
立ち入り拒否されたゲート前で5分ほどぼーぜんと立ち尽くしたあと次の行動を思案します。
まず、今から帰宅はあり得ません。
それならあえてダメ元で進入してやります。
けど、やっぱり私は大人です、駄目と言われても入るなんてのはどうかと思います。
って事で、飛龍橋の袂の分岐している林道方面の大間川支線跡の探索に向かうこととします。
しかし今から向かう林道は全くの未知の領域。
事前の下調べはほぼゼロ。そして今日もいつものソニーのハンディーナビ持ってきていますが、国土地理院の地形図はこの静岡県の山はカバーされておらず、通常のロードマップのみの表示なので山中では全く使い物になりません(GPSログは取れます)
他に登山地図や紙の地形図も何も持っていません。
山に入るってのにあまりに無防備な感じですが、本来探索目的だった林鉄の本線の事前の下調べは完璧のつもりだったので地図も要らないと判断していました。
そんな状況なので地図も下調べも全く無い廃林道へ入って行くのに少し抵抗もあり一度はその分岐に向かいMTBを走らせますが本線の探索諦めが付かず途中でUターンして再度ゲートへ向かいます。
よく考えたら千頭ダムから登山道が延びているはず、なのでもし何か作業の人に言われたら登山へ向かうと言えば通してもらえるのじゃ無いか・・・
なんて考えながら・・
しかし、やはり・・駄目と言われて進入する事自体に抵抗が・・
進入が侵入と判断され、ややこしい事になってもな~、所詮こっちは遊びだし・・
ってことでやっぱりまたUターンして「大間川支線跡」のある林道探索へ向かいます。

林道分岐まで戻ってきました。

ここには登山者用の案内看板が設置されています。
太い道が林道ですね。
登山道の途中にある湯山集落跡ってのも気になりますがまずは林道探索、廃林鉄跡探索に向かって帰りに余裕があれば立ち寄ろうと思います。

こちらも基本通行止めですが、登山者は入っても良い感じです。
なのでバリケードの脇から進入します。

大間川(大間川)林道と書かれた看板。
カッコの中に書かれた同じ川の名前が意味不明・・

通行止めバリケードを抜けて結構斜度の急な林道を上っていると、今度は中電のジムニーが下の分岐の所に車停めて私の方をガン見しているではありませんか・・汗
私は今、何も悪い事しているつもりありません。
(登山道までは合法で通行できるはず)
けど、あの様子だとさっきの千頭ダム方面には強行突破出来そうに無さそうですね・・
行かなくて良かった・・
また今度チャレンジするなら、夜明けと共に進入するか、日曜日かどちらかですね・・

そんな事考えながら林道をのぼって来てとあるところで振り返ります。
背後の山の斜面に微かですが木々の中に切り通しが見える気がします。
おそらくですが、先ほどの尾崎坂展望台付近からスイッチバックした林鉄はさっき走ってきた遊歩道より一段上の斜面上を走ってきてこの切り通しを通過して今私が写真撮っている辺りに繋がっていたのではないでしょうか。
なお切り通しからの路盤は林道建設によって完全に切り崩されている様です。

ちなみにこの赤丸の部分が切り通しに見える所。
あそこから今私が立っている所まで線路が繋がっていたのでは無いでしょうか。
あの切り通しのような所へ行ってみたいのですが、こちら側からは無理な感じ。
反対側(尾崎坂展望台方面)からなら来る事が出来るかな?

もうここは当時の林鉄の線路跡だと思われます。

「前黒法師岳」への登山口が出てきました。
この先にさっきの看板にあった集落跡が存在するようです。

こちらが登山道の様子。
写真で見るより実際はもっと急斜面に感じます。
本当にこの先に集落跡なんかが存在するのだろうかって感じる程の急斜面とルートの荒れ模様。
こちらも帰りに余裕があればって事で先に進みます。

一直線に伸びる林道。
具体的な鉄道の遺構はまだ見つけられませんが、なんとなく鉄道跡って感じがしますね。

そこで見かけた鹿さん。
こっちの様子をじっと伺っていますね。

さらに進んで行くと林道脇から激しい流水音を立てながら滝が流れて落ちて来ています。

結構な水量で傍に行くと水しぶきをかぶっちゃいます。

流れ落ちた滝は林道の下を抜けさらに林道に切れ落ちる谷に滝として落ちて言っていました。
それにしても凄く深い谷でした・・

滝を越えるとすぐに何やら怪しげな鉄階段が斜面に設置されています。
先ほどの滝の上部に繋がっている感じ。
ここも凄く気になりますが、やっぱり帰りに余裕があればって感じで進んでいきます。

激しく破損したガードレール、林道に覆いしげる新緑。
良い感じの廃林道感が出ています。

その後も荒廃した林道を進んで行きます。

大きな切り通しを通過。
これも林鉄の線路の為の切り通しだったのかな?

切り通しのような所を過ぎるとすぐに道は分岐になります。
林道のつながりは右側が自然です。
左にはゲートが立ち入り禁止の看板が、そして中部電力が管理している場所があるようです。
ちょっと気になったのですが立ち入り禁止と書かれているし中電の管理ならば発電所へ通じる道だろうと判断してそのままの林道を進んで行きます。
(しかし、この判断が後に・・・・)

さっきのゲートを越えるとさらに路面は荒れてきます。
いよいよ、千頭森林鉄道廃線跡のお出迎えかな~?なんて思いながら進んで行くと・・

そんな中もう一つ私を出迎えてくれた奴がいました。
ヤマビルさんです。
久しぶりのご対面。
しかし、今日はそんなヤマビルさんと出会うことを覚悟の上で来ているので驚きませんよ。

そんな彼に私は慌てること無く消毒用エタノールって奴をスプレーしてあげます。
これは効果てきめんです。
エタノールを浴びたヤマビルは一瞬にして丸くなって靴から転げ落ちていきました。
ま、靴に付いただけならわざわざエタノール振りかけなくても指ではじき飛ばせば良いのですがね。
万が一皮膚に吸い付かれた場合はこの対処方法が良いそうなのです。
けど、靴の上からでもころりと落ちて行くヤマビルを見るとなんか勝った気分になるので面白いのです・・・
(人間ちっさいって・・?笑)

古い石垣の林道を進んで行きます。

橋を通過。

昭和46年に架けられた橋。
林鉄廃止後に造られた橋のようですね。

左の谷には大間川が轟音を立てて流れています。

右側には大きな滝、そのまま林道の路盤に落ちて来ています。

前方の斜面はなんかエライことになってますよ。
石垣があの崩れた斜面に大きく2本確認出来ます。
もしあの石垣が林鉄の線路だった場合スイッチバックじゃないとクリヤー出来ない感じに見えます。
はたして当時はそんな風にレールが敷かれていたのでしょうか?

とりあえずそのまま林道を進んで行くと・・
林道は真っ直ぐ進む方面は緑に包まれちゃってます。

道なりに進むとヘアピンカーブで下から見た石垣の上側の林道へ繋がっています。
(右手のルートが登って来たルート、左手がこれから進んで(登って)行くルート)
おそらく林鉄は大間川にそって進んでいたはず、林鉄がこんなヘアピンカーブを曲がるとは思えないし仮にスイッチバックで進んで行ったにしても大間川より大きく離れてしまいます。

基本林鉄は大間川沿いを進んでいたと思われるのでヘアピン方面へは向かわず緑に覆われたルートへ向かいます。

また橋が出てきました。

橋の上は涼しい風が吹いていました。

橋を渡るとこんな大きな廃材が放置されている場所でした。
そこから奥に繋がるようなルートは全く発見できません。
林鉄は何処へ行ってしまったの・・?
やっぱりさっきのヘアピンカーブを上へ進んで行ってたのかな・・?

って事でさっきのヘアピンカーブまで戻って登りの方面へ進んでみます。

ヘアピンカーブを越えて登って行くと先ほど通ったルートが眼下右手に見下ろせます。

出てくる崩落箇所もだんだん酷くなってきます。
もうこの辺りに来ると4輪車の通行は出来ないですね。

ルートは急斜面では無いですが依然として登り続けています。
本当にこのルートが林鉄跡なのか不安になってきます。

そんなとき錆びた金属の大きな籠?のような物が林道脇に出てきました。
「もしや、林鉄の遺構か?」って期待に胸膨らませよく見てみますが、良くわかりません。
形状からして人が中に入って何かを監視するような場所のように見えますが、林鉄時代の物かは不明です。

その後も林道脇に人工物を発見。

この場所が「湯山林道」の起点だそう・・
じゃ、今までは何だったの?
それに昭和61年って書いてありますよ、なんか新しい気もするのですが・・

そんな疑念を持ちながらも進むしか選択肢が無い状態なので黙々と進み続けます。

古びた何かの看板。
これも遺構なのかは不明・・・

前方に鹿発見!

カメラを構える私の様子をじっと見つめる鹿。
何処で出会っても鹿のリアクションは同じですね・・・笑

またもや大規模な崩落箇所が出てきました。

向かい側の山の斜面もかなり大きな崩落箇所を確認出来ます。
やはりこの辺りの山は崩落しやすい地質なのかな?

その後も綺麗に積まれた古い石垣のルートを進んで行きます。
しかしこの辺りに来るとかなりの標高になってきます。
このような高さまで当時の林鉄が登って来ていたとは思えないのでほぼこのルートは林鉄跡では無いとこの辺りで確信します。

それでも行けるところまで行ってみます!
って思った次に見えた景色で目を疑います・・・
「あそこ道有る!?」

MTBを置いてゆっくり近づいてみると・・・

え~!
道が無い~!
完全に土砂崩れで林道が崩落しちゃってます。

走り始めて約2時間。
ここで戦意喪失・・・
林道の端のコンクリート部分に腰を下ろして考えます・・
私はあの高度経済成長期の日本の巨大林業事業を支えた千頭森林鉄道の歴史、そしてその遺構を目で見て、肌で感じたくてはるばる静岡までやってきたのです。
しかしこの林道が林鉄跡では無いのはほぼ確定。
そんな林道を無理して進んで意味あるのか?
さあ、どうしよう・・
そんな時は・・・
あんパンです・・笑
エネルギー不足だと頭も働きません・・
「腹が減っては戦は出来ず」って奴ですね~。
ってことでここはあんパン食って一旦休憩です。
そんな感じで続きはVol.3でお伝えしますね~。
お楽しみに(^^)/