オルタネータ締結ボルト折損による交換　車にも意志があるのかもしれない

自分への覚書(当時のブログより)


深夜、友人を家に送リ届ける途中ににビンちゃん(86)が止まった。

その夜、ビンちゃんでドライブに行った。
終電の無くなった友人を途中で拾い、家まで送り届けるつもりだった。

友人をピックアップして直ぐに、ビンちゃんに異変が始まった。ビンちゃんはエンジンのＯＨをしてから、ファンベルトを増し締めしていなかった。ファンベルトが時々キュルキュルと滑り始めているのは知っていたが、この音が次第に大きくなり始めていた。

普段は海岸伝いの景色の良い道を通るのだが、友人を送り届けることを第一優先で考え、高速を使い急ぐことにした。

高速に乗り始め、ビンちゃんの異変は激しくなった。チャージランプがつき始め、エンジン音にざらつきが入り始めた。ベルトが滑りオルタネータが発電していないのかも？っということは、バッテリーの容量だけが頼り・・・。

安全を取り、高速を降りた方がよいのか？
しかし、もう電車は無い。
それとも、家まで辿り着けるか？
バッテリーなら時間が勝負のはず。モッて２０分。後は勘。

私は、エンジン回転数を一定にして、行ける所まで高速を使うことを選択した。距離は２０㌔弱。
チャージランプの点燈はドンドン頻繁になる。友人に不安感を持たせたら気の毒である。

もう直ぐ目的のインター。
ラジオが消えた。
インパネが消えた。
もう断末魔だ。

インターを降りれた！前照燈以外の全てのスイッチを切った。ここからなら、家はもう眼と鼻の先。

深夜の道は空いている。できるだけエンジンに負担を掛けずに走った。そして、もしエンジンが止まっても惰性を使って路肩に移動できるように配慮した。

あっ、目の前の信号が赤になった。クラッチを切ったら、止まる・・・。
ビンちゃんのエンジンは静かに鼓動を止めた。そして、車は何事もなかったように路肩に整列して止まった。友達は未だ、事の次第が判ってない。

友人に事情を話した。

漸く事情を理解した友人は、自宅まで歩き始めた。友人の家までは５分と掛からない距離。

任務完了

任務を終えた８６と私は、暗闇でユニックの到着を待った・・・。

車にも意志があるのだろうか、不思議に思った出来事でした。

オルタネーターとＶベルト（Ａ；折損、Ｂ；ﾅｯﾄ欠落)


停まった理由は、オルタネーター（発電機）を車両に締結しているボルト（Ａ）の折損でした。締結ボルトは２本ありますが、上側（Ａ）は折れ、下側（Ｂ）は留めている受け側のナットが外れ、ボルトが刺さっただけの状態でした。オルタネーターは刺さったボルトに、ぶら下ってるだけの状態でした。

オルタネーターは、V型のベルトでエンジンの主軸やファンと繋がっていることで、発電しバッテリーの充電やエンジンの発火する電気を発生する部品です。先程のボルトが折れたことで、ファンも発電も出来ず、バッテリーに蓄えられた電力だけで２０㌔を走ったことになります。
折損したボルトの破断面を観察すると、ネジの谷部から亀裂が進展した疲労破壊と推定されます。きっと、エンジンをオーバーホールしてトルクが上がったこと、ラフなアクセルワーク、部品自体の疲労、増し締めの不足と推定されます。