
もう10日ほど前の話になりますが、次のようなニュース記事を目にしました。
●東京モーターショー:集客低調、8万人減に 自動車離れ反映
-毎日jp (毎日新聞社) 2007年11月13日
10月26日から17日間というロングラン会期で開催された「
第40回 東京モーターショー2007」。
期間中の入場者数は142万5千人ほどとなり、前回2005年の第39回と比べて8万6千人ほど減少したということです。
私はプレスディの2日間のみ会場を訪れましたが、その後の一般公開日について周囲から話を聞いても、以前のような熱気や混雑ぶりは無いように思っていました。
車以外を目的とした入場者は相変わらず多いとも聞きますが、純粋に車を見ようという方は減っているようです。代わって、アジアを中心とした外国人の来場は増えているようにも感じます。
若者層を中心とした"クルマ離れ"については、ここ数年で間違いなく広まっていると思います。
今どきの価値観においては"クルマ"は相対的にヒエラルキーが下がっており、趣味や興味の対象として捕らえる人も減っているのでしょう。
一方で、毎年この時期恒例の"村祭り"も開催されました。
●日本カー・オブ・ザ・イヤーにホンダの「フィット」
-YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2007年11月21日 19時27分
自動車専門雑誌などを発行している各社で構成される実行委員会が主催する「
日本カー・オブ・ザ・イヤー(J-COTY)」の最終選考会が開催され、各メーカーから1台ずつ選出された10ベストカーの中から
本田技研工業が去る10月18日に発表・発売した
FIT(フィット)がイヤーカーに選出されました。
この他、インポートカー・オブ・ザ・イヤーには「
メルセデス・ベンツ Cクラス」、モースト・アドバンスド・テクノロジー賞に「
フォルクスワーゲン」のゴルフGT TSIなど三車種、モーストファン賞に「
三菱ランサーエボリューションⅩ」、モーストバリュー賞に「
ダイハツミラ」が選出されました。
FIT(フィット)は2001年にデビューした初代モデル(写真)もイヤーカーに選出されていますので、2代続けての受賞ということになります。
この結果についてはインターネット上でも賛否両論が交わされていますが、善くも悪くも話題性や盛り上がりについては全く感じられません。
つまり世の中の関心事になっていないということです。
そもそも「
日本カー・オブ・ザ・イヤー(J-COTY)」については選考方法や受賞車種が一般ユーザーの感覚とは大きくかけ離れた面があり、単なる自動車雑誌&ジャーナリスト業界と自動車メーカー広報部門による"村祭り"という色合いが強くなっています。
媒体側やジャーナリストから言えば実行委員や選考委員であることはメーカーに対しての大きな影響力であり、逆にメーカーの広報部門から言えば受賞は自分たちの業務実績となるという関係にあります。残念ながら業種を問わず広報部門というのは実績を明確にしにくい面があるので(営業部門なら一発で明確な数字が出ますが・・・)、こうした賞取りレースに勝つことは誰が見ても分かりやすい数少ない実績と位置づけられることになるのでしょう。
もちろん各賞を受賞したメーカーは、受賞決定直後から広報宣伝活動に入ります。
自らが受賞車両であることを広告で謳う事が主ですが、それも以前に比べればそれほど大がかりでは無くなっているように思います。
今回イヤーカーを受賞した
FIT(フィット)の場合は、発売から僅か1ヶ月というタイミング、しかもボーナス時期も絡んだ年末商戦突入期なのですから、広報宣伝には大きなメリットもあることでしょう。
しかし、実際に「
日本カー・オブ・ザ・イヤー(J-COTY)」の受賞がユーザーの購入動機として強いものになるとは、少なくとも昨今は思えません。
宣伝のアイキャッチ効果にしても、以前よりは高くないように感じます。
思えば、厳正である最終選考の場において各メーカーが投票権を有する審査員をもてなすために、馬鹿げたとしか言いようの無い予算と労力を使っていることを見れば、果たしてこの賞はそんなに権威のあるものと言えるのだろうかと疑問を抱かざるを得ません。
海鮮丼や寿司など豪華な昼食を用意し、それを若い女性が供する自社のホスピタリティブースに審査員を招き、広報担当者は投票を呼びかける。
要するに公開接待のようなものであり、こんな状態を投票側は当たり前と感じているのですから、常軌を逸しているとしか言いようがありません。
当事者たちは"相互交流の重要な機会"とでも考えているのかもしれませんが、ならば華美な演出や豪華な飲食物・土産物は不要のはず。投票選考に役立つ資料などを確認できるブースは用意した上で、飲食物などは主催者側が投票者や来場しているメーカー関係者の分も用意し、出品側(被審査側)が用意することは禁止するのが公正な投票を行なう上で当たり前の策ではないでしょうか。
いくら真剣に投票しました、と言ったところで、こうしたメーカー側からの利益供与を受けるのが当たり前という風潮がある限り、賢くなった一般消費者が主催者側によって作られている"偽りの権威"に騙されることはないでしょう。
投票当日の他にも、事前の接待旅行風試乗会イベントや、主要審査員に対する仕事の発注など、まさしく「もちつもたれつ、もう一回もたれつ」という関係にある自動車媒体とメーカー広報部門。
そろそろ賢い自動車メーカーさんが乱立気味のカーオブザイヤー企画、全てを辞退するという英断を下すようにならないものでしょうか?
なんて、こんなことを書くと、また関係某方面から嫌がらせを受けたりするんだろうなぁ・・・。
Posted at 2007/11/24 05:05:47 | |
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