
【2008年8月10日 10時15分/青森県むつ市大字関根】
夏休みということで無料公開されていた「
むつ科学技術館」の見学を終えた後は、ここに来るまでの道のりで気になる看板を見かけたので急遽予定には無かった行き先を追加して向かうことに。
といってもその場所は「
むつ科学技術館」のお隣。「
独立行政法人 海洋研究開発機構」の
むつ研究所が今日二番目の目的地となりました。
文部科学省が所管する「
独立行政法人 海洋研究開発機構」は海洋に関する基盤的研究開発や学術研究への協力などを行なっています。
そして、
むつ研究所は同法人が運用している「
海洋地球研究船 みらい」の母港であり、この船は世界中に赴いて海洋や気象に関する様々な観測や研究活動を行なっています。
今日はこの「
海洋地球研究船 みらい」が一般公開されているとのこと、とても興味があったので急遽訪れてみた次第。
船には観測用機器を運用するためのクレーン装置などが設けられており、観測機器も展示されていました。
また船内は採取した海水などを分析・研究するための部屋や、乗組員たちが生活する区域、クレーン操作室、操舵室なども公開され、どこも大変興味深く見させていただきました。

何人かの職員の方にお話しをお聞きしたのですが、この船の大きな役割のひとつとして長期観測用の装置を海洋に設置・回収するというのがあるそうです。
二枚目の写真ですが、これは「トライトンブイ」というもので大気や海洋の観測を行なうために赤道付近などに合計10個以上が配備されています。
実際には写真のものに4トンの重りをつけて、ちょうどイラストが描かれている部分の中間あたりから上が海上に顔を出している格好で配置されています。
ここで得られたデータはエルニーニョ現象の解明などに役立っているそうですが、長期間設置しているために"漁礁"のようになり魚が集まってくるそうです。
そうなると現地の漁業関係者が放っておくはずもなく、中には大がかりな網を使った漁で「トライトンブイ」ごと"一網打尽"にしようという輩もいるのだとか。
このように人為的に設置位置が移動すると観測データが使えなくなってしまうそうで、なかなか色々なご苦労があるようです。
もう一つお聞きしたのは昨今の原油価格高騰の影響。
船の燃料である重油も高騰して予算を圧迫しているそうで、対策としてはなるべく補給などのための寄港地を減らして、最短距離での航海を行なうようにしているそうです。
この船には機構所属のほか、大学などの研究者や、一般公募で選ばれた研究者が乗り込むそうです。その内訳も日本に限らず、世界各国の研究者が乗り込み、多くの成果をあげているようです。
そしてこの「
海洋地球研究船 みらい」、実は
前のエントリでご紹介した「
原子力船 むつ」が生まれ変わった姿。
原子力船の研究開発という役目を終えた同船はディーゼル電気推進方式に改造されて「
海洋地球研究船 みらい」に生まれ変わり1997年から現在の任務についています。
聞いたところでは船体の真ん中から前方部など、使える部分は再利用しているとか。原子炉が収納されていたスペースは、現在では研究観測用機器の収納スペースに充てられています。
ある職員の方は「世界中でも、これほど良く働いてくれる船はありません」と胸を張ってお話しして下さいました。
なかなか興味深い内容であった「
海洋地球研究船 みらい」。
なんとなく"ニッポンの底力"を見たような気がします。
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Posted at 2008/08/10 21:33:23 | |
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2008年 東北(下北・津軽) | 日記