
お待たせしました。
続きです。

ダムからの登山道を息を切らせて登っている最中に突如現れた民家のような建物。
すれ違いも大変なくらいに狭い登山道を足早に進んで行きます。

建物の傍まで近づいて見上げます。
2階建てのその建物は結構な大きさに感じます。
自分の立ち位置が建物が建っている地面より一段低い場所なので余計にそう感じるのかな?

2階の窓。
以前は雨戸が閉まっていたのかな?
けど、窓はガラスではなく障子だったようですね。
いったい何年くらい前まで人が暮らしていたのか凄く気になります。

建物の全体はこんな感じ。
日本家屋なのでしょうが、土壁では無く100%木造建築のようですね。
やはりこの辺りでは木材には困ることが無かったのでしょう・・

一階は扉の開いたままの部屋があり前の部分は土間だったようです。

その土間の奥には棚があり急須などがまだ残されていました。

土間の横の部屋を覗かせていただきます。

部屋の中も板張りで非常にシンプルな感じ、どことなく山小屋を連想させます。
というか、この建物、完全に山小屋ですよね・・・笑
壁には小さな棚、奥には布団のような物も確認できます。
ここで人の営みがあったのは間違いなさそう。

棚にあったもの達。
キッコーマンの一斗缶、目の粗いザル、湯たんぽ、筆か刷毛?
小さな白い皿等
湯たんぽがあるくらいなので夏季だけ使われていた建物ではなく1年中ここで暮らしていたのでしょうね。

目につくところに置かれていた木箱。
当時は段ボール箱なんてものは無かったのでしょう。
何が入っていた箱なのでしょうね・・・
しかしそれより気になったのがこの木箱に書かれた製造年月日・・
「昭和9・8・13」って印字されていますよ。
戦前の木箱ですよ~。

木箱の傍にあった新聞。
開けて見たら静岡新聞でした。
そして発行年月日は「昭和49年4月4日」
昭和49年といったら私はまだ2歳の頃、その頃はまだここで人の暮らしがあったのですね。
しかし、その頃はもう千頭森林鉄道は廃止されていたころです。
ってことはこの斜面の上にある日向林道はもう通っていたのかな?
ここの住民はその日向林道を生活道路としていた可能性もありますね。
ちなみにこの新聞記事は「静岡まつり」の様子を伝えるものでした。
今でもある祭りなのかな?
そしてこの新聞の写真に写る和服の女性は今はどうしていらっしゃるのかな?
なんてこと考えていました・・・笑

一階を覗かせていただいてから2階も気になったのですが、階段はどうやら外に付けられた外階段。
そしてその階段は完全に朽ち果てていて2階にたどり着ける状態ではありませんでした。

廃墟見学はほどほどにして登山道を日向林道を目指し、さらに進んで行きます。

こんなアスレチック的な橋もあったりします。

千頭ダムから30分ほどで頭上に林道が見えてきました。

無事林道へ辿りつきました。

こんな急斜面を登ってきました。
私の体力ではMTBを持ってくることはまず不可能でしたね・・・

ここが日向林道、寸又峡方面。

寸又峡方面へ少し進むと光岳方面への登山道があります。
この階段を登っていくと例の「寸又川左岸林道」へとつながります。

しかし今回の探索はこの日向林道を使って千頭森林鉄道の大樽沢停車場を目指すのです。
せっかくの林道なのでMTBが無いのはちょっと残念ですがしばらくは楽な林道歩きなのでほっとします。

と思ったのも束の間、カーブ一つ曲がったらもう崩落現場が見えてきます。

しかし、歩きであれば問題ないレベルで安心します。

その後も落石多数でかなり荒れている感じ。
これではMTB持ってきていても気持ちよく走れるレベルでは無いですね。
無理して持ってこなくて良かったです・・・笑

林道からは遠く連なる南アルプスの山々がきれいに見ることが出来ます。

眼下には寸又川が見下ろせます。
この距離でこの標高差。
ダムからの登山道がいかに急登ってのがよくわかります。

天地第一吊り橋も見下ろせます(望遠での撮影)

その後も崩落による荒れ果てた林道を進んで行きます。
それにしても「山さ行がねが」のサイトで紹介されていた日向林道は、大樽沢の手前まではMTBで問題なく通行出来たはず。
ってことはこの9年という歳月の中でこの日向林道はこれほどまでに姿を変えてしまったのですね。

たまに出てくるガードレールやカーブミラー、落石注意看板が以前は車両も通る事の出来た林道だったことを物語っていますね。

林道脇の斜面の崩落が段々激しくなってきました・・・汗
この崩落のザレ場は問題なく通過出来たのですが・・・

次に現れた崩落個所。
ここはちょっとビビりました。
ビビっていたので写真の撮り方が今一つなのですみません。

これが自分が立っている場所から斜面下方向を見た画像。
蟻地獄のようなザレ場の下、遥か谷底に何か見えます。

何か看板のような物が見えますね。
おそらくこの付近にあった看板が土砂もろとも谷に落ちて行ったのでしょう。
私も下手して滑落しようものならあそこまで落下してしまうのですね。
そう考えると、この先簡単には進めなくなってしまいます。

下手に足を動かすと足元の砂利がいとも簡単に音を立てて谷底に落下していきます。
このザレ場はスリップ一発、死と隣り合わせって感じですね・・・汗
ここで、ちょっと弱気になっちゃいます。
もうこれくらいにしようかな?
しょせん遊びに命かけたくないし・・・
万が一自分になにかあったら自分だけの事ではなくなりますしね・・
けど、ここは潔く諦めが付きません・・・
せっかくここまで来たのだから・・
って気持ちですね・・

ここで足元にあるトラロープを発見。
ここにこんな風に張られているロープがあるってことはこのザレ場を横断するために誰かが張ったものなのでしょう。
そのロープに手をかけてみますがやはり怖いです。
まずそのロープの向こう側がどのようなところに付けられているか?
ロープを何度か引っ張って確認します。
おそらく向こう側の木の幹に縛ってあるように見えます。
「多分大丈夫そう・・・」
そう思いロープを手にして急斜面のザレ場を砂利を落としながら恐る恐る進むと、やっぱり砂利もろとも足元をすくわれそうになり即座に元の位置に戻ります。
「やっぱり怖い~」
声には出していませんが心では叫んでいました・・・汗
ロープをてに持っていても両足の足元すくわれてしまったら両手でロープつかんだまま万歳状態でザレた急斜面にぶら下がってしまう態勢になってしまうでしょう。
そんな態勢になったらリカバリーも大変そうですし、手の力が無くなったら・・
そんなことを考えるとやっぱり引き返そう・・・
って事でザレた場所から一度戻ります。
ここで、再度考えます。
やっぱりあきらめが付きません。
横断するためのロープがあるってことはロープを使えば必ず向こう側へ行けるはず。
もう一度ザレた急斜面に再挑戦してみます。
ロープを手にしてここで気づきました。
身体の態勢をこのザレた急斜面に対して直角にすれば足元はすくわれないと・・
ってことでビビって山側に掛けていた重心をロープを握りしめ思い切って谷側に全体重をかけて足早に崩落個所を通り抜けます。

崩落個所をを無事渡り切って振り返った画像。
細いロープが渡されているのが確認できると思います。
そしてこの砂利の急斜面、どれだけ危険かお判りいただけるかと思います。

その後も荒れ果てた林道を進みます。

またもや開けた感じのザレ場が出てきましたよ・・・汗

やっぱり~!
さっきのザレ場の3倍はありそうな規模の大崩落個所出現です・・・汗
ここにはさっきのようなロープも渡されていませんよ。
ってことはここは基本、人が通ってない崩落個所なのですね。

斜面の下方向。
もし滑り落ちたらどこまで落ちていくか見ることも出来ないくらいの斜面。

高巻きで越えるにしてもかなりの登攀が必要なのと、ガレ場の急斜面になるので落石や手に掛けた岩が崩れる危険もあります。
ここは北アルプスの登山道のように整備されていません。
どんな事態になっても100%自己責任。
そしてワンミスが命取りになる状況は間違いない場所。
もう、ここまで来ると私の登攀、踏破能力では完全に手詰まりです。

という事で、ここでこれ以上の探索は諦めます。
少し戻った落石の危険の無い場所でザック降ろしてしばしの休憩します。

青い空、緑の山々、そして澄んだ空気・・・
どれをとっても非常に気持ちのいい場所。
しかしこの先この場所はどんどん自然に飲み込まれていってしまうのでしょうね・・

深い谷の底には寸又川の河原が見下ろせます。

その河原にはワイヤーだけ残った吊り橋の残骸が見えます。
この吊り橋はあの天地第一吊り橋より一つ上流側に架けられていた吊り橋のようですね。
ちなみにこの吊り橋も現行の国土地理院の地形図に記載されていましたよ。
もう完全に吊り橋の機能は果たしていないのにね・・・
ここで、景色眺めて充分、水分補給をして、来た道を引き返すことにします。

戻りの途中で考えます。
あの千頭ダムより奥地に足を踏み入れるための陸路は日向林道も寸又川左岸林道も一般人には到底踏破は無理な状態になっているのは間違いない事実。
あと残された唯一のルートそれは寸又川の遡上・・
河原を歩いて登っていけばいずれ大樽沢までたどり着けるのではないか・・
実際に釣りの方は川を遡上しながら釣りしているようなのでね。
けど今回のような水の濁りがあると川の深さが分からないので遡上は怖いですね。
また秋の水量が少なく済んだ水の時に川を遡上してみるってのもありかも・・

そんなことを考えながら千頭ダムへの登山道のところまで戻ってきました。
(崩落個所の通過は往路よりはスムーズに通過出来ました)

登山道を千頭ダム目指し下っていきます。
途中に例の廃屋前通過します。
この画像では気に隠れて建物は分かりにくいですが、建物の前を通る狭い登山道そして登山道の横は急な斜面になっています。
よくこんなところに石垣築いて家を建てたものだと感心します。
そして、何のためにこんな人里離れた山中に一軒だけで暮らしていたのか?
謎は深まるばかりでした・・・

天地第一吊り橋の分岐まで下りてきました。
せっかくなので分岐を吊り橋方面に降りてみようかとも思いましたが・・・

吊り橋へのルートは木の枝で封鎖されているようだったのでやめときました。
おそらく登山道がどこかで崩落でもしているのでしょう・・

その後もダム目指して急な下りを進んで行きます・。

そんな登山道に生えていたキノコ。
何て名前のキノコかは知りませんが、シイタケのようで美味しそうに見えました・・笑

8:50
やっと千頭ダムが見えるところまで下りてきました。
ここで、ダムの様子を伺います。
行きは早朝だったのでダム関係の人は全くいませんでした。
もちろんそれを狙っての私の行動でしたからね。
しかし、この時間だと通常はダムの仕事の勤務時間ですよね。
そんなことを考えて立ち止まってダムの方を注意深く見渡します。
げ~!
やっぱりもう作業着にヘルメット姿のダム関係の人の姿がありますよ~汗
どうしよう・・・汗
今日の私の当初の計画は次の通りでした。
早朝に無人の千頭ダムを抜け、天地索道方面を行けるところまで探索・・
その後こっそりダムに戻って作業の人に見つからないように登山道で日向林道へ・・
日向林道から大樽沢への探索。
時間が余れば日向林道をさらに進んで行って「無想吊橋」を見に行く。
そして17:00頃には作業の方が本日の仕事を切り上げて無人となった千頭ダムを抜けて下山するつもりでした。
しかし、実際はこんな早い時間にこの千頭ダムに戻ってくることになろうとは・・
どうしたものか・・・
下山するにはこのダムを通るしか方法はありません。
再度日向林道へ出て、寸又川左岸林道経由で寸又峡へ戻れますが、MTB同伴では日向林道へ登ることがまず超難関、もし、頑張ってMTBと日向林道へ抜けられたとしてもそこから日向林道、寸又川左岸林道がMTBと通り抜けれるという保証はありません。
ってことで選択肢はこのダムを抜けて下山するしか方法は無さそう・・
はたしてあのダムの作業員の方々に知られずにこっそりこのダムを通過する事が出来るのか?
またまた良いところですが長くなってきたのでここで一旦終了~!
続きはVol.5で・・
お楽しみに~(^^)/