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2011年09月12日

速度表示装置

速度表示装置 自動車は技術革新や世の中の情勢変化などに伴って、絶えず進歩を遂げているとともに、関係する法規なども細かい改訂が加え続けられています。この改訂に伴って、ユーザーが直接的に使う機会の多い装備品なども、新たに装備が義務づけられたり、逆に義務付けが外れて姿を消していくものが存在しています。

消えていった装備として代表的な例をご紹介すれば、まずひとつめは「速度警告装置」。これは一定の速度(普通乗用車・小型乗用車は100km/h、軽自動車は80km/h)に達すると、ブザーやチャイムが車内で鳴るようになっているもので、運転者に速度の出しすぎを知らせるものです。乗用車では電気的なチャイム音が一般的だったことから、「キンコン」と呼ばれることも多かったように記憶しています。
この装置は保安基準で装着が義務化されていたため、日本車はもちろん輸入車であっても装着していなければ車検を通すことが出来ませんでした。そこで輸入車であっても日本仕様には専用に装備されており、これが海外メーカーから「非関税障壁」であるとされて日本政府に義務付けの撤廃を求める声が高まり、1986(昭和61)年3月に改正された保安基準によって装着義務化は廃止となりました。
もっとも、これを受けて日本メーカーは新車への標準装備は見送ったものの、しばらくの間はメーカーオプションとして用意していました。安全装備であることと、長年の習慣となっているドライバーもあったことが想定されることなどが、オプションを用意していた理由でしょうか。

このほか、この3年前となる1983(昭和58)年3月には、フェンダーミラーの義務化が撤廃されて、今では一般的なドアミラーの装着が認められました。これも「非関税障壁」として海外メーカーや政府が強く撤廃を求めてきた事項。日本政府は貿易黒字の拡大傾向、特にその多くを占める自動車産業への海外からの風当たりが強くなっていることもあり、ようやく受け入れを決定したという背景があります。
もっとも、国土や道路インフラが大陸とは比べ物にならないほど狭い日本のこと、安全性確保のために可倒式として歩行者などにぶつかった場合は用意に畳まれるようになっていることが条件となりました。このため、例えば初代のフォード・プローブでは本国仕様がデザイン性を重視した完全な固定式ドアミラーであったのに対して、日本仕様は専用の可倒式ドアミラーに置き換えられていました。

さて、もうひとつご紹介しておきたいのが「速度表示装置」。一般的には速度表示灯などとも表現されていますが、これは今でも装着した車両を街中で見かける機会が残っている装備です。
どんな装備かというと、装備義務対象となっていたのは大型貨物トラック。キャビン上に前方に向けて緑色の灯火が3つ横並びに備わっており、これが走行する速度に比例して点灯するという仕組みでした。具体的には40km/h以下で1つ点灯、40km/h~60km/hで2つ、60km/h以上では3つ全てが点灯するものと定められていました。

「速度表示装置」が義務づけられたのは1967(昭和42)年。1955(昭和30)年から1964(昭和39)年までは、モータリゼーションの発達や国土開発の急速な進行に伴って「交通戦争」と呼ばれるほどに、全国的に交通事故が多発して社会問題化していました。特に当時はまだ自家用車の普及が進んでいなかったので、事故の要因として問題視されたのが大型のトラック。中でも建設現場で活躍していたダンプトラックの中には暴走行為を平気で行うものも多かったようです。
そこで、対策のひとつとして義務化されたのが「速度表示装置」。自らの走行速度が外から一目でわかる装備を義務化することによって、取り締まりなどの容易性を向上させるとともに、運転者の自制心向上にも期待してのものではなかったかと思います。

この装備も近年になると「非関税障壁」として採り上げられるようになりました。
海外メーカーが大型トラックの販売も日本市場で本格化させるようになると、わざわざ日本仕様にのみ「速度表示装置」を取り付ける必要性に迫られてしまうわけです。本国仕様でオプションのフロントウィンドゥ上部に備わる大型のプラスチックサンシェードを加工して、速度表示装置の取り付けベースとするなど工夫を凝らすケースもありました。
しかし、結果的には速度違反を抑制する本質的な効果も薄いと判断されて、1999(平成11)年を持って義務化は廃止され、代わって速度リミッターの装着が義務化されて現在に至っています。

ルーフに緑色の灯をつけているトラックは、少なくなってきましたがまだ街中では見かける機会の残る存在。実は私の場合この「速度表示装置」を、ある場面では特に重宝していたので消えゆくのは少々残念な感じもしています。
その場面とは、渋滞の最後尾についた時。もちろん前方の車とは多めの車間をとって、万が一に後続車両が突っ込んできそうな場合は退避できる余裕を残すようにしています。そんな場面ではハザードランプも活用しつつ、ルームミラーやドアミラーで後続車の様子に気を配ります。後続車もハザードを点灯すれば渋滞に気がついて減速していると判断できますが、そうでない場合はミラーに映る姿だけで減速しているのか否かを判断するのはなかなか難しいもの。特に大型トラックが後方から迫ってきた場合は、万が一にも居眠りや脇見などをされていて突っ込まれたら、こちらとしてはひとたまりも無いので緊張感に全身が包まれます。
こうした場面において、速度表示装置が備わっている大型車の場合、緑色灯が順次消灯していくことで、減速体制に入っていることが容易にわかるというわけです。

当初の義務化理由とは全く異なる活用法ではありますが、実際にこうした場面になれば速度表示装置の恩恵というのも決して小さくなかった、と昨今の渋滞最後尾について思うこともたびたびあるのでした。
 
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Posted at 2011/09/21 00:26:45

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