仮想アース(アーシング)が燃費向上に有効かどうかは、車両の状態や年式によって異なり、その効果は限定的であると言えます。特に新しい車では、燃費向上の効果は体感しにくい可能性が高いです。
仮想アース(アーシング)の原理と燃費向上の仕組み
自動車では、バッテリーのマイナス側がボディ(車体)に接続されており、ボディが電気の帰り道(アース)として機能しています。仮想アースやアーシングは、このアースを強化するチューニングの一種です。
具体的には、エンジンや各電装部品からバッテリーのマイナスターミナルへ直接、低抵抗のケーブルを追加します。これにより、以下の効果が期待され、燃費向上に繋がるとされています。
電気抵抗の低減: 車両のボディは鋼鉄製で、電気抵抗があります。特に古い車では、接続部分の錆などにより抵抗が増加している場合があります。アーシングによって電気の流れがスムーズになり、電装品の作動が安定します。
点火系の安定: 安定した電流が供給されることで、スパークプラグの火花が強くなり、混合気の燃焼効率が向上します。これにより、エンジンのトルクやレスポンスが改善され、結果的に燃費が向上する可能性があります。
センサー類の精度向上: 各種センサーが正確に作動することで、エンジン制御が最適化され、無駄な燃料消費を抑える効果が期待できます。
静電気の除去: 走行中に発生する静電気を除去し、空気の流れや燃料の霧化をスムーズにするといった主張もあります。
期待される効果と実際のところ
アーシングによって燃費が向上したという声は存在します。例えば、「高速道路での燃費が伸びた」「エンジンの振動が減り、静かになった」といった個人の体験談が見られます。
しかし、これらの効果は元々の車両の状態に大きく左右されます。
効果が出やすい車:
旧車や低年式の車: 純正のアース線が劣化していたり、元々の設計が古かったりするため、アーシングによる改善効果を体感しやすい傾向があります。本来の性能を取り戻す、というイメージに近いです。
効果が出にくい車:
新車や高年式の車: 近年の車は元々アース対策がしっかりしており、電装品の性能も高いため、アーシングを追加しても変化を感じにくいことが多いです。
まとめ:燃費向上目的での導入は慎重に
結論として、仮想アース(アーシング)は、特に古い車において、電気系統をリフレッシュし、エンジンの調子を整えることで、副次的に燃費が向上する可能性があります。しかし、燃費向上だけを目的として、特に新しい車に導入する場合、コストに見合った効果が得られるとは限りません。
燃費向上よりも、エンジンのレスポンス改善やヘッドライトの光量アップ、オーディオのノイズ軽減といった、電気系統の安定化によるメリットを主目的として検討するのが現実的と言えるでしょう。
認するようにしてください。