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2006年12月03日

AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)

AYC(アクティブ・ヨー・コントロール) うちの社用車2号機は三菱ランサーエボリューションVII GT-A
一部の硬派なユーザー層からは「ラン・エボでオートマチックなんて・・・」と揶揄される存在でもありますが、走りのDNAは間違いなく受け継がれています。
 
最近のランサー・エボリューションは、まさに電子制御の申し子。
1992年秋に登場したエボリューションIから4輪駆動方式が絶えず採用されてきましたが、ベースがモデルチェンジを受けたエボリューションIVからは後輪に「AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)」というシステムが採用されました。
 
このシステムは電子制御によってリア左右輪の間で積極的にトルクを移動させようというもの。
コーナーリング時には外側のタイヤに内側のタイヤよりも多くトルク配分することで旋回性能を高めています。

さらにエボリューションVIIIからは最大トルク移動量を従来比約2倍にした「スーパーAYC」に進化。
エボリューションIV以降、ワゴンボディや競技車両ベースグレードにこそ設定されないものの、「AYC」はランサー・エボリューションを象徴する装備のひとつになりました。
 
モータースポーツ界では「AYC」は取り外される傾向にあります。
競技車両ベースグレード「RS」が最初から「AYC」を装備していないことでも明らかですが、軽量化を優先したり、ドライバー個々のフィーリングを崩さないために「AYC」は不要とされています。
 
しかし、スーパー耐久シリーズでは一部の車両が「AYC」を装着してレースに参戦しています。
ラリーやジムカーナ、ダートラなどと異なり、サーキットレースでは間違いなく「AYC」は効果的なアイテムであると言えるでしょう。
これはサーキットで観戦すると一目で分かるのですが、「AYC」を装着して使いこなしているマシンは明らかに非装着車とコーナーリングライン、そしてコーナーリングスピードが異なります。
若干の重量増と引き換えに、それを補って余りあるタイムアップを果たしているのは間違いありません。
 
ということで、うちの社用車2号機にもAYCは装着されています。
2号機購入前、個人的には取材などでV、V TM、VI、VII、VIII、VIII MRと歴代のラン・エボに乗った経験がありますが、特に「スーパーAYC」に進化したVIII以降はサーキットコースのような特殊なシチェーション以外でもその効果を明確に体感できました。
 
「いつもならここで軽くブレーキングして・・・」
というようなコーナーに対して、ラインさえきちんと読めば、あとは基本的に蛇角を一定に近くしてアクセルを踏み込んでいくとグイグイと曲がってくれる印象です。
 
 
そこで思い出したことがひとつ。
今から10年前の1996年。当時私はサーキット場の職員でしたが、ある日曜日のショップ主催走行会にデビューしたばかりのエボリューションIVで参加していた人がいたのです。
曰く「エボリューションIIから乗り換えてのデビューランです!」。
馴らしは既にこの日に向けてきちんとされていた模様。
 
60分の走行枠、20分ほど走った彼は興奮気味に語りました。
「いや~、凄いですよこの車。かなりタイムアップしちゃいそうです」
確かに途中経過をモニターで見ると好タイム。彼自身のエボIIでのベストは既にクリアして参加者中上位に陣取っていました。
 
当時の走行会ではエボリューションはまだまだ少数派。
スカイラインやシルビア、インテグラなどが多かったように記憶しています。
彼はスカイラインあたりをターゲットにしたのかもしれません。
一層のタイムアップを目指した終盤20分間。
 
彼の車は2コーナーで激しくスピン、そのままガードレールに激突してしまいました。
幸いにドライバーは無事でしたが、車は間違いなく廃車。
帰って来た彼が言いました。
「どんどんアクセル踏んでも曲がっていくので、もうちょっと、もうちょっとってやっているうちに・・・。調子に乗りすぎましたかね・・・。」
 
結局、彼は「AYC」に"乗せられていた"のではないでしょうか。
 
 
「AYC」は何のための装備なのか。
多くの車に設定されている「トラクション・コントロール」のような安全確保重視の装備ではないでしょう。
やはり「AYC」はサーキットでのラップタイム向上のための装備、と位置づけられると思います。
 
しかし、装備の内容や効果を正しく理解していないとドライバーの過信を招き、前述のような結果を産んでしまうかもしれません。
私は常々思っているのですが、なぜ「AYC作動警告灯」を装着しないのでしょうか。
「警告灯」というと語弊があるのならば「AYCインフォメーションランプ」とでも呼べばいいかもしれません。
 
「AYC」が作動しているということは、つまり非装着車の限界点を超えた部分に電子制御が導いている状況、という可能性もあります。
その遥かに高い限界点で更に無理をすると・・・。
そこからリカバリー可能なドライバーなど、果してこの世に何人いるのでしょうか。
 
 
三菱自動車の開発関係者の方には「AYC作動表示」を強くお願いしたいと思っているところです。
ブログ一覧 | 三菱ランサーエボリューション | 日記
Posted at 2006/12/05 02:42:06

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この記事へのコメント

2006年12月5日 12:07
初めまして。通りがかりの者ですが、コメントさせて頂きます。

ご存じであれば申し訳ありません。
今は絶版となった、ギャランVR-4(EC-5A)にも、AYCが装備されておりました。

メータパネルの真ん中にはAYCのインジケーターがあって、効き具合により
棒が積み重なるような表示でしたよ(3段か4段の表示だったかな)。
ランサーになって無くなったのは、コスト面とかなんですかね?それとも、
インジケータを照らすことに躍起になる人たちが多かったとか・・・。

意外なところで役に立って、後輪のスローパンクチャーなんかが起きたときに
もインジケーターが動いて、左右の回点差を知らせてくれました。

コメントへの返答
2006年12月5日 23:55
popiyさん、当ブログ開設後初めてのコメントありがとうございますm(_ _)m。
 
そうですね、ギャランVR-4にインジケーターが備わっていましたね。
すっかり忘れておりました(^^;。

ギャランはラン・エボより車格が上ですし、エボ程スパルタンなキャラクターでもないのでインジケーターが装備されていたのかもしれませんね。
ひとつの"ショーアップ"的な要素として。

もちろん仰る通り、コストの問題も大きな理由のひとつでしょう。
 
私はやはりドライバーのコントロール領域以上の世界に車を導く機能を有しているのですから、作動を知らせることは必要だと思うのですが、次期型エボには装着されるかな?
2006年12月6日 0:30
確かに、動作の状態を知る上ではインジケーターって重要ですよね。
今後の展開に期待しましょう。

実は私もはじめてコメントを書き込んだんです(^_^;)。
2007年7月14日 20:07
とても考えさせられる記事でした

電子制御システムの功罪
正しくは、どういう制御が入っているのか
それを理解できない人たちに、
分かりやすく伝える部分
そこが足りない

「魔法のような車だ」

それだけじゃ、記事にあった彼のように、
危険な領域まで踏み込んでしまいますね

車の進化だけじゃなくて、
ドライバーにも理解を求める部分、
忘れがちだけど大切だなって感じました
コメントへの返答
2007年7月22日 15:04
最近ではABSなどの安全装備が当たり前のものになってきました。

しかし、これらの電子制御装備などについては、その働きを正しく理解することが大切だと思います。

車は常に進化を続けていますが、現実にはABSすら装備されていない過去の車も現役で走っていますし、装備の内容は車種によって大きく違うこともあります。

人間が出来る領域を超えた部分に車があるシチュエーションは、特に運転している人の自覚がなければ危険極まりないとしかいえませんしね。

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各種取材やウェブサイトを中心とした制作業務を行なっています。 主なテリトリーは自動車/モータースポーツ、飛行機などの交通関係。 自動車は乗用車からトラッ...
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