みんカラには多くのモータースポーツ関係者の方々も生息していらっしゃるようで、今日も新たにモータースポーツ関係の方のお友達が増えました(^^)。
私の場合、モータースポーツには仕事として携わっています。
プロフィールにも書いたように色々な立場で関わってきて、現在はウェブサイトを中心とした情報発信分野から携わっています。
基本的にはいわゆる"ライター"的な書き手ですが、写真撮影や編集制作要素までをやっています。関わっているカテゴリーもサーキットレースからラリー、ジムカーナ、海外競技会まで幅広いので、色々な競技会に足を運ぶことも多いですし、情報としては広範囲なものを常に収集しています。
このように、今は"モータースポーツについて伝える"ことが主な業務となっていますが、一般的にモータースポーツファンに知られている専門誌などの仕事はしていません。
ゆえに、伝え方や伝えたいことも専門誌的なものとは少々異なるかもしれません。
信条としては、企画内容にもよりますが、如何にモータースポーツに興味がなかったり、余り知識や参加&観戦経験の無い方に分かりやすく伝わるように心がけています。
その上で、もちろん知識や経験豊富な方にも納得して頂けるクオリティ、さらには将来的に資料性も高くなるような内容にすることを念頭に置いています。
そうした中、以前自分自身で運営していたスーパー耐久シリーズの情報サイトは、レースを独自の視点で伝えてきていました。
それはレースそのものは時系列的に全体の流れを追いつつ、順位に捕らわれないで必要な場面をピックアップしていくというもの。
どうしてもレースは競争ですから、伝える側も"順位"に縛られてしまいがちです。
すると上位陣ばかりに目が行くようになり、トップ以外の順位争いや、見事な戦略での順位アップは見逃されてしまいがち。
もちろん競争ですから優勝を筆頭にした上位陣がスポットライトを浴びるのは当然ですが、決して上位でなくとも良い戦いぶりを見せてくれたドライバーやチームは紹介したいと考え続けてきました。
もうひとつ、"チーム"としての活躍を伝えていこうというのも大きなテーマでした。
モータースポーツはどうしてもドライバーに注目が集まりがちですが、基本的にはドライバーだけでは成立しません。
特に長丁場のレースが続くスーパー耐久では「チームの総合力」が勝敗を大きく左右する要因となり、監督の戦略やメカニックの個々の作業の速さ、作り上げるマシンが速さと信頼性を両立していることなど、様々な要因が複雑に絡み合ってきます。
例えば監督の戦略は、その判断ひとつで順位が大きく左右されます。ピットインのタイミングや給油回数の戦略、セーフティカー導入時の対応などにより悲喜こもごものシーンをこれまで数多く見てきましたが、なかなか一般的には伝えられていないのが現状です。
また、ピットクルーの働きも重要。特にタイヤ交換などのピットワークは、ほんのワンミスで10秒以上をロスしてしまいます。逆にピットワークを練習を重ねたりちょっとした工夫をすることで10秒短縮されることもあります。
10秒などは日常生活では「あっと言う間」ですが、これをレース中のコース上で挽回するのは易しくありません。ゆえにピットワークに関わるクルーの動きも順位に大きな影響を与えてきます。
昨年から今季にかけてスーパー耐久で印象に残ったのがST-3クラスに参戦する「Buddy Club TEAM EXTREME」。
このチームは残念ながら表彰台を獲得するには至りませんでした。それどころか、とても辛く厳しいシーズンを強いられてしまいました。
昨年の第6戦SUGOラウンドでは、土曜日夕方のCドライバー走行枠で激しいクラッシュを喫してしまいました。ボディ三面を緩衝材にヒットして甚大なダメージを受けたマシン、それを見た多くの関係者が決勝レースへの出走は無理だろうと思っていたことでしょう。
しかし。夜を徹したチームクルーの必死の修復作業が行なわれ、翌朝サーキット入りした関係者は着々と修復が進むマシンを見て驚いたのです。さらにいくつかのチームやドライバーからは寝ずに作業を続けているクルーに差し入れが届けられたりもしていました。
そしてフリー走行でコース上に姿を表したオレンジ色のマシン。もちろん決勝レースのスターティンググリッドにも並び、400kmのレースで7位完走を果たしました。
この素晴らしい戦いぶり、残念ながら専門誌などのメディアを通じては決して大きくは伝えられることはありませんでした。一年を過ぎた今となっては、ウェブメディアやシリーズ公式サイトを見てもこの事実は残念ながら記載がありません。
同様に2007年の第5戦岡山ラウンド。
掲載した写真はこの大会の決勝スタート直後、2コーナーで撮影したものです。
ご覧の通り、スタート直後から超接近戦が展開されており、写真のST-3クラス勢は"ダンゴ状態"でコーナーを抜けていきました。
そしてこの直後に悲劇が起きました。あるモータースポーツジャーナリスト氏は「Zの悲劇」と名付けましたが、無謀な追い越しをしたマシンが原因となってフェアレディZばかり5台がクラッシュを喫してしまいました。
「Buddy Club TEAM EXTREME」のマシンのその中に含まれてしまっていたのです。
原因となったマシンには競技運営団からペナルティが課せられましたが、一般公道での交通事故とは異なり、こうしたクラッシュでの損害は各チームが自己責任で負担しなければなりません。
つまり修復には多大な費用と労力が必要となるのです。
この日から約2ヶ月後、第6戦SUGOラウンドには無事に修復されたマシンが持ち込まれ、6位入賞を果たしました。
しかし第6戦から僅か2週間後の最終戦もてぎ、またもこのチームを不幸が襲ったのです。
金曜日の練習走行。最終走行枠でノーブレーキ状態のマシンに追突されてコースオフ、またもマシンは激しいダメージを喫してしまったのです。この時のドライバーさんは「いきなり後ろからミサイルに突っ込まれた」と語っていましたが、まさに予想も出来ない事態が発生した訳で、クラッシュを免れることは出来なかったでしょう。
残念ながらこの時はレースへの出走は叶いませんでした。
しかし数週間後に控えていたイベントに展示、出走する必要があったため、本拠地に帰ったチームはマシンの修復にまたも取りかかったのです。
ハイスピード走行中にノーブレーキの車に追突され、コース外にはじき出されてガードレールやクラッシュバリアに激突する。そのダメージは想像を遥かに超える深刻なものでした。ボディ全長は明らかに短くなり、リアオーバーハングは無くなったに等しい状態。
そんな状態から僅かな時間で、またもこのマシンは復活を遂げたのです。
こうした決して大きく伝えられることの無い数々の事実。
順位だけを伝えることでは決してスポットを浴びることは無いであろうストーリー、そこにも注目してモータースポーツの本当の面白さや携わる人々の戦いぶりをお伝えしていければ、と思っています。
ということで、昨日から掲載をはじめた2007年のスーパー耐久シリーズ全参加車両のご紹介、今日はST-3クラスを掲載しました。
2007 スーパー耐久参戦車両 ST-3クラス (1)
2007 スーパー耐久参戦車両 ST-3クラス (2)
2007 スーパー耐久参戦車両 ST-3クラス (3)