
今回は、週末の九州出張で乗った「
スズキスイフト」のショート・インプレッションをお届けしましょう。
乗った個体はレンタカー。しかも装着タイヤが3種類混在という状態だったので、厳密なインプレッションにはなり得ませんので、使い勝手などを中心とした大まかな印象をお伝えします。
ボディサイズは(L)3695mm×(W)1690mm×(H)1510mm。
今回のグレードはレンタカーということでシリーズのボトムレンジに位置する「1.3XE」の2WD(FF)。排気量1,328ccの直列4気筒DOHCエンジンを搭載、最高出力は67kW(91ps)/6000rpm、最大トルクは118N・m(12.0kg-m)/4000rpmというスペックです。
これに4速オートマチックを組み合わせています。
エクステリアはヨーロッパの小型車風にスッキリとクールな印象。変に可愛らしさや背伸びした上級指向は感じられず、コンパクトハッチとしてとても好感を持てるものです。
運転席に座ってまず感じるのはアップライトなドライビングポジション。ヒップポイントもやや高めで背筋をシャキッと伸ばした正しい運転姿勢をとることが出来ます。
ヒップポイントの高さは乗降性の向上につながっています。また背筋を伸ばした姿勢を自然と取れるので、限られた全長の中で効率的な室内空間の使い方が出来るというメリットもあります。
当然視界も良く、最近のクルマとしてはAピラーが立ち気味であることも作用してか、死角は少なめ。
小回り性能も最小回転半径4.7mというカタログ数値ですが、なかなか狭い場所でも便利です。ただしこれはFFの1.3XEに限った話で、4WD仕様やタイヤサイズの異なる上級グレードでは5.2mに拡大してしまいます。
走らせてのフィーリングは、サイズを感じさせない"しっとり感"に包まれているという印象。
高速道路、険しいワインディング、街中と期せずして色々なシチュエーションを試す機会に恵まれましたが、どの場面でも充分な走りを見せてくれました。
足回りは硬すぎず柔らかすぎずちょうど良い感じ。高速道路でもフラット感が強く、やや横風の強い場面でも不安を感じたり大きく修正蛇を当てる必要はありませんでした。
先にドライビングポジションの事を書きましたが、前席の住人(特にドライバー)がアップライトな姿勢を自然にとれるため、必然的に後席スペースにも余裕が生まれます。前席のスライドを無駄に後ろまでさげる必要がないので、足元などに余裕が生まれるわけですね。
実際に後席に人を乗せる機会もありましたが、思った以上の広さに驚かれているようでした。
比較的身長が高めの男性3人で移動しましたが、狭さをそれほどには感じることはありませんでした。
もっともこの3人乗車状態できつい上り勾配を走る場面があり、さすがにそこでは"モア・パワー"を欲しましたが、このような特殊な場面以外では必要充分以上のパワーを有しています。
ただ、現代の基準で言えばスタッガードゲート式の4速オートマチックも悪くありませんが、CVTの方が効率的で好ましいかもしれません。
この辺はコスト(=販売価格)との兼ね合いもあるでしょうが・・・。
使い勝手で言えば、ラゲッジスペース格納方法が特徴的。
後席は6:4分割可倒式です。後席使用状態でも深さに余裕のあるラゲッジは確保されていますが、まずはシートバックを倒すことで拡大させられます。
更に座面ごと前方へはね上げる「ダブルフォールディング式」が採用されています。この方式はヨーロッパで好まれるもので、操作には少々力を要しますが、ここ一番という場面では広いラゲッジスペースを確保できます。
この「
スズキスイフト」、ラインナップは次の通り。
1.5XS [4WD/4AT] 1,543,500円 [2WD/4AT] 1,365,000円
1.3XG [4WD/4AT] 1,354,500円 [4WD/5MT] 1,265,250円
1.3XG [2WD/4AT] 1,176,000円 [2WD/5MT] 1,086,750円
1.3XE [4WD/4AT] 1,281,000円 [4WD/5MT] 1,191,750円
1.3XE [2WD/4AT] 1,102,500円 [2WD/5MT] 1,013,250円
このほかに走りを重視した「
スイフト・スポーツ」がラインナップされているのはご承知の通り。
XEではXGに対してエアコンがマニュアル仕様となるほか、電動格納ドアミラー、シートリフター、タコメーター、バニティミラーなどの実用装備が省かれます。あとはメッキの加飾パーツが装着されません。
そしてタイヤは165/70R14サイズとなります。
ベストバイは?と聞かれれば、何とも悩ましいところ。
ファーストカー需要で長距離や山岳路を走る機会もあるなら1.5XSも悪くありませんが、基本的には1.3のどちらかをチョイスするクルマでしょう。
やはり実用装備が充実したXGがメインとなります。XEは同一駆動方式/ミッションで約7万円差ですが、この程度の差であればシートリフターやバニティミラー、タコメーターなどが備わっていた方が良いように感じます。ただ、タイヤはXG以上は15インチとなるので、多少メンテナンス費がアップすることになります。
また前述のように最小回転半径が変わってきますので、道が狭く入り組んだ地域に車庫があるという方はこの違いを気にしておいた方が良いかもしれません。
最近は軽自動車の進化が著しくこのクラスのコンパクトカーが相対的に存在感を薄くしているようにも感じられますが、軽自動車の倍近い排気量がもたらす"走りのゆとり"は間違いなく存在しています。
そして気になる燃費ですが、270kmを走行して(うち100km程が高速道路、残り170kmのうち70km程度が山岳路、あとは市街地)22.0Literを給油。
計算すると12.12km/Literとなりました。