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2009年06月03日 イイね!

【試乗インプレッション】 トヨタiQ (2)

【試乗インプレッション】 トヨタiQ (2)トヨタiQ試乗インプレッションの第二弾はインテリア編。
決して実用性をおろそかには出来ないカテゴリーの車種であるがゆえ、数多のコンパクトカーや日本特有の"軽自動車"という手ごわいライバル勢に対して、購入を検討する上ではとても重要な項目がインテリアや使い勝手の部分。

まず乗り込んでみて驚くのは、極端とも言える車体の小ささを感じさせない室内空間が待ち受けていることに尽きます。
私は身長184cmと大柄ですが、運転席について適正なポジションに合わせても全く狭苦しさを感じることはなく。むしろ、比較的容易に適正なポジションをとることが出来たことに驚きです。
運転席シートは前後スライドとリクライニングのみで上下の高さ調整機能はなし。ステアリングは上下方向のチルト調整機能のみで、前後方向のテレスコピック機能はなし。こう記すと物足りなさを感じなくもないですが、比較的アップライトな着座位置を基本としたレイアウトゆえに、許容範囲が広く小柄な女性から大柄な男性まで、正しいポジションで運転することが出来るでしょう。この点は大いに褒めたい美点のひとつです。
ただ、やはりシート上下高さ調整機能くらいは、プレミアムコンパクトを謳う車種であれば装備しておいてほしかったところです。

また、底部をフラット化したステアリングホイールは乗降性に寄与していますし、しっかりしたステアリングのグリップ感は走りの安心感にもつながります。
もちろん1680mmという小型車として常識的な横幅を有するだけに、左右席間の空間にも余裕があり、大柄な男性二名乗車でも窮屈さを覚えることはありません。この点は全幅の制約を強く受ける軽自動車に対するアドバンテージであり、一方ではiQという車を日本で使う上でのデメリットにもなる部分です。

インパネは"マンタ"をモチーフとしたセンタークラスターが特徴的。
もっともカーナビゲーションを装着すると逆三角形のモチーフは若干個性を薄める結果になりますが、センタークラスター最上部に陣取るモニターは視認性も良く、タッチパネル式のスイッチについても操作性は良好です。


■大人3人乗車で得るものと諦めるもの

iQの法定定員は4人。
もっともメーカー側でも大人4人乗車は数値上のことであり、実質的には"3+1"のパッケージングであることを認めているようです。

しかしながら、たとえ"3+1"でも、少なくとも左後席は大人が実用的に乗車出来るということ。そのカラクリが助手席前にあるのです。
写真の通り、一般的な車にはほぼ確実に備わっている、助手席前のグローブボックスがiQには備わりません。その代わりに大きくえぐられて空間が確保されており、助手席を前にスライドさせて左前後席の足元空間を確保して運転席と合わせた大人3人乗車を実現しているという仕組みです。

写真の状態は助手席を最前方にスライドさせた状態。確かに、関取衆クラスには無理がありますが、それほど大柄な人でなければ姿勢的には苦しいものの乗車することが出来るでしょう。
マイクロカーに3人乗車で長距離ドライブに出かけるというケースは余り考えられませんが、ちょっとそこまでの30分や小一時間程度であれば、大人3人が乗って移動出来ることのメリットは決して小さくありません。
そして重要なのは、3人乗車時の安全性。この点、iQには9つのエアバッグが標準装備されており、助手席が例え最前部に位置している場合でも、しっかり衝撃吸収能力を有しているという点は、とても素晴らしい安全性能と言えます。

しかし、実用性という部分ではグローブボックスが装備されないことは正直に言って不便。
日本のユーザーは欧州のユーザーに比べて治安が良いこともあってか、何かと多くの物を車の中に持ち込む傾向があるようです。皆さんの車もグローブボックスには携行を義務づけられている車検証に始まり、整備手帳や色々な手回り品、ボックスティッシュなどが積んであるかと思います。
これら全てが行き場を失います。
車検証や整備手帳はリアシート下の収納スペースにおさめられそうですが、iQのユーザーには日頃から車内の"整理整頓"が求められることになりそうです。


■この空間を巧く使うには・・・?

さて、写真をご覧ください。これはセンターコンソール後方を写したものです。
iQにはシフトレバー後方にカップホルダーが1個備わるものの、それ以外の物入れスペースというのは特に用意されていません。

その代わりに、ちょっとした"空き地"があるのです。

このスペース、使い方としてはリアシート使用時の後席住人の"足置き場"になります。本来、後席に座った場合、足の爪先は前席の下に入れるのが常ですが、iQの場合は踵の高いヒールなどでは爪先を入れるのが少々困難。
そこで足を横にした"オネエ座り"も出来ますよ、というための空間として使えます。

もちろん、後席が空いていれば、この空間を物置きスペースに使わない手はありません。ちょっとしたバッグなどは充分に置けるだけのスペースです。
しかし、走行中に後席足元の隙間に物が転がっていく心配があります。そこでここには丁度おさまるサイズのトレーを置いて使うのがベストでしょう。
残念ながら純正用品にそのような設定は無いようですが、それこそホームセンターや100円ショップ、ちょっと洒落た雑貨屋さんなどで、トレーやバスケットを見つけてきてみてはいかがでしょうか。
スッポリはまるサイズならば転げ落ちる心配も無いでしょうし、必要に応じてマジックテープなどを活用する方法もあるでしょう。
こうすることで、たとえば小さなバッグや財布、携帯電話などを置く為のスペースとして活用出来るという算段です。


■リアシートは収納状態がデフォルト!?

全長が3mを切ったマイクロカーですから、ラゲッジスペースはごく限られた空間になるのも当たり前。
リアシートバックを起こした状態で、ラゲッジスペースの前後長は床面部で150mm程度、しかしシートバックが後傾しているので、実用空間はごくわずか。日常的なスーパーでの買い物をはじめ、ちょっとした物を運ぶことさえも難儀してしまいます。

そこで5:5で倒すことが出来るリアシートバックは、倒した状態で使うことが日常の姿になるかもしれません。
リアにも用意されたヘッドレストは、シート座面と倒したシートバックの間に巧く収納できるように設計されているので、拡大したラゲッジスペースはしっかり使い切ることが出来ます。

倒したシートバックは水平に近くなり、邪魔な突起もないので、狭いながらも使い勝手は悪くありません。
2人で二泊三日程度の旅行に出かける荷物ならば、それほど問題なく呑み込んでくれるでしょう。

また、短い全長ゆえにラゲッジスペースは運転席や助手席から充分に手の届く範囲におさまります。ゆえに例え土砂降りの日でも、雨に濡れることなく荷物を取り出したり出来るというのは、iQならではのシチュエーションと言えるでしょう。


気になるインテリアと実用性は、全長3mを切ったマイクロカーという存在をどう捕らえるかで評価が分かれるところ。
ただ、あくまでも車そのものを見たときには、これだけ限られたサイズの中で安全性をしっかり確保し、かつ最低限+αの実用性を兼ね備えていることに、開発陣の情熱と工夫を感じられます。

次回は気になる装備や総評を記してみたいと思います。ちょっと間を置いて週明けにアップしたいと思っていますので、引き続きおつきあいください。
 
2009年06月02日 イイね!

【試乗インプレッション】 トヨタiQ (1)

【試乗インプレッション】 トヨタiQ (1)先日の競技会取材でお供に使った車が、話題のマイクロカー「トヨタiQ」。
2008年10月に鳴り物入りでデビューした日本車として初のマイクロカーは、そこそこ街中でも見かけるようになってきました。

このカテゴリーとしてはドイツの「SMART(スマート)」が先駆者として知られるところですが、果たして今や世界トップメーカーの地位に君臨するトヨタが送り出してきたモデルは、どのような実力の持ち主なのか。

3日間にわたり、500km以上をともにしてみたインプレッションをお届けしてみたいと思います。


■車両概要

iQといえば、特異なボディサイズを抜きに語ることは出来ません。
おさらいしておくと、全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mm、ホイールベースは2000mm。
3mを切った全長が最大の特徴であり、縦横比はおよそ1.78:1.00となります。

なお「スマート フォーツー クーペ」は、全長2720mm×全幅1560mm×全高1540mm、ホイールベースは1865mm。縦横比はおよそ1.74:1.00で、iQと似た感じのバランスになります。
車体はひとまわり「スマート フォーツー クーペ」がコンパクトですが、乗車定員は2名。対するiQは定員4名となっており、この点は大きな相違点です。

スマート フォーツー クーペ」は長さと幅に対して高さでiQに勝ります。ゆえに短い全長ながらも体格の大きい欧州人がきちんと着座出来るわけですが、外観上は少々安定感に欠けるきらいもあります。
この点、iQスマート フォーツー クーペと同じ15インチのホイールながら、175サイズのタイヤを装着することなども相まって、小さいながらも安定感を与えてくれるスタイリングです。

ちなみに隣同士に並べてみた日産フーガ(350XV)は、全長4830mm×全幅1795mm、ホイールベースは2900mm。縦横比はおよそ2.69:1.00となりますから、如何にiQが上から観て正方形に近いかがお分かりいただけるでしょう。
写真は車体最後端を揃えて駐車した状態ですが、数値でもわかるようにフーガのホイールベースとiQの全長はほぼ同じ。

真横から見たときのiQの"チョロQルック"なスタイリングは、止まっていても走っていても、とにかく周囲の視線を一身に受ける存在です。


■エンジン・パフォーマンス

日本仕様で搭載されるエンジンは直列3気筒DOHCの1KR-FE型。「パッソ」でもおなじみのユニットは最高出力50kW(68ps)/6000rpm、最大トルク90N-m(9.2kg-m)/4800rpm。VVT-iなどを備える点はパッソのものと同一ですが、適正化により若干カタログスペック的には低い値とされています。
ただし車両重量はiQの890kgに対して、パッソは900kg(X "F Package")と10kgほど軽く仕上がっています。

このエンジンについては単体のパフォーマンスとしては3気筒のハンディを感じさせるところはありません。
街中の加速から高速クルージングまで、過不足なくこなしてくれる素直なエンジンという印象です。エンジンのノイズも巧く抑えられている感じで、一昔、二昔前のコンパクトカーにありがちだった"小さい車には我慢がつきもの"という部分は一切ありません。

一人乗りでの高速道路巡航、大柄な男性二名乗車+機材積載での空いた国道やワインディング走行もこなしましたが、特に大きな不満を感じることはありませんでした。


■トランスミッション

日本仕様で現在のところ、iQに組み合わされるトランスミッションはSuper CVT-iのみ。
実は個人的にはトヨタのコンパクトカーに搭載されているCVTには、余り良い印象を持っていません。なぜならこれまで、レンタカーで乗った4~6万kmを走行しているヴィッツベルタでは、もれなく不快な"唸り音"が気になったからです。
しかし、今回乗ったiQはオドメーターの数値も1000km足らずという新車の香りが残っている状態。ゆえに耐久性を含めた面については、しばらく後に改めて検証する機会を得られればと思います。

セレクターレバーは一般的なフロアシフトで、誰でも戸惑うことなく操作できるでしょう。
スタッカードゲートが切られ、走行の基本はDレンジ。常用回転域を高めに設定するSレンジは、スポーツドライビングやワインディング走行、軽いエンジンブレーキなどを必要とする際に便利です。更に強いエンジンブレーキが必要ならばBレンジを選択すればOK。流行りのパドルシフトは備えていませんが、セレクターレバーの操作も力いらずで積極的な手動変速も受け入れてくれます。

しかし、少々気になるのはCVTそのもののセッティング。燃費方向に振っていることは理解出来ますが、やや無理に低い回転数を使おうとする味付けです。
この弊害が40km/h程度での定速巡航という、ごく日常的に走行するパターンで現れてしまいます。まるでマニュアル車で低い回転数なのに無理に早めのシフトアップをしてしまってエンジンがギクシャクするような感じが続くのです。不快な振動が続き、路面のアンジュレーションに対してごくわずかにアクセルを踏み足すと、ブルブルッと震えた感じを伴って一拍おいてエンジン回転数が高まる。
なんともこのフィーリングは不快で安っぽいといわざるを得ません。とてもリアルワールドでの実用性を充分に検証したとは思えない、単に燃費のカタログスペックを追い求めた結果のような感じがして、非常に残念です。
 

さて、次の回では気になる室内の居住性や使い勝手を見ていきましょう。
多くの知り合いが「これって二人乗りだっけ?」と言っていたiQ。乗車定員4人を謳うマイクロカーの実力とは、そして日常的な使い勝手は?
購入にあたって最も気になるであろう部分をチェックしていきたいと思います。
 
2009年03月08日 イイね!

【試乗インプレッション】 トヨタ・マークX with YOKOHAMA iceGUARD

【試乗インプレッション】 トヨタ・マークX with YOKOHAMA iceGUARD昨日付けのエントリまで連続企画でご紹介した「冬の函館・道南紀行」。
2月21日から23日の期間で実際に訪れた内容をベースとして、より主なスポットを訪問しやすいように行程を組み直して掲載してみました。

この取材訪問で移動のアシとなったのが「トヨタマークX」。
そして冬場のレンタルということでタイヤはもちろんスタッドレス、横浜ゴムの「iceGUARD BLACK iG20」を装着していました。
今回はこの両者の簡単なインプレッションをお届けします。


2004年、それまで35年以上の歴史を重ねてきたトヨタの上級オーナーセダン「マークⅡ」が生産を終了。
代わって登場したのが現行型が初代モデルとなる「トヨタマークX」です。

メカニズム的には前年にデビューしていた"ゼロ・クラウン"こと180系クラウンと主なコンポーネンツを共用。

商品コンセプトもトヨタのラインナップにおいてクラウンに次ぐポジションのセダンというのは、マークⅡの時代と変化していません。
しかし、"170系以前のクラウン&マークⅡ"というコンビネーションに対して、"ゼロクラウン&マークX"はユーザーの若返りを図るべくアグレッシブな進化を遂げました。

デザイン的にも躍動感を強く主張。メカニズム面でもV型6気筒エンジンを搭載、走りのパフォーマンスを根本から大いに高める設計が採用されました。


今回のモデルは排気量2,500ccのエンジンを搭載した4WDモデル。
類別は最もボトムレンジに位置する「250G Four F-package"」。HIDヘッドライトやパワーシートといった豪華装備は省かれますが、実用性や基本的な快適性で上級グレードよりも著しく劣るようなことはありません。

シチュエーション的には三日間で、圧雪路/アイスバーン/ドライ舗装と様々な条件を走行する機会に恵まれました。
結論を言えば、いかなる場面でも4WDということもあって高い安定感のある走りを見せてくれました。

快適性の面では決して室内は広々しているというほどでもありませんが、かえって適度なタイト感がパーソナルサルーンらしさを訴求します。
但しインテリアデザインは少々前衛的に過ぎる印象が無きにしも非ず。特にオートマチックのセレクターレバー周辺についてはデザイン的に未消化な感じが否めません。
レンタカーということでナビゲーションは社外品が装着されていましたが、この点はもし購入するのであれば見栄えに優れるトヨタのメーカー純正オプション品が絶対的にお薦めです。

もう一点気になったのが、オートマチックのマニュアルシフトモード。
4WD車は5速オートマチックが組み合わされていますが、積極的な手動変速を行えるモードが用意されています。しかしこのマニュアルモード、セレクターレバーの操作にダイレクト感が不足しています。
個体差なのかもしれませんが、冬道ではエンジンブレーキを使うことが安全走行に直結している面もあるので、ドライバーの意志を的確に受け止められないというのは少々問題ありでしょう。


さて、この[マークX」には、横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「iceGUARD BLACK iG20」が装着されていました。

私自身、社用車1号機(日産フーガ 350XV)に装着しているので基本的な性能の高さは知っていましたが、今回改めて様々な条件下で走行して信頼できるタイヤであることを再認識した次第です。

まず舗装ドライ路面では、スタッドレスタイヤとは思えない静粛性とハンドリング性能を見せてくれます。スタッドレスといえばコーナーリングなどでの"腰砕け感"がどうしてもありましたが、「iceGUARD BLACK iG20」は黙っていれば夏タイヤだと思ってしまうほどの走りを見せてくれます。

次に圧雪路ですが、ここではタイヤがしっかり雪を"噛んで"いることを感じられます。そして、単に"噛んでいる"だけではなく、余分な雪や氷を"噛み続けない"というのが重要なポイント。
路面の雪を捕らえ、効率的に排出して次の路面を捕らえる。この繰り返しがしっかり出来ているからこそ、圧雪路でのクルージングで高い安定性を見せてくれます。
ゆえに北海道らしい直線路はもちろん、コーナーやワインディングでも安心してドライビングすることが出来ました。

最後に気になるのがアイスバーン路。
日中は溶けていた雪も日暮れとともに凍結して路面を覆っていきます。
そこで意地悪に、周囲の状況が許す中で発進時にはアクセルをラフに開けてみたり、停車時に強めのブレーキングを試みてみました。

これは路面がどの程度滑るのかを確認するためでもあったのですが、少々の急な動作ではグリップが破綻を見せなかったのは改めて驚き。

今回の車輛にはABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が標準装備でしたが、TRC(トラクション・コントロール)は未装備。
しかしながら少々のラフなアクセル操作でも氷結路面をしっかり捕らえて発進、強めのブレーキでもABSが作動するまでは至らず。

この点はスリップの原因となる水膜をしっかり取り除いてくれていることを実感させてくれます。

そして最後にぜひお伝えしたいのが、日中~夜間と時間や気温に応じて刻々と変わる路面状況でも破綻を見せなかったこと。
夕暮れ前後は乾いていた(もしくは濡れていた)路面が徐々に凍っていきますので、不用意な運転操作は大きなアクシデントにつながりかねません。

もちろん刻々と変わっていく路面状況を外気温度計のデータや、音、周囲の状況などから判断して慎重な運転をすることが大前提ですが、変わりゆく路面状況に応じて確実なグリップをしてくれるスタッドレスタイヤの存在は非常に大きなものです。


現在は更に進化した「iceGUARD TRIPLE iG30」が最新モデルとしてラインナップされていますので、次の冬に向けて雪道を走る機会が想定される方はぜひ購入を検討していただきたいと思います。


北海道のレンタカーと言えば昨年の夏には"こんな経験"もしましたが、今回は信頼できるタイヤを装着していた車のおかげでドライブをより楽しむことが出来ました。
 
2009年02月05日 イイね!

【ニューモデル・インプレッション】 ホンダインサイト

【ニューモデル・インプレッション】 ホンダインサイト2月5日、本田技研工業は予てから話題になっていたハイブリッドカー「インサイト」を発売しました。

名称としては二代目となる今回の「インサイト」。しかし初代は2シーターのクーペモデルで"空力実験車"のようなスタイリングゆえ、実用性の面ではユーザー層が限定されていました。

二代目はハッチバックスタイルこそ継承したものの、4ドア+テールゲートというファミリーユースにも充分に対応出来る"実用車"に変貌。
外観的にはトヨタプリウスに似ているという印象を持たれる方も少なくないでしょうが、その理由としては日本市場では少数派である"5ドアハッチバック"のスタイルを両車が採用していることにあります。
これは空力面でメリットがあるからなのですが、燃費向上を至上命題とする両車ゆえにボディ形状が同じになり、結果として似たスタイルに見えてくるのも必然であると言えるでしょう。

しかし、顔つきでは「インサイト」が個性的な表情を演出しています。
最近のホンダ車に共通する面構えは好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、シャープな顔だちはなかなか個性的。


インテリアでは、シビック/シビックハイブリッドにも通じる上下二段のメーターパネル「マルチプレックスメーター」に注目。
シビックハイブリッドに対して大いに進化を果たし、ドライバーに有益なエコドライブに関する情報をいろいろとわかりやすく提供してくれます。

例えば上段のスピードメーター、ブラックのメーターパネル内に白文字のデジタルで速度が表示されますが、そこには青から緑へとグラデーション変化するアーチ状の背景が存在していますが
これは「アンビエントメーター」という機能。
この色の違いはドライバーの運転スタイルに応じたもので、緑色背景の状態は燃費に良い運転をしていることの証。

同様の機能はハイブリッド車に限らず採用例がありますが、それらはメーターパネルに小さなランプが設けられているケースがほとんど。その点「インサイト」ではメーターデザインの一部として先進性を感じさせますし、大きな表示なのに全体に馴染むデザインで好印象。もちろん小さなランプとは異なり大変見やすいので、自然にエコドライブが身につくことになるでしょう。


メーターパネル下段、タコメーターの内部には「マルチインフォメーションディスプレイ」を用意。
最近の新車では"お約束"になりつつある、メーターパネル内の多機能集中表示装置ですが、「インサイト」ではとても面白い情報を提供してくれます。
それは「コーチング機能」と「ティーチング機能」。

ハイブリッドカーに限りませんが、燃費を高める運転の基本は"如何にロスを少なくするか"。無駄なアクセルは踏まず、一定のペースで走る巡航を心がけ、周囲の情報を先読み把握して不必要なアクセルやブレーキを減らすことが大切です。
しかし、実際には特にペダル操作についてラフな扱いをするドライバーが少なくありません。中にはON/OFFスイッチのような踏み方をする人もいるのですから。

そこで「インサイト」では燃費に良い運転を実践するためのアシスト機能が強化されました。
先にご紹介したアンビエントメーターも含めた「コーチング機能」では、マルチインフォメーションディスプレイ内に「エコドライブバー」を表示。
写真のディスプレイ内中央にある四角と縦の棒がその機能ですが、縦棒を中心に左右にバーが伸び縮みします。
右方向は加速、左方向は減速。走り出すと状況に応じて左右にバーが伸び縮みしますが、この幅をなるべく少なくすることがエコドライブのコツ。左右の四角い領域に至らない部分が"クリアゾーン"と言われるエコドライブ領域の意味なので、先に述べた"ロスの少ない運転"を実践するための参考として大いに活用できるでしょう。

その上には小枝のような表示がありますが、こちらは「ティーチング機能」の一環。コーチング機能は現在進行形で、その瞬間瞬間の運転について燃費を高めるための運転テクニック向上に役立ちますが、ティーチング機能はもう少し長い時間スパンで見ている感じ。
小枝に葉がついている絵が表示されていますが、これは燃費に良い運転を続けることで葉がどんどん増えていきます。そして最後には花が咲くという仕掛け。

3つのステージに分かれて自分の運転スタイルが評価されていくので、ステージアップを目指したゲーム感覚も交えてエコドライブを楽しく実践できます。
さらにデータバンクとして生涯成績も表示されますから、我慢するエコドライブではなく、積極的に楽しむエコドライブが実現するでしょう。

個人的には更に機能をアップさせて、例えばインテリジェントキーに連動させた"個別データ集計機能"を2人分用意するのも面白いと思います。
"燃費の絶対数値"は走行シチュエーションに左右されますが、"燃費に良い運転スタイル"は場面が違ってもドライバー本人のテクニックに因る部分。
ということで、例えば旦那さんと奥さんで"エコドライブ度競争"を出来たりすれば、より燃費に優しい運転を心がけるようになると思います。
やはり"競争"というのは"やる気"をかきたてますし、毎月のエコドライブ度評価における勝敗で、月に一度のちょっとリッチなディナーをどちらの財布から支払うか、などユーザーの楽しみの幅も増えるのではないかと予想します。


4ドア+テールゲートというスタイルに変貌を遂げた「インサイト」。
ということでスペースユーティリティも厳しくチェックしてみましょう。

まず最初に大いに褒めたいのが"5ナンバーサイズ"におさまるボディ。
全長4390mm×全幅1695mm×全高1425mmということで、日本中のタワーパーキングに文句無しに入庫出来るであろうディメンション。
1700mm超えは当たり前、1800mm以上の"恰幅"を有する車も多い中、1700mm抑えた車幅は、全国どこでも間違いなく使いやすいサイズ。
「ハイブリッドカーが欲しかったけれど駐車場の制約が・・・」
「近所は狭い道も多いので、3ナンバーボディはちょっと・・・」
と近年の車のメタボ化にお嘆きだった皆さんには朗報でしょう。
正直なところ、ハイブリッドであることを抜きにして、このボディサイズだけでも選ぶ価値のある一台です。

さて室内ですが当然、幅広3ナンバー車よりも横方向の制約はあります。
しかし大人4人が乗車して狭苦しさを感じるものではありませんし、充分にそのまま長距離ドライブにも出られる空間が用意されています。
ただし空力面の要求からか後傾させたルーフの影響で、リアシートのヘッドルームは若干不足気味。座高の高さに自信のある方は、運転席か助手席を確保した方が賢明です。

写真はリアのラゲッジスペース。
ここには面白い工夫があって、フロアの高さを二段階に調整できます。
低めにフロアボードをセットしたのが写真の状態、大きな荷物や高さのある荷物を余裕で積載できます。
一方、上段にセットしておけばフラットで広い床面積を活かせます。この時は奥行き850mm、幅が最も狭い箇所で940mm、最も広い箇所ならば1410mmというスペースが提供されます。
さらにケミカル類を収納できるサブトランクも用意されているので、日常生活でラゲッジスペースについて不満が出ることはまず無いでしょう。

それでも足りない、というときはリアシートを倒してスペースを拡大できます。
4:6分割可倒式のシートはシングルフォールディング、シートバック両脇のレバー操作ひとつで簡単に折り畳めます。女性でも気軽に操作できる点は優れた機能です。


デビュー前から何かと話題だった「インサイト」。
スタイリングについてはティザーキャンペーンやコンセプトモデルが早い時期から発表されていたので、それほど斬新さを感じる部分ではないかもしれません。
しかし"噂"として同じように早い時期から情報が流れていた販売価格については、噂通りであったとは言え189万円からという設定の車両本体メーカー希望小売り価格はインパクトのあるものです。

私自身取材で乗った感じでは、この戦略的な値札を下げる「G」グレードでも全く不足のない出来ばえと装備レベルでした。基本がオーディオがレス仕様なので、そこそこのオーディオを装着したとしても実際には200万円級の車両+諸費用という購入プランになるでしょう。しかしこれでもリーズナブル、長く使える実用車として充分にお薦め出来る内容です。
つまり"189万円"のベーシックグレードは決して"戦略的なアドバルーン"という存在ではなく、最も売れるであろうメイングレードになると予想します。
そしてベーシックグレードも最上級グレードも、ハイブリッド機構は共通ですしスタイリングにも大差はありません。このあたりにもホンダの"本気"を感じます。

さて、最後に個人的に「インサイト」で"要注意"と感じた部分を2つご紹介。

まずはリアシートのヘッドクリアランスですが、空力を優先した結果として後傾させたために少々タイト。
身長180cm超の私はもちろん、170cm程度の方でも余裕は少ないと感じるでしょう。
大柄な大人をリアシートに招く機会の多い方は、ショールームでのチェックが必要です。

もう一点は少々硬めの乗り心地。
ホンダらしい、という言い方もあるでしょうが、どうも個人的には"やり過ぎ感"を強く覚えます。
ハンドリング性能を求めるべき車と、そこを抑えても乗り心地を優先させるべき車があるだろう・・・、と思うのですがいかがでしょうか。ここも購入を検討されている方は、ディーラーでの試乗で確認していただきたいと思います。


ハイブリッドカーの普及を目指して、戦略的な価格を引っさげて登場した「インサイト」。
たしかにコストパフォーマンスの高い、お薦めの一台であることを確認できました。

なお「トヨタプリウス」もモデルチェンジが近づいているという話が聞こえてきますが、まずハイブリッド方式の違いはアタマに入れておくべきでしょう。
直接比較すると「インサイト」はエンジンがかかっている時間が長いように感じられ、電気のみで走る領域の大きな「プリウス」に対して燃費が余り良くない印象を感じられるかもしれません。
実際の燃費はユーザーさんのブログなどに記される"実用数値"で比較するのが一番ですから、これから注目していきたいと思います。

また「プリウス」に対して5ナンバーサイズゆえに絶対的な室内空間のサイズでは負けている「インサイト」。
ですが5ナンバーサイズの高い利便性は日本市場では大きなメリットです。
この点は「プリウス」が新型になった時に、自動車専門誌などでのライバル対決で"室内空間が狭い"と評されることが目に見えていますが、これはボディサイズの違いを考えれば当たり前。
もう今の時代に自動車専門誌の短絡的な評価を重視するユーザーも少ないでしょうが、5ナンバーゆえの使いやすさと、その枠内+空力性能を重視した上でのバランスされた室内空間について、ぜひ店頭や試乗車などで確認していただければと思います。
 
2009年01月16日 イイね!

ロータス・エヴォーラ、いよいよ上陸

ロータス・エヴォーラ、いよいよ上陸本日は午後から都内へお出かけ。久しぶりに都心の真ん中・六本木まで足を運びました。

赴いた先は、某ホールで催されたロータスのニューモデル「エヴォーラ」の発表会。
イギリスの伝統あるファクトリーから、13年ぶりにオールニューモデルが登場する運びとなりました。

ロータス社はかのコーリン・チャップマン氏が自ら造り上げたレーシングカーを起源とするイギリスのメーカー。
レーシングマシンの生産、その後は市販車生産にも乗り出しましたが、F1での活躍などスポーツ・スピリットに溢れるブランドとして世界中の愛好家を虜にしています。

しかしコーリン・チャップマン氏が亡きあとは会社は存続の危機にも直面しましたが、現在はマレーシアのプロトン傘下として安定感を取り戻しました。

代表作としては往年の「セブン」や「エラン」「ヨーロッパ」などが広く知られるところ。日本ではスーパーカーブームの火付け役となった漫画でも活躍した「ヨーロッパ」が、もっとも一般的に知られた存在かもしれません。


現在のロータスは、1995年にデビューしたライトウェイト・ミッドシップ2シーター「エリーゼ」が販売の主力。
今や世界的にも稀少な存在となっているライトウェイトスポーツ、数種類のエンジンバリエーションが用意されており、走りの嗜好やテクニックに応じたチョイスを可能としています。

また、日本でも2007年から"エリーゼ・S"をベースにした"カップ・カー"で競われるクラブマンレース「Lotus Cup Japan」を展開。
このレースはナンバー付車両によるワンメイク、テクニック向上に適した上にローコストで楽しめるカテゴリーとして人気が高まっています。


この「エリーゼ」シリーズの上には「エキシージ」があります。
更に上級仕様としては伝統のネームである「ヨーロッパ」が2006年に復活。ミッドシップ2シーターという点は「エリーゼ」などと同様ですが、より上級のGTに位置づけられており大人の雰囲気が漂っています。


そして今回日本でお披露目された「エヴォーラ」。
こちらはロータスラインナップのトップレンジというポジションを担うことになります。
なんといっても他のモデルとの最大の違いは"リアシート"を備えたミッドシップレイアウトとされていること。もちろんリアの2席はエマージェンシーレベル、現実的には手回り品の置き場程度の空間という印象です。

3サイズは全長4344(+559)mm×全幅1848(+275)mm×全高1219(+102)mm。カッコ内は「エリーゼ」との比較ですが、一回り以上大きなサイズであることがお分かり頂けるかと思います。

しかし、決して"肥えた"という印象はありません。拡大されたサイズは伸びやかかつシャープなスタイリングに活かされ、まさに空気を切り裂いて進んで行きそうな印象のフロントノーズや、高いレベルのパフォーマンスを予感させるロー&ワイドな佇まいは、遥かに高額な値札を付けるスポーツモデルと遜色ない存在感を見せつけてくれます。

シャーシはアルミ押出材をエポキシ接合したもので、修理コストの抑制も実現。
サスペンションはアルミ鍛造製で、ビルシュタイン製ダンパーとアイバッハ製スプリングが組み合わされます。


室内は本革を贅沢にあしらっていますが、基本的なデザインレイアウトはロータスらしいスポーツマインドが漲っています。もちろんそれはデザイン面だけでなく、実際の運転操作がしやすいという機能面も含んでの話です。

フロントはレカロ製シートが備わりますが、更に興味深いのはリアシートにチャイルドシート固定のためにISOFIXが備わる点。現行ロータスモデルとして初めて有したリアシートにより、小さなお子さんを連れたご夫婦でも愛車で外出することが出来るようになります。

インパネには最上級GTモデルらしく、カーナビゲーションも装備。ブルートゥース通信機能やi-podとの接続機能も有しているとスペックシートには謳われています。


エンジンは排気量3.5リットルのV型6気筒をリアシート背後に横置きミッドマウント。
ご存じの方も多いでしょうが、このエンジンは日本のトヨタ製、ブレイド・マスターなどに搭載されている2GR-FE型です。
スペックは最高出力が280ps/6,400rpm、最大トルクは342Nm/4,700rpm。これに6速マニュアルミッションが組み合わされています。
スペックシートによると停止状態から時速60マイル(約96km/h)までの加速に要する時間は、僅かに5秒ほどとのことです。

なお、車両重量は1,350kg。ロータスとしては異例の"ヘビー級"になりますが、V6エンジンを搭載し、エアコンやカーナビゲーションなどの快適装備も用意した上、現代の安全基準をクリアしてこの重さに留めたことは賞賛に値するでしょう。

なお、エンジンコンパートメントの後方には、160リットルの収容量を誇るラゲッジルームも用意されていますので、先に記したように小さなお子さんとご夫婦の家族三人で一泊程度の旅行に出かけるにも全く不自由は無いと想像できます。


気になる日本での価格は未発表ですが、900万円前後と予想されています。
2009年夏に販売を開始するようですが、この魅力的なモデルに注目している方も、既に多くいらっしゃるのではないでしょうか。
 

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