WPC処理＋ハイパーモリショット

本日は前回洗浄しておいたスタータークラッチとローターを組み込みました。

続いて
WPC処理に出していたカムまわりが上がってきましたので早速チェックしていきましょう。

今回依頼したのは神奈川県相模原市にあるJAMSさん。
元はエヌ・イーという屋号でしたが独立分社化して現在の屋号になったそうです。

代表の村田さんと表面処理の世界について色々とお話しさせて頂きました。
業者間取り引きが多いそうで、私のような個人でエンジンオーバーホールを楽しむ方がもっと増えたら良いなとおっしゃっていたのが印象的でした。

https://www.jam-s.co.jp/

さて、スリッパー面が紫色っぽくなっているのがわかるかと思います。
ブラスト装置メーカーである不二製作所が開発した表面改質処理です。
ショットピーニングの進化形といったところでしょうか。

微粒子メディアを高速で衝突させることによって、ノーマルのラップ加工そのままの摺動面に微細な凸凹を作ります。
さらに二硫化モリブデンを衝突させることによって表面にモリブデンの層が出来上がります。

微細な凸凹には油膜が入り込み、さらにモリブデン層によって摺動性の向上、耐カジリ性の向上、加えて鍛造のような効果で表面硬度のアップなど様々なメリットが生まれる表面処理です。

二輪業界ではヨシムラジャパンをはじめ、井上ボーリングさん、SOHCさん、ナプレックさんなど名だたる内燃機加工屋さんやチューニング屋さんで採用されているそうです。
https://www.fujiwpc.co.jp/index2.html

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こちらはカムホルダー
カムシャフト軸受け部が少しスジっぽく荒れています。

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荒れていた面がすっかりキレイになりました✨
軸受けの延命処置です。

CBのカム軸受けはカム山がロッカーアームを押し上げてバルブを開ける時に軸受け側にかなりの負担がかかるようで、カジリ気味になっている物が多いです。

カムシャフト一本で8本のバルブを絶えず動かすんですから、単純に考えるとDOHCカムの2倍の仕事量をこなしている事に。
そりゃカムホルダーもくたびれますよね(⁠+⁠_⁠+⁠)

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カムシャフト
ノーマルだとツルっとしていて一見すると滑りが良さそうなんですが、実際にはなめらかすぎると表面に油膜が残りにくいんですね。
したがってカジリも発生しやすくなります。

after
梨地状に微細なディンプル化していて油膜を保持しやすくなっていると思います。
触るとサラっとした質感でいかにもフリクションの低減になりそう。

タペットアジャスティングスクリューとナットは新品を奢りました。

仮組みして状態を確認。

うん、良さそうですね！
あとは内燃機加工に出しているシリンダーとヘッドが上がってくれば腰上が組めます。