
お待たせしました! 続きです。

山小屋の外は相変わらずの風雨とガスに包まれています。
このまま予定通り、槍ヶ岳まで縦走を続けるか、はたまた、諦めてここから新穂高へ下山するか・・・
決めきれないまま時間だけが静かに流れていきます・・・

9:10
「腹が減っては戦は出来ぬ」
ってことで、冷えた体を温めるのもかねて何か暖かいものをいただきたく思い山小屋の軽食メニューを見ます。
しかし、昼食メニューは10時半からだそう・・・
で、オーダーしたものは・・・

「日清カップヌードル カレー味」寒いときにはこれに限る・・笑
このカップヌードルを購入時に山小屋のお兄さんに今後の天気、ルートの事を相談してみます。
小屋のお兄さんは快くいろいろアドバイスくださいましたよ。
まず、天気。
颯爽と取り出したスマホでヤマテンのサイト(おそらく有料)を開いて見せてくださりながら今後の天気の変化を予想してくださいました。
山小屋お兄さんの予報はこうでした。
雨はあと数時間以内に止む、ただしすっきり晴れるのは明日だそう。
それを聞いてさらに悩む私に一言。
「初めから槍ヶ岳までを予定していたのならそのまま進んで良いと思いますよ」
ですって・・・。
それを聞いた私は、
実はさっきまで下山する考えの方が勝っていたのですが、一気に予定続行に考えが傾きます。
そしてお兄さんに
「このカップ麺食べて考えます、身体温まったらやる気湧くかも・・笑」
って言ってとりあえずカップ麺を食べることに・・・

カップ麺をすすりながら考えます。
この先のルートは3年前に槍ヶ岳方面よりこちらへ歩いたことのあるルート。
しかも、ほぼなだらかな稜線歩きなので悪天候でも危険度は少ないと思われます。
しかし、まだ数時間はガスの中、風雨にさらされて歩かないと駄目なのです。
けど、明日は天気は良い・・・
ここで、カップ麺完食、そして決心付きました!
このまま進もう!
せっかくここまで来たのです。
明日が好天になるならもうしばらく辛抱して歩きとおそう!
食後のゴミの処理のお願いと共にお兄さんにお礼と、縦走の続行を伝え出発の準備をします。

9:50
南岳小屋でゆっくりさせていただいた後、またレインウエアーを着て雨の降る登山道へ向かいます。

槍ヶ岳方面へ向かいます。

まずは南岳への登りです。
ガス包まれて全く見通しが効きませんね。

ガスに霞んですぐには気付きませんでしたが登山道わきには大きな雪渓がありました。

南岳までの稜線のルートに出ると一人の男性の登山者さんとすれ違い少しお話することに。
その方槍ヶ岳から歩いてきて南岳新道で下山されるとのこと。
そしてその方曰く、
「もう少し行ったところで雷鳥の親子がいましたよ」
ですって。
それを聞いて雨の中の辛い登山でテンション激下がりだったのが一気に上がります。
私
「そうなんですか~!自分、北アルプスはこれで6回目なのですがまだ一度も雷鳥に出会ったこと無いのです」
男性
「私も3年くらいは見た事ありませんでした、けど一度出会ってからは毎年見るようになりましたね、やっぱり雷鳥に出会うと嬉しいんですよね~」
って凄く嬉しそうにお話ししてくださいました。
そんな束の間の楽しい会話を交わした後、お互い気を付けてと励まし合いそれぞれの進む方向へ向かいます。

雨の中を歩きながらカメラ片手に雷鳥を探します。
以前に聞いたことある事なのですが天気悪い方が雷鳥に出会える確率は上がるって・・・
それを信じて周りを見渡しながらゆっくり歩きます。
こんなハイマツの周辺にいるって言うよな~なんて考えながら見渡します。
すると、次の瞬間前方に動く物体が目に飛び込んできます・・・!

雷鳥です~!
やっと出会えました~!
今回は木ではありませんよ~
動いています・・・・笑
これは紛れもなく本物ですよ~!!

カメラ構える私に向こうから近寄って来る事に少々驚きながらもカメラのシャッターを夢中で切っていました。

私の周りを鳴きながらウロチョロした後、雪渓の方に行ってしまいました。

そちらをよく見ると・・・

傍に雷鳥のヒナが数羽いました。
そんな雷鳥の親子の様子を動画に収めたのでその動画も良かったら見てみてくださいね。
どうでしたか?
これが動く雷鳥です・・・笑
この動画の音声をよく聞いてもらえば雷鳥の鳴き声も入っていますよ。
雷鳥独特の鳴き声を聞く事が出来ますよ。

雷鳥親子に別れを告げ少し歩いたところで南岳の山頂に到着。
昨日ほど強くはありませんが雨は降り続いています。

南岳を過ぎたところでまたもや雷鳥に出会います。

雷鳥はグルルルッって鳴き声を出して私の足元をせわしなく走り回ります。
そしてしばらく走り回った後私から離れていきました。
雷鳥が行った方向を見るとヒナたちがちょこちょこ歩いていました。
う~ん、これはさっき見た雷鳥と同じパターンだぞ・・
そっか!分かったぞ~!!
あの雷鳥は私を威嚇していたんだ~。
そしてある程度で私が危害を加えないと分かるとヒナの元に戻っていったのですね。もし私が変な動きをしたらあの親鳥は私に向かって突進してきたことでしょう。
「母は強し」ですね~。
そんな「剛」いや「強し」な親鳥の動画をどうぞ~!
今まで出会うことの無かった雷鳥にこんなに出会えるとはびっくりです。
南岳小屋で下山しなくて良かった~。
小屋のお兄さんのおかげです。
あのお兄さんに相談しなかったら、私はおそらくあそこから新穂高に下山していました。
そしたらこの雷鳥たちとは出会うこと無かった事でしょう。
小屋のお兄さんありがとう~(^O^)/

雨も霧雨に変化してきました。

しかし周囲は相変わらずガスに包まれています。

雪渓もすぐそばにあります。

天狗原分岐に到達。

この天狗原分岐で稜線から分岐して槍沢ルート方へ降りられるのです。
このルートの脇には天狗池って池があり天気が良いと逆さ槍が見れるそう。
当初のルート計画時天気良ければこのルートで槍ヶ岳を目指すのもありかと思っていました。
なので、一度ザックを降ろし地図にてルートの再確認。
・・・で地図でルートを目で追ってみて、諦めました。
このルートこの稜線から急激に高度を下げて槍沢ルートへ合流します。
そのあとまた槍ヶ岳へ向かうにはかなりの登り返しがあります。
天気良ければそんなルートも景色を楽しみながら歩くのもありかもしれませんが、このガスと雨です。
敢えてそんなルートに行く必要が無く思えました。
そして、帰宅してから知ったのですがこのルート7月はまだかなりの雪渓を横断しないと駄目だそう。
斜度も、長さもある雪渓なので通過に危険が伴うルートだそう・・
行かなくて良かった~(^^;)

天狗原分岐から少し進んだところで3名のパーティーとすれ違いました。
白人の方ようでした。

イワベンケイ

この稜線ルートにも雪渓はいくつも出現します。
3年前に通った時は9月だったので雪渓はほとんどなかったと思います。

看板は字が消えて読めませんが標高3084mの中岳通過。

中岳を過ぎるとルートはやや険しくなります。

そんなルート脇にもやっぱり可愛い高原植物が咲いていました。

そしてまたもや雷鳥の親子と出会いました~!
まさかこんなに出会えるとはは思っていませんでした!!
天気は残念ですが、今まで北アルプスで出会えなかった分を取り戻した感じですね。

なんて書いてあるか分かりにくいと思いますが「ヤリ 1100」って書かれていると思われます。

ミヤマキンバイ

イワヒバリ

花や小鳥に癒やされながら展望の利かない稜線を進んで行きます。

12:05
3101m 大喰岳登頂
本来であれば正面には槍ヶ岳の「槍の穂先」って言われる部分が大きく見える場所なのですが、残念ながら雲に隠れて見えません・・

写真だけ撮って槍ヶ岳を目指します。

まだまだガスに包まれる稜線を進みます。

槍ヶ岳に近づくと上空の雲が薄くなり雨も上がって来ました。

眼下には殺生ヒュッテが見えてきました。

槍沢方面のガスが一気に晴れて、殺生ヒュッテと本日宿泊予定のヒュッテ大槍の建物も綺麗に見えます。
このまま天気は回復していくのかな~?
そして槍ヶ岳の勇姿を見る事は出来るのか~!?
良いところですがちょっと長くなってきたので、槍ヶ岳編に続きます。
お楽しみに~(^^)/