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イイね!
2011年06月05日

気をつけたい“落とし穴”

自動車を運転する上で必要となる知識のひとつが、道路交通法について。航空機や鉄道とは異なり、個々の自動車が運転者の自由意志に基づいて移動できる自動車の場合、おのおのの運転者にはしっかり法規を知っておく責任と義務が伴います。
もちろん運転免許証を取得するにあたっては学科もあり、試験をクリアしなければなりません。また、更新時には法規の改定などについての購入も受けることになります。しかし、現実的には法規・法令の全てを完璧に把握することは難しく、実際にはそこに危険が潜んでいる場合もあります。

私にとって、最近になってちょっと気になって、改めて確認してみた事例をひとつご紹介しましょう。


写真のような信号機のある交差点。都市部を中心に良く見かけるものだと思います。通常の“青・黄・赤”の三色信号に加えて、青色の矢印信号が併用されている場合ですが、ここに思わぬ落とし穴が存在しています。
例えば、三色信号+右矢印の場合。これは通常、三色信号が青→黄と点灯している間は矢印が消灯しており、基本的に標識などで「指定方向外進行禁止」となっていなければ、直進や右左折が可能。さらに「転回禁止」の規制が無ければ転回、すなわち“Uターン”をすることも可能です。

そして赤色が点灯して、同時に青色の右矢印が点灯した場合。この場合、右折車両については右折することが可能なので、停止位置を越えて交差点内に進行して右折することができます。まずはこの状態を、「ケースA」としておきます。


ここで信号機の意味を改めて確認してみましょう。
その法令根拠は、道路交通法の施行令に明文化されており、同令の第2条によると自動車については次のようになります。

青色灯火 : 直進、または右折、左折することができる。
黄色灯火 : 停止位置を越えて進行してはならない。ただし表示された時点で当該停止位置に近接しているため安全に停止できない場合を除く。
赤色灯火 : 停止位置を越えて進行してはならない。既に右折している車両についてはそのまま進行できるが、青色灯火によって進行できるとされている車両の進行妨害をしてはならない。

そして、ここがポイントとなるのですが、

青色の矢印灯火 : 黄色または赤色の灯火にかかわらず、矢印の方向に進行することができる。

このようになっています。


さて、先程「ケースA」とした場合とは違うシチュエーションを想定してみましょう。

写真のように、三色信号+三方向矢印が併用されている信号交差点の場合。都市部の幹線道路を中心に増えているものですが、良くみかけるパターンは三色信号は常に赤色灯火が点灯していて、矢印信号が切り替わって表示されるというものです。
赤色+青色の直進矢印&左折矢印の場合、施行令に基づいて読み解けば、原則的には赤色灯火によって全ての車両が停止位置を越えられない状況ですが、直進と左折は青色矢印が出ているのでそれぞれの方向に進むことができます。

そして直進&左折の青色矢印が消灯すると、次は赤色+青色右折矢印という点灯になります。
この場合はケースAと同様に右折車両のみが停止位置を越えて交差点内に進行して右折することができます。これを「ケースB」とします。


ここまでは「そんな誰でも知っていることを、いちいち細かく説明しなくても」と思われる方も多いことでしょう。
しかし、特に中央分離帯のあるような広い幹線道路ではありがちなのですが、転回(Uターン)をしようと思った場合は、どうなるのでしょうか。

結論から言えば、当該交差点が「転回禁止」の規制を受けていないことを大前提として、転回を許されるのは「ケースA」の信号機で青色灯火が点灯している場合のみとなります。

おそらく「赤色灯火でも、同時に青色の右折矢印が出ていれば、転回もできるのでは?」と思った方もいらっしゃることでしょう。
しかし改めて施行令を良く読んでみましょう。あくまでも「矢印の方向に進行することができる」と定められているので、右矢印は右折進行のみとなります。そう、ここが勘違いしやすい点なのですが、右折と転回は異なります。よって、青色右矢印点灯中に転回を行った場合、それは赤信号を無視したことになるので、道路交通法の「信号無視(赤色等)違反」となってしまいます。参考までにこの違反、普通車の場合は反則金9千円、違反点数は2点(酒気帯び状態の場合は14点または25点)となります。


さて、こうなると困ったのが「ケースB」の信号運用が行われている交差点。
そう、ここは事実上の「転回禁止」となるのです。ただし近年では「←/↑/→」のほかに、右にちょっと直進してそこから下に90度曲がった矢印が伸びる「転回可」という矢印信号が備わっている交差点も、一部ですが存在しています。もっともこれはとても少数派なので、実質的に転回禁止となっている交差点はとても多いといえるでしょう。

もうひとつ、前述したケースAのような交差点で転回しようとしていた場合。
青色点灯中は問題なく転回できますが、赤に信号が変わってからは例え青色の右折矢印が点灯していても、転回のために交差点内に進入することはできません。そうなると右折レーン内、または中央線に車両を寄せた状態のまま、停止位置で止まらなければなりませんが、この時に右ウインカーを出しているはず。そうなると右折しようとしている後続車からすれば、右折車両が信号を勘違いして停車したと思われるでしょうから、それこそホーンの嵐を浴びせられることになりかねません。


しかし、ここで転回をしてしまうと、信号無視を犯すことになってしまいます。ということで、ここはじっと“我慢の子”に徹して停止位置で止まり、次の青信号を待つことになります。
残念ながらウインカーでは自分がしようとしている次の行動を「右折」と「転回」にわけて表示することは不可能。しかし後続車の運転者が法令・法規に明るければ、青色矢印が出ているのに停止した前の車両に対して「転回したいのか?」という想像を働かせることもできるわけです。
もし、この場面が右折レーンのある交差点だったとして、ここで後続車が空いている左側の直進または直進&左折レーンから停止している先行車を追い抜いて右折したとしたら。これは「指定通行区分違反」となり、反則金が普通車で6千円反則点数1点(酒気帯び状態の場合は14点または25点を科せられます。

このように、転回をしようとする側のみならず、それ以外の車両にも面倒ですが法規・法令の知識が高度に求められる場面なのですが、なかなかこれを瞬時に判断するのは難しいところでしょう。ですが、曖昧なままにしていると違反を摘発される可能性もありますし、例えば青色右折矢印が点灯しているからといって先を急いで交差点に接近すると、先行車が転回したいと思って停止してしまい、追突事故などに発展する恐れもあります。

面倒でも今回ご紹介した場面をイメージしていただき、「こういう場合、どうすれば良いのか?」ということについて、改めて確認していただければと思います。
ブログ一覧 | 自動車全般 | 日記
Posted at 2011/06/09 03:15:26

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この記事へのコメント

2011年6月9日 11:40
道交法というか、この手の法規の中身、運用はシンプルであるべきなんでしょうが、判断に迷うこと、誤解が結構あると思いますね。

特に、昨今よく話題に上る自転車に関することについては免許制度が無いこともあり、周知の機会も乏しく、また今回の例以上に不可解?な部分も多く、大きな問題かと思いますね。

歩道の通行禁止や、飲酒運転の禁止なんて言うに及ばすですが。

例えば、2段階右折や、トの字交差点の直進についてなど。

2段階右折なんて道路設置者ですら気にしていない?ケースすらあります。

まあ、キチンとしないままに、ここまで発展してしまうと、ちょっと収集がつかないってのが実態でしょうね。
コメントへの返答
2011年6月17日 22:05
法規で全国すべての道路や交通状況を完全にカバーするのは難しいと思いますが、やはり運転する側には道路交通法についてのしっかりした知識が求められるでしょう。

なにしろ鉄道や航空機と異なり、限りなく個々の自由意志だけで移動できるのが自動車。ゆえに規則についてはより厳格であるはずですから。

最近は自転車やミニバイクについて、マナーやルールに欠けるものが多く目につきます。
特に自転車はおっしゃる通り免許制度がないために、余りに非常識な存在も見受けられます。
交通事故の裁判などでは、自転車側の過失責任を強く問う例も増えてくるような気がします。

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各種取材やウェブサイトを中心とした制作業務を行なっています。 主なテリトリーは自動車/モータースポーツ、飛行機などの交通関係。 自動車は乗用車からトラッ...
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