
フロントフォークのオーバーホールを考える上で一つ気になっていた事があるので、今回はそれを解消する為に調査をしてみます。
気になる点、それは、
シリンダーコンプリートに付いている樹脂製のピストンリングになります。
ピストンリングと言う位なのでこの部品がフォークオイルをシールして加圧し減衰力を発生させる構造です。
・このピストンリングは交換が出来るのか?
・交換の必要はあるのか?
この2点を調べたいと思います。
フロントフォークの構造と仕組みについては
https://minkara.carview.co.jp/userid/2092714/car/2422595/6776101/note.aspx
過去にこちらに詳しく書きましたのでご覧下さい。
先ずは部品探しから。
パーツリストを見るとピストンリング単品の部品設定は1978年式の初期型だけに設定されていて、以降finalの年式までシリンダーコンプリートとのASSYでしか供給がない様です。コレが5,720円と高価なんですね。
なので今回は78年式の単品パーツを利用出来るのかを検証します。
78年式の構造のフォークは85年にドラムブレーキに変更になった時も継続して使用されて2000年のドラム最終まで使われていました。途中で特性の変更なんぞでバネやキャップなどの変更を受けながらなので部品番号の変更はありますが、基本的な構造は変わらないのでピストンリングは2000年式までのドラム最終までのモデルに使用可能だと推測できます。2001年からの左ディスクに変更になった年からはフォークが一新されていますが、フォーク径に変更が無いのでピストンリングは同じなんじゃ無いかな?なんて思っています。
では実際のパーツで確認してみます。
右: 78年用新品リング。
左: 97年式ドラム仕様から摘出の中古リング。
厚みはどちらも3mmで同一。外径も合口を合わせた状態で25mmと同一でした。
嵌めてみましたが違和感など無く同一の部品だと思われます。
ま、同じ構造のフォークの部品なので順当と言った所です。
次は3型2001年〜finalのモデル。ディスクブレーキ化と共にフォークの構造も変更されていますが、内部構造は一緒ですね。スライドメタルなどの摺動系はだいぶ変更された様ですが減衰系は変更がなかったみたいです。
左: 2型
右: 3型
サイズ感も同一です。こう言うのを「基本設計を流用」って言うんでしょうか? 行けそうですね。
リングの厚みも3mmで共通です。
ピストンになる部位の外径や溝の深さなども同じ。イケそうです。
装着も問題なし。これはもうイケルと確信。
一応ネットに書き込んでいるので嘘を書かない様にとダメ押しで確認。3型のシリンダーになる部位に78年用の新品リングだけを入れてみました。
合口の隙間も良い感じです。
元々付いていた中古パーツでも確認。摩耗の分だけ合口が開いてしまっていますが、同一部品と言って良いでしょう🙆
結論①
78年式用のピストンリング 2F0-23157-00 は、1978〜final の全年式で使用が可能。
という事で
全年式で交換が可能 と言う事でした。
次は交換の必要性ですが写真で確認してみましょう。
左に新品に交換した状態のリングの合口隙間。
右が中古品の摩耗状態です。中古品と言ってもこの2本は走行3万キロ未満と推定の割と走行していないフォークです。
合口が広がっているのが分かりますね。
拡大して分かる位なので大した事は無いのではないか?と言う思いも有りますが、フォークの機能にすると結構な違いになるのかな?
2型と3型のシリンダーコンプリートを並べて見ると、減衰力を発生させるための穴の径が微妙に違う事が分かります。
特性に変化を持たせる、と言うか減衰力のセッティングで0.1mmとかそんなサイズ感で調整がなされています。なのでリングの合口の広がりはそういった意味では無視できない物に成ってくると思います。
〜余談です〜
2001~2019年までシリンダーコンプリートの穴径に変更は有りませんでしたが、Finalの2021年式だけここの穴径が変更に成っていて部品番号も変更に成っています。Finalのフロントフォークの動きが良くなったなどと言われているのは、ココの穴径の変更による減衰力の変更と、リングが新品状態な事、この2点が影響しているんじゃないかな?なんて思います。
〜余談終わり〜
そもそもリングは樹脂製なので年数によって変形しまい、リング張力の低下が発生してしまっている問題も有るみたいです。一番右が新品のリングです。影響度は未知ですけど、フリクションが低下してるって事で喜べるのかな? でもFinal用の評判が良い所を見ると張力が強くてフリクションになってもメリットの方が勝るようですね。
と言うか逆にフリーピストン式のフロントフォークは簡素な構造から極低速域は減衰力を発生させるのは困難になっているので、そのフリクションがダンピングの支配的な要素に成っていると思われます。乗った感じで言うと収まり感とか吸い付き感とかコーナリング中の節度感とかですね。
結論②
影響は必ず発生している。けれど比較して変わったかどうか分かる位なのかな? オーバーホール時に傷だらけの時もあるので、そういう場合は交換部品が入手出来るので交換しても良いんじゃないかな?(私のが実際にそうでした。なので気に成って調べました。)
フルオーバーホール とか ちゃんとオーバーホールした とかはちゃんとリングまで交換するのが良いと思います。
フォークのチューニングとかを行う場合は、ここのコンディションの管理も必要そうです。
ちなみに、フォークの中でもう一か所オイルの流れをシールする部位があり、これはバルブと呼ばれるワンウェイバルブ状のリングに成ります。
ここは金属製なので今回のピストンリングの様な摩耗の問題は無いようですが、インナーチューブの下端に入っている部品で汚れが溜まりやすい所にバルブが存在しています。ここの座面に汚れが付くとバルブがオイルをシール出来なくなってしまいます。
オーバーホールを行うときにここにバルブがある事を見逃しがちですが、ここのバルブ機能がフォークが減衰力を発生させる際の「キモ」となるので、分解時にはしっかりと清掃するようにすると良いと思います。
(指で押すと可動するのが分かりますよ)
以上、細か過ぎるフロントフォークのピストンリングのお話でした。
・排気管内を走る排気脈動の速度って650m/sくらいで計算すれば良いのかな? だれか分かる人居ませんか??
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2023/07/07 16:33:57