ALPINAは何が"ALPINA"なのか？

ショックはベース車両のままでスプリングのみがアルピナオリジナル（スプリングにALPINAのレタリングが入っています）だということが判明したF30ベースのB3 Biturbo。じゃあ、アルピナって一体どの部分がオリジナルなの？という点についてALPINAパーツカタログを元に検証してみました。本来ならF30のB3 Biturboのパーツカタログがあればよかったのですが、残念ながら手に入らなかったので先代モデルとはなりますがE90のALPINA D3パーツカタログを今回は使用しました。このD3、車体に関しては320d、エンジンに関してはM47D20 TÜ2 OLがベースとなっています。


アルピナに使われる部品は大きく分けて3種類あります。ベースとなった車両そのままの部品・BMW純正部品だけど他グレードからの流用品・アルピナ独自の品番を与えられたオリジナル部品、です。これら3種のパーツの内、カタログに記載されているのはアルピナ独自部品と一部を除く流用部品です（通常BMWの部品には11桁の番号が与えられていますが、後付の特殊部品やツールなどには7桁の番号が与えられます。アルピナのオリジナル部品は全て7桁の番号になっています）。

ということでちょっと見て行きましょう。

＜エンジン＞
ターボチャージャー本体・オイルのサプライとリターンパイプ・オイルホースがアルピナオリジナルです。ガスケットやシールリングは330dからの流用品。インテーク周りはほぼすべてがアルピナ製。もちろんDMEもアルピナオリジナル。冷却系はウォーターホースのみオリジナルでラジエーターやインタークーラー・冷却ファンは330dなどの流用品。B3Sあたりではクランクケースからヘッド周り、ピストンにカムシャフト、インテークからエアボックスに至るまで全てアルピナオリジナルなんですが、D3のエンジンに関しては少し手が入ったという程度ですね。


＜排気系＞
エキゾーストはほぼ全てオリジナルで一部のセンサーのみが流用品。

＜足回り＞
基本的に流用品。スプリングはオリジナルかと思いましたがオプションコードSA226（要はMスポ）を必須装備として各々スプリングテーブルで品番を出せとあるのでなんとこれも流用品の可能性が高いです（アルピナオリジナルを使用する46B3の場合はちゃんと品番が記されています）。興味深いことにフロントスタビライザーはアメリカ向けガソリン6気筒車両のスポーツサス装備車両のモノを流用しています。このスタビは320d標準スタビとメイン径が同じ26.5mmなんですが、おそらく形状が微妙に違うんでしょう。なのでスタビの効き自体もほんの僅かしか違いはないはずです。ちなみにBMW Performanceの後付キットに含まれるものと同一品番。リアスタビやアッパーマウントについては何も記載がありません。ただし、アルピナのパーツカタログには流用品に関してはパッと見で判別しにくい部品のみ記載するという注意書きがあるので、記載がないからといって320dのものをそのまま使用しているとは限りません。

＜その他＞
何故かエアコンのプレッシャーパイプとクランプがオリジナルw
もちろんメーターやらホイールやらウッドトリムなどはオリジナル。面白いのは室内にあるプロダクションプレートとその台座にもちゃんと品番があること（当たり前か）。D3のプレートは7600322。



D3に関して全般的にオリジナル部品は思ったよりも少ないなというのが感想ですね。エアロや内装品などを除きエンジンや足回りなどでアルピナオリジナルの品番を与えられたパーツはわずか23点しか有りません。同じ3シリーズベースでもE46のB3Sなどはドライブシャフトまでアルピナ製になるなどかなりアルピナオリジナル度が高いんですが、BとDの違いがあるとはいえ、E9xともなるとベース車両の完成度が高いので手を入れる余地がそれほど残されていないということなんでしょうか。そうなるとF3xベース車ではほとんどオリジナリティがなくなってきてるというか、ひょっとすると335のファインチューニング車みたいな位置付けになっちゃってるのかもしれません。とはいえ、スタビの選択に見られるような「ほんの僅かな違いが絶妙にバランスがとれた状態で積み重ねられている」点にALPINAの繊細さの秘密がありそうです。

あ、余談ですがE46のB3Sって330iがベースなんですが、なんとエンジンはE36M3 USスペックのS52B32エンジンがベースなんですね（B3Sのパーツカタログにはっきりと書かれています）。初めて知りました。アメリカ仕様とはいえMのエンジンをベースにアルピナがチューニングしてたなんて俄然46系B3が欲しくなってしまいましたwwww