『クリスマスの約束 2019』
12月25日(水)
深夜24時10分 放送
TBS
2001年から2017年まで続いていた、小田和正さんのプロデュースする『クリスマスの約束』が今年は復活します。明日の夜、深夜ですね。
『クリスマスの約束』といえば、2001年の第1回目の企画が難産だったことを印象深く覚えています。
特に山下達郎さんから断られたことは、小田さんにとっても心残りだった様子で、その後も何回にも渡って、このくだりが説明されることになりました。
2001年10月、小田はSMAP、福山雅治、桑田佳祐(サザンオールスターズ)、松任谷由実、宇多田ヒカル、桜井和寿(Mr.Children)、そして長年「犬猿の仲」と言われた山下達郎の7組に出演依頼の手紙を書いた。
【出演依頼の手紙】
『前略
突然の勝手な手紙を出す無礼をお許しください。TBSから、現在、ある音楽番組をやれないか、という打診がありました。そして考えました。自分の歌を歌えばファンの人は喜んでくれるだろうけれど、それは目指すものではなさそうだ。そして、さらに考えました。僕等のような音楽をやって来た者にとって、今、大切な事は何だろうと思ったのです。それは同じ時代を生きてきて、音楽を創った人達を認め、愛し、尊敬することなのではないだろうかと。それをこの番組で表現できないかと。それなら引き受けてみようと。これは、僕の主観でやろうとしている番組です。偏見を承知で、批難を覚悟の上で、無数にある名曲から一方的に7曲を選びました。時代を創ってきた素敵な音楽達を。それで、あなたの曲をその一曲に選ばせてもらいました。
随分と前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。この曲を一緒に演奏してもらえないだろうか?というお願いの手紙だったのです。これは、あいつがだめだったらこいつという企画ではないし、もし残念ながら、あなたの不参加が決まったら、自分ひとりで演奏するつもりで望んでいます。アーティスト同士が直に触れ合うことで進んでいける場所がある。音楽としても、音楽という文化の確立としても。そう信じています。それが見ている人に伝わるように全力で尽します。たとえ出演を断られたとしても、あなたへの尊敬の気持ちは些かも変わりません。秋も深まるばかり。風邪などひかぬよう、充実した活動を続けてください。
— 2001.10.5 小田和正』
結果的に依頼した7組の番組出演は実現しなかったが、後に福山と山下から丁重な返事の手紙(福山と山下からの手紙は後述)が届いたほか、宇多田は父親の宇多田照實から届いた出演辞退の手紙と後日小田のもとを訪れたことを番組内で紹介した。さらに放送翌日には桜井からの手紙が届いたことを同年12月29日にTBSラジオで放送された番組『もうひとつの約束』のエンディングで小田がコメントしている。
【演奏曲】
言葉にできない / 小田和正
夜空ノムコウ (SMAP) / 小田和正
桜坂 (福山雅治) / 小田和正
演奏前に俳優出身である福山に対し役者が歌を歌う事に小田自身が偏見があったこと、曲を聞き偏見はいけないと思ったことを語り、その後福山からの手紙を一部紹介した。
『小田さんが、この曲をとりあげてくださるということ、感慨深く受け止めました。この曲が今までになく、多くの人に聴かれ、歌われたという事実。それは若輩者の僕にとって、本当に嬉しく、そして、小田さんからのお誘いで、そのことを再認識することになりました。やはり、この楽曲は僕にとって大切な存在なのだと改めて実感しています。お誘いにお応えする余裕が全くないというのが、今日この頃の僕です。本当に申し訳ありません。残念なお返事をさしあげなければならないことを心苦しく思っています』
勝手にシンドバッド (サザンオールスターズ) / 小田和正
真夏の果実 (サザンオールスターズ) / 小田和正
「彼等の作品の中で一番好きな曲」とコメント。
ひこうき雲 (荒井由実) / 小田和正
1回目の収録では、歌い出しでつまずいた小田が「クソーッ!」と叫ぶシーンがあったが、2回目で無事歌いきった。
春夏秋冬 (泉谷しげる) / 小田和正
泉谷には“依頼すれば、必ず来るだろうから”と、出演依頼はなかった【笑っちゃいますよね。そういうツッコミが許される仲なのでしょうね】小田の「同じ時代に生きてきたものとして敬意を表して」との意向で演奏。
さよなら / 小田和正
番組スタッフから「この曲だけは必ず歌ってほしい」と要請があった曲。
Automatic(宇多田ヒカル) / 小田和正
Tomorrow never knows (Mr.Children) / 小田和正
【演奏前に紹介された山下からの手紙】
『前略 小田和正様
ご丁寧な直筆のお手紙をいただき、ありがとうございました。小田さんをはじめ、TBSのスタッフの皆様方の番組に対するご趣旨は十二分に理解いたしておりますが、いかんせん、私はこれまでテレビの番組というものに一度も出演したことがありません。二十年程前にCM[注釈 11]に一度、レコード大賞の授賞式に二度程[注釈 12]出ましたのが、私のテレビ出演のすべてであります。もともとはご縁がなかった上に、キャリアが加わって、今では、テレビメディアとの関係は、完全に音楽的な部分のみとなっており、こうなりましては、今さらどうにもなりません。
小田さんをはじめ、諸先輩が今なお堂々たる現役としてご活躍されているということは、私のような者にとりましては大きな励みであり、目標でもあります。従いまして、小田さんのおっしゃる「アーティスト同士が認め合う」という発想にも十二分、共感できますし、できますなら何かお手伝いさせていただければとも思うのですが、こういうときにはいつも申し訳なく感じております。
もともとこの曲は、オフコースに触発されて作ったものです。青山のアパートの一階がオフコース・カンパニーで、二階に私の所属事務所があった時代でした。あの頃は私も30歳になったばかりのとんがった盛りでした。バンドで挫折した私にとって、オフコースはとても重要なライバルで、敵(失礼!)がバンドのコーラスなら、こっちは一人でとか、そういったしようもないことを若気の至りでいろいろと考えたものでした。長い時を経て、小田さんにこの曲を歌っていただける時代になったとは、本当に感慨無量です。今後とも一層のご活躍を陰ながらお祈り申し上げております。まずは取り急ぎお詫びならびにご挨拶申し上げます。
草々
— 2001年10月20日 山下達郎』
クリスマス・イブ (山下達郎) / 小田和正
この手紙が小田のもとに届いた直後、「こういう手紙はもうとっても、主役に近いものだと思う。時を超えて、達郎がこの歌を歌ってくれるのは感無量だった、っていう。なんか、憎しみ合ってる、みたいなとこあったからね(笑い)。だからこの手紙は、番組に出てくれたのと同じくらいの価値がある」とコメントし、小田が手紙を披露した際、「前略、小田和正様」の後に「俺だ!」と文言を入れている。実際の原文にあったか否かは不明だが、長年、公私にわたり「犬猿の仲」とされていた小田と山下の関係が端的に表現され、客席からは爆笑が湧いた。演奏後小田は「あとで何を言われるかわからないけど、きっと達郎のところにも届いたと思います」とコメントした。サブタイトル「きっと君は来ない」は、この曲からの引用。
Yes-No / 小田和正
演奏前に「自分の曲もやらなきゃいけないと思って、もう少し付き合ってください」とコメント【こちらも会場に笑いが起きていましたね】
ラブ・ストーリーは突然に / 小田和正
君住む街へ / 小田和正
みんカラの皆様も、幸せなクリスマスをお過ごしください。
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MUSIC | 暮らし/家族
Posted at
2019/12/24 12:23:29