裁判所に提出した書面です。
誤字脱字を含め個人情報に関わることを除き同じものです。
平成31年(ワ)第○○号 損害賠償請求事件
原告 非純正銀2色
被告 ○○○○○○○○保険株式会社
原告準備書面(7)
令和元年12月24日
某地方裁判所 御中
原告 非純正銀2色
被告第4準備書面およびこれまでの被告の主張を踏まえ、以下のとおり主張を行う。
第1 損害確認報告書の作成
1.損害確認報告書について
損害確認報告書(以下「報告書」という)とは、原告準備書面(6)に示したように保険会社の非弁行為を回避するため、日本弁護士連合会と日本損害保険協会との覚書(以下「覚書」という)に基づき、被告契約弁護士の指示の下で被告子会社のアジャスターが事故の状況や損害額等の事故調査や示談交渉を行い、その結果を契約弁護士に報告する書面の被告社内での呼称である。このため、乙第3号証の宛先は被告および弁護士となっており、被告の契約弁護士は、この書面に署名押印する必要がある。
2.主張の一貫性と根拠の欠如
被告は報告書を作成しなかった理由として、被告第2準備書面において「原告が被告に対し自動車保険の対物賠償保険を使用する意思を示さなかったため」としていたが、原告が原告準備書面(4)で契約約款記載内容との齟齬を、原告準備書面(5)で原告が被告の主張する作成要件を原告が満たしている事を指摘すると、被告第3準備書面および被告第4準備書面では「保険会社が必要と判断した場合に作成する」と主張が変遷しており、一貫性がない。
また、その主張についても、原告が根拠となる法令や指針、覚書、契約約款等を示しているのに対し、主張の根拠となるものを何ら示していない。
3.報告書作成の必要性
被告は「保険会社が必要と判断した場合に作成する」としているが、契約約款に示されている「2.事故発生から保険金のお受取りまでの流れ」において、「損害確認・原因確認」で「事故の相手方の損害や契約者車両の損害状況を確認し」、「経過報告」で「損害確認・原因確認の結果を報告する」ことや「相手方がいる場合、示談の経過・結果を報告する」と記載され、被告には契約に従って契約者に報告する義務が発生する。報告を行うためには覚書に従い報告書を作成する必要があり、注意事項として示談交渉が出来ない場合の除外規定は記載されているが、「損害確認・原因確認の結果を報告する」ことについての除外規定は一切無い(甲13)。
損害確認のためには、損害額および賠償額の算定のために被害者、加害者双方の車両について修理見積額や残存価値等を調査し、原因確認のためには、どの様な状況で事故が発生したか被害者、加害者双方の車両について調査する必要がある。契約約款の「2.事故発生から保険金のお受取りまでの流れ」は、この事を踏まえた表現となっており、このことで、事故の訴訟においてI氏側が自車の見積書等の調査書類と原告車両の報告書を提出できたと思料する。
また、被告の原告側部門とI氏側部門は示談交渉を行なっており、損害確認・原因確認の結果に加え、示談の経過・結果を報告するために報告書を作成する義務がある。
4.被告の対応
被告は「2.事故発生から保険金のお受取りまでの流れ」や覚書に従い、契約弁護士およびアジャスターにより報告書を作成する義務が発生する。被告の主張に基づいたとしても、平成29年12月20日までは、原告とI氏の立場に違いは無かったことから、I氏の報告書の作成状況に照らし合わせれば、原告についても少なくとも作成途中である必要がある。
また、I氏が反訴を行った平成30年4月6日以降は、契約約款第1章第5条(1)に従い、被告は原告に協力する義務が発生する(乙第3号証)。
I氏側に報告書の提供を行う一方で、原告側の立場での原告車両およびI氏車両の報告書を「そもそも存在せず、作成する必要もない」との根拠のない被告主張は、明確な契約違反および利益相反行為である。
第2 社内組織の分離と示談交渉
1.損害額の提示について
被告はI氏側担当者から原告側担当者に提示された損害額を提示したとしているが、原告は原告側担当者から「原告車両損害額の査定結果」として伝えられている。被告の主張に基づく賠償額の提示ならば「I氏側からの提示額である」との説明が必要であるが、原告側担当者からその様な説明は一切なく、被告ホームページに記録された事故対応状況にもその様な記載は一切ない(甲12)。
事故対応状況から読み取れるのは、被告の原告側部門とI氏側部門が報告書の内容を確認し、その内容を共有したと言うことである。
2.非弁行為および非弁提携について
第1の3.で示したように、報告書は賠償額についてだけでなく、示談交渉の経過についても報告するものでもある。被告の原告側部門とI氏側部門は示談交渉を行なっており、「そもそも存在せず、作成する必要もない」との被告の主張に基けば、被告は覚書に基づく対応を行っておらず、非弁行為を行ったことになる。
また、原告は保険代理店を通して無過失の主張を被告に伝え、被告は平成29年12月20日にはこのことを認識している。このため、以降は被告の原告側部門は事故の示談交渉での当事者となれず、示談交渉を行うと、弁護士法第72条に反し非弁行為を行ったことになる。このため被告の「I氏側担当者からの提示額である」との主張に基づけば、被告の原告側部門とI氏側部門が示談交渉を行っており、被告は非弁行為を行ったことになる(甲12)。
これに加え、事故の訴訟および本訴訟の代理人であるW弁護士は、非弁行為を行った者の紹介により代理人となっており、W弁護士は弁護士法第27条に反し、非弁提携を行ったことになる。
なお、被告の原告側部門と被告側部門の示談交渉は、その後も複数回続いていた(甲12)。
3.被告のこれまでの主張について
被告は、I氏側に報告書の提供を行う一方で、原告側の立場での原告車両およびI氏車両の報告書を「そもそも存在せず、作成する必要もない」と重ねて主張している。
このことを踏まえ、被告のこれまでの対応や主張を整理すると、以下の理由により、被告がそもそも社内組織の分離を行っていないことが導き出される。
これまでの準備書面や第1の3.で示したように、被告は事故対応にあたって契約者の自車および事故相手の車両の損害確認・原因確認および示談交渉の経過についての報告書を作成する義務がある。また、事故の被害者と加害者が共に自社の契約者であった場合は、関連する法令や指針、覚書に従い社内組織を分離し、被害者、加害者それぞれの立場で同様の報告書を2種類4車両分を作成する必要があるが、報告書を作成した契約弁護士とアジャスターが誰であるか等、担当者以外の社内組織の分離状況を契約者が知る手段は無い。
一方で、1種類の報告書で被害者、加害者双方の車両の事故の状況や損害額等がわかるため、別々の立場で作成せずとも、報告書を社内で共有することで示談交渉にあたることが可能であり、調査に掛かる費用も半分で済む。
つまり、被告は契約者が社内組織の分離状況を確認出来ない事を利用し、自らの利益を優先することで窓口担当者以外の社内組織の分離を行なわず、契約に基づく原告側の対応を行わないことで被告側の報告書しか作成していないため、原告側の報告書を「そもそも存在せず、作成する必要もない」と主張していることになる。そして、このことで原告に対し、被告は契約違反および利益相反行為を、報告書の作成にあたったI氏側の契約弁護士及びアジャスターは利益相反行為を行ったことになる。
しかし、事故の訴訟においてI氏側がI氏側部門による原告車両の報告書を書証として提出した一方で、I氏車両についての報告書は提出されず、根拠資料となる見積書および写真のみが提出されている(乙第2、4、5号証)。
このことを踏まえると、被告の「そもそも存在せず、作成する必要もない」との主張は事実と異なり、被告は契約約款等に基づき、原告およびI氏のそれぞれの立場での被害者および加害者車両の計4車両の報告書が必要であるところを、それぞれの立場での加害者車両の2車両の報告書のみを作成し、社内で報告書を共有していたが、I氏側部門によるI氏車両の報告書が存在しなかったため、事故の訴訟では根拠資料のみを提出したと思料する。そして、このことで被告は原告およびI氏に対し契約違反および利益相反行為を、原告およびI氏の報告書の作成にあたった契約弁護士及びアジャスター計4名は利益相反行為を行ったことになる。
このことに基づけば、事故の発生から本訴訟までの被告の対応や主張を矛盾無く説明可能である。
第4 総括
以上のことから、被告が契約違反および利益相反を行ったのは明らかである。
これに加え、各証拠や被告の主張、関連する法令等に基けば、被告は窓口担当者以外の社内組織の分離を行っておらず、被告は原告のみならずI氏に対しても契約違反および利益相反行為を、原告およびI氏の報告書の作成にあたった契約弁護士およびアジャスター計4名は利益相反行為を行っている。また、被告は非弁行為を、代理人であるW弁護士は非弁提携を行っており、これらのことについて司法の判断を求める。
以 上
Posted at 2019/12/21 23:39:45 | |
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