
今回の函館・道南紀行では、初日に空路函館入りした直後に手配しておいたレンタカーを受け取って、移動のアシとして使っています。
しかし、実は
函館市は道内の主要都市では
札幌市と肩を並べるほどに公共交通機関が発達している街。
函館バスなどの路線バスに加えて、情緒あふれる「
函館市交通局」の路面電車も市内主要地区をカバーしています。
これらは地元のみなさんのアシとして定着しており、"パーソントリップ調査"の結果を見ても
函館市は道内他都市よりも自家用車依存度が低いことがわかります。
もちろん観光で訪れる人にとっても使いやすく、かつウェブサイトなどを通じて利用に関する便利な情報発信も行われているので、これは見逃せません。
そこで二日目は「
函館市交通局」の路面電車で小旅行に出かけてみることにします。
■まずは"海鮮勝手丼"で腹ごしらえ
今回宿泊しているのはベイエリアに昨年オープンした「
ホテル&スパリゾート ラビスタ函館ベイ」。
ここをお薦めする理由は前々回のエントリに記しましたが、朝食メニューの充実ぶりも大きな選択理由のひとつです。
朝食は2階にある「北の番屋」というレストランが会場。
好きなものを好きなだけ選べる"ビュッフェスタイル"ですが、その品揃えの豊富さと新鮮さ、美味しさには舌を巻きます。

参考に私が選んで仕立てた朝食を写真でご紹介。
メインは"海鮮勝手丼"、この日は新鮮なイクラ、サーモン、イカ、エビ、とびっこが用意されていましたので、丼にアレンジ。もちろん刺身定食風にいただいてもOKです。
おかずは焼き物が、焼き鮭とイカのポッポ焼き。揚げ物はザンギと呼ばれる鶏のから揚げ。
さらに地元名物から、いか飯と松前漬、さらに茹でじゃがいも。
汁物はカニ汁、飲み物は北海道限定販売の乳酸菌飲料であるカツゲンでまとめてみました。
もちろんこれはほんの一例。洋食系メニューも豊富ですし、ワッフルなどの甘いものも用意されています。
そしてビュッフェスタイルですから、好きなだけ美味しい朝食を楽しめるというわけです。
ホテルのサイトでは朝食付きパックが用意されていますが、余程朝の時間に余裕がない方以外は朝食付きで予約するのが絶対にお薦め。
函館といえば朝市などでの朝食も考えられるところですが、変に"観光地化"した朝市は余りお薦めする気になりません。地元の友人達もここは同意見のようでした。
■路面電車でGO!
美味しい朝食でお腹を満たして一息ついたら、いよいよ路面電車の旅に出発です。
まずはホテル最寄りの「魚市場通電停」へ。徒歩で5分程度ですが、冬期は歩道や横断歩道が凍結している可能性もあるので、急がずに向かいましょう。

ここから湯の川方面行きの電車に乗りますが、日中は5分程度の間隔で運行されていますので、停留所でそれほど長く待つこともありません。
やって来た電車には車輛中央部の中扉から乗車、その際に整理券を受け取ります(後述する1日乗車券等の利用者は除)。
降車は前扉から、整理券と運賃を支払う「後払い方式」となっています。
路面電車に乗って改めて思うのが、市民の足としてしっかり定着しているという事実。
夕食のおかずを何にするかで盛り上がっていた二人連れの女性は"市民の台所"として知られる
中島廉売に近い堀川町電停で降りていきました。
雪の朝となったこの日、ゴム長靴姿の中年男性二人連れは、威勢のよい"浜言葉"で馬の話題で盛り上がっています。そんな二人は案の定、
函館競馬場の目の前にある競馬場前電停までの乗車。
さらに市民会館前電停で降車したのは楽器を抱えた学生さん。これから発表会なのか、それとも練習に訪れたのか。
こうして市民生活の一端を垣間見ながら、終点の湯の川電停まで約35分の小旅行。

そして終点に到着して降車となりますが、ここでお薦めが「
市電1日乗車券」。
大人600円で一日乗り放題となるオトクな乗車券です。
市電の運賃は距離に応じて200~250円の範囲で4段階が設定されています。
魚市場通~湯の川間は250円。単純往復ですと500円ですが、今回は復路に湯の川~函館駅前(240円)、さらに再び函館駅前~魚市場通(200円)と二回に分けての乗車を予定しています。
こうなると一日乗車券購入の方がオトク。さらにこの乗車券には観光案内マップやスタンプ帳ページが綴られていますし、デザインもちょっと洒落ているので記念品にも最適。
ということで降車時に運転士さんに申し出て購入。終点ですからさほど慌てることなく購入叶いましたが、さすがに今乗ってきた電車に折り返し乗車というのも芸がないので、ひとつ手前の湯の川温泉電停までを徒歩で散策してみることにしましょう。
■市民に愛される人気の団子

湯の川電停から湯の川温泉電停までは約500m、急ぎ足でなくともそれほど時間を要する距離ではありません。
この500mの間には、ぜひとも立ち寄りたいお店がありますのでご紹介しましょう。
「銀月」。
お餅と和菓子のお店で創業40年以上、函館市民はもちろん道南各地からも遠路はるばるお客さんがやって来るという人気のお店です。
たしかに私が訪れた時も午前中であるにも関わらず店内は多くのお客さんで賑わっていました。それも観光客の姿は皆無、地元のみなさんが次々にこの店の名物である焼き団子を買い求めているのです。
そこで私も団子と豆大福、豆餅を購入。

では名物の団子を写真でご紹介しましょう。
右から順に"黒ごま"、"醤油"、"餡"、"きな粉餡"。きな粉餡というのは珍しいかと思いますが、きな粉の風味や香りも楽しめるお薦めの逸品です。
ちなみに団子は1本84円という安さ。4種類を各2本ずつ購入しても672円です。
また併せて購入した二品、私は豆餅をいただいてみましたが、これもなかなかの美味。素朴な風味で豆のほんのりした甘みが良い感じでした。
なお団子は早々に売り切れることもあるようなので、午前中に訪れるのがお薦めです。
【餅とお菓子 湯の川 銀月】 函館市湯川町2丁目22-5 電話番号 0138-57-6504
営業時間 8:30 ~ 18:00 定休日 日曜日
駐車場 店舗隣に無料駐車場2~3台分有り |
■アクセス性に優れた名湯・湯の川温泉
団子を買い求めてから少し歩くと「
湯の川温泉」です。

ここは道南を代表する温泉街のひとつで、いくつもの温泉ホテルや旅館が軒を連ねています。
ところで全国各地に温泉街は幾多ありますが、空港から車で5分、路線バスや路面電車でもアクセスできるというところは、ここ「
湯の川温泉」だけではないでしょうか。
温泉街のホテルには、日帰り入浴営業を行っているところもあります。
また公衆浴場も4~5軒はあるようなので、こちらの湯を楽しんでみるのも良いかもしれません。ただし公衆浴場の中には、とんでもなく熱い湯のところもあるようです。
時間的に本格的な入浴は難しいのであれば、無料の足湯を楽しんでみてはいかがでしょうか。
電車通りの交差点脇にある足湯は、手軽に湯の川温泉を楽しめるスポットです。
もちろん利用は無料、足湯に浸かりながら先に買い求めた団子と自動販売機で調達したお茶で一服、なんていうのも良いかもしれません。
■路面電車に揺られて北海道の玄関口へ
湯の川電停から再び路面電車に乗車します。
函館市交通局の路面電車は新旧色々な車輛が在籍していますが、往路で乗車したのは710形という現役で三番目に古いタイプ。
そして今度は1993年にデビューした2000形という比較的新しい車輛に乗車しました。
この他にも
函館市交通局には元・東京都電や、最新鋭の低床車輛などもありますので、乗り物好きには興味をそそるところかもしれません。

往路を引き返すかたちで進んできた電車は、函館駅前電停に到着。
JR函館駅の目の前にある停留所は、さすがに乗降客数も多く賑わっています。
ここで電車を降りて、次なる目的地に向かいます。
なお
函館駅と言えば古くから"北海道の玄関口"として知られてきた地。
その昔は鉄路から青函連絡船への乗り継ぎ駅であり、どことなく最果て感のある駅舎が旅情を感じさせていました。
連絡船が廃止されてからは、新たに青函トンネルを経由して鉄道が北海道にやってくるようになりましたが、"北の玄関口"というポジションは以前と同じ。
ただ、2003(平成15)年に約60年ぶりに新築された駅舎となったため、最果て感はすっかり薄れています。
【JR 函館駅】 ・路線 函館本線、津軽海峡線、江差線
・館内付帯施設「PiAPO(ピアポ)」 ダイニングレストラン和華 (和食&中華) ブォン・ヴィアッジョ (パスタ&グラタン) アットカフェステーション (喫茶) ポッポ (土産品&弁当) ブックショップステーション (書籍) 自由亭 (とんかつ) コンビニキヨスク函館 (コンビニ) 函館のにぎり寿司 青葉鮨 (寿司) 駅弁 みかど (駅弁) はこだて明治館 函館駅店 (ガラス製品・オルゴール)
・駐車場 函館駅西駐車場 (乗用車136台収容、100円/30分) |
●ルートマップ|ホテルラビスタ函館ベイ → 湯の川電停 → 銀月 → 湯の川温泉電停 → 函館駅