2017年04月19日
複雑化する日本のナンバープレート?
2019年のラグビーW杯を機に、我が国で初めての記念ナンバープレートが作られることになった。国土交通省によれば、すでに2月13日から申し込み受け付けを始めており、4月3日から交付が始まったという。
プレートの右上にロゴマークが入るタイプと、ロゴマークに加えて図柄も入るタイプの2種類。いずれも交付金は東京都の場合7000円で、後者は1000円の寄付を行うと選択可能になる。新車や中古車を購入するときだけでなく、現在所有しているクルマも、番号を変えずに記念プレートに交換できるという。国土交通省ではさらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの記念プレートも計画しているという。海外ではカナダのバンクーバーや米国のアトランタなどで記念プレートが発行された実績があるとのこと。
それよりもクルマ好きの興味を引いたのは、ラグビーW杯記念ナンバープレートの「色」だ。通常のプレートは、タクシーやバス、トラックなどの事業用車は緑色、軽自動車は黄色なのに、すべて白色になっている。事業用車のプレートは自動2輪車のように緑の枠が入るが、軽自動車用は自家用登録自動車とほぼ同じだ。軽自動車の黄色いナンバープレートについては、これまでも反対意見があった。黄色の色調が鮮烈すぎて似合うボディカラーがないという声が多かったような気がする。それが一定の交付金を支払うことで、白ナンバーになるのだから、話題になるのは理解できる。
一方、市町村ごとに発行される原付(125cc以下のオートバイとミニカーと呼ばれる50cc以下の3/4輪自動車のナンバープレートでは、最近いろいろ個性的なデザインが登場している。福島県須賀川市ではウルトラマン、山口県下関市ではフグ(地元ではフクと呼ぶそうだが)が描かれ、大阪府堺市は前方後円墳型になっている。須賀川市はウルトラマンの故郷M78星雲と姉妹都市提携を結んだため、堺市は日本一の巨大古墳である仁徳天皇陵(大山古墳)があるためだ。下関市のフグは説明不要だろう。
世界のナンバープレートを見ると、たとえば米国では州ごとに決められたプレートがある一方で、オリンピックをはじめとするイベントのほか、自然保護のための寄付などを目的に特別プレートが作られており、凝ったグラフィックやカラーが話題になる。つまり日本特有のガラパゴスプレートではない。それよりも個人的に気になるのは、希望ナンバーとご当地ナンバーの乱造だ。
希望ナンバーに人気の数字があることは知っている人も多いだろう。「88」や「7777」などだ。これらは抽選制になっているそうだが、その抽選はなんと毎週月曜日ごとに行われているという。これでは他の多くの数字が空いているのに、人気のある数字のひらがな部分ばかり進んでいって、やがて地名の次の数字も足りなくなって、「次はアルファベットを入れようか」など、表示要素がどんどん増えていってしまう。
海外でも希望ナンバーを実施している国は多いけれど、先に他人が取得している数字や文字は使えないというルールが一般的だ。ご当地ナンバーも、なぜここまで増殖を許しているのか不思議だ。地域振興という目的で始まったと記憶しているのに、最近は東京都の世田谷と杉並のように、大都市圏の隣り合った自治体が別々にナンバーを出していたりする。ナンバープレートは文字の種類や数が少ないほうが安く作れるし、事故時や犯罪時の確認、日頃の管理は楽になる。希望ナンバーもご当地ナンバーも使ったことがないし、欲しいとすら思わない筆者から見れば、こんなことで税金の無駄使いをしてほしくないと思う。
でも未来は明るいかもしれない。citrus編集部の若者に聞いたところ、ナンバーの色や地名や数字には興味を示さず、希望の地名を手に入れるために車庫の場所を違法に設定する「車庫飛ばし」は意味すら分からなかったのだから。
複雑化しつつある日本のナンバープレートをシンプルに戻す、今は絶好の時期かもしれない。
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Posted at
2017/04/19 07:21:57
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