
アクアリウムに於ける水質は「PH」無しには語れません。
水の交換の目安や水質の変化を見る為に一番に注意が払われる項目となってます。
PHの数値が7よりも下がれば「酸性」、7よりも上がれば「アルカリ性」。
しかし「PH」についてそれ以上の事はあまりきちんと理解していません。。
熱帯魚飼育では ”弱酸性の軟水” が良いなんて言いますね。
・過密飼育でろ過が進み 硝酸塩が蓄積するとPHは低下する。
・牡蠣殻等のカルシウム分を入れて溶出させる事で硬度を上げてアルカリ性に傾ける事が出来る。
こんな感じが通説でありリアルなのですが、どのような事を行えば目的の水質を作り上げる事が出来るのか? 今日はココをもう少し深堀りして、アクアリウムにおける水質の、ドアの入り口を開くことが出来ればな。と思います。
アクアリウムに於いて一番欠かせない物は先ずは「水」ですね。水とは化学式で書くと「H2O」となりますが、、
「H」は水素。「O」は酸素。 H2Oなので 2つの水素と1つの酸素から成ります。このくだりはよく聞きますね。
水はイオン化すると、「H+」と「OH-」のイオンとなります。
電離、解離、イオン化、etc?学問のジャンル毎に色々な呼び方があるそうですが皆同じことだそうです。
水で「イオン化」をイメージするのは難しいのでカルシウムで考えてみます。
水に入れた牡蠣殻のカルシウムが水に溶けたとします。この溶けた状態を ”カルシウムが水に溶けて見えなくなった” と言う状態としましょう。水中に水溶性のカルシウムがある状態ですね。元素記号で「Ca」の状態です。
これが更にもう一つ高次元で水に溶け込んで「イオン化」した。みたいな表現だとイオン化がイメージできるでしょうか?イオンはイオン式で表すそうで、「Ca++」とか「Ca2+」と表します。
+やーの記号が付きますので何か電気が関係していると分かりますが、この溶け込んだイオンの事を「電解質」とも呼ぶそうです。これがあるので水が電気を通すようになるという働きをします。記号の数は物質により変わるそうです。
カルシウムが電気を通すという事は聞いた事は無く、電解質であるカルシウムイオンが電気を通す。と聞けば何か納得です。
物質は水に2段階で溶け込む。そのように覚えると良いのかも知れませんね。(私の今の所の理解です。)
このイオン化がどの程度起こるのか?を示す値が「イオン化傾向」と言う事に成るのかな?。すべてがイオン化するのではなく、物質毎に違う理屈でイオン化が進むそうですが、温度やPHにも影響を受けるそうです。(アンモニアはPH7以下ではアンモニウムイオンとなって無害になるとか?。)
では水に戻りますが、先ほども書きましたが水はイオン化すると「H+」と「OH-」となりますが、「H+」は
”水素イオン” で
酸性を、「OH-」は
”水酸化物イオン” で
アルカリ性を示しますので、水中にどちらのイオンが多いかでPHの値が決まるという事に成ります。
これが水のPHを考える上での基本となります。
正確にはPHは「H+」の濃度で決まるのと、「OH-」は直接にはアルカリを示さないそうですが、取り敢えずは両者のバランスで決まると平たく考えます。
酸性は ”水素イオン” と言う水素がイオン化した物として理解しやすいですが、アルカリ性の ”水酸化物イオン” は水素と酸素から構成されるので呼び方が独特で理解しにくいですね。
水酸化物イオンは他の物質と直ぐに化合してアルカリを示すようになると取り敢えず理解しておけばいいのかな?
先程のカルシウムイオン「Ca++」を使って一例をあげてみます。
「Ca++」はプラスの電荷が2つなので、マイナスの電荷を1つもつ「OH-」2つと結合して、「水酸化カルシウム」を生成します。水酸化カルシウムは強いアルカリ性物質となるので、結果 OH-はアルカリ性を示すと言ってOKという事なのだと思います。
こういう「OH-」の性質の事を「塩基性」と呼び、その化合物を「アルカリ」と言う。とか、「アルカリの陽イオンと酸の陰イオンが結び付いた時、塩ができる」とか、アルカリは水酸とか塩基とか塩とかなんか難しいです。
水酸化カルシウムを化学式で表したものは、
Ca(OH)2 と書きます。カルシウム1つと水酸化物イオン2つですね。化学式を見て水酸化物イオン「OH」が含まれる物質は「アルカリ性」と覚えれば判断が効く様になります。
イオン式で書くと
Ca++(OH-)2 になるかな。イオンの電荷的に安定な物質は化学的にも安定というか、電荷が合わない化合は無いと言えるのかな?。
次に、「過密飼育でろ過が進み 硝酸塩が蓄積するとPHは低下する。」を考えます。
エサやフンなどの有機物が分解されて最終的に毒性の少ない硝酸(塩)となる。というアクアリウムをかじったことがある人は何十回と目に耳にした図だと思います。これが濾過の仕組みですね。
これを化学式で表すと、
・有機物 →アンモニア
CO(NH2)2 + H2O → CO2 + 2NH3
・アンモニア →亜硝酸
NH4+ + 3/2O2 → NO2– + H2O +
2H
・亜硝酸 →硝酸
NO2– + 1/2O2 →
NO3–
・脱窒(おまけで入れておきます)
2NO3– +
5H2 → N2 + 4H2O +
2OH–
と表す事が出来ます(当然コピペです)。これも時々見かける式なのですが、よく分からないのでスルーしてしまうと思いますが分からないながらに読んでみます。
・有機物 →アンモニア
菌がアンモニアと水とを反応させて、CO2 と アンモニアを生成。
・アンモニア →亜硝酸
菌がアンモニアと酸素とを反応させて、亜硝酸イオン と 水 と
水素 を生成。
・亜硝酸 →硝酸
菌が亜硝酸と酸素とを反応させて、
硝酸イオン を生成。
・脱窒
硝酸イオンと
水素とを反応させて、窒素 と 水 と
水酸化物イオン を生成。
あららら、上で勉強した酸性の ”水素” と アルカリ性の ”水酸化物イオンが” 式の中に入っているではあ~りませんか!。
・アンモニア →亜硝酸 反応では2つの水素「H」と硝酸イオン「NO3-」が発生するので、水素がイオン化して「H+」が水中を漂う。という事で水が酸性に傾くシステムが見えてきました。
硝化サイクルは「H+」の供給源になっているんですね。
1つの硝酸塩「Ca(NO3)2」が化合されるのに付随して、2つの水素イオン「H+」が排出されます。
(・脱窒は水中の水素「H+」を消費して、2つの水酸化物イオン「OH-」 を生産するのでアルカリ性に傾くと言えます。)
因みに、硝化菌は硝酸イオン「NO3-」を生産しますが、硝酸イオンはカルシウムイオン「Ca++」と化合して
硝酸塩「Ca(NO3)2」 となります。なのでろ過の仕組みの絵の中で
硝酸(塩) と言う表記があるのだと思います。
硝酸塩となるまでに、2つの硝酸イオンと1つのカルシウムイオンが化合して硝酸塩となり、余剰となった4つの水素イオンが排出されます。
硝酸の水酸化カルシウムによる中和の化学式。中学生の化学らしいですが私には難しいです。
Ca(OH)2+2HNO3→Ca(NO3)2+2H2O
イオン式で書くとこのようになるそうです。
Yahoo!知恵袋(説明を放棄しました。)
この中和反応はアルカリの「アルカリの陽イオンと酸の陰イオンが結び付いた時、塩ができる」の性質で「塩」が出来た事になります。
カルシウムイオンが欠乏してしまうと、硝酸イオン「NO3-」と水素イオン「H+」が化合して、酸性物質の硝酸「HCO3」と余剰の水素イオン「H+」2つが排出されるので、急激に水槽の酸性化が進んでしまう事に成ります。
牡蠣殻 →カルシウム「Ca」 →カルシウムイオン「Ca++」 →水酸化カルシウム「Ca(OH)2」 →水酸化カルシウム「Ca(OH)2」+ 硝酸「HNO3」= 硝酸塩「Ca(NO3)2」 と繋がってしまいましたね。
コレで水槽内におけるカルシウムの消費の構造が理解出来てしまいました。
カルシウムイオンは水酸化イオンと結びつきアルカリを示す水酸化カルシウムを化合してアルカリに傾ける作用がある事も分かりました。
水槽内の「硝化サイクル」は水中のカルシウムイオン「Ca++」を消費しながら中性物質の硝酸塩「CaCo3」を化合する事で成り立っている事が分かりました。
この図だと硝化サイクルから発生する水素イオン「H+」が増え続けてしまいますので(水酸化カルシウムを化合するのに必要な「OH-」と共に「H+」も水からイオン化してしまう為)、PHは低下の一途となってしまいます。
それは他に未だ水槽内の「PH」のバランスの要素が有り、「H+」を吸収して? アルカリを維持するシステムが他に存在しているからです。
と、長くなってしまうので今日はここまでです。
アクアリウムに於ける水質の扉が開いちゃったのでは無いでしょうか?
特に「PH」は半分見えて来ちゃったのでは無いかな?
まとめ
水の「PH」は、水素イオン「H+」と、水酸化物イオン「OH-」のバランスで決まる。これだけ良く覚えておきましょう。
弱酸性の軟水への長い道のりは続きます。
自分の水槽の水質を向上させる方法。それはただ一つ。自分の水槽に対して真摯にただ真っ直ぐと向き合えば良いだけです。
あの水はダメ、あの水は間違い、あの水槽が羨ましい、とヨソの水槽の事を言ったところで自分の水槽が良くなる訳ではありませんね。
真摯に向き合えば技術は進化する。
よそ見をするだけ技術の進化は止まり相対的に退化する。
技術とは、自分を前に進める事で「進化」するもの。
他人をこき下ろす事では進みませんし、そういう事をすると閉塞感が周りに生まれてしまいます。
ただ真摯に一本道。 「アクアリウム道」です。