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2025年04月20日

(SR) 点火パワー

(SR) 点火パワー 今日は若い子向けに点火装置の基本の「キ」をお伝えしたいと思いますので、おじ様はご遠慮願います笑。

点火チューンって興味がありますが、良く分からない事も多いと思います。




こう言うのとか、




こう言うのとか、、




このタイプのコイルは「閉磁式」と言って、コイルで発生した磁力が効率良く鉄芯を伝って通ります。
例えるならば3車線の高速道路を磁力が通る感じです。
写真はSR500/400の1型のコイルです。




こっちのタイプは「開磁式」と言って磁力が空中を走るので、鉄芯よりも磁力の減衰が大きく発生してしまいます。写真はSR500/400の2型のコイルです。
こちらはだだっ広い草原を磁力線が走り回る感じと言っておくかな。


出典http://www.max.hi-ho.ne.jp/lylle/jikai2.html

↑正確にはこういうイメージです。



ではどちらの方が良いのか?という事になるのですが、答えは使い方による。となります。


今回はCDI点火を前提としてみます。
CDI点火と言うのはエキサイターコイルで300V程度に昇圧した電気をコンデンサーに貯め、点火の際にはコンデンサーからコイルに電流を流して点火します。(正確にはコイル側からCDIへと電流を強く引き込みます。←これが分かる人はCDIを良く理解している人。)




↑これがエキサイターコイル。発電コイルの中に点火用の大きなものが二つあります。300Vを発生。俗に言うAC-CDIってヤツです。3型のDC-CDIは12VからDC-DCコンバーターを使って300V (多分)でコンデンサーを充電するのでエキサイターコイルは付いていない。これがバッテリーレスで始動できる2型までのタネです。




↑これが2型のSR500/400純正のCDIの中身。右手に見える大きな部品がコンデンサー。これにエキサイターコイルで発生した300Vを充電して点火の際には一気に放電する。高電圧で充電されるが電力としては極小さな量しか貯められない。

こんな感じがCDIの特徴です。構造的に点火時には高電圧が一気に供給されるけれど、放電開始から終了までの時間軸はとても短くなります。

この瞬時の高電力の供給と言うのがミソになります。


CDIからコイルに放電される電力を「5」としましょう。





閉磁式のコイルを3車線の高速道路に例えましたが、CDIからコイルに5の電力が供給された時、一斉に通行できるのは3の電力(正確には3の電力で発生した磁力)迄しか通せません。残りの2の電力は待って居てくれるでもなく無効化されてしまうデメリットのある方式になっています。
通過できた3の磁力の効率を仮に100%として、3×100%= のパワーを瞬間的に出せるコイルとなります。




開磁式のコイルはだだっ広い草原と例えましたが、制限の無い空中に磁力線を構成するので、供給された磁力の大きさに対応した大きさの磁力線を構成する事になります。
空を通過するので効率を仮に80%とします。5×80%=4 のパワーを瞬間的に出せるコイルとなります。


電気回路の観点で簡単に解説するとこうなります。



では1型のSRには何故? 閉磁式のコイルが採用されているのか?と言う話になるのですが、、 話には続きがあり、


コイルに流れる電流には一癖ありまして、、例えばLEDを点灯するのに電線で繋いだ電池とLEDとスイッチでは、ONした瞬間にLEDが点灯してOFFで消灯します。その回路にコイルを追加するとONした時にフワッと点灯してOFFの時はヒューンっと消える事になります。分かり易く言うとコイルは電流のフライホイールの役割をします。




↑電流をチャートにするとこんな感じ。当然巻き数を多くすれば多くしただけこの効果は大きく(スロープが緩く)なる。


要するに点火コイルの一時側のコイルの巻き数を増やすとCDIからの瞬時で大きい電流の流れを緩慢に出来るという事になります。





こちらは1型のサービスマニュアル。閉磁式の1次コイルの抵抗値は0.98Ω




こちらは2型。開磁式の1次コイルの抵抗値は0.78Ω 
(書きながら間違いに気が付きましたが電気の知識の説明としてこのままごり押しで続けます。)



コイルの効力はヘンリー(H)で表記されるのですがマニュアルには表記が無く、抵抗値が大きい→コイルの巻き数が多く線が長い→コイルの効力が高い。
こんな感じで参考程度に見る事が出来ます。(線の太さにもよるので参考程度)


1型の閉磁式のコイルは1次側のコイルが多く巻かれている事が推測されます。巻き数が多いという事はCDIからの給電を緩慢にする事が出来るので、瞬時に得る電力を3に制限する事が出来、その代わりに1.33倍長い時間電力の供給を受ける事が出来るようになります。そうすると
3×100×1.33=の点火パワーを生み出せることになります。


閉磁式と開磁式、 同じ性能に成りましたね。


※矛盾に気が付いた人は銅損、鉄損としてご理解下さい



基本的には一般に言う良くも悪くもCDIの特徴の性能を発揮するのは開磁式のコイルの方式と思います。 一瞬の高電力での点火方式。始動でプラグが被りやすい2ストやキック始動のSRに採用されています。一瞬のスパークが強烈なので軽く被ったプラグでもスパークが発生出来るので好んで採用されたようです。瞬発力のある強いスパークを生むので高回転向きなんて言い方をする場合もあるようです。

チョット余談ですが多気筒エンジンで複数コイルを装着する場合には、互いのコイルの磁力が干渉してしまうので閉磁式が選択されるそうです。そんな理由間あったりです。



こちらのブログにも書いたのですが、CDI点火方式の強過ぎる一瞬のスパークは通常運転時の着火に対しては勿体ない部分もあるので、プラグギャップを拡大して長さの長いスパークを発生して着火性能の向上をするような工夫も良いのではないかなぁ。。と思います。


トランジスタ点火は12Vのバッテリー電圧からスパークを生むので、300Vの発電からスパークを生むCDI式とは電気的に全く異なる方式なので、コイルに求める性能も全く異なります。
トランジスタ点火についてはまた別の機会に書きたいと思います。トランジスタ式はベラボーにデカい電気的フライホイールを1次側コイルに設定してスパークを発生します。



CDI点火なのにトランジスタ用の閉磁コイルを使用するのを見掛けますが、特性が大分違うのでどうなんでしょうか? 私は理屈で考えるのでどのような理由でそういうことをするのか?とても興味がありますが、今のところは未解読であります。。



電気は苦手、分からないと言う人も多いと思いますが、苦手な事こそ「挑戦」です。

No limit. SR



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Posted at 2025/04/20 05:12:39

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