
エンジンの組み込み準備の為、腰下の傷み具合のチェックをしたいと思います。
先ずはクランクケースからですが、クランクケースも消耗品なんですね。ちょっとガッカリです。
写真はクラッチの裏のベアリングが入る穴です。丁度前回のブログで取り上げたシムが接するベアリングの位置に成ります。
軸が暴れやすい構造の為にベアリングへの負荷が高くなり、ベアリングのアウターが回ってしまうようです。こういう現象をベアリングのクリープというそうです。
この500ccで5万キロ使用のクランクケースではベアリングがいつもより余計に回ってしまっているようで? 穴径が若干大きくなりベアリングの嵌め合いに緩い感じがあります。
コレがSRのエンジンの息の根を止めるまでの唯一最大の弱点のようです。クランクケースに摩耗が出るなんて全く知りませんでした。
気に成ったので400ccで1.5万キロ使用のケースも確認しましたが、5万キロ程ではありませんでしたがクリープは発生していました。これも少し嵌め合いが緩い感じです。
前回のブログにも書きましたが、クラッチのナットの増し締めはやっておいた方が良さそうです。
あとはクランクベアリングの右側。動力の取り出し側ですね。少し回っているようです。
比較用に左側。そんなではありません。
他は問題となる感じではありませんでした。
クリープはベアリングの剛性が負けている為に起こる現象のようなので、ケミカルでは止められないと言うのが通説の様です。
でも仕方が無いので「LOCTITE® 648 はめ合い用接着剤 」 を使用して組み込もうと思います。

「・耐熱性を必要とする部品の隙間ばめ、締まりばめ固定に。」と商品説明にあるので良いんじゃないかな?と思います。
溶接で肉盛りして切削してとか迄はする感じでは無いので(気持ち的にも金銭的にも)、ケミカルで何とかなればです。
実際一番ヤバイポイントはココ。
キズが結構深くて穴が開くんじゃないかと気掛かりな場所です。
ダウンサスと17Tの組み合わせは「凶」でした。
出っ張った部分を削り落として、ロイメタルと自作のプロテクターを使って修復しておきます。

ビフォーアフター
オイル漏れまで至っても液体パッキンとプロテクターを使って修復が出来ると思います。「優れものです。」なんて自作品に自画自賛。SRのクランクケース用の絆創膏です。
プロテクターはSR400に実践投入済みなので実績も十分にありです。
https://www.holts.co.jp/prods-detail/?spo=s_on&id=195
ロイメタルはラジエターに空いた1mmまでの穴を塞ぐ事が出来て耐油性抜群だそうです。ラジテターって0.9kg/c㎡からの圧力が掛かりますから本当ならば相当な性能です。耐熱性はプロテクターの樹脂がABSで100℃で、ロイメタルが130℃なので十分だと思います。
次はクランクシャフトです。
マニュアルによると、振れは30μmまで、サイドクリアランスは650μmまで、ウェブの幅は70mm。この辺りは問題が無いのが普通だと思います。
問題はコンロッドのベアリング。今回のオーバーホールで一番に思ったのが「静かなエンジンを作りたい」だったのですが、良く良く考えるとこのコンロッドベアリングのガタが一番異音の発生源になるんじゃないかな?と言う結論に至りまして腰下のベアリングで一番交換したいのがコンロッドのベアリングだったのですが、コンロッドのベアリングの構成部品にコンロッドとクランクピンが含まれてしまうので工賃と部品代を合わせるととんでもない価格に成ってしまうので諦めました。
SRに 永く永~く 乗る予定の人は、クランクピンとコンロッドのスペアを用意しておかなくてはです。(クランクケースもだけど…)
ベアリングの構成はアウターとインナーとボールから成りますが、コンロッドのベアリングでアウターに相当するのがコンロッド、インナーはクランクピン、コンロッドのベアリングは、
ボールの部分でしか無いんです。
ここのベアリングは他に比べてもタイトなクリアランスが良さそうなのですが外して状態を見る事も出来ずなので、コンロッドの倒れる量からベアリングのクリアランスを予測する事にしました。
ゼロを合わせて
コンロッドの倒れを計測。ゼロ合わせの時にコンロッドは右寄せにしてそこから右に倒したんだっけな。コンロッドの長さとベアリング幅から、計測値を約1/6にしたのがベアリングのクリアランスに成ります。今回は 120μm / 6 = 20μmとなりました(この時まだダイヤルゲージがアレなんでアレですけど)。左右の倒れを測定した場合は計測値 /2 /6 かな。
マニュアルに記載の値から予測?計算したベアリングのクリアランスの値は25μm~110μm位なので、20μmという数値から大端部やピンとベアリングに痛みは見られないようです。
マニュアルに記載されている値は走れるか走れないかの限度値なので、私が気にしている「音」を語る様な値では無いんですね。マニュアルの値は鵜呑みには出来ません。。。
見た目だけですけど小端部も問題なさそうです。
他の部位のベアリングは、コンロッドのを交換出来ないのであれば交換の必要性はそんなでも無いのではないか?と思いましたが、更に良く良く考えてコンロッド以外全て交換にしました。シフトカムのベアリングはそのままにしようと思ったのですが間違って叩いて外してしまったので交換する事にします。
交換の目的は主にクランクケースの保護になります。
クランクシャフトは心出しも別途行う予定です。
400ccのクランクで予行演習したのですが、極論ブッ叩くだけなのでやって見ると簡単?でしたW。クランクのズレにはピンの回転方向のズレとウェブの開きと閉じ方向のズレがありますが、大きくて剛性の高いクランクシャフトなので開きは無い物と言うかどうしようもない物として、ピンの回転だけ合わせるようにすれば良いと思います
新品の5ポンドハンマー(2.2kg)でクランクを叩いてピンを回しましたが、この打痕の中でクランクが動いたのは真ん中の打痕の1回だけ。振れで言って10μmほど動きました。クランクの肌がハンマーに移る位に強く叩かないとクランクは動きません。何事も経験ですね。
ハンマーは普通に買うと高価なのですが、ヤフオク!などではそれなりに安く購入できます。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h1085926036
ハンマーの重量は最低でも2.2kg無いとキツイかな?それ以上に重いのが欲しいくらいでした。
次はミッションです。
プライマリ側(クラッチ側)のギアのセット
上が1.5万キロ、下が5万キロのモノです。
興味が無いからかも知れませんが違いがよく分かりません。5万キロの方が少しギアのスリ減り?ツルツルがある気がします。
セカンダリ側(スプロケット側)
問題なし?
1.5万キロの方のアイドラギアが付く部位のシャフトが荒れていますね。
500ccのシャフトも3万キロ位の時は同じ感じになっていましたが、その後強化オイルポンプに交換して、更にミッションへ行くオイルの分配を増やして5万キロまで走行したら磨かれて綺麗になってしました。よく見ると痕跡が見えると思います。
何処にも書かれて無いのですが、SRのミッションはオイルによる潤滑が不足しているんだと思います。でないとこんな負荷が掛からないオイル穴まである軸受けが傷む訳が有りません。
今回は他に部品を持ってないし何も対処していないSRはこんな物だと思っているので、このまま使っちゃいます(そう言う訳けではない可能性も十分居あります)。
ここは部品の現状がどうかも大事ですが、何故こんなに成ってしまうのか?の方が大事だと思います。個体差では済まされない事象です。
クランクケースのベアリングを購入すると脱着出来るインナーが付いてきますが、このシャフトにインナーを組み込む感じになるのでスナップリングの脱着が発生します。おもしろい部品構成で暫く分かりませんでした。
シフトカム。
違いが分かりません。
シフトカムの回転をシフトフォークのスライドに変換をするのにピンを滑らせるので、スムーズな動きの為にピンは新品に交換かな。
各ギア一のクリック感?を出すパーツはこの星型のストッパープレートとカムストッパというパーツ。3速と4速の間のニュートラルに入っちゃうとかは、こいつの滑りが悪くなって山の頂上や途中で止まってしまう症状かも知れません。ココだけであればそんなに高価では無いので新品に交換だな。
次はシフトフォーク。動作がイマイチ分からないので部品を並べて見ました。
分かりました。
1速にブチ込む爪部位↓
少し傷がありますが問題ないでしょう。他と比べればね…
2速↓
ピンぼけですが重症です。
3速↓
もうノーコメント
4速↓
...
5速↓
全体的にダメですね。
かさんだ走行距離もありますが、入り難かったシフトに「シフト入リヤスクナ〜ル」みたいなカスタムパーツを付けて、捻じ込む様に乗っていた時期があったので負担が大きく成ってしまったんでしょうね。入り難いシフトギアを捻じ込む様に乗ればフォークの負担が大きく成るのは当然です。(と今は思います。)
巷のカスタムパーツなんてそんなモノでしか無いので、文句言うのは筋字違いですね。自己責任www。
ギアの入りが悪くなる原因は切れが悪くなったクラッチとフリクションの大きくなったチェーン。この2つが原因となるのでクラッチのプッシュレバーとチェーンのメンテナンスをキチンと行えば、スコスコ入る様になるので原因から対処しないと
「凶」です。
マニュアルによるとこういう事なので、Assyで中古ミッションに交換する事にします。
べつにフォークの爪の横が少し摩耗する位は何も影響ないだろうと思うのですが、爪に傷が付いてはいけない理屈が良く分かりません。。シフトチェンジ時に可動するギアを横に押す訳だから摺動もすれば摩耗するのは当然ですし、摩耗しても摩耗した分ギアを押す距離が少なく成るだけですし分量はほんの僅かです。シフトカムの溝でスライドするピンが傷付いたらフィーリングが悪くなるのは良く分かるんですけど。
でもそのまま使う理由もないので、今回はノリで中古品に交換する事にします。
クラッチ
プッシュレバーとプッシュロッドが減るのは仕方が無いと思っていましたが、冷静に考えれば人の手で操作するような負荷の低いパーツが摩耗するなんて考えられません。
ここもミッション潤滑の油量の分配を増やしてから格段に摩耗のスピードが落ちました。今回はプッシュロッドだけ交換にします。
ここの状況を見ても、SRはミッション系の潤滑が不足しているのだと思います。
詳しくはこちらのブログ
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/blog/46700158/
こちらのパーツレビュー にて。
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/car/2422595/6726971/note.aspx
クラッチのフリクションプレート
こちらは自分のミス? 4型のクラッチスプリングに交換するとクラッチ操作が軽くなるってのが流行り始めた時に、ダメ元で500ccでやって見ましたが見事にダメで、しばらくクラッチが滑るまま乗っていた時期が有ったのでフリクションプレートが傷付いてしまいました。
フリクションプレートの表面はミクロで見ると紙やすりみたいな表面でクラッチプレートを掴むので、滑ってヤスリの刃が削れてツルツルになってしまうとなんかニュルニュルするフィーリングで気持ち良くありません。今回はこれらも中古品に交換します。
因みに今は4型のスプリング3本と重いスプリング3本で落ち着いています。
4型のスプリング6本は軽くて抜群だっただけに残念でした。
スプリングのリテーナーにワッシャーを挟んで柔らかくする方法もある様なので重いスプリング×6+ワッシャーみたいな仕様も行けるかもしれません。
次はオイルポンプです。
KEDOのオイルポンプを2万キロ程使用しました。
幅方向のクリアランスの問題が若干見られますが気にする程でもありません。紙ガスケットでクリアランス調整を行えますがそのまま使用します。
スカベンジャー側
こちらはローターの外側にゴミを嚙んだらしく深めの溝が出来ています。今までこれで走っていた訳だし問題無いでしょうからそのまま使用しますw。
最後、カムチェンスプロケットです。
問題無い様です。
こんな感じかな?
集中力が途切れて何か見るのを忘れましたかも知れません。他は組み込みながらチェックする事にします。