPはバックグラウンドでDLNAレンダラーとして動作できるので意外と実現性あるんじゃないかと思いますがどうでしょうね。
自分としては、高音質を謳うRoonならUSBへのビットパーフェクト再生は最低限クリアして欲しいので、今のところ不採用。続編は進展があってからアップすることにします。
(2022/10/16)
結局Android版のバージョンアップを待てず、iOS版で車載実験してみました。
次のブログをご覧ください。
(2022/12/1追記)
ARCは速いペースでバージョンアップを続けており、
リリースノートによると最新の1.0.5ではついにAndroid版でもUSBへのビットパーフェクト再生がサポートされました。
コミュニティでは「クリスマスまでには対応してくれるよね!」なんて声もありましたが、それより早かったですね。