リンクは貼りませんが・・エネルギー危機になると出てくるのが、どこぞの名誉教授とか、畑違いの経済学者とかが語る、実は日本は資源大国だった系の記事。
「日本も“産油国”になれる 京大名誉教授が開発の「人工石油」軽油価格は「1リットル14円」の激安価格」
エネルギー政策の進捗については経済産業省などのHPを定点チェックしていたのですが、
EV入門編その21 内燃機関車の燃料編
エネルギーと車
最近、面倒になって(笑) AIに記事を読んでもらい聞いてみました。
論破されました(笑)
まぁ、EVになってからとんと興味がなくなり(←そもそもいじれない(笑))ましたが、「バッテリー液」「ラジエーター液」など様々な液体に添加する「ドリーム(系)液体」に私自身は弱いので(笑)「(こういう話を)信じたい気持ちはやまやま」と言われると、なんとも・・。
「1リットル14円」という数字は、現在のガソリン価格を考えると確かに魔法のような話に聞こえますが、冷静に「科学的な現実」と「期待されている技術」を切り分けて見ていく必要があります。結論から言うと、国が進めている「合成燃料(e-fuel)」と、今中氏が提唱する「ドリーム燃料」は、似て非なるものです。
1. 現実路線の「合成燃料(e-fuel)」
政府や自動車メーカーが本命視しているのは、記事の前半にあるフィッシャー・トロプシュ(FT)合成などを用いた手法です。
仕組み: 再生可能エネルギーで作った「水素」と、工場や大気から回収した「CO2」を化学反応させて液体燃料を作ります。
メリット: 既存のガソリン車やガソリンスタンドのインフラがそのまま使えます。
デメリット:とにかくエネルギー効率とコストです。CO2を回収するのにエネルギーが必要。水素を作るのに大量の電力が必要。それらを合成する設備も巨大。
現在の価格: 現時点では1リットルあたり300円〜700円程度かかると試算されており、2050年にガソリン並みの価格(100円台)に下げることが国策の目標です。
2. 記事中の「ドリーム燃料(14円)」への懐疑的な視点
今中氏が主張する「水と大気中のCO2から安価に石油を作る」という話については、科学界やエネルギー業界からは非常に厳しい目で見られています。
熱力学の法則(エネルギー保存の法則):
石油を燃やすと「エネルギー+CO2+水」になります。逆に「CO2+水」から石油を作るには、燃やした時に出たのと同等以上のエネルギーを外部から投入しなければなりません。
コストの矛盾:
「空気中の薄いCO2を集めるコスト」と「水を分解して水素反応を促すエネルギーコスト」を考えると、14円という価格は、現在の物理学の常識では「エネルギーの収支が合わない(入れたエネルギーより、得られるエネルギーの方が大きくなってしまう)」という矛盾を孕んでいます。
【補足:なぜ「14円」と主張しているのか?】
今中氏は「特殊な触媒やナノバブル」などの独自技術を提唱していますが、これらが「外部からのエネルギー投入なしに、あるいは極少量のエネルギーで」反応を進められるという客観的・第三者的な証明(査読付き論文や大規模な実証)は、現時点では広く認められるに至っていません。
3. 私たちはどう捉えるべきか?
「14円の燃料」がもし実現すれば、世界史がひっくり返るほどの大発明です。しかし、現状では以下の2点を踏まえて
「合成燃料(e-fuel)」は着実に進んでいる: ポルシェやトヨタなどが巨額の投資をしており、10〜20年後には「高価だが、カーボンニュートラルなガソリン」として一般化する可能性が高いです。
「ドリーム燃料」は懐疑的にみるべき 「安すぎる話には裏がある」という感覚をベースにしつつ、もし本当に産業用装置が稼働し、第三者がそのプロセスを検証して「エネルギーの等価交換」が証明される日が来れば、その時初めて信じる……というスタンスが、最も合理的と言えるでしょう。
これが現実になるのを期待したい気持ちはやまやまですが、現状、日本のエネルギー政策の主流は、地道な「再エネ+水素+高効率な合成燃料」のルートを歩んでおり、歩むべきです。
圧倒的に大敗を続けていた大戦末期。「いまにマッチ箱大なのに、鬼畜米英の都市を丸ごと消滅させることができる新型爆弾ができて、最終、神風日本が勝つ」みたいな感じでしょうか。
いまに全固体電池で、EVもわがトヨタが勝つ、も似たようなもんです(笑)
さて、合成燃料の現在位置は?
「ENEOS撤退」に関するニュースは、正確には「プロジェクトそのものの完全な撤退」というより、「100%電気由来のe-fuelの自社生産プラント建設を事実上、無期延期(中止)した」という動きです。
あなたの印象どおり、ある意味でビジネス的な現実を捉えています。現在の最新状況を整理して解説します。
1. ENEOSの判断:なぜ「延期(中止)」したのか?
2025年後半、ENEOSは国内で計画していたe-fuelのパイロットプラント(実証工場)以降の建設を無期延期すると発表しました。
建設費の高騰: 資材やエネルギー価格の上昇により、当初の想定よりも巨額の投資が必要になったこと。
エネルギー効率の壁: 記事でも触れた通り、電気から水素を作り、さらにCO2と合成して燃料にする工程は非常に効率が悪く、現状では「作れば作るほど赤字」という状況です。
戦略のシフト: ENEOSは「ゼロからの自社製造」よりも、より現実的な「バイオ燃料(SAFなど)」や、既存の製油所ネットワークを活かした供給体制の整備にリソースを集中させる方向に舵を切りました。
2. 自動車メーカー(ポルシェ・トヨタ)の動き
一方で、ポルシェやトヨタ、マツダなどの自動車メーカーは、依然としてe-fuelを「内燃機関(エンジン)を生き残らせる唯一の希望」として推進しています。
ポルシェ: チリにある実証プラント「Haru Oni」で、風力発電を利用したe-fuelの生産を継続しています。すでにレース車両などで使用を開始しており、富裕層向けのスポーツカーにおいて「エンジン音を残しつつ脱炭素する」手段として実用化を急いでいます。
トヨタ・マツダ・スバル: 日本国内のスーパー耐久レースなどのモータースポーツを「走る実験室」として、バイオ燃料や合成燃料を実際に混ぜた燃料で完走する実績を積み上げています。
3. 合成燃料の「最新の立ち位置」:2026年現在
現在、e-fuelは「魔法の燃料」から「超高級なニッチ燃料」へと現実的な位置付けに落ち着きつつあります。
ENEOSが「自社での大規模製造」から距離を置いたのは、民間企業として「今のコストでは採算が全く合わない」という冷静な判断を下したためです。
しかし、航空業界や大型船舶、そしてエンジンを愛するスポーツカー市場にとっては、他に代えがたい「命綱」であるため、技術開発そのものが止まったわけではありません。今後は、政府の補助金や国際的な枠組みの中で、「どれだけコストを下げられるか」という長い戦いに入っています。
ドリーム燃料の「リッター14円」というばかげた夢のような話とは対照的に、現実は「いかにして今の数百円から、ガソリン価格まで引き下げるか」という、非常に厳しい地道なフェーズにあります。
他国はどうか?
欧米諸国においても、ENEOSが直面したのと同様の「コストの壁」は非常に高く、2026年現在の状況は「理想を掲げた熱狂期」から「現実的な生存戦略期」へと移行しています。
欧米での最新状況を「政治の駆け引き」と「ビジネスの動向」に分けて整理します。
1. 欧州(EU):政治的な「大逆転」と妥協
欧州では、2035年にエンジン車の新車販売を実質禁止する予定でしたが、2025年末から2026年にかけて大きな方針転換がありました。
エンジン車禁止の緩和: ドイツやイタリアといった自動車大国の強い要望により、「e-fuel(合成燃料)を使うことを条件に、2035年以降もエンジン車の販売を認める」という例外規定が事実上確定しました。
「90%削減」への後退: 当初は「100%排出ゼロ」を目指していましたが、現実的には厳しいとして「2021年比で90%削減」に目標を緩め、残りの10%をe-fuelやバイオ燃料で相殺することを容認する動きが出ています。
背景: 急速なEVシフトによって、欧州の自動車メーカーが安価な中国製EVに市場を奪われることへの危機感(雇用喪失への恐怖)が、この「エンジン延命策」を後押ししています。
2. 米国:現実的な「選択肢の保持」
アメリカでは、大統領選や政権の動向によってエネルギー政策が揺れ動いていますが、一貫しているのは「技術の中立性」です。
「HIF Global」の台頭: ポルシェも出資する「HIF Global」社が、チリだけでなくアメリカ(テキサス州など)でも大規模なe-fuelプラントを計画しています。アメリカは土地が広く、風力や太陽光が安価なため、「日本で作るより、アメリカや南米で作って輸入した方が安い」という構造が鮮明になっています。
「SAF(航空燃料)」への集中: 乗用車よりも、電気では飛ばせない「航空機」向けの合成燃料(e-SAF)に、巨額の補助金(インフレ抑制法など)を投じています。
結論:日本が置かれている状況
あなたが仰る通り、ENEOSが国内製造を断念(延期)したのは、「日本国内でわざわざ高い電気を使って作る合理性がない」と判断したからです。
現在の世界のトレンドは、「石油が出る場所から買う」のではなく、「風や太陽が強い場所(南米や豪州など)でe-fuelを作り、それを輸入する」という新しいエネルギー争奪戦に変わっています。
日本企業(トヨタや三菱商事など)も、国内での製造よりは、海外の巨大プラントに出資して「将来の供給枠を確保する」という、国家間・企業間の囲い込み合戦に注力しているのが、2026年現在のリアルな姿です。
夢を見るのが人間。見ないのがAIなんですねぇ。
↓長いのでおまけ扱い(笑)
しかし、AIに「恐ろしい」と言わせる中国って・・。
1. 中国の表面上の顔:圧倒的な「EV・水素特化」
中国が世界に示している顔は、間違いなくEV(PHEV含む電気自動車)です。
EVの覇権: 世界のEV生産・販売の過半数を占め、バッテリーの原材料から製造までを独占しています。
ただグリーン水素・メタノール投資も同時に行っており、最近では「グリーン水素」や、それを使った「グリーンメタノール」の生産設備に巨額の投資をしています。吉林省などでは世界最大級のプラントが稼働し始めており、これを大型船舶や長距離トラックの燃料にする計画です。
2. 裏の顔:石炭ベースの「人工石油」
ここが中国の面白い(そして恐ろしい)ところです。中国は世界最大の石炭産出国であり、「石炭を液体燃料に変える技術(CTL: Coal to Liquids)」に関しては、世界で唯一、巨大な産業として成立させています。
石炭からガソリンを作る: 欧米が「空気中のCO2」という薄くて集めにくいものを相手にしている間に、中国は自国の豊富な「石炭」を化学反応させて、ガソリンや軽油、化学製品を大量生産しています(2026年現在、年間数億トン規模)。
目的は「エネルギー安全保障」: 万が一、ホルムズ海峡が閉鎖されて石油の輸入が止まっても、自国の石炭を液体燃料に変えれば国が動く状態を作っています。これは冒頭の記事にあった「産油国になれる」という構想を、石炭という力技で実現している形です。
3. 合成燃料(e-fuel)に対する中国のスタンス
中国にとって、日本や欧州が追求する「CO2+水素」のe-fuelは、「将来の輸出商品」の一つに過ぎません。
二段構えの戦略:
国内向け: EVを普及させて石油消費を減らし、残りの大型車両や緊急用は「石炭由来の燃料」で賄う。
海外向け: 欧州などが「e-fuelしか認めない」と言うのであれば、中国の安価な再エネ電力で作ったe-fuelやグリーン水素を「輸出して儲ける」。
まとめ:中国は「燃料」を諦めていない!
中国は「燃料を使わないEV特化」に見えますが、実は「最も効率よく、かつ泥臭い方法で液体燃料を確保している国」でもあります。
日本・欧州: 物理的・環境的にクリーンな「e-fuel」にこだわり、コストに苦しんでいる。
中国: EVを最優先にしつつ、裏では自国の「石炭」を徹底活用して人工的な石油を作り、さらに将来の輸出用として「e-fuel」の設備も整えている。
中国にとっての「合成燃料」は、ロマンや夢ではなく、「国家を維持するためのリアルな手段」であり、他国へ売るための「工業製品」なのです。
中国のこの「冷徹なまでの現実路線」を見ると、日本のe-fuelは、コスト競争において非常に厳しい戦いを強いられることが予想されます。
Posted at 2026/04/10 10:05:44 | |
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