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NorthStarのブログ一覧

2011年02月04日 イイね!

“でんでん虫”と“お宮”

“でんでん虫”と“お宮”最近、東京都内などを走っているタクシーを見て、ちょっとした変化が生じていることに皆さんはお気づきでしょうか?
その変化とは、タクシーの象徴とも言えるルーフの「行灯(あんどん)」と呼ばれる防犯灯にあります。

例えば白いボディに青いラインでお馴染みの東京都個人タクシー協同組合。こちらの加盟車両は、全てが“でんでん虫”と呼ばれる黄色い防犯灯(社名標示灯)を装着しています。この“でんでん虫”は協会設立の2年後、1965(昭和40)年から制定された歴史のあるもので、今では個人タクシーそのものの象徴とも言える存在になっています。

この装備は遠目からでもタクシーであることを客にアピールするための効果がありますが、名称として“防犯灯”と呼ばれることもあるように本来の目的はこちらにあります。タクシー強盗などが発生した場合、運転手が車内でスイッチ操作をすることにより、この防犯灯が赤く点滅します。これによって周囲に緊急事態の発生を知らせ、仲間のタクシーなどが警察に素早く通報することが出来るという仕組みになっています。

さて、この“でんでん虫”が最近になってどう変化したのか。
その大きさが従来のものに比べて高さ方向で3分の2程度に小型化されました。そして台座部分が完全に一体化されたり、角の部分が丸められていたりと、全体のイメージはこれまでと変わらないものの細かく変更されています。
2009年12月よりこの新しい防犯灯への変更が始まり、今では加盟全車の交換が終了していると思われます。

変更された理由は、2010年3月6日付のエントリにも記した「外部突起要件対応」にあります。国際基準に日本の保安基準も準拠する流れが進められていますが、今回はその一環として歩行者保護のために車体全体の形状はもちろん、バンパーやエアロパーツ、ドアミラー、アンテナ、灯火類などの突起を規制することとなり、道路運送車両法の保安基準第18条が改正されて2001(平成13)年に公布されています。

その対象車種は3、5、7ナンバーの乗用車(乗用車ベースで改造された8ナンバーを含む)で、2009(平成21)年1月1日以降の新車登録車に適用されます。業界全体として規定以前の登録車についても対応させようという流れの一環なのでしょうが、一方で全国に多数あるタクシー事業者の中には対応するための費用的な問題もあり、適用の猶予を願い出る声も大きかったようです。
そこで現在の流れとしては、タクシー(一般乗用旅客自動車運送事業用自動車)と霊柩車について、2017(平成29)年3月31日まで適用を猶予する方向となったようです。

やはり前回のエントリにも記したように、タクシーよりも規制対応が困難と思われるのが霊柩車。特に日本古来の伝統的スタイルである宮型霊柩車については、その大半が乗用車ベースでの改造車ゆえに規制対象車両となります。しかしご承知の通り、職人の手によって作られた柩をおさめる“お宮”の部分は、自動車というよりは建築物に近いデザインのため、突起規制に対応出来ない箇所が多数存在しています。
参考までに全国に霊柩車がどれくらいあるのかを見てみましょう。社団法人全国霊柩自動車協会の会員1,426社で見ると、その数は2010年初頭の時点で5,821台。そのうち宮型と洋型がそれぞれ約23%ずつ、バン型が47%、バス型が7%という内訳になっています。

そしてこの“お宮”は一品ものの製作ゆえに大変高価で、そう簡単に規制対応したものへの入れ替えを出来るというものではありません。昨今は宮型霊柩車が数を減らしてきていますが、6年先の猶予期間終了までに全国の事業者が新しいものに対応出来るかには疑問も残ります。場合によっては宮型霊柩車が完全に姿を消してしまう地域も生じるかもしれません。
もちろんその代役は洋型霊柩車などで実務的には事足りるのかもしれませんが、前回のエントリでも訴えたように宮型霊柩車は単なる自動車の枠を超えて日本の伝統文化的な存在であることも忘れられません。

今回の突起物規制の前には、補助制動灯(ハイマウント・ストップランプ)の義務化でも霊柩車業界は頭を悩ませました。地上0.85m以上の高さという規定にあたる位置がちょうど柩を出し入れする扉にあたるためです。これについては最新の車両はしっかり対策がされていますが、追突事故防止のためになるべく旧来の既存車両にも早急に追加装着してほしいところです。
一方で突起物規制については若干の疑問が残ります。もちろん公道を走行する自動車である以上は交通事故の当事者になる可能性がゼロではありませんが、では果たして霊柩車の事故率というのはどの程度のものなのでしょうか。基準の統一化、平等・公平という観点で言えば宮型霊柩車だけを特別扱いすることは難しいでしょうが、大正の時代に大阪で考案された霊柩車は時代とともに装飾や材質などに芸術的な進化も見られ、また関西・北陸・中京などでは地域色の濃いものも根付くなど、大衆文化の一端にも位置づけられる存在です。
無理を承知でひとつ提案するとしたら、「自動車の用途等の区分について(依命通達)」の用途区分通達4-1-2によって分類される車体形状“霊柩車”については適用除外としても良いのではないかと思っています。
Posted at 2011/02/08 21:11:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年02月01日 イイね!

枯れ葉と四つ葉のクローバー

枯れ葉と四つ葉のクローバーカレンダーは今日から2月。月が変わるといろいろな変化も伴うものですが、自動車に関連したところでは今日から新しいデザインの高齢者運転標識が定められました。
道路交通法第71条の5第2項では、「普通自動車を運転できる免許を受けた者で75歳以上の者は、内閣布令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣布令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない」とあります。

この「内閣布令で定める様式の標識」が、従来の“もみじマーク”から“クローバーマーク”に変更されました。既に報道されているように、写真の“もみじマーク”は1997年の法改正で75歳以上の運転者に装着が努力義務として規定されました。その後、2002年に対象年齢が70歳以上とされ、2008年6月から装着が義務化されるはずでした。

ところがその後、紆余曲折が待ち受けていたのです。
採用されたデザインが“枯れ葉”を連想させる、などという合理性に欠ける感情論がなぜかまかり通ってしまい、義務化の施行直前になって国会で何とも不可思議な議論が繰り広げられたのです。その結果として警察庁が「1年間は違反の取り締まりは指導に留める」という通達を出し、さらに2009年4月には法的にも義務化を棚上げして努力義務に回帰することが決まってしまったのです。

そしてこのたびのデザイン変更。
これについても警視庁のウェブサイトから引用すれば、70歳以上の運転者に対して“表示するように努めてください(罰則はありません)”という内容に留まっているように、表示は義務化されていません。かつ古いタイプの標識も“当分の間、使用することができます”と、とても曖昧かつ中途半端で実効性に欠ける内容となってしまっています。

人間は年齢を重ねると、身体的な衰えは免れません。運動能力、反射神経、判断能力、動体視力。これらは自動車の運転において欠かせないものであり、これらの衰えによって安全運転を実現できなくなることは明らかです。例え自動車としては比較的低い速度域であっても、例えば時速40km/hという街中レベルの速度にしても人間が持っている能力を遥かに超える“高速”であり、決してこの速度で人間は走ることが出来ません。そのような速度域で1トンを軽く上回る重さのものを動かすということの本質を考えたとき、高齢者が自動車の運転をその能力に応じて制限されることは致し方ないところであると思います。

昨年来、特にタクシーの高齢ドライバーによる交通事故も伝えられており、まずは二種免許について高齢者対策を考えなければならないでしょう。
具体的には一律に年齢で判断するのではなく、科学的な根拠に基づく実技試験において個別の能力を見極め、一定のレベルに達していない運転者の免許は更新しないという策が、いよいよ超高齢化社会を迎えるにあたって必要になってくると思います。もちろん最終的にはこの策を、全ての運転免許更新に展開すべきです。
しかし残念ながら高齢化社会ということは高齢者の人口比が高いことから、選挙のことを考えてしまう議員諸氏にとって、こうした問題には触れないようにしようという思いも見え隠れしています。

もちろん公共交通機関や福祉サービスの充実度に格差があるので、地方では車が無ければ買い物や通院が全く出来ないというところも珍しくありません。この問題は各地方が実情に則した対策を考えつつ、国が予算的な支援をする体制づくりが早急に求められるところ。国土交通省が「交通基本法」の制定に向けて本格的に動き出していますが、ぜひとも実効性のある法律を作り、しっかりと将来を見据えた国のグランドデザインを描いてほしいと思っています。

自分自身もいつかは年齢による衰えを理由に、自動車の運転を止めることを決断する日がやって来ます。その時に、自らの意志で運転免許を返上することはとても勇気が必要ですし、ドア・トゥ・ドアの利便性に慣れきった身にとっては、出来ることならいつまでも運転を続けたいと思うことは間違いないでしょう。
しかし、その独りよがりな思いが、ひとつ間違えると取り返しのつかない重大事故を招く恐れがあります。そうなれば多くの人に迷惑をかけ、誰かの人生を奪ったり狂わせてしまう結果になり得てしまうのです。

免許返納もなかなか数が増えていないようですが、高齢者の自覚と誇りを持ちつつ、改めて自分自身の身体を見つめ直し、かつ自動車を運転することの“本質”を問うて、賢い判断をする人が増えることを願っています。
 
Posted at 2011/02/03 21:16:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年01月29日 イイね!

気になる実力

気になる実力9月にエコカー補助金制度が終了して反動による冷え込みが心配されている日本の自動車市場ですが、その中で存在感を着々と高めているのがEV(電気自動車)。
昨年4月から個人向け販売がスタートしている三菱自動車の「i-MiEV」は、11月には累計生産台数が5,000台を達成。10月からはヨーロッパ仕様の生産も開始されており、さらに11月にはデトロイトで北米仕様車も発表され、またプジョーやシトロエンへのOEM供給も決定するなど、EV普及の先駆者として世界的にも注目を集めています。

これに続いたのが日産自動車の「リーフ」。こちらも昨年12月20日から正式に販売が開始されており、将来的には北米や欧州での生産も予定されており、世界市場でのEV覇権争いは激しさを増しています。

補助金制度なども活用すれば一般ユーザーの購入も現実的になったEVですが、やはり実際には自宅ガレージに充電設備を用意する必要があったり、主に航続距離の面で性能に不安を感じるなど、購入には二の足を踏むという方が多いことでしょう。
そんな場合、ディーラーでの試乗ではなく、レンタカーを試しに借りて乗ってみるという選択肢があります。

日産レンタカーでは2月10日から、「リーフ」の貸し出しを開始します。
気になる料金は一般の場合、12時間で9,975円、24時間の場合は12,600円。これは同社のラインナップで言えば「ブルーバード シルフィ」(12時間:9,450円、24時間:10,395円)よりも高く、「ティアナ」や「スカイライン・セダン」(12時間:13,125円、24時間:16,800円)よりも安いという位置づけになっています。

この貸し出しについて驚いたのは、2月10日の開始と同時に北海道から九州・沖縄までの全国各地の主要都市や空港、駅などの営業所で対応しているということ。そう、真冬の季節ですが、北海道や東北でも貸し出しが開始されるのです。

こうなると気になるのが、その性能。特に航続距離については現実の交通社会において、どの程度の実力を有しているのか注目が集まります。
カタログによればJC08モードで航続距離は200km。これは日産自動車のウェブサイト上でも謳われており、注意点としては「使い方によって大きく変わります」と記され、効率的な運転による航続距離の確保に向けたテクニックが紹介されています。
その中ではエアコンを必要がない場合はオフにするなどの記述がありますが、EVの電気消費にとってエアコン以上の“大敵”となるのがヒーターであるのは広く知られるところ。エンジンという熱源を持たないEVの場合、室内を暖めるために必要とする電気の消費量はとても大きなものがあります。具体的には外気温が0度~氷点下10度の場合、消費電力の20~30%程度をヒーターに持っていかれてしまうとのこと。

そこで「リーフ」では、メーカーオプションの寒冷地仕様として運転席&助手席クイックコンフォートシートヒーター、ステアリングヒーターなどを用意。さらにPTC素子ヒーターは標準仕様の4kWから5kWにパワーアップされ、2011年4月以降は後席ヒーター吹出口と後席クッションヒーターが加わることになっています。
ちなみに「i-MiEV」も同様に、メーカーオプションの寒冷地仕様として運転席シートヒーターや強化ヒーターを用意しています。
ここで注意すべきは、将来的に中古車市場にこれらの車種が出てきた場合。寒冷地仕様が備わっていない個体を北国のユーザーが購入すると、冬場は乗りだしの際に相当の我慢を強いられるでしょうし、結果的にヒーターを酷使して航続距離を短くしてしまう結果を生んでしまうでしょう。

話は戻ってレンタカーについてですが、たまたま昨日都内に打合せに出かけた際、日産レンタカーの店舗に配車されたばかりの真新しい「リーフ」の姿を見かけました。
レンタカーということで不特定多数のユーザーが利用することになるでしょうから、貸し出し側としても特に“電池切れ”のトラブルを回避したいのか、ウェブサイト上でも「渋滞の中でエアコンを使用すると、走行可能距離が半減する可能性があります」と、かなり正直な記述がなされています。

個人的には2010年4月14日付のエントリで記した、高速道路上での電気自動車の“電池切れ”は、ガソリンや軽油で走る車の“ガス欠”に法律上あたるのか、その条文解釈について気になっているのですが・・・。もちろん実際には同じ状況なので該当するのでしょうが、こうした部分に“法律の遅れ”も感じてしまいます。

いずれにしても、いよいよ身近な存在になってきたEV。これからも全国的に非自動車メーカー系のネットワークも含めてEVのレンタカーが増えていきそうですから、その特性を充分に理解した上で多くの皆さんに利用してみていただきたいと思います。
 
Posted at 2011/01/31 21:12:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年01月28日 イイね!

我々はモルモットではない

我々はモルモットではないここ数年、高速道路や自動車専用道路の料金については、政治的な意図によって目まぐるしい変化が続いています。
2001年の11月30日から全国で利用が開始された「ETC(Electronic Toll Collection System)」の普及を図るために、同日から期間限定特別割引が制定され、更にハイウェイカードから「ETC」への移行促進のために翌年には前払い割引制度が実施に移されました。

この辺りはあくまでも「ETC」の普及促進が目的の割引制度という位置づけでしたが、2003年7月19日から「長距離割引社会実験」が実施されました。これは「ETC」搭載車両に限り、適用路線の連続走行距離が長くなるほどに割引率が増すという料金体系。主に大型トラックの動向を検証するのが目的であり、一般道路を走行しているトラックを高速道路に誘導することが出来るかの実験でした。

その後、この“社会実験”という言葉が、政治家によって都合よく使われてしまうようになった感があります。

●アクアライン値下げ実験 経済効果は358億円
TOKYO web(東京新聞)  2011年1月25日 夕刊

1兆4千億円以上の総事業費をかけて作られた「東京湾アクアライン」。1997年12月に開通しましたが、当初の予定では普通車の通行料金は4,900円に設定されていました。しかし時の亀井静香建設大臣が「高額すぎる」と鶴の一声を発し、料金は開通時から普通車4,000円に値下げされたのです。ただし、これは5年間の時限措置として位置づけられていましたが、それでも高額な料金が嫌われて通行量は見込みを大きく下回る結果に。
2000年7月には料金プール制の組み換えによって更に普通車で通行料金を3,000円に引き下げた上、「ETC」搭載車両は社会実験の名の下に2,320円とされました。当初予定の半額以下に設定された通行料金ですが、2009年8月1日からは「ETC」搭載車の場合、普通車で実に800円という格安の料金設定にされました。

この800円設定も社会実験。ちなみに「東京湾アクアライン」は開通からこれまでに数多くの社会実験や割引が行なわれてきましたが、主なものを以下に記してみます。

■東京湾アクアライン利用促進社会実験
期間 : 平成14年7月19日~平成18年3月31日
割引内容 : 全日約23%割引
実験費用 : 期間総額 1億861万1千円 (国費負担 2,635万円、千葉県負担 5,773万5千円)

■東京湾アクアライン利用促進キャンペーン
期間 : 平成17年7月21日~8月31日
割引内容 : 早朝夜間 5割還元、平日昼間 2割還元
実験費用 : 2億4,640万円 (国費負担 1億6,400万円、千葉県負担 8,240万円)

■東京湾アクアラインETC割引社会実験
期間 : 平成19年2月1日~2月28日
割引内容 : 対象時間(6~10時、14~20時)走行で3割引
実験費用 : 2億5,550万円 (国費負担 1億7千万円、千葉県負担 8,550万円)

これらは国と千葉県が共同で費用を負担して行なったもので、前述の記事にある社会実験も同様のものです。ご覧のように実験には多額の税金が投入されており、これらはもちろん国民や県民の負担となっているのです。


高速道路は小泉政権下で民営化されましたが、その後の動きはどうにも当初の理念とはかけ離れたものという印象があります。
確かにサービスエリア施設の充実化や情報サービス提供のボリュームアップなど、利用者サービスの向上を見て取れる部分もありますが、公団時代にも増して広告や宣伝などに無駄な予算を支出しているようにも見えてしまいます。
民営化以後、道路会社各社はウェブ上でいろいろな企画を展開、そこに広告を入れるなどの収入増加策も行なっています。それは良いのですが、一方ではタレントなどを使って宣伝やイベントを頻繁に行なったり、サービスエリアなどでも大小様々なイベントを行なうようになりました。これらは“手作りイベント”という感じではなく、いかにも広告代理店などが主導している雰囲気が漂っています。

果たして公共の交通インフラである有料道路に、こうした宣伝や広告が必要なのでしょうか。
交通安全啓蒙などについてのものは意義があるでしょうが、それはあくまでも最小限の予算で行なわれるべき。本来は収益を利用者に還元して、企業として適切な利益をあげる健全経営と、安全な通行が出来る施設の維持管理や利便性の向上などにつとめるべきです。
現状、道路会社は税金を投入される“社会実験”が頻繁に行なわれたとしても、経営には何の支障もないでしょう。割引というなの実験は、すなわち税金による差額補填に過ぎないのですから、道路会社の努力によって実現した値下げではないのです。

年が明けて年度変わりが近づくにつれ、現在行なわれている「ETC休日特別割引」に対する予算措置の失効が迫ってきました。3月末日でこのままでは割引を終了しなければならず、現政権はそれ以後の制度確立を急がねばなりません。しかし、どうにも明確なビジョンは見えていないのが現実です。

一方で首都高速道路阪神高速道路は、2008年に延期が決定した「距離制料金」を、この機会に復活させようと目論んでいます。利用者全体で見たときには実質的な値上げとなる制度ですが、2008年には景気の後退を理由に導入が延期されました。景気が悪いから導入を延期したことこそ、実質的な値上げの証であると言えるでしょう。

2008年は上限を1,200円としていましたが、今度は900円に設定して“企業努力のフリ”を見せています。しかしこの900円については、当初からこの額になると言われていたものであり、最初に掲げた1,200円が「ちょっと最初は高めに言っておいて、あとから値下げ努力を見せたことにしよう」という意図さえ見えてくるものです。
都市部の重要な交通インフラとして径年劣化による維持管理費がかかること、新規路線が開通していることなど、値上げを容認出来る理由もあるにはありますが、その前に徹底したコスト削減の自助努力をもっと見せるべきではないでしょうか。例えばファミリー企業の問題など、クリアになったとは言えない状態が続いています。

都合よく行なわれている“社会実験”ですが、利用者である国民はいつまでも従順なモルモットではありません。“実験”や“割引”、“無料化”といった、耳障りのよいフレーズに騙されないように気をつける必要があるでしょう。
 
Posted at 2011/01/31 17:22:08 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年01月27日 イイね!

“服従”するのではなく“活用”したい

“服従”するのではなく“活用”したい中古車業界で未だに使われている言葉に「フル装備」というのがあります。これは当初は「エアコン」「パワーステアリング」「パワーウィンドゥ」、後に「カセットデッキ(カーオーディオ)」が加わって合計4点が全て備わっていることを示しています。もっとも近年はこれらの装備については新車時点での標準化が進み、逆に非フル装備の個体を見つけることの方が難しいかもしれません。

さて、自動車の装備で近年普及が進んだものと言えば、「カーナビゲーション」が挙げられるでしょう。
日本での歴史をたどると1980年代に遡り、1987年に登場した8代目(130系)トヨタ・クラウンに設定されたエレクトロ・マルチビジョンが普及の先駆けになったと思います。ただしこれは自立航法式で、現在のようなGPS衛星を利用したタイプは自動車メーカーの純正装備としては1990年のユーノス・コスモが初の事例となりました。

現在ではハードディスク式の普及が進み、情報量や処理速度、グラフィックなどは黎明期のものと比べ物にならない程の進化を遂げています。一方ではコンパクトで安価なPNDと呼ばれるジャンルの商品も人気を集めており、こちらは手軽さと安さで支持されているようです。
最近ではボディ形状を問わず、ミドルクラス以上ではなんらかのカーナビゲーションを装備している車が多く、コンパクトカーや軽自動車でも装着率は間違いなく向上しています。
その普及率を調べてみると、トヨタ自動車が2007年3月に作成した資料では4輪車の全体普及率が2004年の時点で約15%。この年の新車普及率は約52%となっていました。また総務省の資料ではカーナビゲーションの世帯普及率は平成21年度末の時点で51.4%。調査対象には自動車を保有していない世帯も含まれているので、その中で50%以上の普及率というのは思っていた以上に高い数値という印象があります。ちなみに同じ調査の結果によればFAXが57.1%、ETC車載器が49.5%、ワンセグ対応携帯電話が48.0%、パソコンなどからコンテンツを自動録音できる携帯プレイヤーが27.3%となっています。

このように普及が進んでいるカーナビゲーションですが、使い方によって安全運転に大きく貢献してくれる装備でもあります。
道順を案内してくれるということは、不慣れな土地などでは絶対的に安全性が向上します。走りながら地図に目をやるような必要もなくなり運転に集中する環境を構築出来るのですから。また、進む先の道路線型を把握することが出来ますので、カーブの前で事前に減速したり、カーブの向きに合わせて適切な走行ラインを走れるように工夫するなど、法定・制限速度の中でも安全性は高められますし、乗員にとって快適な運転を実現させることも出来ます。
更に車種によってはカーナビゲーションのデータを車両制御に活用している事例も多く、オーバースピードでのコーナー進入に対してスロットルを絞ったりする「ナビゲーション協調制御トラクションコントロール」などが存在しています。

しかし、カーナビゲーションにばかり頼ると、思わぬ危険に遭遇するケースもあります。

●世界の雑記帳:英の老夫婦が旅行中、ナビを信じてドイツの教会に衝突
毎日jp(毎日新聞)  2011年1月25日 12時02分

記事はドイツでの出来事について伝えていますが、カーナビゲーションの誤った誘導を鵜呑みにして運転した結果、教会の建物に激突して老夫婦が軽傷を負ったという内容です。
このニュースを見て多くの人が「そんなこと、自分では絶対にしない」と思われたでしょうし、中には「老夫婦だったから、このような事故が起きたのでは」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ですが、現実の交通社会においてはカーナビゲーションのルート誘導を鵜呑みにした挙げ句、一方通行を逆走したり、右左折や直進などを禁ずる道路標識を完全に見落として走行するような事例も多く見うけられます。これらの当事者は警察に摘発されると一様に「カーナビゲーションの案内に従っただけ」とか「間違った案内をするカーナビゲーションが悪い」などと言い訳するようですが、それでも交通事故にならなかっただけ良かったと思うべき。
自動車の運転はあくまでも運転者の責任において行なうべき。例えばオートパイロット装置を有する航空機でも、操縦士は操縦装置から手こそ離しているものの、常に動作が正しいかどうかの確認をしています。その上で当然、機械の異常やルート逸脱などがあれば、オートパイロット装置を解除してマニュアルで操縦しています。

例えば街中で、交差点の200mくらい手前から車線変更をする車が増えました。これは一般道路における交差点の右左折案内などを音声で行なうのが200m手前からというカーナビゲーションが多いことによるものでしょう。ところが多くのカーナビゲーションでは次の右左折までの距離や方向をかなり手前から案内表示するものが多いので、予めこの表示を確認しておけば余裕を持って最適なところで車線を変えられる筈です。ところが音声案内に頼りきっているのか、進みたい車線が渋滞していたとしても何とか入ろうとする車も多く、このために渋滞が生じたりすることも珍しくありません。
こうした場合は、逆にカーナビゲーションが装着されているのだから、無理に車線変更などをせずに一旦は案内された内容を無視して周囲に流れに乗って進み、その上で再検索された案内内容に従うなど、臨機応変な対応が必要ではないかと思います。

どうにも最近は周囲の状況を全く見ていないのか、独善的な動きをして渋滞などの原因になっている車が増えているように思えてなりません。
カーナビゲーションに“服従”するのではなく、上手く活用することが真の安全運転につながるということを多くの皆さんに理解していただきたいと思います。
 
※写真はイメージで、記事の内容は特定の機種について述べたものではありません。
Posted at 2011/01/30 05:53:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記

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各種取材やウェブサイトを中心とした制作業務を行なっています。 主なテリトリーは自動車/モータースポーツ、飛行機などの交通関係。 自動車は乗用車からトラッ...
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