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イイね!
2008年02月16日

道路と地域医療

道路と地域医療 報道では中国製餃子に関する内容が加熱気味ですが、一方で道路特定財源にまつわる揮発油税の暫定税率についても議論が続いているようです。

しかし相も変わらず与野党ともに建設的な話はなく、政権にいる国土交通大臣は全く信用ならない発言、与党幹部は既得権死守としか思えない主義主張、そして野党幹部は政局だけを睨んだとしか思えない立ち居振る舞いを続けているという情けない有り様です。

そんな中で気になるニュースがありました。

●赤ちゃん救った130キロ命のリレー 出生直後に搬送、心臓手術
中日新聞  2008年2月16日  7時14分

「総肺静脈還流異常症」という先天性の思い病を患ってしまった生まれたばかりの生命は、福井市消防局、そして福井県警察石川県警察富山県警察の各高速道路交通警察隊によって救われました。

この病気は肺から還っていく血液が本来の左心房ではないところに流れていってしまうもので、放置すると生後一週間から一カ月のうちに死に至ってしまうそうです。
手術にあたっては人工心肺装置が必須となり、もちろんほかの医療機材や人材などの面でも高度な医療機関でのみ処置することが出来る難病のようです。

残念ながら今回の件では地元の福井県や隣接県には受け入れ態勢が無かったようで、厳しい冬の吹雪の中をふたつの県境をまたぐ長距離搬送となってしまったというニュース。

関係各位の努力が実り、赤ちゃんの手術が無事に成功したのは何よりです。

しかし図らずもまさに現代の日本が抱える問題点が露呈した事案ではないでしょうか。
近年は各地方自治体が広域救急体制の構築や災害に備えてドクターヘリの導入を促進していますが、真冬の北陸における猛吹雪で、しかも夜間とあっては当然フライトすることは叶いません。

そこで救急車による搬送となったわけですが、猛吹雪の中を130キロもの長い距離、救急隊の皆さんは本当に大変だったことでしょう。
そして応援要請を引き受けて救急車を先導した各県警のパトロールカーも、困難なコンディションの中で大役を果たしたと思います。

記事中の時間表示から察するに、130キロの距離を3時間20分ほどかけて搬送しています。
NEXCO中日本のサイトを使って搬送した高速道路移動経路を検索すると、通常時の所要時間は1時間20分。約2時間余分にかかっていたのですが、このときの猛吹雪による速度規制が50km/hだったそうで、この規制値いっぱいの速度で走行したということが推測できます。

さて、もし今回の事案について、福井から富山まで高速道路がつながっていなかったとしたらどうなったでしょうか。
一般国道を使って、果たしてどれほどの時間を搬送に要するかは想像出来ませんが、少なくとも猛吹雪の中でいくつもの交差点や信号がある一般道を130キロも走るのですから、今回以上の時間を要したことになったのは間違いないでしょう。

全く同じようなことが山陰地方で起きたとしたら?
あくまでも仮定ですが、島根県江津市で同じような事案が発生したとします。
同県には出雲市島根大学医学部附属病院がありますが、何らかの事情でここが患者を受け入れられなかったとしましょう。
そこで次に向かう先として決めたのは、お隣の鳥取県米子市にある鳥取大学医学部附属病院になったとします。

距離は約130km、今回の事案と似たような感じです。
しかしこの間には一部でバイパス道路が出来ているものの、高速道路はありません。
私は去る年末にこの区間を西進しましたが、基本的には片道一車線の一般国道であり、ところどころに将来的に高速道路の一部となる道路がバイパスとして先行供用されているといった感じでした。
もちろん山陰地方もこの季節は雪が降ります。果たして搬送にはどれだけの時間がかかり、どれだけのリスクが存在するのでしょうか。

などと書いていくと道路特定財源の死守を掲げる方々は「もっともだ!」と気勢をあげるかもしれません。

もちろん山陰地域の道路整備が他の地域に比べて遅れているのは間違いなく、これはそのまま放置して良いという話では無いと私は考えています。

しかし、今回の事案は「高速道路があったお蔭で生まれたばかりの生命が救われた」という見方の一方で、「地域の医療体制がもっとしっかり構築されていれば、こんなことにはならなかった」という考え方も出来るのではないでしょうか。

今や医療の崩壊は地方・都市を問いません。
都市圏でも救急搬送の受け入れ先が見つからないという深刻な事態が度々起きるようになってきました。

たまたま最近、1月28日付けのエントリ2月7日付けのエントリと書いてきた内容について、具体的に考えさせられる事案が発生したというのが、最初にニュースを目にしたときの率直な感想です。
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Posted at 2008/02/18 00:16:31

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この記事へのコメント

2008年2月18日 0:43
道路は関係ないと思いますよ。

実は欧米に比較して人口当たりの医師数が極端に少ない日本の現状を
厚生省は医師過剰と称して医学部の定員を制限してきました。

過剰なのは主として都市圏の特定の診療科であって
3年前の初期研修制度改革後は特に地方都市における医師不足は深刻です。

また、いわゆるモンスターペイシェントと呼ばれるわがままな患者達が増加し
夜間等の時間外診療においても通常診療と同じかそれ以上のクオリティを要求される診療体制に多くの勤務医が疲弊している現状です。
新人医師も訴訟のリスクを回避するには訴訟の起き難い診療科を選択します。
その結果、小児科、産婦人科、心臓外科等のリスクの高い診療科を志す医師も減少してしまうという悪循環が生じています。

当直を夜勤とみなさない労働条件のもとで、
徹夜で働いた翌日も通常業務が待っています。
勤務医に労働組合は存在しません。
医局という徒弟制度のもとで日本の医療は運営されています。
ゆえに労働基準法は専守されません。

静岡県でも天城越えをしてしまうとその先に脳外科医は存在しません。
極端なことを言うと河津桜を眺めている最中にくも膜下出血を発症した場合、
天城峠を戻って順天堂伊豆長岡病院まで辿りつかなければ満足な医療は受けられません。
ましてや入院ベッドが満床であれば、マスコミの好きな表現の「たらい回し」ということになります。
たらい回ししているのは病院でも医師でもありません。
日本という国家が問題をたらい回ししているのです。

少なくとも救急医療において日本は大きく先進国に遅れをとっています。
国民皆保険という仕組みそのものが崩壊しつつあるのも事実なのですが・・・
コメントへの返答
2008年2月19日 14:06
詳しいお話し、ありがとうございますm(_ _)m。

あば9さんのコメントを拝読して思ったのですが、最近になってマスコミは医師不足や医療制度改革の失敗を声高に叫んでいるような気がします。

一方で数年前には医療報酬の引き下げや患者に対する情報公開の徹底をヒステリックに叫んでいたのも、マスコミではなかったかと思いました。

>わがままな患者達が増加

これはもしかすると、マスコミの論調に載せられた結果なのかもしれませんね。

>小児科、産婦人科、心臓外科等のリスクの高い診療科を志す医師も減少してしまうという悪循環が生じています。

政府の少子化対策とは何なのだろう?と疑問を抱かざるを得ませんよね。
これは縦割り行政の弊害なのか、大局的に物事を見ることが出来る政治家が皆無であることの現れなのか。

>天城越えをしてしまうとその先に脳外科医は存在しません。

これにはさすがに驚きました。
順天堂伊豆長岡病院はドクターヘリも配備する地域医療の中核施設であったと記憶していますが、逆に言えばそこしかないということなのですね。

私が思うのもここにある意味通じるのですが、数えるほどの高度な医療施設が存在していたとしても、その地域に根ざした医療体制が崩壊してしまっては何の意味も無いのではないかと思います。

道路予算確保、高速道路建設の大義名分に医療を結びつけることが多いようですが、どうして道路ではなく医療そのものを充実させることを考えることが出来ないのでしょうか。。。
2008年2月18日 9:50
今日は、お邪魔します。
あば9さんも仰せですが、欧米に比較して人口当たりの医師数が極端に少ない日本の現状を厚生省は医師過剰と称して医学部の定員を制限してきました。
旨みの少なくリスクの高いローリターン/ハイリスクな仕事に誰が就きたがります?
マスコミに感化されたモンスターペイシェントと呼ばれるわがままな患者さん達が増加し、それに対処するには診療を上手くこなせないと言うのが現実の様です。
看護師さん達と異なり、当直後そのまま日勤に付くのは当然で、昔は当直5回/週など普通に有りました。
体力勝負20代と若いから可能だったのでしょう。
今の勤務医/研修医は当時よりは相当ましな環境と思いますが、都会を除き、環境が整わない地方は絶対数が足りません。
これも国策による研修医制度の改革??により、功罪二面性を有していた「医局制度」が崩壊し地方医局に人が集まらず、出張病院に派遣出来なくなってしまったのが地方の救急医療の崩壊を生んだのでしょう。
今更厚労省が何を言っても手遅れです。
あば9さんも仰せの通り、日本という国家が問題をたらい回ししているのです。
現代より道路が整備されていない時代でも、医師がちゃんと配置されていた良き時代は、少なくとも今よりは救急医療は上手く運営されていたのです。
また皆さん誤解されていますが、医師なら全員救急医療が出来ると錯覚されていますが、飛んでも有りません。
開業医勤務医の区別無く、救急医療を勉強した経験した医師以外殆ど何も出来ません。
それは上司がおり完璧な体制で落ちついお手行なえば、そこそこ経験していれば行なえるでしょう。しかし一人で何も無い環境下で最低限の器具でやれと言われれば何パーセントの医師が出来るでしょうか??
そんな環境下で何でも間でも急に救急医療してくださいと言われて、即了解出来る環境ではないのです。
少なくとも救急医療において日本は大きく先進国に遅れをとっています。
国民全体で見直さなければ欧米の様な医療環境には戻りません。 
コメントへの返答
2008年2月19日 14:12
日本の医療は色々な問題を抱えているのですね。

「医局制度」の実態について門外漢が知る由もないのですが、過疎地の医師が減少については医局制度の崩壊に一因があると聞いたことがあります。

こういった表現が適切か否かは難しいですが、ある程度の強制力をもってしなければ過疎地医療に従事する人材を全国満遍なく確保するのは難しいのでしょうね。

救急医療についてはドクターヘリや震災対策など大がかりなことにばかり注目が集まりますが、より地道な地域毎の体制をしっかり構築し守っていくことはなかなか議論されていないように思います。

その昔は地域の中核となる病院が難病や大病、救急救命を担う一方で、いわゆる"町医者さん"を個々が主治医として、日頃の体調管理や風邪などの治療をお願いしていたように思います。

しかし最近はなんでもかんでも大病院の門を叩く傾向も強いような気が・・・。
その上でテレビのコメンテーターなどは「大病院の診療報酬は高すぎる」なんて言っていたのを見た記憶がありますが、「そりゃあ施設も機材も充実したところなのだから病床数などに応じて報酬が高いのも当然でしょ」と思ったことがあります。

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