
ネットの反応やマスコミ(自動車雑誌を除く)の報道を見ていると、主にトヨタが進める水素エンジン車と水素燃料電池車を混同して話されたり、語られている節が見られます。
そこらのあたり、私もEV入門者なので一緒に勉強していきましょう(笑)
FCEV(フューエルセル・エレクトリック・ビークル 燃料電池車)は、電動車の仲間であり、その構造は単純に言えば、動力はモーター。バッテリーとエネルギー発電装置である燃料電池を搭載。その燃料電池のエネルギー源が酸素と水素。です。普及にあたっては、今の状況では水素生成時に大量に排出するCo2排出の問題のクリアとインフラさえ整えば、(今日現在のバッテリーでは)バスや、トラックなどには向いているのかな、と思います。
東京ではフューエルセルバスもよく見かけるようになってきました。

その肝心なインフラですが、2024年9月11日時点で、水素ステーションは首都圏、中京圏、関西圏、九州圏を中心に157カ所。
対して、ガソリンスタンドは全国まんべんなく27,414カ所(給油口数は不明)、EVの充電場所もトヨタのHPによれば
「レクサス・トヨタ販売店4,000店舗以上の急速および普通充電器に加え、全国約22,000口の充電ステーションネットワークのご利用が可能です」
及び、各家庭数十万件で給電可能(笑)
水素の補給については、自分の生活圏、生活環境では、なんとかなりそう(1.5ヵ月に1回補給)だったので、トヨタ・ミライも一時期検討しましたが「来なかったミライ」で取り上げたとおり、縁はありませんでした。
そして今は、ガソリンスタンドすら面倒なのに(笑)ましてや水素ステーションは稼働が安定していないようで、自宅充電に慣れてしまうと(今のインフラでは)水素はないなぁ、と思ってしまいます。

でも、車としては興味は失せていません。クラウン・セダンのFCEVなんて、ノーマルのクラウンに比べてエンジンとマフラーがなくコンフォート。その上EVよりも多額な補助金がもらえます。東京ならガソリン車よりも安く購入できますし。
そんなインフラ状況ではありますが、先日の「JAIAカーボンニュートラル促進イベント in 東京」では、燃料電池車においてトヨタと組んでいるBMWと、独自技術でしょうが、ヒョンデが燃料電池車を展示していました。
まずBMW iX5 Hydrogen 航続可能距離は504km 最高出力295kW(401ps)水素タンク6kg

BMWは水素エンジンを早くからやっていましたが、どうやら、水素エンジンには、いったん見切りをつけたようです。
BMW AGのオリバー・ツィプセ取締役会長(CEO)の発言を要約すると
①2007年にHYDROGEN 7をお披露目した時点では、水素エンジンに大きな可能性やポテンシャルがあると信じていた。②しかし、ここ数年EVの生産台数が飛躍的に増加したことに伴い、FCEVの方がコストダウンを図れる状況となった。ご存じのとおりパワートレインはEVのハードウエアとソフトウエアの大部分を共有できる。よって、FCEV専用のパワートレインの開発や生産の必要がなくなったのは大きい
③エネルギー効率もある。同じ量の水素を使った場合、水素エンジンよりも燃料電池のほうがずっと効率がよくて、航続距離も長くなる。このiX5は燃料電池の補助的役割として駆動用バッテリーも積んでいるので、電費はさらに稼げる。
④しかし、我々は「もう2度と水素エンジンの開発はやらない」と言っているわけではない。ただ現時点の総合的観点においては燃料電池が最適と判断している
ヒョンデ・ネッソ 全長×全幅×全高=4670×1860×1640mm
水素タンク容量は156.6リッターで航続距離は820km。
日本では776万8300円。CEV補助金が215万5000円 561万3300円 東京都なら更に110万円で、450万8300円 トヨタならさらに補助金10万円上乗せなので、しっかり国産車優遇ですね。

今日の主旨からはどうでもいいですが(笑) ドアノブは格納型。

水素価格は、イワタニが1キログラム当たり1,650円。エネオスが2,200円。
トヨタのHPからですが、
「クラウンの水素タンク容量は141Lで、約5.6kg分の水素を貯蔵可能です」
とありますから、156.6リッターは141の1.11倍。なので5.6kg×1.11=6.22kg
合ってる?(笑)
お値段が安い方のイワタニで計算すると、満タンで10,263円。仮にカタログ値820km(←私はEV以外には甘く、優しいのだ(笑))として、1km=12.51円 170円=13.59km
イワタニの方でこの燃費。・・エネオスでは補充できませんな(笑)コスト面からエネオスを避けるとなると、もっと選択肢が狭まり、東京↔青森なんてのは、綿密に下調べが必要です。いや、長距離は仮にエネオス入れても綿密なリサーチ必要ですがね。
ちなみにクラウンFCEVは141リッターで820Kmですから、燃費はトヨタの方が少し上ですね。
さて、FCEVは、走行中は二酸化炭素を排出しませんが、水素生成においては課題が残っています。現状の課題と方向性について簡単ですが調べてみました。
簡単にまとめると、現在は水素生成においては、二酸化炭素排出レベル大。パリ五輪でFCEVを供給したトヨタが叩かれていたのもこれが原因ですね。
つぎに、水素生成の内訳ですが、比較的安価なブラック/ブラウン水素で20%。二酸化炭素排出レベル中。コストも安価なグレー水素が60%。現状は、この2大生成方で生み出された水素で80%を占めている、と言う感じで、今後、コスト高を乗り越えてブルー水素、グリーン水素、ターコイズ水素、ゴールド水素に進んでいく、と言う感じでしょうか。
ブラック水素/ブラウン水素
ブラック水素は石炭。ブラウン水素は褐炭 (亜炭) を使用した伝統的な製造方法で生成される水素。これらの製造過程では、大量の二酸化炭素と一酸化炭素が大気中に放出されてしまう。しかしながら国際エネルギー機関 (IEA) の調査では、いまだに全世界の水素生産量のうち約20%をこれら石炭由来の水素が占めている。
グレー水素
天然ガスを原料とする水素。IEAによれば、現在最も一般的な製造方法で作られる水素であり、その生産量は全世界の約60%にのぼる。このグレー水素の製造過程では、ブラック水素やブラウン水素に比べれば、二酸化炭素の排出量を抑えることができる
ブルー水素
製造方法はグレー水素と全く同じ。ただし、ブルー水素は、生成時に発生した二酸化炭素を大気中に排出することなく、回収する。回収された二酸化炭素は、安全な場所に貯蔵されるか、あるいは、産業目的で原料として使用されるため、大気中に二酸化炭素を排出することはない。さらにブルー水素は大量生産が可能というメリットもあり、世界の脱炭素化を支える存在として今後の活躍が期待されている
グリーン水素
製造には、水を電気分解することで水素を取り出す方法を用いる。その中でも特に、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使って電気分解したものを区別して、グリーン水素と呼んでいる。製造過程で炭素が一切生成されないため、最も理想的な水素といえる。デメリットは、大量生産に向かないことから高価で取引されている(そのような状況を打開すべく、世界で約350ものプロジェクトが進行中)
イエロー水素
グリーン水素のうち、太陽光発電によって得られた電気を利用して生成したものをイエロー水素と呼ぶ。
ピンク水素
グリーン水素のうち、原子力発電によって得られた電気を利用して生成したものをピンク水素と呼ぶ。(パープル水素やレッド水素と呼ばれることもある)
↑このイエロー、ピンクの2つはグリーン水素でいいんじゃね(笑)
ターコイズ水素
製造過程で、炭素化合物を一切排出しないグリーン水素と、製造過程で発生した二酸化炭素を産業利用するブルー水素、両方の特性を併せ持っているのがターコイズ水素。具体的にはメタン熱分解と呼ばれる方法を用いており、天然ガスのメタンを水素と固体炭素(カーボンブラック)に分解して生成されたものを指す。副産物であるカーボンブラックは、これまでも自動車のタイヤやコーティング剤、バッテリーなど、産業用途で幅広く重宝されてきた原料。
ホワイト水素
地下の堆積物中で自然に生成された水素。以前からその存在は知られていたが、近年、これまで推定されていた以上の水素が地中に眠っていることが確認された。西アフリカのマリ共和国では2012年から、地中に眠るこの水素を活用しており、ブラジルやオーストラリアといった資源国が地中水素の活用に乗り出している。
①コストパフォーマンスも非常に高く、水素のなかでも安価で取引されているグレー水素を下回る1 kgあたり1ドル以下になるとされている。
②地中に大量に貯蔵されており、かつ、より廉価で生産できるホワイト水素。ただし、採掘にあたって環境に及ぼす影響についてはまだ未知数。
ゴールド水素
枯渇した油井内の微生物を発酵させることによって生成される、天然に存在する水素。ゴールド水素が活用されれば、安価な水素供給の手段が増えるだけではなく、本来であれば座礁資産として放置される可能性のある油田の寿命を大きく延ばすことができる。ただ、ゴールド水素の製造および抽出プロセス、コストは二酸化炭素回収法に依存する。
水素と合成燃料については・・次の項で。
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BEV入門 | クルマ
Posted at
2024/11/20 13:50:04
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