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なかるうのブログ一覧

2019年06月15日 イイね!

ネットワークオーディオ自作(2) lightMPD

ネットワークオーディオ自作(2) lightMPD前回のサーバーから続き、ネットワークオーディオを仕上げます。
サーバーにUPnPを採用したので、残りのレンダラーとコントローラもUPnP系(DLNA/OpenHome対応)のものが必要です。
レンダラーとして、lightMPDが面白そうなので試してみました。








digififanさんによる音楽再生専用LinuxディストリビューションのlightMPDはその名の通り超軽量に作られていて、OS含め全てRAM上で動作するのが特徴です。
起動後はディスクをアンマウントするため、電源をいきなり切断しても大丈夫。普通のオーディオ機器のように使えて便利ですし、音質的にも期待できそうです。
詳細は公式ページ(デジファイのおと)へどうぞ。

lightMPDはUSBメモリーなどローカルデバイスからの音楽再生はできず、NASをSambaやNFSでマウントして再生する仕様に特化して開発されました。その後バージョンアップにより動作モードの追加が行われ、UPnP(DLNA)サーバーからの再生にも対応しています。というわけで前回のMinimServerとつながります。

lightMPDにはCPUボードを2台使って高音質化するという動作モードもあって、これに至るまでの話が大変興味深いと思いました。ぜひ公式「ネットワークプレーヤ用ネットワーク」と「lightMPD/upnpgw」を読んでみてください。

今回は車載を考えコンパクトにシステムを作りたいので、1台でUPnPレンダラーを構成するモードで使います。
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こんなシステムとなります。

lightMPDはBeagleBoneというシングルボードコンピュータ(SBC)から始まり、現在はラズパイなどいくつかのSBCで動作可能となっています。それらの中から、スイスPC Engines社の
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APU. 2D4 (PC Engines)
というボードを使ってみました。APU1またはAPU2シリーズ、メモリは2GBでも4GBでも使えます。
経験上カニさんNICは嫌いなのでAPU2にしました。
(2019/12追記)APU2シリーズの最新バージョンは2E2(2GB)および2E4(4GB)に変わりました。APU1シリーズは間もなく終了です。

大きさはCDケースより一回り大きい程度。LANポートが3つもあることからわかるように、ルーターのようなネットワークアプライアンス向けの製品です。
SBCとしては比較的パワフルなx64アーキテクチャのAMD製プロセッサを搭載していて、USBオーディオやソフトウェアリサンプラを余裕をもって処理できる性能があります。
HDMIやWi-Fiを備えておらず(写真左下のD-subコネクタはVGAではなくシリアルポート)PC的な使い方には不向き、逆に余計な回路がない分オーディオ用途には有利という側面もあるのかも。

購入

PC Engines社の公式ショップ(PC Engines directの通貨USDを選択)で注文すると、後日メールで見積りが届きます。
メールに記載されたリンクを確認しPayPalで支払って10日程度で届きました。

自分は以下のパーツを購入しました。+ドライバーとナットドライバーを使う簡単な組み立てが必要です。

1 apu2d4 120.00 USD
APU.2D4 system board 4GB
(本体)

1 case1d2blku 10.00 USD
Enclosure 3 LAN, black, USB
(ケース)

1 apufix1a0 1.00 USD
Heat spreader placement template
(ヒートスプレッダの位置決め治具)※APU2用です。

1 ac12vus2 4.40 USD
AC adapter 12V US plug for IT equipment
(ACアダプター)

基板裏のCPUチップからヒートスプレッダ(アルミ板)を通してケースに放熱させる構造になっているため、ケースは必須です。
ACアダプターは12V/2A、DCプラグが外径5.5mm/内径2.5mmのセンタープラス。

APUはSDカードまたはUSBメモリーからブート可能です。
lightMPDはどちらにも対応していますが、SDスロットは純正ケースのカバーを開けないとアクセスできないのでUSBメモリーの方が便利です。別に入手しておきます。(容量は256MB以上)

MinimServerの設定変更

前回作成したサーバーの配信設定をlightMPD向けに修正します。
MinimStreamerのstream.transcodeの項目に設定を追加。
記述方法の説明はユーザーガイドにあります。

(2019/9訂正)dopwavを指定した場合、DSDの音源はwavに偽装する形で配信され、そのままDACに送ればDoPとして認識されます。しかしwavとdopwavは区別されないため、wavに対してリサンプルのような演算処理を行うとdopwav時も処理が入ってしまいDSDが正常に再生できなくなります。レンダラーで一切の処理を行わないならこれでも問題ありませんが、PCM音源のアップサンプリングやDoP以外のDSD再生も実行できるようにするためdopwavを外しました。これらはlightMPDのmpd.confで設定します。
(2019/9訂正)mp4/m4aファイルのトランスコード設定を追加。

flacはlightMPDでデコードできますが、この設定ではサーバー側でwavに変換させています。
ネットワークのトラフィックを減らす(flac)のと、レンダラーのCPU負荷を減らす(wav)のはどちらが高音質なのか試せるわけです。もちろんflacとwavなので、最終的にDACに届く「データ」としては変わらないはず。これで音が変わるとしたらデータ以外に何か影響する要素があることになり、それは何でしょうと。ディープな次元の話です。

lightMPDでは、APUを固定IPアドレスで運用します。対するサーバー側のIPはUPnPなので動的でも問題ありませんが、後日車載でDHCPが無い環境で動かすことも考えMinimServerのIPアドレスも固定しました。(結局これは不要でしたけど。)
$ cd /etc 
$ sudo cp dhcpcd.conf dhcpcd_conf.bak 
$ sudo nano dhcpcd.conf 
#でコメントアウトされたテンプレート行があるので、#を外し自分の環境に合わせて修正します。
interface eth0 
static ip_address=192.168.1.91/24 
static routers=192.168.1.1 
static domain_name_servers=192.168.1.1 

ルーターのDHCP機能を使っている場合は、割り当てアドレスが重複しないように設定を変更しておきます。

ブートローダーおよびパッケージの書き込み

ここからlightMPDのインストールです。
公式ページから「ブートローダー」および「パッケージ」をダウンロード。APU用の最新バージョンはv1.2.0でした。
ブートローダーを解凍してできたイメージファイルをUSBメモリーに書き込み。
FAT32でフォーマットし、Win32DiskImagerで書き込みます。
書き込むとPCからドライブとして認識されなくなるので、いったんUSBメモリーを取り外して再度挿入します。

次にパッケージを解凍。こちらはイメージ書き込みソフトでなく普通にzipファイルをUSBメモリーに上書き解凍すればOK。

設定

lightMPDでは、前回のラズパイのようなSSHコンソールとは異なり、起動ディスク(今回はUSBメモリー)内のテキストファイルをPCで直接編集して設定を行います。

lightmpd.confおよびmpd.confの2つの設定ファイルは、lightMPDの動作モードに応じて選択します。/lightMPD/confディレクトリにテンプレートがあります。
/lightMPD/conf/upnpmode(UPnPのレンダラーとして使用するモード)のファイルを/lightMPDにコピー。
テキストエディタ(TeraPadなど、文字コードUTF-8・改行コードLFに設定できるもの)で修正します。

/lightMPD/lightmpd.confの設定
自宅のネットワーク環境に合わせて修正。

[network]
interface=eth0
address=192.168.1.92
gateway=192.168.1.1
netmask=255.255.255.0
nameserver=192.168.1.1


[ntp]
server=ntp.jst.mfeed.ad.jp
ntpd=no
timezone=Asia/Tokyo

/lightMPD/mpd.confの設定
(2019/8訂正)DSDの扱いをここで設定できます。使用するDACがDoP形式によるDSD入力に対応しているので、DoP伝送を指定しました。このバージョン(mpdの0.20系以降)から指定方法が変わっているので注意。DoPを指定せずMinimServerでもdopwavを指定しない場合、カーネルが対応するDACのみネイティブ(マーカーレス)伝送、それ以外はPCM変換再生となります。

audio_output {
    ...
    dop     "yes"
}


他にもリサンプラーなど楽しそうな設定がたくさんありますが、ひとまずこらえてデフォルトのままで。

/boot/grub/menu.lstの設定
システムタイプをAPU2、ブートデバイスをUSBメモリーに指定。

kernel /boot/bzImage-5.0.3rt1 root=/dev/ram0 ro console=ttyS0,115200n8 ramdisk_size=81920 rootfstype=romfs rootdelay=5 clocksource=tsc idle=poll processor.max_cstate=1 isolcpus=1 nohz_full=1 rcu_nocbs=1 lightmpd.systype=apu2 lightmpd.bootdev=/dev/sda1

最低限これだけで音が出せます。NASモードより簡単です。

動作確認

設定が終わったらUSBメモリーをAPUのUSBポート(上段)に挿して電源ON。
その昔MS-DOSをフロッピーディスクから起動していた感覚に近いかも。
今回は幸い一発で動作してくれたものの、モニター出力もSSHコンソールも無いので動かなかったときの調査は厄介です。あまり設定を弄らず、まずは確実に動く「ベースキャンプ」を確保することをお勧めします。
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基板むき出しでないので、市販のオーディオ機器と並べても遜色ありません。
USBポートに接続しているDAPはUSB-DACの役です。
写っていませんが前回のMinimServerからLAN越しに再生しています。
なりは小さくとも、サーバー・レンダラー(トランスポート+DAC)・コントロールと、いっちょまえのネットオーディオ"フル"システムです。
スマホやDAP1台で済ませるより、オッサンはこういうコンポーネント構成に反応するわけさ。
電源ONから20秒ほどで再生可能となりました。


コントロールはスマホから。UPnP/DLNA/OpenHome対応アプリが使えます。
Android版のアプリをいくつか試したので紹介しておきます。
基本的な使い方は共通で、サーバーとレンダラーを最初に選択する以外は普通の音楽再生アプリと同じ。アルバム・アーティストなどナビゲーションツリーに従って選曲します。

BubbleDS(BubbleUPnPのOpenHome専用バージョン)
オーソドックス。安定感あり。
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Hi-Fi Cast
動作軽快。全曲シャッフルが使いやすい。
※UPnP/DLNA対応ですがOpenHome対応ではないので他のと挙動が少し違います。
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LINN Kazoo
シンプル。我が家にLINNがやって来た!
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LUMIN App
Kazooと対照的な多芸タイプ。タブレット映え。我が家にLUMINが(略)
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機能の違いこそあれど、どのアプリも表示は日本語含め問題ありませんでした。ハイレゾロゴなど並べなくても普通に再生するオトナな対応でよろしい。

OpenHome陣営にはLINN、それ以外で以前取り上げた(現在も愛用中の)roonもあり、ネットオーディオのソフトウェアは英国勢が強い。サーバーとレンダラーはそのまま、したがって音質に影響なく使い勝手でアプリを選べるのは良いですね。




以上で完成です。
動作確認できたら、lightmpd.confの[debug]セクションの項目を「no」に変更してログ出力を抑制しておきます。

MPDはマニア向けのイメージがありますが、UPnP、というかOpenHome対応を身につけたlightMPDは使い勝手の良さも注目されてよいと思います。

音質も良好です。自宅オーディオでリニア電源と組み合わせてみたところ、ラズパイのroonブリッジを超える音が出てきて「おっ?!」となりました。
Linuxのオーディオは「ラズパイ」に「HAT」を載せて「I2S」で接続するパターンばかりかと思っていたので、こんなシステムが組めるのは全くのノーマークでした。市販のUSB-DACやDDCを使う場合でも音質にケアしたディストリビューションやハードウェアが選べるのはありがたいことです。

欠点はやってみるまでも無く、システム全体の立ち上げめんどい。ホームならサーバーを常時稼動させておくことが(ラズパイの消費電力はごくわずかなので)できますし、lightMPDの起動も早いので気になりませんが、車載となるとネットワークの準備から始まるわけで、起動時間と環境整備の二重の意味で「立ち上げ」めんどい・・・



このレベルでサクサクとブラウズできて、エンジンONですぐ立ち上がり、音の良い車載デジタルトランスポートはいつ出ますか・・・?
数百枚のアルバムを持ち運べるようになったのだから、それを一瞬で見渡せるような操作系が欲しい。旧態依然としたインターフェースではもう困るのです。もちろんそれ以前のタグ理解しないとか無理。

まもなく登場の
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が気になりつつ、今年の残り半分はこっちで行こうかと検討中。
そういえば、LINNとロゴマーク似てますね。OpenHome対応しませんかオーテクさん?



(2019/6/22追記)
安定動作を確認できたので車載運用を開始しました。
顛末は整備手帳にて。

(2019/7/7追記)
主力音源として正式採用しました。
車載運用は面倒ですが、それでも使いたいと思わせる音質です。

(2019/8/4追記)
USB-DAC/DDCはオーテクHRD500のまま、変わったのはUSBから手前だけなのに、何で?という位の変化がありました。
S/N感、分解能、空間再現に優れた、目の覚めるような音が出てきます。
逆に「まったり」とか「色気」とか「芳醇」とかを求める人には合わないかも。方向性の明確な音です。

(2019/11/26追記)
OpenHomeでは複数のコントロールポイントが共存できます。
車載時に同乗者のスマホにもアプリを入れておけば、それぞれのスマホから自由に選曲できて楽しいです。例えるなら、人数分リモコンがあるカラオケBOX。市販カーオーディオには見当たらない便利さで、こんな応用もありますよということで。

(2020/2/17追記)
独自のパルスアレイDACでお馴染み、CHORDから2go/2yuという製品が発表されました。2goはmicroSDスロットを備える多機能サーバー、2yuは同軸・光・USBのデジタル出力インターフェースで、この2つを組み合わせると機能的には今回製作したサーバーとレンダラーを一体化したようなデジタルトランスポートとなります。果たして音質的にはどんなものか、CHORDユーザーの自分には「刺さる」アイテムです。



(2020/6/20追記)
車載導入から1年経ちました。当初その発熱の多さからすぐ壊れるかもと疑っていたリニア電源も、ノートラブルで夏冬乗り切ってくれました。
自分としては1年もオーディオシステムを変更しなかったのは珍しく、それだけ不満の少ないものだということかと。MinimServerとLightMPDの組み合わせは、音質・操作性・安定性とも優れたレベルにあると結論してよいと思います。
(立ち上げの面倒さはやはりあるのですが・・・慣れましたw)

あえて現状の課題を挙げるなら、
・真夏の高温下で、MinimServerを動かしているラズパイの動作がちょっと怪しくなる
・オーテクのDACが、DoP入力の仕様上DSD256を再生できない
の2点で、対策を考えています。




ネットワークオーディオ関係の記事をまとめてみました。よかったらこちらもご覧くださいませ。
ネットワークオーディオを楽しもう
Posted at 2019/06/15 17:58:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2019年06月15日 イイね!

ネットワークオーディオ自作(1) MinimServer

ネットワークオーディオ自作(1) MinimServer(2020/9追記)
ラズパイ関連の記事は消費期限が短くて困ります・・・サーバーアプリをバージョンアップされたMinimServer2に、UPSは電池を使わないタイプに変更し、2020年版として書き直しました。こちらへどうぞ。










我が家&我が車で稼働中のUSBオーディオ。
動作は安定しているし、音質的にも悪くないと思うのですが、安定しちゃうと面白くないというか、次に行ってみたくなり。

ホームオーディオの世界を眺めていると、ここ数年はUSBオーディオに代わってネットワークオーディオが騒がしい賑やかなので、そっち方面からネタを導入します。

まずはラズパイとMinimServerで音楽用サーバーを組んでみました。

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Raspberry Pi 3 Model B

「ラズパイオーディオ」といえばI2S接続のDACやDDCを載せるのが定番ですが、今回は違った使い方で行きます。

MinimServerはJavaベースのUPnP(DLNA)サーバーで、flacはもちろんDSDにも対応しています。寄付歓迎のドネーションウェアです。
以前PC版を使った時の印象は、タグやアルバムアートの処理が確実で、ナビゲーションツリーの見せ方も実用的なものでした。
現時点では数少ない「ちゃんとした」音楽サーバーアプリと言ってよいと思います。
「ちゃんとしてない」市販DLNA製品の何と多いことか。
WindowsやMacだけでなくLinux版もあり、QNAP他のNASやラズパイでも動作可能です。
公式ページの「Installing」に機種別のインストール解説があります。

以下、備忘録ってことで。環境によって多少のアレンジが必要なので「この通りやったけど動かんぞ!」とか言わないで。

準備作業1(PC側)
・MinimServer推奨のOSはRaspbianです。
ラズパイ公式サイトから、最小構成のRaspbian Stretch Liteをダウンロード。

(2019/8追記)現在はRaspbian Buster Liteに変わっています。
(2020/7追記)現在はRaspberry Pi OS Liteに変わっています。
(2020/9追記)Raspberry Pi OSでインストールしてみて、変更が必要な部分を追記しました。

・ダウンロードしたファイルを解凍して出来たOSイメージをmicroSDカードに書き込み、ラズパイにセットします。
SD Card FormatterWin32DiskImagerを使いました。

・楽曲ファイルの保存にはUSBストレージを使います。
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ポータブルSSD 480GB SSD-PL480U3-BK/N (バッファロー)
480GBで7000円弱。いい時代になりました。
exFAT形式でフォーマットし(後で使うのでディスクラベルを控える)、楽曲ファイルを入れておきます。
またMinimServer(Linux ARM hard float版)もダウンロードして入れておきます。

・MinimServerの状態監視と設定はPCから行えます。
PCにJavaおよびMinimWatchをインストールしておきます。

準備作業2(ラズパイ側)
・最初だけラズパイをローカルで設定します。
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USBポートにキーボードを接続。
テレビとHDMIケーブルで接続。
家のルーターとLANケーブルで接続。(ネット接続が必要です)
SSDもつないでおきます。

・電源を投入し、テレビとキーボードでログインします(pi/raspberry)。

・ラズパイに割り当てられたIPアドレスを調べます。
$ ifconfig 
同一ネットワークにスマホがあれば、アプリのFingでも調べられます。

・設定ツールでブートパーティションをリサイズ、SSHを有効化。
$ sudo raspi-config 
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「Advanced Options」から「Expand Filesystem」
「Interfacing Options」から「SSH」→「Yes」
終了→リブートすると、以降の作業はPCから可能になります。
モニターやキーボードはここで外してしまっても大丈夫。

USBディスクを使えるようにする
・SSHでログイン
PCでターミナルアプリのPuTTYを起動。
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調べたIPアドレスに接続しログイン。

【2020/9追記】「自分もやってみよう」という方は、最低でもパスワードは変更してください。原理的にNATで守られるIPv4と異なり、IPv6が通る環境では外部から直接SSHポートに侵入されるリスクがあります。
特にフレッツのIPoE接続でレンタルルーターをセキュリティレベル「標準」に設定している場合、フレッツIPv6網からのアクセスは拒否しない仕様(!)となっています。そこにデフォルトのユーザー名・パスワードでSSHポートを開くのは・・・
いったんSSHからラズパイに入られてしまえば、それを踏み台にしてPCのHDDやWebカメラを狙う位のことは可能ですし、実際企業では勝手に社内ネットワークにつながれたラズパイがセキュリティホールになった事例があります。
対策としては他にユーザー名やポート番号変更、証明書発行などが可能で、作業後はSSHを無効にしてしまえばより安心です。


・exFATファイルシステムをインストール。
$ sudo apt-get install exfat-fuse exfat-utils 

・接続したUSBディスクのIDを調べます。
$ sudo blkid 
表示されたリストからフォーマット時につけたラベルのある行を探します。「UUID」が必要な情報です。
/dev/sda1: LABEL="SSD-PLU3" UUID="C2C4-9374" TYPE="exfat" ...

・起動時にUSBディスクを自動マウントするように設定します。マウント名は任意。
$ sudo mkdir /mnt/usbhdd1 
$ cd /etc 
$ sudo cp fstab fstab.bak 
$ sudo nano fstab 
fstabファイルに設定を追加します。
UUID="C2C4-9374" /mnt/usbhdd1 exfat-fuse sync,auto,dev,exec,gid=65534,rw,uid=65534,noatime 0 0 
保存してエディタを終了。

・リブートしてUSBディスクにアクセスできることを確認します。
$ sudo reboot 
(起動待ち→ログイン後)
$ ls /mnt/usbhdd1 
ファイルが表示されればOK。

MinimServerのインストール
引き続きSSHコンソールから
・javaをインストール。
$ sudo apt-get install oracle-java8-jdk 
(2020/9追記)現在の公式OSであるRaspberry Pi OSでは上のコマンドは使えませんでした。代わりに以下のように入力します。
$ sudo apt install default-jdk 

・SSDに入れておいたMinimServerのインストールパッケージを/home/piディレクトリに展開します。
$ sudo cp /mnt/usbhdd1/MinimServer-0.8.5-2-linux-armhf.tar.gz /home/pi 
$ cd /home/pi 
$ tar xf MinimServer-0.8.5-2-linux-armhf.tar.gz 
(2020/9修正)tarはsudoで実行しない。

・MinimServerのセットアップ
$ minimserver/bin/setup 
デスクトップ統合→無効
自動スタートアップ→有効
※setupをsudoで実行すると自動スタートアップに失敗する。

・MinimServer起動
$ minimserver/bin/startc 
初回にライブラリの場所を聞かれるので入力する
ライブラリのスキャンが始まり、しばらく経って「MinimServer is running」と表示されれば起動完了。
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PC側のMinimWatchのアイコンが緑色になります。

・自動起動に設定
このままだとターミナルを終了するとMinimServerも終了してしまうので、
以下の手順で自動起動に設定する。
> exit  (MinimServerをいったん終了する)
$ minimserver/bin/startd 

起動確認後リブートして、PCのタスクトレイにあるMinimWatchのアイコンが再度緑色になれば成功です。
$ sudo reboot 


この時点でflacなどは再生可能になっています。
ローカルレンダリングに対応した(=コントローラ兼レンダラーとなれる)スマホアプリのBubbleUpnpHi-Fi Castを使って動作確認します。
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それぞれの端末から音を出しています。サーバー1台からの4ストリーム同時再生ってことですね。やるじゃんラズパイ。
これはこれで別の使い道がありそうな・・・と思いつつ先に進みます。

MinimStreamerのインストール
アドオンパッケージのMinimStreamerをインストールすると、レンダラーで対応しないコーデックをトランスコード配信可能になります。DSDのDoP配信にも必要です。

・ffmpegのインストール
コーデック群のffmpegを使えるようにしておきます。
再度SSHでログイン。
$ dpkg-query -W ffmpeg 
dpkg-query: no packages found matching ffmpeg 
↑入っていなかったのでインストールしました。
$ sudo apt-get install ffmpeg 
以前はラズパイ用のパッケージが無くソースコードからビルドする必要があったそうですが、今はapt-get一発で楽ちんです。
(2020/9追記)Raspberry Pi OSではffmpegのインストール前にupdateが必要でした。
$ sudo apt-get update 


・MinimStreamerのインストール
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アドオンパッケージはPCからインストールします。MinimWatchのアイコンを右クリック→Propertiesで設定画面を開き、Packagesのタブにあります。
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インストールが終わったらRelaunchで再起動。
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ffmpegを自動検出したことが、設定画面のSystemタブで確認できます。
使用するレンダラーに応じてstream.transcodeに設定を追加します・・・が、レンダラーはまだ作ってないので保留。

Linuxなので電源ブチ切りはNG。シャットダウン操作が必要です。
$ sudo shutdown -h now 

UPSの取り付け
コンソールを開いてシャットダウンコマンドを打ち込まないと電源を落とせないのは不便なので、探したら対策パーツがありました。
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UPS PIco HV3.0B+ (πmodules)

ラズパイ専用の無停電電源です。
450mAhと比較的小さなバッテリーを搭載していて、ラズパイからの5V電源で動作、数分間だけバックアップが可能です。(オプションの大容量バッテリーあり)
外部からの電源供給が途絶えるとバッテリー給電に切り替え、設定した時間で自動シャットダウンまでできる優れもの。
これで最後のピースが埋まるぞ!
と飛び付いたわけです。

購入は公式オンラインショップから。3モデルあり、用途に応じて選択します。
・Stack 450
・Advanced 450
・Top-End 450
DACなどの拡張ボード(HAT)と併用する場合は「スタック」または「アドバンスト」を。ただしGPIOを2本使用するので、HATとピンが重複する場合は使えません。「アドバンスト」は外部電源端子があり7~28Vを入力できます。
接続するラズパイのモデルにより異なる場所に取り付けるピンがあり、いくつかの部品はユーザーが半田付けする仕様になっています。購入時オプションの組み立てサービスを利用すると半田付け済みで出荷してくれるので楽ですが、注文から到着まで1ヶ月弱かかりました。
(2019/8追記)
公式ショップがリニューアルし、上記リンクから新ショップに誘導されます。しかし新ショップでは購入時オプションが指定できなくなっているようです。直してくれると良いのですが・・・
(2019/9追記)直ったようです。リンクを新ショップに更新しました。

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HATを使わない「トップエンド」を調達しました。
組み立てサービスを利用しても背の高いI/Oピンヘッダ(UPSを動作させるのに必須ではない)だけは実装されておらず、この通りラズパイごとksyの公式ケースに収められます。(最初に使っていた透明ケースには高さが足りず入りませんでした)

組み立てとソフトウェアのインストールは公式サイトに詳細なマニュアルがあります。

作業のほとんどは半田付けで、そこを組み立てサービスで回避すれば完成品をラズパイに載せてバッテリーを取り付けるだけ。ラズパイの基板と接触させるピンが繊細なので曲げないよう、また指定の場所に接触するよう注意。
ソフトウェアの方も難しくはありません(GitHubのガイド)が手順がやや多いです。テクニカルフォーラムにあるインストールスクリプトが簡単なので利用させてもらいました。
(UPS PIco HV3.0A, HV3.0B and HV3.0B+
→ UPS PIco HV3.0 Python and other Tools
→ [script] PIco HV3.0A Toolkit に説明があります)

$ sudo raspi-config 
「Interfacing Options」からI2Cを有効化
「Localisation Options」からタイムゾーンを「None of the above」→「GMT+9」に設定(PIcoにはRTCモジュールが搭載されています)
以下の通りスクリプトをインストール&実行。
$ sudo apt-get install git 
$ git clone https://github.com/Siewert308SW/pico_installer PIcoToolKit 
$ cd PIcoToolKit 
$ sudo chmod +x picotoolkit.sh 
$ sudo bash picotoolkit.sh 


最後にシャットダウンまでの時間を好みで修正して完成。i2cget/i2csetコマンドを使います。設定時間は、現在のバージョンでは最短60秒のようです。以前は10秒位にできたそうなので何かの対策があったのかもしれません。

ひとまず以上です。
電源を入れるだけで立ち上がり、電源を落とせば安全に終了する、手のひらサイズのサーバーができました。電源投入から再生可能までは30秒ほどかかります。

ネットオーディオなので、サーバー、レンダラー、コントローラのいわゆる3点セットが必要です。残り2点をどうするか、ファイル共有(sambaやNFS)でなくUPnPを選択した時点で方針は固まっているのですが、長くなったので次回に続きます。


(2020/1追記)
MinimServerの次期バージョンとして、MinimServer2のアナウンスがありました。現時点では一部のNAS用のみリリースされています。
新バージョンは無償の機能限定版と年間ライセンス版の二本立てになります。
(2020/3追記)
MinimServer2にWindows版が追加となりました。

(2020/8追記)
UPSに使っている電池が
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こんな事になったので交換しました。
1年で電池が膨らんでしまうのは早い気もしますが、UPSの特性上常に満充電状態、しかもラズパイに温められて使われているので、条件として厳しいことは確か。リチウムイオン電池は危険物なので車内に放置しないよう、また定期的な点検は必要ですね。もう少し気楽に使える方法はないか、検討中です。




ネットワークオーディオ関係の記事をまとめてみました。よかったらこちらもご覧くださいませ。
ネットワークオーディオを楽しもう
Posted at 2019/06/15 17:06:03 | コメント(1) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ

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「自分のブログの内容にどこぞの謎情報を混ぜられたものが「AIによる回答」として提供される。生成AIに利用された絵師の気持ちが理解できたと同時に、想像以上に信用ならねーなという思い。みんカラも学習拒否の設定させて欲しいぞ。」
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