
千葉県は南房総を巡ってきたドライブ。
既に太陽は水平線にその姿を隠そうとしている時刻になりました。
往路は「
東京湾アクアライン」を走って、トンネルと橋で横断した東京湾。
復路では短い時間ながらも旅情あふれるカーフェリーを利用して横断することとします。
春一番が関東に吹いた翌日のこの日、気温は4月並の暖かさとなりました。
しかし海は前日に通過した低気圧の影響が残っていて、フェリーはお昼すぎまで欠航続き。携帯電話のサイトで随時状況を確認していたのですが、夕方になって運航が再開されたということで、金谷港のフェリーターミナルを訪れました。
■旅情あふれる40分の東京湾クルーズ
神奈川県・
横須賀市の久里浜港と、
千葉県・
富津市の金谷港をむすんでいるのが「
東京湾フェリー」。
浦賀水道を横切るかたちで東京湾を横断する航路を開設しており、三浦半島と房総半島をむすぶルートは長年に渡って重要な役割を担ってきています。
3隻のカーフェリーで運航される同航路は、繁忙期や週末になると3隻がフル稼動。比較的短い待ち時間で乗船出来るようになっています。
平日は2隻での運航となるので若干待ち時間が増えますが、ダイヤや運航状況は同社の携帯電話サイト上でも確認出来るので便利です。

フェリーターミナルに到着したら、まずは乗船待ちの列に車を停めます。
そして車検証を持ってターミナル内の券売所へ。車検証を提示して料金を支払い、乗船券を受け取って手続きは完了です。
航送運賃は4.0m以上5.0m未満の乗用車1台が3,880円。この料金には運転者1名分の乗船料金も含まれています。
また同乗者は大人(中学生以上)が700円、小人(6歳~小学生)は350円。
料金については往復割引など各種の割引も設定されていますが、今回のような片道利用では2つの割引のいずれかを適用させるのがお得です。
一つ目は「
JAF(日本自動車連盟)」の会員割引。乗船手続時に会員証を提示すれば、乗用車1台とその車の乗車定員内の同乗者の運賃について、10%割引になります。
もう一つは
東京湾フェリーのウェブサイトに用意されている割引クーポン。
クーポンを印刷して持参すると、JAF会員割引と同様に乗用車1台+同乗者の運賃が10%割引されます。
出港の10分ほど前になると車で待機するようにアナウンスが。
それまでの間、待ち時間があればターミナル内のお土産コーナーを散策してみると良いでしょう。
ここでの注目は「牛乳饅頭」と「牛乳羊羹」。
ともに買い求めて、まずは饅頭を食してみました。牛乳の香りが引き立つ優しい甘さで、フェリー船内でのおやつにもちょうど良い感じです。
この他にも房総の特産品や名産品が色々揃っているので、覗いてみる価値は充分にあるでしょう。

係員の指示に従っていよいよ乗船。
乗船券を提示して半券を受け取り、車両甲板へと車を進めます。なお、このフェリーでは車で乗船する場合、同乗者も一緒に車でフェリーに乗り込みます。
指定された位置に停めたら、ドアミラーを畳んでサイドブレーキをしっかりかけます。
短い移動時間の船旅ですが、出港後は車両甲板への立ち入りが禁止されるので忘れ物をしないように要注意。デジカメで記念写真を、と思っている方はカメラ本体はもちろんですが、予備の電池も念のため携行した方が安心です。

客室は進行方向に向かってズラリと椅子が並んでいます。
背もたれや座面も個別になっているので、なかなか寛げる空間という感じ。さらにこの他に横向きのベンチシート&小さなテーブルというスペースもいくつか用意されていますので、夕焼けなどを眺めながらのクルーズを楽しめます。
なお船内には売店もありますが、今回乗船した「くりはま丸」では開店することはありませんでした。
売店とは別に飲料水やタバコの自動販売機も船内には用意されているので、特に困ることもありませんが。
ここで今回乗船したフェリーについてもう少し詳しくご紹介しておきましょう。
「くりはま丸」は2,796t、旅客定員は570名。車両はバス16台、乗用車110台、トラック36台という収容能力を有していますが、車両積載量は同社の所有する3隻のカーフェリー全てで共通しています。

ややウネリのあるコンディションゆえに航行中は少々揺れましたが、なにしろ所要時間が35~40分と短いので、船酔いしている暇も無いという感じ。
デッキで写真を撮影してみたり、東京湾を行き交う船舶を眺めていると、あっと言う間に対岸の三浦半島が近づいてきます。
この日の乗船では、航路の途中で操舵室から面白いアナウンスもありました。
それは航路の傍に停泊していた大型船について。
パナマ船籍の全長333mという巨大な貨物船であり、このサイズは東京湾に入ることが許される上限に近い大きさだという説明がされました。
さらに貨物船の脇には小さな船がいたのですが、この小型船でやってきたのが湾内での航行を補佐する"水先案内人"であることもアナウンスされ、興味を惹きました。
そして
東京電力・
横須賀火力発電所の煙突が眼前に大きくそびえ立つと感じるようになったら、そこはもう久里浜港。
この時間帯の乗船が功を奏し、東京湾口に沈んでいく夕陽、そしてちょっと幻想的でもある闇に包まれる直前の火力発電所を眺めることが出来ました。
接岸直前のアナウンスに従って車両甲板へと戻り、着岸したら誘導に従って下船します。
■最後は横須賀を代表する味で締めくくり
久里浜港から横須賀市内中心部に向かい、夕食を摂ることにします。
なお、港からはT字路交差点を右折して市内中心部に向かいますが、この交差点には信号機がありません。
交通量も決して少なくないので、右折の際は充分に注意が必要です。
そして横須賀での夕食と言えば、あの名物を外すわけにはいきません。
そう、「海軍カレー」です。
その名の通り、海軍に由来するカレーライス。世界的に海軍での定番糧食のひとつがカレーライスで、現在も
海上自衛隊では特定の曜日にカレーライスを食べてカレンダー代わりにしています。

調べた結果、市内中心部にある「
よこすか海軍カレー館」を訪れてみることに。
商店街から入ったやや奥まった場所にお店はありますが、無料の駐車場も用意されているのでドライブでは訪れやすい条件のお店。
店内はレトロな感じで、壁には海軍旗や浮輪が飾られていて良い雰囲気。
ホールの店員さんも蝶ネクタイでビシッときめており、古き良き洋食屋さんといった趣のある店です。
注文したのは明治41年の英国海軍のレシピを忠実に再現したという「元祖よこすか海軍カレー(850円)」と、その昔に海軍のコックさんが作ったという牛肉入りの「よこすか海軍カレー=水兵さん= (950円)」。
後者は私が、前者は同伴の社員嬢が注文したのですが、さらに単品追加で「ポークカツ(850円)」を注文、二人でシェアしてカツカレーにして食べてみることに。

写真は「よこすか海軍カレー=水兵さん=」ですが、ハヤシライスのような雰囲気もある懐かしい味わい。
スパイスの効いた大人の味わい、牛肉もふんだんに使われていますし、タマネギのシャキシャキ感と甘みも楽しめます。
また「元祖よこすか海軍カレー」は、最近では珍しい黄色っぽい色合いのカレー。
小麦粉を炒めてルーを作る海軍カレーの特徴をもっとも感じられるメニューです。
そして「元祖よこすか海軍カレー」には牛乳とサラダがセットでついてきますが、牛乳とのコンビネーションはとても良さそうな感じ。
この点はお店のウリでもあるようで、私たち以外に同じメニューを注文したテーブルもそうだったのですが、ホールの店員さんはこのメニューを客の元へ運ぶと必ず「元祖よこすか海軍カレーです。こちらには"牛乳と"サラダが付きます」と、やけに"牛乳と"に力を込めて説明していらっしゃったような感じがします(^^;。
■東京湾周遊ドライブのまとめ
食後は
本町山中有料道を経て、
横浜横須賀道路へ。
横浜横須賀道路は今年の3月20日に佐原インターチェンジから馬堀海岸インターチェンジまでの供用が開始され、1979年の第一期供用開始から実に30年の時を経て全線開通する運びとなりました。
なお
本町山中有料道はETC未対応なので、通行料金は現金で支払わなければなりません。
横浜横須賀道路の先は往路を逆にトレースするかたちで保土ヶ谷バイパスを走ります。
そして東京は町田に到着したのは21時、出発からちょうど12時間で東京湾周遊を楽しめる内容となりました。
このドライブルートは、なかなかのお薦めです。
往復でルートを変えることで船旅も楽しめます。また私が実践したよりも早めの時間、具体的には
東京湾アクアラインの木更津金田インターチェンジを午前6時~午前9時の間に通行するスケジュールにすれば、通勤割引料金の適用を受けられます。
さらにお昼ごはんが少し早い時間になるので、選べるメニューも増えるでしょうし、混雑も多少は緩和されるでしょう。
そして時間の余裕が出来ることから、今回は立ち寄っていない沿道のスポットを訪れたり、日帰り温泉でサッパリすることも可能になります。
なんとなく企画取材のネタ探しで出かけた東京湾周遊ドライブ。
本業の原稿執筆&企画立案調で3回に分けてご紹介してきましたが、割引を活用すればお得に楽しめる行程を組めたと思いますので、ぜひご参考にしていただければと思います。
■今回のドライブ、そのお値段は?
最後に、今回のドライブでかかった費用もご紹介しておきましょう。
下の表にまとめてみましたが、道路通行料金はETC装着の通常料金が基準。
そして通行料やフェリー乗船料、施設入場料について割引設定がある場合は、割引料金欄に赤文字で記してあります。
燃費については個人差もありますから参考程度ですが、今回は
三菱ランサーエボリューションVII GT-Aという、決して燃費性能では優れない車種での走行。
淡々と法定&制限速度を基本に、流れに乗って走る運転の結果です。
項 目 | 通常金額 | 割引金額 | 備 考 |
首都高速狩場線 | \580 | \480 | 日曜祝日ETC20%割引 |
東京湾アクアライン | \2,320 | \1,500 | ETC通勤割引 |
本町山中有料道 | \200 | \200 | |
横浜横須賀道路 | \900 | \450 | ETC早朝夜間割引 |
東京湾フェリー(車+運転者) | \3,880 | \3,490 | JAF会員またはクーポン割引 |
東京湾フェリー(同乗大人1名) | \700 | \630 | JAF会員またはクーポン割引 |
ガソリン代 | \3,132 | \3,132 | 燃費 9.59km/Liter |
食事処 ばんや | \2,640 | \2,640 | |
猫だ!PARK(大人2名) | \2,000 | \1,800 | WEBクーポン割引 |
よこすか海軍カレー館 | \2,650 | \2,650 | |
金谷フェリーターミナル | \867 | \867 | 牛乳饅頭+牛乳羊羹 |
その他雑費 | \600 | \600 | コンビエンスストア |
合 計 | \20,469 | \18,439 | 差額 : \2,030 |
※道路通行料金の「通常金額」はETC装着車のものであり、現金払いでは一部の金額が異なります。
●ルートマップ|金谷港 → 久里浜港 → よこすか海軍カレー館 → 東京・町田
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