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2014年10月17日

テーマがハッキリしているクルマのおもしろさ!-プロボックス&サクシード part2

テーマがハッキリしているクルマのおもしろさ!-プロボックス&サクシード part2 もちろん二代目プロボックス/サクシードは、ビジネス・ユースという視点からクルマのインテリアをいろいろと見直した……というだけの新型車ではない。初代から10年以上が経ち、2010年代半ば時点での「実用車」とはどういうものか。それに対するトヨタ&ダイハツからの答えがいろいろとある。

たとえばミッションは、マニュアルシフト(MT)でもトルコンATでもなく、CVTのみとなった。今日、こと燃費を考えるなら、MTよりもCVTの方が上位だとは、国内各社の一致した見解だが、これに加えて、近年の運転免許事情も絡んでいるという。仕事でクルマを使うような会社(カーディーラーを含む)であっても、もうMT車では業務に差し支えるのだ。いまや免許はAT限定時代であり、これしか持っていないという社員やスタッフが増えている。

エンジンでは、初代にはディーゼル仕様もラインナップにあった。ただ、これはデビュー後数年で消えている。そしてそのまま、ディーゼルは二代目でも復活していない。まあ初代の場合、ディーゼル仕様は売れなかったのだろうし、従って二代目ではその点は割り切り、ガソリン車だけに開発を集中したということであろう。また、昨今の「プロ/サク」カスタマーをいくらリサーチしても、最新ディーゼル車の充実と迫力を体感していなければ、ディーゼル待望論が出て来ることもなかっただろう。

ただ、私なりの提案も含んで言えば、この2010年代、日本市場がディーゼルを見る目は変わりはじめている。マツダが“ディーゼル攻勢”を仕掛けているが、それもマーケットからのしっかりした反応があるからだ。

「プロ/サク」のような“リアルな実用車”を考えた場合には、ハード的にコスト高につくディーゼルは不向き──。トヨタ&ダイハツはこういう判断をしたのかもしれないが、しかし、リアルなことを言えば、国内では、軽油はガソリンよりも安価である。“働くクルマ”=プロボックス/サクシードが考える「ディーゼル」とはこういうものだという提案は、いずれ見てみたいと思う。

初代といえば、当時からこのモデルはシートにこだわってきた。初代の試乗会で印象的だったのは、「こういう商用車の方が、乗用車よりも、ドライバーがクルマに乗っている(乗り続けている)時間は長いんですね」という開発陣の言だった。ただ、そうであっても、高級車のような“リッチな”シートは付けられない。ゆえに、このモデルはシートの「基本形状」そのもので勝負している。そんな気概のコメントもあった。

この二代目でも、シートには力が入っている。カタログのコピーを借りれば、「腰から背中をしっかりと支えるために、シートの各所を最適化」したものが装備され、たしかに、どこか特定の場所(たとえば臀部)に負荷を感じるような形状にはなっていない。また、初代に比べて、全体にクッション性が高められ、座った感じがぐっと“豊か”になった。初代の場合は、その気概や形状はともかく、座っていて、どうも薄くて硬いな……という感は拭えなかったのだ。

そして、シートにもつながる足まわり全体の動き、それから生まれる走行フィールも、新型は向上している。何より「接地感」がある“足”であり、路面からのインフォメーションを常に感じつつのドライビングができる。また、市街地で最も多用する速度域、時速50キロ以下の低・中速域での“足”の動きに、硬さやカドがない。シルクのように滑らかな……というタイプではなく、一瞬、肌触りが硬いかなと思わせつつ、しかし結局は身体に馴染むコットンの着心地に通ずる質実剛健な乗り味で、“働く乗用車”として、これもいいと思う。

この“働く……”でいえば、一新したかったというフロントマスクも、そのコンセプト通りの仕上がりだ。いまにして思えば、初代は“光りもの”も配しつつ、真っ正面から見たら「セダン」に見えるでしょ風の無意味な背伸び感があった。しかしこの新型は、商用車(ライトバン)として、そのへんが吹っ切れている。フロント周りは、タフにも見え、一方ではどこか流行の“ユル・キャラ”にも通ずるような、おもしろい顔をしていて、「プロ/サク」として成功したデザインになっていると見る。

最後に、バッグ置きスペースやデスク/テーブルもいいが、私が最も「プロ/サクらしい」と感じた装備について触れる。それはエアコンのコントロールで、このクルマ、2010年代の最新モデルであるにもかかわらず、いわゆるオートエアコンではないのだ。

オートエアコンは、温度を設定すれば、それに「なる」ように自動的に作動するが、見方を変えれば、温度と風量は別々には設定できない。この状況の時は温度はこのくらいで、そして風の量はこのくらいが……といった、その時にカスタマーが望む選択ができない。このクルマはオートエアコンにはしないでくれ!──これもまた、いま「プロ/サク」を使っているカスタマーから出て来た強い声であったという。

そのエアコンの操作系は各パーツが大きく、そしてデザインも“彫刻的”で、なかなかいい感じだ。タッチパネル式と違って、こういうコントロールの方が運転しながら手探りだけでやれる。アナログ上等!……と、リサーチの際にカスタマーからの声があったかどうかは知らないが、新型プロボックス/サクシードで、実は一番気に入ったのは、この“アナログ感”溢れるエアコン操作と、そのデザインであった。

(了)
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Posted at 2014/10/17 07:32:04

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