
ニュースには毎日“お悔やみ記事”というものが掲載されていますが、29日に伝えられた内容は動物に関するもの。
●立つアザラシ : 「ジョー」大往生 - 上越/新潟
-
毎日jp(毎日新聞) 2011年1月29日 地方版
新潟県の
上越市にある「
上越市立水族博物館」で飼育されていた、アザラシの「ジョー」が老衰のため死亡したとのことです。
この「ジョー」は推定年齢で33歳、人間でいうと100歳ほどになるというご老体でした。そのため元気に水槽内を泳ぐ姿は滅多に見られなくなった代わりに、直立不動の姿勢で過ごすようになり、この姿がテレビの全国放送などで紹介されたこともあって一躍人気者になりました。
私自身も一度は見てみたいと思っていたのですが、2009年の8月には当地を訪れて「ジョー」との対面を果たしてきました。しばらくの間、時間にして20分くらいはその姿を眺めていたのですが、ほとんど微動だにせずに行儀よく立っていました。もっとも、同じ水槽にいた若いアザラシやペンギンが、ちょっかいをかけているのか時々「ジョー」に体当たりしていましたが、それでも怒ることも無く悠々とした姿が印象に残っています。
この「
上越市立水族博物館」、前述の通り「ジョー」が全国区の知名度となったことから入館者も増えていたそうですが、今後は主役をつとめてきたスターがいないなかで、どのようにPRを展開していくのか気になるところ。
訪れた者の印象としては施設の老朽化が進んでいることは見た目からも否めない感じでした。もっとも、展示の内容などは充実しており、イルカのショーなども見応えのあるものでした。昔ながらの公営施設らしく垢抜けた感じは無いものの、動物たちとの距離感がとても近く、地元の子供たちからも愛されている施設ではないかと思います。
近年は動物園のエンターテイメント化が進む傾向にあり、市外や県外からの観光客を集めることで地域に大きな経済効果を生み出している事例も見られるようになってきました。
レジャー業界誌などを発行している
綜合ユニコム株式会社の調べによると、2007年度の遊園地やテーマパークの入場者数ランキングでは、横浜の「
八景島シーパラダイス」が「
東京ディズニーリゾート」と「
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」に次ぐ3位、9位に「
旭山動物園」、10位には「
沖縄美ら海水族館」がランクインしています。
ちなみに具体的な動員人数を見ると「
旭山動物園」は307万人、「
沖縄美ら海水族館」は302万人。8位の「
東京タワー」が323万人ですから、なかなか侮りがたい集客力を誇っています。
「
旭山動物園」に的を絞ってみると、開園した1967(昭和42)年の入場者数は45万8千人ほど。この後は小中学生の無料化や遊具の拡充が図られ、1979昭和54)年にはおよそ59万7千人が来場しました。
しかしこの年をピークに入場者は減少に転じ、1996(平成8)年には26万人ほどにまで落ち込みました。そこで1999(平成11)年からは冬期も開園するようになり、ユニークな企画や展示を実践。これがマスコミに採り上げられたことから話題を集め、全国から観光客が押し寄せて入園者数はV字回復。2000(平成12)年に53万人とどん底だった4年前に対して入園者数を倍増させ、ブームが起こると2003(平成15)年に82万人、さらに翌年の2004(平成16)年には一気に145万人を集めたのです。
このブームは冷めることが無く、2005(平成17)年には206万人と200万人を突破、さらにこの年には累計入園者数で2,000万人を記録。参考までに1,000万人を記録したのは1987(昭和62)年でしたから、開園から20年かけての1,000万人。これが18年で更に1,000万人を加えたということですが、更に入場者は増え続けてなんと2009(平成21)年には3,000万人を突破。僅か4年で1,000万人が訪れたということになります。
これだけの集客力を持つ施設は、地元に大きな経済効果を生み出しています。
旭川市は2006年の時点で、過去9年の経済波及効果を「設備投資額の6.8倍になる約200億円」と発表していますがM、2006年以降は前述の通り入場者数が爆発的に増えているので、更に効果が高まっているかもしれません。
もっとも手放しで喜んでいるばかりでなく、「
旭山動物園」に集中しすぎている感じのある
旭川市を中心とした上川地区の観光にまつわる実情や、鉄道や道路事情が悪くないことから札幌を中心とした道央圏からは日帰りも可能であることによる“通過型観光客”の増加などには対応が求められるところでしょう。
特に後者は、高速道路の休日割引料金なども背景にありますが、全国各地で“観光ブーム”が発生したところにおいて共通の課題となっています。例えば先にB級グルメとして“鳥もつ煮”が全国区になった
甲府市も同様で、思ったよりも宿泊を伴う観光客が少なかったために経済波及効果も限定的なものになってしまっているそうです。
利便性の向上、高速都市間移動の充実と引き換えに、観光やビジネスは宿泊を伴わないケースが近距離や中距離の移動では増えてきています。
ビジネスはコスト削減や叫ばれる昨今致し方ない部分ですが、観光については各地域が個々の魅力を更に高めることはもちろん、地域のエゴを捨てた広域的な連携が求められるところでしょう。またインターネット社会の現代、地域の魅力的な情報を如何に積極的に発信していくかも課題。この点については観光協会などのウェブサイトを見ると、そのクオリティに大きな地域差がありますので、私は仕事柄とても興味深く見ています。
●新潟・富山、美味しく・安く・奥深く 二泊三日のドライブ (1日目)
●新潟・富山、美味しく・安く・奥深く 二泊三日のドライブ (2日目)
●新潟・富山、美味しく・安く・奥深く 二泊三日のドライブ (3日目・前編)
●新潟・富山、美味しく・安く・奥深く 二泊三日のドライブ (3日目・後編)
ブログ一覧 |
その他 | 日記
Posted at
2011/02/01 10:58:17