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2011年01月26日 イイね!

幻となったコンセプト

幻となったコンセプト今や自動車業界のトップメーカーでもOEMは珍しいものではなくなりました。日本語では“相手先ブランド製造”などと表現されますが、要するに同業他社の製品を、自社ブランド商品として販売する手法のことです。
それ自体は決して新しいものではなく、古くは1967年にトヨタ自動車と提携したダイハツ工業が2年後の1969年に発売した「コンソルテ」は、トヨタ自動車の「パブリカ」のボディやシャーシをベースにして意匠を部分的に独自化したものでした。発売当初エンジンはダイハツ製に換装して販売していましたが、後にトヨタ製エンジンを搭載した仕様も追加されています。これも一種のOEMに含まれる事例でしょう。

OEMにはコストダウン効果と、供給を受ける側にとっては商品ラインナップの拡充を容易に実現出来るというメリットがあります。
最近では前者については商用車の世界でそのメリットが注目され、ライトバンやワンボックスバンでは盛んに展開されるようになりました。後者についてもミディアムクラス以上のセダンや軽自動車などについて、OEMでのラインナップ拡充を図るケースが見うけられます。

2011年1月18日の日本経済新聞は、三菱自動車日産自動車から「フーガ」のOEM供給を受けて、今年中に6年ぶりに上級セダンの販売を復活させる、と伝えました。
三菱自動車は過去に軽自動車から大型セダンまで(更に言えば大型トラックまで)のフルラインナップ体制を敷いており、上級セダンとしては「デボネア」や「プラウディア」「ディグニティ」といったショーファードリブン要素の強いモデル、そしてオーナー向けとしては「ディアマンテ」を製造販売していました。

しかし「デボネア」は1999年に生産を終了、後継の「プラウディア」「ディグニティ」も2001年でライフに終止符を打ちました。「ディアマンテ」についても2005年で生産を終了しています。現状のラインナップでは「ギャラン フォルティス」がセダン型としてはフラッグシップの位置に立っていますが、それまでのブランドネームに比べると1ランク以上の格差があるのは明確なところです。

三菱自動車の場合は、銀行や商事、重工など“三菱グループ”の内部需要も決して小さくなく、特に財閥系企業グループの中でも結束が強いと言われる三菱ではグループ企業の中で確実に上級セダンの需要が存在しています。ところがここ6年ばかりその需要に応える車種が存在していませんでした。
また古くからの三菱を愛好する一般ユーザーの需要にも対応出来ず、メーカーはもとより販売店にとっても収益の大きい上級セダンを望む声は根強くあったのでしょう。こうした背景から今回のOEMが実現する運びになったのではないかと想像出来ます。

果たして「フーガ」のOEM車が三菱ブランドでどのようなネーミングになるのかは判りませんが、個人的な予想では内外装の意匠変更も最小限に留められるのではないかと思います。最近の三菱は逆スラントノーズに台形の“ジェットファイターグリル”がアイコンとなっていますが、さすがに現状の「フーガ」にこの顔つきを組み合わせることは困難でしょう。

ここで思い出したのが2007年の東京モーターショーに参考出品された「Concept-ZT」。
見事に逆スラントノーズと“ジェットファイターグリル”の顔つきを持ちつつ、堂々たる体格ながら重苦しさを感じさせないスタイリングに仕上がっていた上級セダンのコンセプトカーです。

参考データを見ると、ボディサイズは全長4,950mm×全幅1,820mm×全高1,440mmでホイールベースが2,815mm。なかなか大柄なボディですが、比較的直線を基調としたスタイリングは斬新さこそ薄いものの独特の存在感を醸しだしています。
興味深いのは搭載されるエンジンで、排気量2.2Literのクリーンディーゼルエンジン。4気筒DOHCの“4N14”型エンジンはコモンレールとピエゾ式インタークーラーを燃料噴射方式として採用、さらにターボをドッキングして140kW(約190ps)の最高出力と、400Nm(約40.8kg-m)の最大トルクというスペックを誇っています。

さらにミッションは「ランサー・エボリューションⅩ」でもお馴染みのツインクラッチSST、駆動方式は電子制御4WDでS-AWCを採用。アルミスペースフレーム構造のボディ、アウターパネルではボンネットやトランク、フェンダーに加えてドアも樹脂を採用するなど、動力性能面のポテンシャルも高いものを予感させる内容となっていました。

ショーに展示されたモデルは、細部の意匠こそショーカーらしい佇まいでしたが、よくよく見ていくと市販化の一歩手前という感じの出来ばえでもありました。インテリアもショーカーとしては比較的現実路線で作り込まれていましたが、その中で特徴的だったのはセンターコンソールに配された2つのダイヤル。
運転席側のものはエンジンスタート/ストップボタンを組み込んだオートマチックのセレクター。ジャガーが採用しているものと同じ発想のダイヤル式となっています。助手席側のダイヤルはS-AWCのモード切り替え。ランサー同様にTARMAC/GRAVEL/SNOWの3モードが用意されていますが、さすがにこのクラスで“GRAVEL”というのはどうかと思った記憶があります。

その他で面白いのは、ヘッドライトとワイパーのスイッチがステアリングホイールに配されていることと、パワーウィンドゥや集中ドアロックのスイッチがセンターコンソールにタッチ式で用意されていたこと。
さすがにこれらはショーカーならではの部分でしょうが、これらのスイッチを一般的なレイアウトとして、センターコンソールにはカップホルダーや収納スペースを設け、更にメーターパネルなどをちょっと現実的なものにすれば、市販車として充分に通用する内容だったのです。

当時は三菱自動車で新しい上級セダンの自社開発を真剣に検討していたのでしょう。
しかし世界的な景気後退やエコ化という流れには勝てず、残念ながらこのコンセプトとプロジェクトは“お蔵入り”となってしまい、そして今回のOEM提携に行き着いたということのようです。

商売としては三菱自動車の企業規模や販売店の力からして、今の国内市場には独自のモデルで上級セダンを開発するよりも、OEM供給を受けて販売した方が正しい判断であるのは明らかです。
しかし個人的には、この「Concept-ZT」は当時とても気になる存在でした。ネーミングの“ZT”は資料によると「Z(究極の)+Tourer」を意味しており、「三菱自動車のクルマづくりの柱である“走る歓び”“確かな安心”“環境への貢献”の3要素を高いレベルで実現する技術の集大成である」と謳われています。

残念ながらOEMでは、こうした“メーカーの主義主張”は見えてきません。コストの制約が小さい上級車種でこそメーカーの個性や車づくりへの考え方、技術力をより見極めることが出来るものですが、残念ながら「Concept-ZT」はこの世に生を受けることは叶いませんでした。
個人的には日本仕様がディーゼルエンジンのみで展開されるとは思えず、かつ実際に販売するとなると価格戦略的に2輪駆動仕様も用意されたかと思います。その上で価格的には300~500万円あたりをターゲットとする構想があると予想しており、自分自身で購入する対象としても興味をそそる一台になると期待していただけに、“お蔵入り”してしまったことはとても残念に思っています。
Posted at 2011/01/28 23:54:58 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年01月23日 イイね!

効果的に使いたい“ヘッドライト”

効果的に使いたい“ヘッドライト”昨夜からの思わぬ友人との長い語らい、終わったのは午前7時。
ということで完全な“午前様”での帰宅となりましたが、東京は朝から気持ちよい冬晴れの空。首都高速道路からは工事が進む「東京スカイツリー」や、雪を冠した富士山の姿がクッキリと見えました。
同時に朝日も眩しく、私は東から西へと走行していたのですが、ルームミラーやサイドミラーに太陽がしばしば映り込んで眩しさを感じた次第です。

そして日曜日は仮眠を挟んで午後から外出したのですが、好天ゆえに夕陽も鮮やかなものでした。ただし車を運転する身にとっては地表近くまで下りてきた太陽の眩しさは想像以上のもので、サンバイザーやサングラスを使って眩しさを和らげようとするものの、時に視界を奪われそうになるほどでした。

こうした眩しい太陽光は、車の運転にとって支障が生じる場合もあります。
誰もが思いつくのは進行方向の先に太陽がある場合で、直射日光によって視界を奪われそうになったりした経験をお持ちの方も少なくないかと思います。前述のように車の場合は装備が義務づけられているサンバイザーを使ったり、サングラスを適時かけるなどして目を保護しつつ視界の確保につとめますが、それでも漏れてくる光の影響までを遮断することは出来ません。

逆に太陽を背にして走る場合はミラーに反射する光が気になるところですが、これはルームミラーならば防眩機能を使って光を和らげることが出来ます。
いずれにしても、運転者の立場としては自らの視界を確保することが第一義となり、そのことに対しては誰もが何らかの対応を考えることでしょう。


しかし、このような太陽光による危険は、“周囲から見られる側”としての立場についても考える必要があります。
どうしても眩しい太陽の光に影響されて、人の視野は通常時のように機能しません。明るいものに対して暗いものは視認が困難になりますし、太陽光のように他を圧倒する明るさのものがあると、どうしても周囲の細かいものは見落としがちになってしまいます。

こうした結果、例えば太陽に向かって走行している場合は、後続車が自車のブレーキランプやウインカーを見落としてしまう可能性もあります。そこで対応策としては、特にブレーキについては早め早めの動作を心がけるとともに、故意にペダルを数回に分けて踏んでストップランプを点滅させて後続車に注意を促す必要もあるでしょう。さらに、これは通常時でも同様ですが、停車する場合も先行車との間隔を広めに取りつつ、後続車の様子をミラーで確認して、万が一追突されそうになった場合の回避余地を確保しておくことも必要です。

また、太陽を背にしている場合も注意が必要。前述のようにミラーに太陽が映り込むことで、後続車への視認性がとても悪化するケースがあります。
この場合に危険なのは先行車の急な車線変更。ミラーを確認したつもりでも、映り込んでいる太陽に自車の存在がかき消されてしまい、突然に先行車がこちらの車線に入ってくる可能性があります。
このような事態を避けるためには、まずヘッドライトを点灯することです。ヘッドライトは決して自らの行く手を照らしだすためだけのものではなく、周囲からの被視認性を高めるという目的もあります。ヘッドライトを点灯すれば、先行車のミラー内での存在感も高まることは間違いありません。
また自分自身も車線変更や右左折時にミラーや目視での後方確認をいつも以上にしっかり行なう必要があります。特に車と車の間を高速ですり抜けてくるバイクの存在には要注意。近年のバイクはエンジンがかかっているとヘッドライトも点灯するものが大半ですが、高い速度で接近してくる場合も多いので危険な存在です。対策としてはウインカーを早めに出して車線変更や右左折の意志を明確に周囲に伝えつつ、ゆっくりした操作を行なうことがベスト。こうすれば、万が一に他車との接近があっても、衝突を回避する余裕を残していることが出来ます。


ヘッドライトの早め点灯は、皆さんご存じの通り薄暮時の事故防止に効果的。
写真の手裏剣のような表示は長崎県警察が展開している「ライト点灯サインボード」ですが、リンク先にもあるように日没1時間前の点灯がお薦めです。また雨天や降雪時には日中でも積極的にライトを点灯するように心がけたいものです。

最近は周囲の明るさに応じてライトを点灯/消灯する「オートライト」がコンパクトカーにも装備されるようになってきました。トンネル区間などではとても便利ですし、自発光式メーター装着車でもライトの点け忘れが無いので便利な装備です。
しかし、以前に「JAF MATE」でテストしたレポートが掲載されていましたが、この「オートライト」は性能差がマチマチで、かなり周囲が暗くならないと点灯しないケースもあるのが実際のところ。

やはり状況に応じてドライバーがしっかり判断して、正しく・効果的にヘッドライトを使うようにすることが大切です。
 
Posted at 2011/01/26 23:21:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年01月21日 イイね!

雪害対策と予算縮減

雪害対策と予算縮減この冬は予想を遥かに上回る豪雪が各地で甚大な被害をもたらしています。

年末の大晦日から元旦にかけての大雪では特に山陰方面での被害が大きく、鳥取県内では国道9号線で1,000台もの車両が立ち往生する事態も発生。自衛隊が現地の要請を受けて災害派遣出動を行い、除雪と救出作業にあたりました。
また1月15日から16日にかけても全国各地で降雪があり、この時は九州南部などでも積雪となりました。

感覚的には2005(平成18)年の「平成18年豪雪」以来の大雪という印象ですが、1月21日に内閣府で行なわれた関係省庁連絡会議で報告されたところによると、この冬の大雪による死者数は全国で45人、負傷者数は重軽傷合わせて463人となっています。また報道にもあったように交通障害や停電、断水といったライフライン被害も大きく、さらに農業や漁業関係への被害も深刻なものがあります(データの数字は2011年1月19日現在)。
積雪量も記録的な多さになっているところが全国にあり、北海道の森町や岩手県の葛巻町・八幡平市、福島県の会津若松市といった北日本はもちろんのこと、岡山県の真庭市、広島県の北広島町、島根県邑南町や鳥取県米子市という西日本の各地においても、観測地点で史上最多の積雪を記録しています。

このように雪が多い今回の冬ですが、道路や歩道の除雪に対する住民の不満が各地で表面化しているようです。

●予算削減で「安全・安心が不安」と国交省 道路の維持・管理の水準低下、除雪量減らす・・・
毎日jp(毎日新聞)  2010年12月24日

実は今回の大雪が降る以前から、こうした事態になることを危惧する声は出ていました。そして要因のひとつとして挙げられているのが、行政刷新会議が行なった“事業仕分け”による予算の縮減なのです。
一部では「事業仕分けで除雪予算が減らされた」という声が大きいようですが、正確には除雪に限った予算ではなく「直轄国道の維持管理予算が縮減された」ということです。

行政刷新会議ワーキングチーム「事業仕分け」第1WG : 直轄国道の維持管理
内閣府行政刷新会議  2009年11月12日

この“事業仕分け”で、結論としては「予算要求の10~20%縮減」という評価が下されました。その手法としては「入札方法の見直しや管理水準の見直しで最低10%程度の縮減」、さらに「公益法人による“中抜き”をなくすこと」や「地方自治体との一体的な維持管理によるコスト削減」などが挙げられています。

今回の除雪に対する不満は、このうちの“予算縮減による管理水準の見直し”が根底にあると思われます。
ただ、道路には国道のほかに、都道府県道や市町村道があり、それぞれ維持管理者が異なります。直轄国道についてはこの“事業仕分け”による影響が大きいかと予想はされますが、実際には都道府県や市町村のレベルになると除雪予算の縮減はさらに以前から行なわれてきています。

●道道の除雪に関するご理解とご協力について
北海道(土木局 道路課)

一例として北海道を見てみると、財政赤字に転落したことなどを契機として、道道の除雪体制を見直しています。具体的には除雪出動基準の目安を以前の降雪5~10cm以上に対して、交通量の少ない道については10cm以上へと引き上げています。また融雪効果は高いものの、電気代などの設備維持管理費が大きいロードヒーティング装置については、面積の縮小が図られています。

●札幌市 : 雪対策予算
札幌市

市町村レベルでも雪の対策費は大きな財政上の支出項目になっており、札幌市でいうと150億円弱が1シーズンに支出されています。
その大半を占めるのは除雪や排雪といった直接的な作業。これらは自治体職員が直接的に行なうケースは少なく、ほとんどは地元の建設会社などに民間委託されています。機材については受託企業や自前で持っているものを使う他、自治体から貸与されているものも多く、作業員は社員だったり臨時雇用していたりと様々なケースがあるようです。

除雪作業は交通インフラの確保という、生活の根幹に関わる重要なものです。もし除雪が不足すれば物流などは滞りますから経済損失は計り知れません。また交通事故の多発や緊急車両の活動に障害を与えることなどによって人命に関わる問題も生じるでしょうし、これからの高齢化社会においては高齢者の生活に対して特に影響が大きいと思われます。
また、降雪地帯では雇用の確保という一面も忘れられません。特に建設業は冬季の収入を除雪に頼る部分も多く、企業の存続と社員の雇用確保に欠かせないものになっているはずです。

しかし一方で、国から地方まで自治体の予算が厳しい状況にあることも事実。ゆえにコスト削減による予算の縮減は間違いなく必要ですが、どうも現状では特に雪が多かったせいもあるでしょうが、除雪の不足がクローズアップされてしまう結果を招いています。無駄な道路を作るなど公共事業の“悪の面”はあるでしょうが、その一方では生活に絶対欠かせない公共事業も存在しています。
どうも雪に対しては非豪雪地帯の人々はロマンティックとでもいうようなイメージが先行してしまうのか、台風や地震といった他の自然災害に比べて、豪雪による雪害は軽視されているように思える部分があります。しかし、雪は実際にとても恐ろしいものでもあります。

行政刷新会議の事業仕分けでは、「社団法人 雪センター」について事業規模の大幅な縮減という判定が下されました。
この法人、実に職員14人のうち10人が東京所在で更に14人の内訳を見ると、理事長(1人)を筆頭に専務理事(1人)、理事が10人、そして2人監事となっているのです。要するに一般職人がいないという、あり得ない組織構造であり、もちろん天下りの面々が高給を得ているのです。

これは事業仕分けのひとつの成果であると思います。実際、この法人が今後どうなっていくのかも注視していく必要があるでしょう。
しかし一方での直轄国道維持管理については、問題がいろいろと残されています。各現場では予算縮減に向けて融雪剤の調達価格を従前よりも安価にするなどの取り組みが行なわれていますが、どうしても実際の作業そのものも縮小せざるを得ないようです。

もう少し降雪地帯選出の国会議員が発言する機会もあって良いようにも思えますが・・・。
残る今冬の間に、深刻な雪害が再び発生しないことを祈るしかありません。
 
Posted at 2011/01/24 08:31:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年01月20日 イイね!

装着が合法である根拠は?

装着が合法である根拠は?2011年1月12日付のエントリでご紹介したパトロールカーのミニチュアカーを眺めていて、ふと気になったことがありました。

それはミニチュアカーでもしっかり再現されていたのですが、車両に貼付されているコールサイン標記について。警察車両には個別に無線呼び出し用のコールサインが車載の無線機毎に割り当てられており、その呼称は車体にも表示されるようになってきています。

もっとも代表的なのは屋根への標記。コールサインは3ケタ程度の数字だったり、所属+数字の組み合わせだったりします。例えば所轄の町田警察署に配属されている車なら「町1」などというコールサインになり、この標記が車体にも施されているわけです。
屋根への標記は災害や広域事案などを中心に、ヘリコプターを中心とした航空機との連携を図るためのもの。“対空表示”と言われるもので、今では制服仕様の車両のほとんど全てに加え、救助救難関係の車両、さらには消防車両などでは広く普及しているものです。

この他には各都道府県警本部によってまちまちなのですが、警視庁の場合はフロントとリアのガラスそれぞれの片隅にも白い切文字ステッカーで標示されています。
ちなみに私が確認している限りでは大阪府警察ではリアウィンドゥに同様の標記を見かけたことがありますが、フロントウィンドゥへの標記はあまり他に例が無いように思います。

さて、ここで気になるのがフロントウィンドゥの標記について。その方法は前述の通り白い切文字ステッカーによるもので、ガラス面に直接貼付されています。

自動車の窓ガラスについては細かい法規による定めがあり、特に進行方向の視界を確保するために重要な前面ガラスについては認められたもの以外を貼付することが厳しく制限されています。
自動車検査独立行政法人の「審査事務規定」というのは、いわゆる“車検”の合否を判定するための規定になりますが、この中の「5-47 窓ガラス貼付物等」ではこう規定されています。


↓======= [以 下  抜 粋 引 用] =======↓

(1) 5 - 46 - 1
(4)に規定する窓ガラスには、次に掲げるもの以外のものが装着 (窓ガラスに一部又は全部が接触又は密着している状態を含む。以下5 - 47 - 1 - 1 及び 5 - 47 - 1 - 2 において同じ。) され、はり付けられ、塗装され、又は刻印されていてはならない。ただし、窓ふき器及び自動車製作者が付したことが明らかである刻印については、この限りでない。(保安基準第29条第4項関係、細目告示第195条第5項関係)


① 整備命令標章
② 臨時検査合格標章
③ 検査標章
④ 保安基準適合標章
⑤ 自動車損害賠償保障法の保険標章、共済標章又は保険・共済除外標章
⑥ 道路交通法第63条第4項の標章
⑦ 車室内に備えるはり付けの後写鏡
⑧ 道路等に設置された通信設備との通信のための機器、道路及び交通状況に係る情報の入手のためのカメラ、車両間の距離を測定するための機器、雨滴等を検知して窓ふき器を自動的に作動さ
せるための感知器又は受光量を感知して前照灯、車幅灯等を自動的に作動させるための感知器であって、次に掲げる要件に該当するもの (要件略)
⑨ 公共の電波の受信のために前面ガラスにはり付けるアンテナ。
⑩ 窓ふき器の凍結を防止する機器であって、次に掲げる要件に該当するもの (要件略)
⑪ 駐留軍憲兵隊の発行する自動車の登録に関する標識
⑫ ① から⑪ までに掲げるもののほか、装着され、はり付けられ、又は塗装された状態において、透明であり、かつ、運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分における可視光線の透過率が70%以上であることが確保できるもの
⑬ 自動車に盗難防止装置が備えられていることを表示する標識又は自動車の盗難を防止するために窓ガラスに刻印する文字及び記号であって、側面ガラスのうち、標識の上縁の高さ又は刻印する文字及び記号の上縁の高さがその附近のガラス開口部の下縁から1 00mm以下、かつ標識の前縁又は刻印する文字及び記号の前縁がその附近のガラス開口部の後縁から125 mm以内となるように貼付又は刻印されたもの
⑭ ① から⑬ までに掲げるもののほか、国土交通大臣又は地方運輸局長が指定したもの

↑======= [抜 粋 引 用 こ こ ま で] =======↑


①は地方運輸局長が不正改造車の使用者に対して、保安基準に適合させることを命じたときに貼付されるもの。⑥は道路交通法 第63条4に基づいて警察官が故障車両(整備不良車両)の運転者に対して発行する、整備を要する事項を記載した標章のことです。

これらの他には吸盤などで装着する小物類なども厳密にフロントウィンドゥへの貼り付けが禁じられています。もちろん装着、貼付していると車検に合格することはなく、保安基準に適合しない、いわゆる“整備不良車”となります。

さて、この中には「警察車両を個別に識別する符号の標記」といった項目は見当たりません。
では、警視庁のパトロールカーでは、何故フロントウィンドゥへの不透明(=透過率0%)のステッカー貼り付けが認められているのでしょうか?
⑭の「国土交通大臣又は地方運輸局長が指定したもの」としてなのかもしれませんが、残念ながらどのようなものが指定されているのかを示す資料はインターネット上では見つけられませんでした。

無論、街中で見かけられるドレスアップを目的としたフロントウィンドゥへのステッカー貼付とは意味合いが全く異なりますし、貼り付け位置も助手席側下端隅ということで運転視界に与える影響も限りなく小さいものであることは理解しています。
しかし、ものがパトロールカーというだけに、法律を厳密に守ることが求められるのは当然のこと。2006年に秋には何を間違えたのか4本中3本のタイヤが車体から2~4mmはみ出した状態にあった宮崎県警察のパトロールカーについて、運転していた警察官を違反処分したということもありました。
 
果たして警視庁の標記が法的に問題無いものなのか、もうちょっと調べてみようかと思います。
 
Posted at 2011/01/24 07:54:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記
2011年01月15日 イイね!

消えようとしている大金

消えようとしている大金2011年のカレンダーを眺めていて、ふと気づいたことが。思えば今年は、ウチにある2台の車がともに継続検査(車検)を受ける年にあたるのです。1号機(日産フーガ 350XV)は秋、2号機(フォルクスワーゲン・パサート 2.0)は夏に期間満了を迎えますので、夏から秋にかけては何かと“物入り”ということになります。

もちろんその前、5月には自動車税の納付もあります。1号機はエンジン排気量が3,498ccなので年間58,000円、2号機はエンジン排気量が1,984ccなので39,500円。2台あわせて97,500円という大きな額になりますが、これらは自動車を所有する上での当然の義務となりますので、納期限内に納めるようにしたいものです。
日本は諸外国と比べて、自動車の保有や維持にかかる費用が大きいことは否めません。自動車に関する税金については機会を改めて検証してみたいと思いますが、経済情勢が厳しい昨今では特に負担を感じているユーザーも多いことでしょう。

いわゆる車検についても、かかる金銭的負担は決して小さくありません。
純然たる検査費用は諸外国と比べて決して突出している訳ではありませんが、必要となる整備費用は物価の高い日本ゆえに小さな金額ではありませんし、なによりも検査時に納付すべき税金などの諸費用が大きな割合を占めています。

その中で気になるのが自動車賠償責任保険。一般的に“自賠責”と呼ばれるこの制度は、ご存じの通り一部の例外を除く全ての自動車と二輪車に加入が義務づけられています。制度そのものは交通事故被害者に対して最低限に救済措置を施すためのものであり、その理念はとても素晴らしいものです。
現実的には万が一に備えて“任意保険”などとも呼ばれる民間の保険にあわせて加入することが一般的とされていますが、現実には全国平均で70%程度と決して高いとは言えない状況にあります。しかも地域によってはこの数値が50%を下回るようなところもあるようで、これは万が一の事故発生時に被害者側と加害者側の双方にとってより不幸な結果を招きかねない問題です。

この“自賠責”ですが、自動車検査登録制度の対象となる自動車や二輪車の場合は、検査時に加入して保険料を納付することになります。つまり、全体で見れば“車検費用”の構成要素であり、車検に大きな金銭的負担を感じる要因のひとつでもあります。


●自賠責保険 : 3年連続値上げへ・・・ 11年度は1割 金融庁
毎日jp(毎日新聞)  2011年1月12日 11時27分

“自賠責”について、このようなニュースが報じられました。保険料の支払いが増加しており年間2千億円以上の赤字を生じているため、保険料を段階的に引き上げていくことになったというものです。

ユーザーが納めた保険料は、民間の保険会社と同様に運用されるなどして積み立てられています。そしてその中から、保険金の支払いも行なわれています。
振り返ってみると、2001(平成13)年に「自動車損害賠償保障法の一部改正法」が成立した際、同年末に政府再保険制度が廃止された時の累積運用金の20分の11(約1兆700億円)についてはユーザーに還元されることとなり、翌2002(平成14)年から2007(平成19)年までの6年間にわたって「保険料等充当交付金」という形での還元が実現していました。

具体的には自家用乗用2年契約の場合、2002(平成14)年から2004(平成16)年までの三年間は33,470円の年間保険料に対して5,840円の交付金充当がなされ、ユーザーの年間負担額は27,630円に抑えられていました。以降、2005(平成17)年からは31,730円の基準料率保険料に対して、一年ごとに段階的に交付金が減額されていきましたが、それでも確実にユーザー還元は行なわれていたのです。
2008(平成20)年には保険料そのものが大幅に改定され、自家用乗用2年契約で22,470円となりました。値下げ幅は平均で24%という大きなもので、ユーザー負担はかなり軽減されていました。

しかしその一方では“自賠責”の積立金と運用益が管理されていた「自動車安全特別会計」から、1994(平成6年)と1995(平成7)年に財政措置として一般財源に貸し出されてきているという実情もあります。その総額はおよそ5,900億円とされていますが、このお金は返済されるどころか現政権が行なっている事業仕分けの一環として、特別会計の見直しに伴って消滅してしまう可能性があるのです。

一般会計に繰り入れられても、一応は自動車の安全に関する分野で使われてきたとのことですが、あくまでも財務省が国土交通省から“借金”をしていることに変わりはありません。その借金が、極端な表現をすれば“踏み倒されようと”しているわけです。もちろんこのお金はエンドユーザーが納付した自賠責保険料であり、本来であればユーザーに還元されるべき性格を持っているのは明らかです。

この件について前の国土交通大臣は、お金の性質までを理解した上で「国民の共有財産として考えるべきではないか」などと発言しています。
繰り返しますが、これはあくまで原資が保険金であり、税金ではありません。ゆえに“共有財産”になる性格とは思えません。現状では制度の仕組みから貸付金をそのまま特別会計に返還されても、直接的なユーザー還元が出来ないという背景もあるようですが、ならば筋道としてはその制度を改定するなり特例措置を設けて還元する努力をするべきでしょう。

日本には政治的な発言力を持った一般ドライバーの組織が無いために、どうも自動車行政は官公庁や政府、業界団体などのメリットを優先しているように思えます。
メディアが個々の自動車ユーザーが置かれている本当の立場を広く知らしめ、その上で税制などの事項や交通安全問題、自動車行政、環境問題などについて一人一人が考えることの出来る社会になってほしいものです。
 
Posted at 2011/01/19 23:31:00 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記

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各種取材やウェブサイトを中心とした制作業務を行なっています。 主なテリトリーは自動車/モータースポーツ、飛行機などの交通関係。 自動車は乗用車からトラッ...
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