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2020年05月24日 イイね!

APUと仮想化で遊ぼう

APUと仮想化で遊ぼう世の中テレワークが一気に普及しました。このまま定着するのか、それとも元に戻るのか、どうなるんでしょうね。
今回そっち方面からお楽しみ要素を発掘してきました。

前回のブログでDaphile用に購入したものの、車載化を見送り遊休資産となってしまったシングルボードコンピュータの「APU」を使って、仮想化環境で遊んでみます。

当ブログ的には、仮想化とオーディオは関係するのか?試してみたいことはありますが、今のところ未定ということにしておきます。いつになるかわからないので、あっ!と思った方は先にやっちゃって構いませんよ。レポートお待ちしております。








(2024/2追記)
Broadcomによるvmware社の買収が完了し、無償版vSphere Hypervisor(ESXi)の提供終了が発表されました。残念です。


企業のITインフラレベルで仮想化は当たり前になっていますが、一般ユーザーがそれを目にする機会は多くなく、仮想化と言われてピンとこない人も多いと思います。

自分の場合は、会社のCADに導入されてようやく身近に感じたという・・・技術者としては「アンテナ錆びてんな」状態でちょっと情けない。以前は資料を抱えて「CAD室」に籠らなければならなかったのが、自席やリモートワークで設計作業ができるようになったのが面白く、個人でも使ってみたいなと思っておりました。
(興味ある方は「VDI」「RDS」あたりをキーワードに調べてみてください。)

PC向けOSのDaphileがAPUにすんなりインストールでき、APUがPCにかなり近いアーキテクチャであることがわかったので、「VMいけるんじゃね?」と調べてみたらやはり可能だと。しかし実際にやってみたら色々と罠があったので、ここにまとめておきます。

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APU. 2D4(PC Engines)
SUV500MS/480G(キングストンテクノロジー)


APUの購入方法などについては、LightMPD導入時のブログをご覧ください。
ストレージとしてmSATAのSSDを追加してあります。
仮想化基盤のCPUコア数やメモリーはあればあるだけ便利ですが、APU2の4コア/4GBでもなんとか使えます。2GBは非推奨です。


仮想化とは?なぜ仮想化?
ここから始めるととっても長くなるので、メリットを簡単に。
・モニター出力を持たないAPUにデスクトップOSをインストールできる。
・多数のOSをとっかえひっかえ、また必要なら複数のOSを同時起動できる。

書籍を紹介しておきます。
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速習 VMware vSphere Hypervisor 6: 自宅で学べる無料版 ESXi の使い方
伊藤 裕一 (著)


最初の入門書としておすすめ。kindleで安くサクッと読めます。


ホスト型かハイパーバイザー型か
仮想化環境にはホスト型とハイパーバイザー型の2種類があります。
WindowsなどをホストOSとして、その上で別のOS(ゲストOS)を動作させる時に使うのがホスト型、ホストOSなしでゲストOSを動作させるのがハイパーバイザー型です。

普段使っているPCにホスト型の環境(VMware Workstation Playerなど)を入れる方法もありますが、PCのリソースにゲストOSを動かせるだけの十分な余裕が必要です。またホストOSが落ちるとゲストOSも全て道連れになるので、仮想化環境はメインPCと別のハードウェアで動かした方が使い勝手が良いと思います。
APU. 2D4のCPUやメモリーではホスト型を稼働させるには心もとないので、ハイパーバイザー型を使います。
今回は上の書籍にもある、VMware社のvSphere Hypervisor(ESXi)を選択しました。機能限定とはなるものの非商用利用なら無料ライセンスがあります。こんなガチのエンタープライズ製品を無償で使えるなんてVMware太っ腹!企業のIT担当者の方は無償版で遊んだ後は稟議書書いてね、という狙いなんでしょうけど。


準備
APUにはモニター出力が無いので、インストールや初期の操作用にシリアル(RS-232C)接続を使います。シリアルポートなんてレガシーデバイスですが、低レベル(ハードウェア寄りって意味ですよ)のデバッグにはまだまだ現役です。
APUとPCをシリアルケーブル(クロス)で接続しておきます。PCにシリアルポートが無い場合は、USB-シリアル変換ケーブルを用意します。

インストール後の操作はLAN経由で行います。APUのLANポート(向かって一番左)を自宅のルーターに接続しておきます。(要DHCP)


BIOSアップデート
最初に、APUのBIOSを最新版に更新します。
BIOS更新は失敗すると2度と起動できなくなるリスクがあります。必要なければやりたくない作業ですが、仮想化環境はファームウェアのバージョンにシビアです。PC Engines社のHow-Toページに手順が記載されています。
アップデートにはUSBメモリーで起動できる小型LinuxのTinyCoreを使います。上記のページからインストーラーを入手し、起動用USBメモリーを作成します。
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APUのBIOSをGitHubから入手します。確実にダウンロードできたか、ハッシュで必ず確認してください。さらに万全を期すなら複数のバージョンを準備しておきます。
TinyCoreのUSBメモリー(のルートディレクトリ)にダウンロードした.romファイルをコピーします。

シリアル接続のターミナルソフトには、ラズパイのSSHコンソールでも使用したPuTTYを使います。
通信条件は115200bps/8bit/パリティ無し/ストップビット1です。
(そろそろこれも説明が必要な時代になってきましたかね・・・)
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作成したUSBメモリーをAPUに挿して起動。
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PuTTYのコンソールにプロンプトが出たら、以下のコマンドでBIOSを更新します。
$ flashrom -w apu2_v4.11.0.6.rom
ベリファイ完了(VERIFIED)と表示されるのを祈りながら待ちます。
万一表示されなかったら恐怖です。そこで電源を落としたら最後、慌てずリカバリーを試みます。
起動不能になってしまったら、PC Engines社からリカバリー用のアダプターを入手できます。
正常に書き込みが終わったら
$ sudo poweroff
でシャットダウンし電源を落とします。


vSphere Hypervisorのインストール
ここから仮想環境のインストールです。
VMwareのWebサイトからvSphere Hypervisor (ESXi)をダウンロードします。無償版と試用版のライセンスがあり、試用版は60日で使えなくなるので注意。ダウンロード時に表示されるライセンスコードを控えておきます。
(自分の環境ではChromeでダウンロードできずEdgeを使いました。)

APUで動作確認が取れているESXiのバージョンは6.0系です。ダウンロードのページにあるのは最新バージョンの7.0で、旧バージョンへはそこからURLを修正して入ります。
PC Engines社のブログでは、BIOS v4.11.0.2でESXi 6.7 U2における不具合が対策された、となっていますが、6.7.0(U2およびU3)はインストーラの起動中再起動ループに入ってしまいインストールできませんでした。一つ前の6.5.0 U3なら大丈夫です。

ダウンロードしたISOファイルを、イメージ書き込みソフトのRufusを使ってUSBメモリーに書き込みます。これがインストールディスクとなります。
(初回にmenu.c32のバージョンが古いと言われたらアップデートします)
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モニター出力のないAPUにインストールするため、おまじないをします。
書き込んだUSBメモリーにあるboot.cfgをテキストエディタ(TeraPadなど改行コードをLFに設定できるもの)で開き、以下の2行を追加します。(kernelopt行は既にあるので置換)
kernelopt=runweasel text nofb com1_baud=115200 com1_Port=0x3f8 tty2Port=com1 gdbPort=none logPort=none
ignoreHeadless=TRUE


PCでシリアルコンソールを起動し、USBメモリーをAPUのUSBポートに挿して電源ON。下のようなブートメニューが表示されたらそのまま待ちます。
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数分待って(その間メッセージが大量に出力されます)、コンソールにここまで表示されたら一安心です。
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使用許諾条件の確認
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インストール先の選択
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ルートパスワード設定
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最終確認でインストール開始となります。選択したドライブは全て消去されESXiの管理下に置かれます。
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インストールが完了したらUSBメモリーを抜いて再起動。
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初期状態ではDHCPが有効になっているので、APUに割り当てられたIPアドレスを確認します。シリアルコンソールに表示されるほか、スマホアプリのFingも使えます。
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PCのWebブラウザでログイン画面(http://アドレス/ui/)に接続します。
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ログインすると管理画面が現れます。vSphere Web Clientといいます。
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おお!鯖管っぽいぞw
ESXiの操作はこのようにWebブラウザから行うことができます。専用アプリを使うvSphere Clientもありますが、VMware社はWeb Clientに移行する方針とのこと。

コンソールをシリアルポートにリダイレクトします。「管理」「システム」「詳細設定」で「VMkernel.Boot.tty2Port」を「com1」に設定します。最初のおまじないと同じことです。
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またダウンロード時に表示されたライセンスコードを入力します。入力するまでは、60日間の試用モードになっています。
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いったんESXiをシャットダウンし、再起動します。
サーバーを動かす場合などはハイパーバイザーのIPアドレスがDHCPでころころ変わっては都合が悪いので、アドレスは固定しておいた方が良いでしょう。
シリアルコンソールから設定できます。


以上です。これで仮想化基盤という自由に使える「砂場」ができました。
Linuxの勉強も良し、レトロゲームの環境としても使えるかも。
好みのOSをインストールして遊びましょう。
Posted at 2020/05/24 23:12:24 | コメント(1) | トラックバック(0) | その他 | パソコン/インターネット
2019年10月23日 イイね!

ネットワークオーディオ自作(3) Daphile

ネットワークオーディオ自作(3) Daphileブログに上げるタイミングを逃してしまいましたが、9月のソニックデザイン・リスニングキャンプ(LC)には今年もアンバサダーとして参加させていただきました。メーカーのイベントレポートはこちら

今年のLCには新世代ハイエンドDSPの搭載車が登場、それも一台や二台じゃないのがらしいというか。ショップによってBRAX推しやエタニ推し、あるいは静観組と分かれていて、オーナーさんだけでなく各ショップさんも情報交換に興味津々といった感じでした。終売となったデジコアの「次」に向けた動きがそろそろ始まるのでしょうか。

とはいえ、オールインワン設計のデジコアには後継機がないので、更新にはアンプも必要になるし、そうなるとケーブルや電源にもそれなりに投資せにゃならん。金額もさることながらスペースの犠牲も大きく、デジコアユーザーとして後発組の自分は今のところ静観です。コンパクトで安定動作、もちろん音質妥協無しのプロセッサーアンプはもう出ないのかねぇ。

そんなわけで今年のシステム更新、LC後サブウーファーを1基増設しステレオ構成にしました。オーテクのプレーヤー(こっちも出ないねぇ)とクラリオンの8インチナビの導入資金を投入してしまったので、ソースユニットは来年まで現状維持です。






以上、近況報告はさらっと流して、そのソースユニットの話題です。
前回紹介したlightMPD。APU、リニア電源、USBアイソレータとの組み合わせで奏でる音が気に入って、わが車の主力音源となっています。
今回はlightMPDの公式掲示板で紹介されていたDaphileを試してみました。


Daphileとは

Daphileは音楽専用のサーバー兼プレーヤーOSです。
どう発音するのが正解なんでしょうか。「ダファイル」?海外のYouTube動画には「ドア閉まります」のイントネーションで「ダァファイル」と読んでいる方がいました。
公式ページはこちら。日本語の情報は、非公式ですがwikiページがあります。

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公式ページより。どんなシステム構成で使うものか、この図がわかりやすいです。
Daphileの対応ハードはインテル互換CPUを搭載するPCで、インストールされたPCはDaphile専用機となります。
オーディオ出力はUSB-DACを接続し、コントロールはスマホ・タブレットや別のPCから行います。USB入力(PC接続用のBコネクタ)付きのアンプやスピーカーなど、USB Audio Class対応機器であればDAC以外も使用可能です。
キーボードもモニターも不要で、電源を入れるだけのいわゆる「ヘッドレス」で運用します。
ハードウェアの要求スペックは高くないため、使い古して余っているPCがあれば手軽に試すことができます。

DaphileのベースはLinuxとSqueezebox。ご存知の方はPCオーディオ暦長いでしょ?
Squeezeboxシリーズは今から20年近く前に発売された、現在のネットワークプレーヤーの走りと呼べるものです。
PCをサーバーにしたマルチルーム再生、ネットラジオ対応、プラグインによる機能拡張など、その先進性にほれ込んだ自分もファンでした。ハードウェアも魅力的で、
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Squeezebox Duet
カラーLCD搭載のWi-Fiリモコンは、今のスマホによるコントロールを先取りしたもの。
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Squeezebox Boom
アンプ・スピーカー一体型のお手軽ネットオーディオ。美しいVFDは輝度劣化が早くて・・・(遠い目)
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Transporter
本格的なオーディオシステムに組み込むためのフルサイズコンポーネント。VFDで踊るVUメーターに心躍りました(遠い目)

と4台(Boomは2台)のプレーヤーを購入し、家中に配置して楽しんでおりました。当時のSqueezeboxはこのような専用ハードによるプレーヤーと、PCにインストールするサーバーアプリ(SlimServer、後にSqueezeCenter、Squeezebox Server、Logitech Media Serverと改名)から構成されていました。
しかし開発元のslim devices社はLogitech社(Logicoolの方ね)に買収され、その後ハードウェアはSqueezebox Radioを最後にフェードアウト。何のための買収だったんだろう、と悔しい思いをしたものです。
いっぽうソフトウェアはオープンソースとして生き続けていました。プレーヤーをソフトウェアベースに改め、サーバー一体へと形を変え再び結実したというわけで、なんだか感慨深いものがあります。


ハードウェア


APU. 2D4(PC Engines)
SUV500MS/480G(キングストンテクノロジー)

lightMPDで使用しているシングルボードコンピュータの「APU」でも動くとのことで、今回こちらにインストールしてみました。というか、APUで動くなら車載の可能性あるかも、と興味が湧いたのです。
APUについては前回のブログをご覧ください。

APUは標準ではストレージがありませんが、mPCIeとmSATAのスロットがあるのでPC用のカードを使うことができます。起動ディスクおよび楽曲ファイル保存用として、mSATAのSSDカードを追加しました。写真左のスロットがそれです。
APUの起動デバイス優先順位が SDカード>USB>mSATA であることから、USBからブートするlightMPDとは簡単に切り替えて使用できます。


インストール

Daphileは無料で、アプリ内課金などもありません。
公式ページのDownloadsから、ISOイメージをダウンロード。
標準カーネル版とリアルタイムカーネル版があります。機能は変わらず、マニアな方は音質を比べてみるのも楽しいと思います。

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USBメモリーをFAT32形式でフォーマット※し、イメージ書き込みソフトのUSB writerなどを使って書き込みます。
これがインストールディスクになります。

※一度イメージ書き込みソフトで書き込みを行ったUSBメモリーは、OSでフォーマットしても本来の容量にならないことがあります。そのような場合は、I-O DATA ハードディスクフォーマッタなどのツールを使うと元の容量に戻せます。

APUと自宅のルーター(要DHCP)をLANケーブルで接続し、USBメモリーを挿入して電源ON。
PCにインストールする場合はここでモニターにIPアドレスが表示されるのですが、APUにはモニター出力がなく起動を確認できませんので、1分ほど待ちます。


APUに割り当てられたIPアドレスを調べます。
同じネットワークにスマホを接続し、アプリのFingを使うと簡単です。インストーラが正常に起動すると、リストにDaphileが現れます。

PCやスマホのWebブラウザでAPUのアドレス
http://192.168.xxx.yyy
に接続すると、Daphileの設定画面(WebUI)が表示されます。
(OSによっては、http://daphile または http://daphile. または http://daphile.local でも可)
以降、インストールから設定・再生まで、全てこのWebUIで操作します。

「Settings」タブの「System Firmware」「New Installation」でインストール先を選択し「Install」ボタンで開始します。既存のパーティションはここで消去されるので注意。
(2020/10追記)現在のバージョンでは、安全のため使用済みのパーティションは選択できないようになりました。インストール用の領域は予め開放しておく必要があります。APUでSSDのパーティション操作を行うには、USBから起動できるTinyCoreのcfdiskコマンドが簡単です。TinyCoreの使い方は次回のブログで紹介しています。

なお、ここでインストール先としてUSBメモリー自身を指定することもでき、その場合インストールUSBはDaphileのシステム領域(1GB)と残りが楽曲ファイル用のデータ領域としてパーティションが再構築されます。SSDに比べると起動が遅いとかオンラインアップデートができないなど制限がありますが、PCのHDDを変更したくない場合にはこの方法が使えます。


設定

インストールが終了したらUSBメモリーを抜いて再起動。
引き続きWebUIから設定します。


General(一般設定)
当初からマルチルーム再生を実現していたSqueezeboxと同様、サーバーとして別のDaphileを指定できます。今回はスタンドアロンのため内部(internal)サーバーを指定しています。
Roonのコアとも連携できるようですが、コアをWi-Fi経由で接続している自分の環境では指定できませんでした。


Audio Devices(オーディオデバイス)
音質的なこだわりを感じる設定項目です。


Power(電力管理)
クロックを落とすと音質に好影響があるとか。
「Prefetch・・・」にチェックを入れると、システムをRAMにキャッシュし高速化します。


楽曲ファイルの転送

Daphileはサーバー兼レンダラーなので、lightMPDのようにサーバーを別に立てる必要が無く単体でストレージ内蔵トランスポートとして使用可能です。
ライブラリ管理に関してはPC並みの自由度があります。


設定で内蔵ストレージの共有(share)をONにしておけば、ネットワーク上のPCなどから共有フォルダとしてアクセスできます。楽曲転送はこれを使うのが簡単です。
PCの共有フォルダやNASなどの音楽フォルダを登録してそこから再生することもできます。


WebUIに「File Manager」タブがあり、Daphile単体でUSBメモリーなどからコピーすることも可能です。画像はMinimServerで使っているSSD(exFAT形式)を接続した状態。問題なく認識しました。


光学ドライブがあればCDから直接リッピングすることもできます。曲名もオンラインデータベースから取得してくれますが日本語タイトルは不得意です。


再生


WebUIの「Audio Player」タブで再生します。
左半分がDLNAで言うところのナビゲーションツリー、右半分が再生中/プレイリスト画面です。配色こそ違えど、構成はSqueezeboxそのままで懐かしい。
アーティスト一覧などで日本語のソートがおかしいバグもSqueezebox当時のままで、そこは直してほしかった・・・
(2020/1追記)最新バージョンで日本語ソートの不具合が対策されました。これはうれしい!

プラグイン追加によりUPnP/DLNAに対応し、サーバーのみ、レンダラーのみ使うこともできます。なんでもDLNAサーバーとしてlightMPDと組み合わせると高音質になるとかで、lightMPDユーザーの間で流行っているようです。


スマホのブラウザだとこんな感じ。ここから横にスワイプすると・・・


再生中画面になります。PCの画面を2分割した感じ。なるほど、ちょっと目から鱗の実装です。

WebUI以外のコントロールアプリも使ってみました。



Android版のSqueezeboxアプリ「Orange Squeeze」です。スマホのプレーヤーアプリらしい画面になります。


シャットダウン


Daphileは楽曲ファイルを抱えてアクセスする以上、lightMPDのようにいつでも電源OFFできるわけではありません。WebUIにシャットダウン用ボタンがありワンアクションで実行できます。


車載する場合、WebUIでは文字やボタンなど表示オブジェクトが小さく操作が厳しいのでアプリを使いたくなります。しかしアプリからはシャットダウンができず、エンジンOFFの度にブラウザに切り替えるのはちと辛い。
Daphileにはサーバー一体というメリットがあるにしても、車載よりは本来のホーム用途、できればAPUのような低消費電力のハードで電源入れっ放しで使うのがしっくりくるかと。


音質について。面白いことに、同じハードウェアのUSB出力ながら、lightMPDとは違う音が出てきます。でもどちらも大変高音質です。
lightMPDはUSBメモリーからブート、USBメモリーを外せば内蔵SSDからDaphileが起動します。使い勝手と音質をしばらく比べてみたいと思います。


(2019/11/5追記)
mSATAのSSDにインストールした場合、PCに比べれば非力なAPUでも十分実用的なレスポンスで動作します。USBメモリーだとかなり遅くなったので、できるだけ高速なストレージにインストールすることをおススメします。
しかし、UpTone Audioのリニア電源との組み合わせでは、SSDカードを増設したAPUは電流不足で起動できませんでした。lightMPDではリニア電源による音質改善効果は顕著でこれを使わない選択はなく、先に挙げたシャットダウンの手間もあって車載は見送りとしました。


(2020/6/18追記)
ピュアなオーディオ用途からはちょっと離れますが、DaphileをBluetooth対応にしてみました。使ったのはこれ。

Bluetoothオーディオトランスミッター RK-BT100A(Radius)

BluetoothのないPCなどでワイヤレスヘッドホンやワイヤレススピーカーを使用するときに使うアダプターです。USBの端子がAタイプのRK-BT100AとCタイプのRK-BT100Cがあります。
オーディオコーデックはSBC/AptX/AptX LLの3種類に対応。Bluetoothのバージョンは5.0です。

世にあまたある「Bluetoothアダプター」と異なり、この製品は「USBオーディオデバイス」として振る舞うことが特徴。この小さな本体にプロトコルスタックやオーディオコーデックを内蔵しているわけです。
なお同様の製品としてCreativeにBT-W2がありましたが、本日その後継機BT-W3が発表になりました。(何というタイミング!)
オーディオ以外のワイヤレス機器とはつながらない代わりに、USBオーディオ出力に対応するものならほぼ何でもBluetooth対応にできます。ん?ラズパイオーディオとかRoon Bridgeにも使えそうだな...これはいいかも。
またPCやスマホで使う場合、USBオーディオ用の高音質なアプリを使えるメリットもあります。

USB-DACの代わりにトランスミッターをAPUのUSB端子に接続、Bluetoothヘッドホン(Sony MDR-10RBT)とペアリングして問題なく使用できました。トランスミッターは16bit/48kHz対応ですが、ハイレゾやDSDはDaphileが変換してくれます。
オーディオファイル向けとされているDaphileですが、オールインワン構成で使い勝手が良いので、Bluetoothで手軽に音楽を楽しむのもアリだと思います。




ネットワークオーディオ関係の記事をまとめてみました。よかったらこちらもご覧くださいませ。
ネットワークオーディオを楽しもう
関連情報URL : https://www.daphile.com/
Posted at 2019/10/23 22:44:59 | コメント(0) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2019年06月15日 イイね!

ネットワークオーディオ自作(2) lightMPD

ネットワークオーディオ自作(2) lightMPD前回のサーバーから続き、ネットワークオーディオを仕上げます。
サーバーにUPnPを採用したので、残りのレンダラーとコントローラもUPnP系(DLNA/OpenHome対応)のものが必要です。
レンダラーとして、lightMPDが面白そうなので試してみました。








digififanさんによる音楽再生専用LinuxディストリビューションのlightMPDはその名の通り超軽量に作られていて、OS含め全てRAM上で動作するのが特徴です。
起動後はディスクをアンマウントするため、電源をいきなり切断しても大丈夫。普通のオーディオ機器のように使えて便利ですし、音質的にも期待できそうです。
詳細は公式ページ(デジファイのおと)へどうぞ。

lightMPDはUSBメモリーなどローカルデバイスからの音楽再生はできず、NASをSambaやNFSでマウントして再生する仕様に特化して開発されました。その後バージョンアップにより動作モードの追加が行われ、UPnP(DLNA)サーバーからの再生にも対応しています。というわけで前回のMinimServerとつながります。

lightMPDにはCPUボードを2台使って高音質化するという動作モードもあって、これに至るまでの話が大変興味深いと思いました。ぜひ公式「ネットワークプレーヤ用ネットワーク」と「lightMPD/upnpgw」を読んでみてください。

今回は車載を考えコンパクトにシステムを作りたいので、1台でUPnPレンダラーを構成するモードで使います。
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こんなシステムとなります。

lightMPDはBeagleBoneというシングルボードコンピュータ(SBC)から始まり、現在はラズパイなどいくつかのSBCで動作可能となっています。それらの中から、スイスPC Engines社の
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APU. 2D4 (PC Engines)
というボードを使ってみました。APU1またはAPU2シリーズ、メモリは2GBでも4GBでも使えます。
経験上カニさんNICは嫌いなのでAPU2にしました。
(2019/12追記)APU2シリーズの最新バージョンは2E2(2GB)および2E4(4GB)に変わりました。APU1シリーズは間もなく終了です。

大きさはCDケースより一回り大きい程度。LANポートが3つもあることからわかるように、ルーターのようなネットワークアプライアンス向けの製品です。
SBCとしては比較的パワフルなx64アーキテクチャのAMD製プロセッサを搭載していて、USBオーディオやソフトウェアリサンプラを余裕をもって処理できる性能があります。
HDMIやWi-Fiを備えておらず(写真左下のD-subコネクタはVGAではなくシリアルポート)PC的な使い方には不向き、逆に余計な回路がない分オーディオ用途には有利という側面もあるのかも。

購入

PC Engines社の公式ショップ(PC Engines directの通貨USDを選択)で注文すると、後日メールで見積りが届きます。
メールに記載されたリンクを確認しPayPalで支払って10日程度で届きました。

自分は以下のパーツを購入しました。+ドライバーとナットドライバーを使う簡単な組み立てが必要です。

1 apu2d4 120.00 USD
APU.2D4 system board 4GB
(本体)

1 case1d2blku 10.00 USD
Enclosure 3 LAN, black, USB
(ケース)

1 apufix1a0 1.00 USD
Heat spreader placement template
(ヒートスプレッダの位置決め治具)※APU2用です。

1 ac12vus2 4.40 USD
AC adapter 12V US plug for IT equipment
(ACアダプター)

基板裏のCPUチップからヒートスプレッダ(アルミ板)を通してケースに放熱させる構造になっているため、ケースは必須です。
ACアダプターは12V/2A、DCプラグが外径5.5mm/内径2.5mmのセンタープラス。

APUはSDカードまたはUSBメモリーからブート可能です。
lightMPDはどちらにも対応していますが、SDスロットは純正ケースのカバーを開けないとアクセスできないのでUSBメモリーの方が便利です。別に入手しておきます。(容量は256MB以上)

MinimServerの設定変更

前回作成したサーバーの配信設定をlightMPD向けに修正します。
MinimStreamerのstream.transcodeの項目に設定を追加。
記述方法の説明はユーザーガイドにあります。

(2019/9訂正)dopwavを指定した場合、DSDの音源はwavに偽装する形で配信され、そのままDACに送ればDoPとして認識されます。しかしwavとdopwavは区別されないため、wavに対してリサンプルのような演算処理を行うとdopwav時も処理が入ってしまいDSDが正常に再生できなくなります。レンダラーで一切の処理を行わないならこれでも問題ありませんが、PCM音源のアップサンプリングやDoP以外のDSD再生も実行できるようにするためdopwavを外しました。これらはlightMPDのmpd.confで設定します。
(2019/9訂正)mp4/m4aファイルのトランスコード設定を追加。

flacはlightMPDでデコードできますが、この設定ではサーバー側でwavに変換させています。
ネットワークのトラフィックを減らす(flac)のと、レンダラーのCPU負荷を減らす(wav)のはどちらが高音質なのか試せるわけです。もちろんflacとwavなので、最終的にDACに届く「データ」としては変わらないはず。これで音が変わるとしたらデータ以外に何か影響する要素があることになり、それは何でしょうと。ディープな次元の話です。

lightMPDでは、APUを固定IPアドレスで運用します。対するサーバー側のIPはUPnPなので動的でも問題ありませんが、後日車載でDHCPが無い環境で動かすことも考えMinimServerのIPアドレスも固定しました。(結局これは不要でしたけど。)
$ cd /etc 
$ sudo cp dhcpcd.conf dhcpcd_conf.bak 
$ sudo nano dhcpcd.conf 
#でコメントアウトされたテンプレート行があるので、#を外し自分の環境に合わせて修正します。
interface eth0 
static ip_address=192.168.1.91/24 
static routers=192.168.1.1 
static domain_name_servers=192.168.1.1 

ルーターのDHCP機能を使っている場合は、割り当てアドレスが重複しないように設定を変更しておきます。

ブートローダーおよびパッケージの書き込み

ここからlightMPDのインストールです。
公式ページから「ブートローダー」および「パッケージ」をダウンロード。APU用の最新バージョンはv1.2.0でした。
ブートローダーを解凍してできたイメージファイルをUSBメモリーに書き込み。
FAT32でフォーマットし、Win32DiskImagerで書き込みます。
書き込むとPCからドライブとして認識されなくなるので、いったんUSBメモリーを取り外して再度挿入します。

次にパッケージを解凍。こちらはイメージ書き込みソフトでなく普通にzipファイルをUSBメモリーに上書き解凍すればOK。

設定

lightMPDでは、前回のラズパイのようなSSHコンソールとは異なり、起動ディスク(今回はUSBメモリー)内のテキストファイルをPCで直接編集して設定を行います。

lightmpd.confおよびmpd.confの2つの設定ファイルは、lightMPDの動作モードに応じて選択します。/lightMPD/confディレクトリにテンプレートがあります。
/lightMPD/conf/upnpmode(UPnPのレンダラーとして使用するモード)のファイルを/lightMPDにコピー。
テキストエディタ(TeraPadなど、文字コードUTF-8・改行コードLFに設定できるもの)で修正します。

/lightMPD/lightmpd.confの設定
自宅のネットワーク環境に合わせて修正。

[network]
interface=eth0
address=192.168.1.92
gateway=192.168.1.1
netmask=255.255.255.0
nameserver=192.168.1.1


[ntp]
server=ntp.jst.mfeed.ad.jp
ntpd=no
timezone=Asia/Tokyo

/lightMPD/mpd.confの設定
(2019/8訂正)DSDの扱いをここで設定できます。使用するDACがDoP形式によるDSD入力に対応しているので、DoP伝送を指定しました。このバージョン(mpdの0.20系以降)から指定方法が変わっているので注意。DoPを指定せずMinimServerでもdopwavを指定しない場合、カーネルが対応するDACのみネイティブ(マーカーレス)伝送、それ以外はPCM変換再生となります。

audio_output {
    ...
    dop     "yes"
}


他にもリサンプラーなど楽しそうな設定がたくさんありますが、ひとまずこらえてデフォルトのままで。

/boot/grub/menu.lstの設定
システムタイプをAPU2、ブートデバイスをUSBメモリーに指定。

kernel /boot/bzImage-5.0.3rt1 root=/dev/ram0 ro console=ttyS0,115200n8 ramdisk_size=81920 rootfstype=romfs rootdelay=5 clocksource=tsc idle=poll processor.max_cstate=1 isolcpus=1 nohz_full=1 rcu_nocbs=1 lightmpd.systype=apu2 lightmpd.bootdev=/dev/sda1

最低限これだけで音が出せます。NASモードより簡単です。

動作確認

設定が終わったらUSBメモリーをAPUのUSBポート(上段)に挿して電源ON。
その昔MS-DOSをフロッピーディスクから起動していた感覚に近いかも。
今回は幸い一発で動作してくれたものの、モニター出力もSSHコンソールも無いので動かなかったときの調査は厄介です。あまり設定を弄らず、まずは確実に動く「ベースキャンプ」を確保することをお勧めします。
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基板むき出しでないので、市販のオーディオ機器と並べても遜色ありません。
USBポートに接続しているDAPはUSB-DACの役です。
写っていませんが前回のMinimServerからLAN越しに再生しています。
なりは小さくとも、サーバー・レンダラー(トランスポート+DAC)・コントロールと、いっちょまえのネットオーディオ"フル"システムです。
スマホやDAP1台で済ませるより、オッサンはこういうコンポーネント構成に反応するわけさ。
電源ONから20秒ほどで再生可能となりました。


コントロールはスマホから。UPnP/DLNA/OpenHome対応アプリが使えます。
Android版のアプリをいくつか試したので紹介しておきます。
基本的な使い方は共通で、サーバーとレンダラーを最初に選択する以外は普通の音楽再生アプリと同じ。アルバム・アーティストなどナビゲーションツリーに従って選曲します。

BubbleDS(BubbleUPnPのOpenHome専用バージョン)
オーソドックス。安定感あり。
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Hi-Fi Cast
動作軽快。全曲シャッフルが使いやすい。
※UPnP/DLNA対応ですがOpenHome対応ではないので他のと挙動が少し違います。
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LINN Kazoo
シンプル。我が家にLINNがやって来た!
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LUMIN App
Kazooと対照的な多芸タイプ。タブレット映え。我が家にLUMINが(略)
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機能の違いこそあれど、どのアプリも表示は日本語含め問題ありませんでした。ハイレゾロゴなど並べなくても普通に再生するオトナな対応でよろしい。

OpenHome陣営にはLINN、それ以外で以前取り上げた(現在も愛用中の)roonもあり、ネットオーディオのソフトウェアは英国勢が強い。サーバーとレンダラーはそのまま、したがって音質に影響なく使い勝手でアプリを選べるのは良いですね。




以上で完成です。
動作確認できたら、lightmpd.confの[debug]セクションの項目を「no」に変更してログ出力を抑制しておきます。

MPDはマニア向けのイメージがありますが、UPnP、というかOpenHome対応を身につけたlightMPDは使い勝手の良さも注目されてよいと思います。

音質も良好です。自宅オーディオでリニア電源と組み合わせてみたところ、ラズパイのroonブリッジを超える音が出てきて「おっ?!」となりました。
Linuxのオーディオは「ラズパイ」に「HAT」を載せて「I2S」で接続するパターンばかりかと思っていたので、こんなシステムが組めるのは全くのノーマークでした。市販のUSB-DACやDDCを使う場合でも音質にケアしたディストリビューションやハードウェアが選べるのはありがたいことです。

欠点はやってみるまでも無く、システム全体の立ち上げめんどい。ホームならサーバーを常時稼動させておくことが(ラズパイの消費電力はごくわずかなので)できますし、lightMPDの起動も早いので気になりませんが、車載となるとネットワークの準備から始まるわけで、起動時間と環境整備の二重の意味で「立ち上げ」めんどい・・・



このレベルでサクサクとブラウズできて、エンジンONですぐ立ち上がり、音の良い車載デジタルトランスポートはいつ出ますか・・・?
数百枚のアルバムを持ち運べるようになったのだから、それを一瞬で見渡せるような操作系が欲しい。旧態依然としたインターフェースではもう困るのです。もちろんそれ以前のタグ理解しないとか無理。

まもなく登場の
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が気になりつつ、今年の残り半分はこっちで行こうかと検討中。
そういえば、LINNとロゴマーク似てますね。OpenHome対応しませんかオーテクさん?



(2019/6/22追記)
安定動作を確認できたので車載運用を開始しました。
顛末は整備手帳にて。

(2019/7/7追記)
主力音源として正式採用しました。
車載運用は面倒ですが、それでも使いたいと思わせる音質です。

(2019/8/4追記)
USB-DAC/DDCはオーテクHRD500のまま、変わったのはUSBから手前だけなのに、何で?という位の変化がありました。
S/N感、分解能、空間再現に優れた、目の覚めるような音が出てきます。
逆に「まったり」とか「色気」とか「芳醇」とかを求める人には合わないかも。方向性の明確な音です。

(2019/11/26追記)
OpenHomeでは複数のコントロールポイントが共存できます。
車載時に同乗者のスマホにもアプリを入れておけば、それぞれのスマホから自由に選曲できて楽しいです。例えるなら、人数分リモコンがあるカラオケBOX。市販カーオーディオには見当たらない便利さで、こんな応用もありますよということで。

(2020/2/17追記)
独自のパルスアレイDACでお馴染み、CHORDから2go/2yuという製品が発表されました。2goはmicroSDスロットを備える多機能サーバー、2yuは同軸・光・USBのデジタル出力インターフェースで、この2つを組み合わせると機能的には今回製作したサーバーとレンダラーを一体化したようなデジタルトランスポートとなります。果たして音質的にはどんなものか、CHORDユーザーの自分には「刺さる」アイテムです。



(2020/6/20追記)
車載導入から1年経ちました。当初その発熱の多さからすぐ壊れるかもと疑っていたリニア電源も、ノートラブルで夏冬乗り切ってくれました。
自分としては1年もオーディオシステムを変更しなかったのは珍しく、それだけ不満の少ないものだということかと。MinimServerとLightMPDの組み合わせは、音質・操作性・安定性とも優れたレベルにあると結論してよいと思います。
(立ち上げの面倒さはやはりあるのですが・・・慣れましたw)

あえて現状の課題を挙げるなら、
・真夏の高温下で、MinimServerを動かしているラズパイの動作がちょっと怪しくなる
・オーテクのDACが、DoP入力の仕様上DSD256を再生できない
の2点で、対策を考えています。




ネットワークオーディオ関係の記事をまとめてみました。よかったらこちらもご覧くださいませ。
ネットワークオーディオを楽しもう
Posted at 2019/06/15 17:58:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2019年06月15日 イイね!

ネットワークオーディオ自作(1) MinimServer

ネットワークオーディオ自作(1) MinimServer(2020/9追記)
ラズパイ関連の記事は消費期限が短くて困ります・・・サーバーアプリをバージョンアップされたMinimServer2に、UPSは電池を使わないタイプに変更し、2020年版として書き直しました。こちらへどうぞ。










我が家&我が車で稼働中のUSBオーディオ。
動作は安定しているし、音質的にも悪くないと思うのですが、安定しちゃうと面白くないというか、次に行ってみたくなり。

ホームオーディオの世界を眺めていると、ここ数年はUSBオーディオに代わってネットワークオーディオが騒がしい賑やかなので、そっち方面からネタを導入します。

まずはラズパイとMinimServerで音楽用サーバーを組んでみました。

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Raspberry Pi 3 Model B

「ラズパイオーディオ」といえばI2S接続のDACやDDCを載せるのが定番ですが、今回は違った使い方で行きます。

MinimServerはJavaベースのUPnP(DLNA)サーバーで、flacはもちろんDSDにも対応しています。寄付歓迎のドネーションウェアです。
以前PC版を使った時の印象は、タグやアルバムアートの処理が確実で、ナビゲーションツリーの見せ方も実用的なものでした。
現時点では数少ない「ちゃんとした」音楽サーバーアプリと言ってよいと思います。
「ちゃんとしてない」市販DLNA製品の何と多いことか。
WindowsやMacだけでなくLinux版もあり、QNAP他のNASやラズパイでも動作可能です。
公式ページの「Installing」に機種別のインストール解説があります。

以下、備忘録ってことで。環境によって多少のアレンジが必要なので「この通りやったけど動かんぞ!」とか言わないで。

準備作業1(PC側)
・MinimServer推奨のOSはRaspbianです。
ラズパイ公式サイトから、最小構成のRaspbian Stretch Liteをダウンロード。

(2019/8追記)現在はRaspbian Buster Liteに変わっています。
(2020/7追記)現在はRaspberry Pi OS Liteに変わっています。
(2020/9追記)Raspberry Pi OSでインストールしてみて、変更が必要な部分を追記しました。

・ダウンロードしたファイルを解凍して出来たOSイメージをmicroSDカードに書き込み、ラズパイにセットします。
SD Card FormatterWin32DiskImagerを使いました。

・楽曲ファイルの保存にはUSBストレージを使います。
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ポータブルSSD 480GB SSD-PL480U3-BK/N (バッファロー)
480GBで7000円弱。いい時代になりました。
exFAT形式でフォーマットし(後で使うのでディスクラベルを控える)、楽曲ファイルを入れておきます。
またMinimServer(Linux ARM hard float版)もダウンロードして入れておきます。

・MinimServerの状態監視と設定はPCから行えます。
PCにJavaおよびMinimWatchをインストールしておきます。

準備作業2(ラズパイ側)
・最初だけラズパイをローカルで設定します。
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USBポートにキーボードを接続。
テレビとHDMIケーブルで接続。
家のルーターとLANケーブルで接続。(ネット接続が必要です)
SSDもつないでおきます。

・電源を投入し、テレビとキーボードでログインします(pi/raspberry)。

・ラズパイに割り当てられたIPアドレスを調べます。
$ ifconfig 
同一ネットワークにスマホがあれば、アプリのFingでも調べられます。

・設定ツールでブートパーティションをリサイズ、SSHを有効化。
$ sudo raspi-config 
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「Advanced Options」から「Expand Filesystem」
「Interfacing Options」から「SSH」→「Yes」
終了→リブートすると、以降の作業はPCから可能になります。
モニターやキーボードはここで外してしまっても大丈夫。

USBディスクを使えるようにする
・SSHでログイン
PCでターミナルアプリのPuTTYを起動。
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調べたIPアドレスに接続しログイン。

【2020/9追記】「自分もやってみよう」という方は、最低でもパスワードは変更してください。原理的にNATで守られるIPv4と異なり、IPv6が通る環境では外部から直接SSHポートに侵入されるリスクがあります。
特にフレッツのIPoE接続でレンタルルーターをセキュリティレベル「標準」に設定している場合、フレッツIPv6網からのアクセスは拒否しない仕様(!)となっています。そこにデフォルトのユーザー名・パスワードでSSHポートを開くのは・・・
いったんSSHからラズパイに入られてしまえば、それを踏み台にしてPCのHDDやWebカメラを狙う位のことは可能ですし、実際企業では勝手に社内ネットワークにつながれたラズパイがセキュリティホールになった事例があります。
対策としては他にユーザー名やポート番号変更、証明書発行などが可能で、作業後はSSHを無効にしてしまえばより安心です。


・exFATファイルシステムをインストール。
$ sudo apt-get install exfat-fuse exfat-utils 

・接続したUSBディスクのIDを調べます。
$ sudo blkid 
表示されたリストからフォーマット時につけたラベルのある行を探します。「UUID」が必要な情報です。
/dev/sda1: LABEL="SSD-PLU3" UUID="C2C4-9374" TYPE="exfat" ...

・起動時にUSBディスクを自動マウントするように設定します。マウント名は任意。
$ sudo mkdir /mnt/usbhdd1 
$ cd /etc 
$ sudo cp fstab fstab.bak 
$ sudo nano fstab 
fstabファイルに設定を追加します。
UUID="C2C4-9374" /mnt/usbhdd1 exfat-fuse sync,auto,dev,exec,gid=65534,rw,uid=65534,noatime 0 0 
保存してエディタを終了。

・リブートしてUSBディスクにアクセスできることを確認します。
$ sudo reboot 
(起動待ち→ログイン後)
$ ls /mnt/usbhdd1 
ファイルが表示されればOK。

MinimServerのインストール
引き続きSSHコンソールから
・javaをインストール。
$ sudo apt-get install oracle-java8-jdk 
(2020/9追記)現在の公式OSであるRaspberry Pi OSでは上のコマンドは使えませんでした。代わりに以下のように入力します。
$ sudo apt install default-jdk 

・SSDに入れておいたMinimServerのインストールパッケージを/home/piディレクトリに展開します。
$ sudo cp /mnt/usbhdd1/MinimServer-0.8.5-2-linux-armhf.tar.gz /home/pi 
$ cd /home/pi 
$ tar xf MinimServer-0.8.5-2-linux-armhf.tar.gz 
(2020/9修正)tarはsudoで実行しない。

・MinimServerのセットアップ
$ minimserver/bin/setup 
デスクトップ統合→無効
自動スタートアップ→有効
※setupをsudoで実行すると自動スタートアップに失敗する。

・MinimServer起動
$ minimserver/bin/startc 
初回にライブラリの場所を聞かれるので入力する
ライブラリのスキャンが始まり、しばらく経って「MinimServer is running」と表示されれば起動完了。
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PC側のMinimWatchのアイコンが緑色になります。

・自動起動に設定
このままだとターミナルを終了するとMinimServerも終了してしまうので、
以下の手順で自動起動に設定する。
> exit  (MinimServerをいったん終了する)
$ minimserver/bin/startd 

起動確認後リブートして、PCのタスクトレイにあるMinimWatchのアイコンが再度緑色になれば成功です。
$ sudo reboot 


この時点でflacなどは再生可能になっています。
ローカルレンダリングに対応した(=コントローラ兼レンダラーとなれる)スマホアプリのBubbleUpnpHi-Fi Castを使って動作確認します。
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それぞれの端末から音を出しています。サーバー1台からの4ストリーム同時再生ってことですね。やるじゃんラズパイ。
これはこれで別の使い道がありそうな・・・と思いつつ先に進みます。

MinimStreamerのインストール
アドオンパッケージのMinimStreamerをインストールすると、レンダラーで対応しないコーデックをトランスコード配信可能になります。DSDのDoP配信にも必要です。

・ffmpegのインストール
コーデック群のffmpegを使えるようにしておきます。
再度SSHでログイン。
$ dpkg-query -W ffmpeg 
dpkg-query: no packages found matching ffmpeg 
↑入っていなかったのでインストールしました。
$ sudo apt-get install ffmpeg 
以前はラズパイ用のパッケージが無くソースコードからビルドする必要があったそうですが、今はapt-get一発で楽ちんです。
(2020/9追記)Raspberry Pi OSではffmpegのインストール前にupdateが必要でした。
$ sudo apt-get update 


・MinimStreamerのインストール
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アドオンパッケージはPCからインストールします。MinimWatchのアイコンを右クリック→Propertiesで設定画面を開き、Packagesのタブにあります。
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インストールが終わったらRelaunchで再起動。
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ffmpegを自動検出したことが、設定画面のSystemタブで確認できます。
使用するレンダラーに応じてstream.transcodeに設定を追加します・・・が、レンダラーはまだ作ってないので保留。

Linuxなので電源ブチ切りはNG。シャットダウン操作が必要です。
$ sudo shutdown -h now 

UPSの取り付け
コンソールを開いてシャットダウンコマンドを打ち込まないと電源を落とせないのは不便なので、探したら対策パーツがありました。
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UPS PIco HV3.0B+ (πmodules)

ラズパイ専用の無停電電源です。
450mAhと比較的小さなバッテリーを搭載していて、ラズパイからの5V電源で動作、数分間だけバックアップが可能です。(オプションの大容量バッテリーあり)
外部からの電源供給が途絶えるとバッテリー給電に切り替え、設定した時間で自動シャットダウンまでできる優れもの。
これで最後のピースが埋まるぞ!
と飛び付いたわけです。

購入は公式オンラインショップから。3モデルあり、用途に応じて選択します。
・Stack 450
・Advanced 450
・Top-End 450
DACなどの拡張ボード(HAT)と併用する場合は「スタック」または「アドバンスト」を。ただしGPIOを2本使用するので、HATとピンが重複する場合は使えません。「アドバンスト」は外部電源端子があり7~28Vを入力できます。
接続するラズパイのモデルにより異なる場所に取り付けるピンがあり、いくつかの部品はユーザーが半田付けする仕様になっています。購入時オプションの組み立てサービスを利用すると半田付け済みで出荷してくれるので楽ですが、注文から到着まで1ヶ月弱かかりました。
(2019/8追記)
公式ショップがリニューアルし、上記リンクから新ショップに誘導されます。しかし新ショップでは購入時オプションが指定できなくなっているようです。直してくれると良いのですが・・・
(2019/9追記)直ったようです。リンクを新ショップに更新しました。

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HATを使わない「トップエンド」を調達しました。
組み立てサービスを利用しても背の高いI/Oピンヘッダ(UPSを動作させるのに必須ではない)だけは実装されておらず、この通りラズパイごとksyの公式ケースに収められます。(最初に使っていた透明ケースには高さが足りず入りませんでした)

組み立てとソフトウェアのインストールは公式サイトに詳細なマニュアルがあります。

作業のほとんどは半田付けで、そこを組み立てサービスで回避すれば完成品をラズパイに載せてバッテリーを取り付けるだけ。ラズパイの基板と接触させるピンが繊細なので曲げないよう、また指定の場所に接触するよう注意。
ソフトウェアの方も難しくはありません(GitHubのガイド)が手順がやや多いです。テクニカルフォーラムにあるインストールスクリプトが簡単なので利用させてもらいました。
(UPS PIco HV3.0A, HV3.0B and HV3.0B+
→ UPS PIco HV3.0 Python and other Tools
→ [script] PIco HV3.0A Toolkit に説明があります)

$ sudo raspi-config 
「Interfacing Options」からI2Cを有効化
「Localisation Options」からタイムゾーンを「None of the above」→「GMT+9」に設定(PIcoにはRTCモジュールが搭載されています)
以下の通りスクリプトをインストール&実行。
$ sudo apt-get install git 
$ git clone https://github.com/Siewert308SW/pico_installer PIcoToolKit 
$ cd PIcoToolKit 
$ sudo chmod +x picotoolkit.sh 
$ sudo bash picotoolkit.sh 


最後にシャットダウンまでの時間を好みで修正して完成。i2cget/i2csetコマンドを使います。設定時間は、現在のバージョンでは最短60秒のようです。以前は10秒位にできたそうなので何かの対策があったのかもしれません。

ひとまず以上です。
電源を入れるだけで立ち上がり、電源を落とせば安全に終了する、手のひらサイズのサーバーができました。電源投入から再生可能までは30秒ほどかかります。

ネットオーディオなので、サーバー、レンダラー、コントローラのいわゆる3点セットが必要です。残り2点をどうするか、ファイル共有(sambaやNFS)でなくUPnPを選択した時点で方針は固まっているのですが、長くなったので次回に続きます。


(2020/1追記)
MinimServerの次期バージョンとして、MinimServer2のアナウンスがありました。現時点では一部のNAS用のみリリースされています。
新バージョンは無償の機能限定版と年間ライセンス版の二本立てになります。
(2020/3追記)
MinimServer2にWindows版が追加となりました。

(2020/8追記)
UPSに使っている電池が
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こんな事になったので交換しました。
1年で電池が膨らんでしまうのは早い気もしますが、UPSの特性上常に満充電状態、しかもラズパイに温められて使われているので、条件として厳しいことは確か。リチウムイオン電池は危険物なので車内に放置しないよう、また定期的な点検は必要ですね。もう少し気楽に使える方法はないか、検討中です。




ネットワークオーディオ関係の記事をまとめてみました。よかったらこちらもご覧くださいませ。
ネットワークオーディオを楽しもう
Posted at 2019/06/15 17:06:03 | コメント(1) | トラックバック(0) | オーディオ | クルマ
2018年10月14日 イイね!

リスニングキャンプ9!

リスニングキャンプ9!今年も行って参りました、ソニックデザインユーザーの年次総会・リスニングキャンプ。








会場は3年連続5回目、信州は蓼科高原の女神湖駐車場です。
前日までは雨の予報。当日朝になってみれば曇りマークに変わっていて、「お、イケルか?」と出発。
しかしビーナスラインを登ってみれば

駐車場の奥が見通せないほどの濃霧!
開会前には雨も降り始めてしまい、どうなることかと思いましたが・・・

開会式が終わったあたりから雨が上がり、午後には時おり陽も射す程度に回復しました。でも寒かった・・・
86/BRZのイベントも共催との事で、隣でやっているオーディオに興味を持って試聴に来てくれたオーナーさんも多数いた模様。良きかな。


ソニックデザイン社長、来年はどんな製品を見せてくれるのでしょうか。


おなじみ黛センセのクリニック、システム更新1ヶ月で受ける度胸はありませんでした。


ソニックプラスセンター拡大中。


自分は昨年に続きアンバサダー(ユーザーカーの試聴プレゼンター)を務めさせていただきました。
ブログの効果なのか?試聴希望の方が後を絶たず、昨年以上の多くの方に聴いて頂けました。

たった10数分の試聴ながら、中には自分の好みの音や感じている課題を正確に言い当てる方もいて、いやいやさすが。刺激の多いアンバサダー体験になりました。


もちろん他の人の音もたくさん聴かせて頂きました。カジュアルラインもプレミアムラインもこれだけの数を聴けるイベントは他になく、貴重なひとときです。

V-GyNyさんが7N-MA9000 CORSAをお試しさせてくれる!とおっしゃるので、そのままお持ち帰りしようかとたくらんでいたのですが、長さが足りず断念w

自分と同じ時間帯にアンバサダーをされていた方のシステムが聴けなかったのが心残り。
メーカーデモカーのベンツSクラスも聴きたかったなぁ・・・


昨年と同じ結びになってしまいますが、
聴いてくださった・聴かせて頂いた皆さん、ありがとうございました。またお会いしましょう!
Posted at 2018/10/15 04:06:20 | コメント(1) | トラックバック(0) | イベント・オフ会 | クルマ

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何シテル?   09/20 15:04
「なかるー」改め「なかるう」、「う」は大きい「う」です。 音楽のあるドライブが好きです。いい音だったらもっと楽しいですよね。なのでいい音を追求してます。 更...

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