松前町に到着した片道100kmのドライブ。
好天に恵まれたことも幸いして、2月の訪問ではありましたが快適なクルージングを楽しみながら
松前町までやって来ました。
時期的には観光スポットのいくつかが冬期閉鎖中であったりもしますが、"冬の道南"ならではの楽しみや味わいもあり、この時期の旅行もなかなかお薦めです。
さて、滞在三日目・最終日もいよいよ折り返し。
まずは歴史ある
松前町でのお昼ご飯からご紹介していきましょう。
■松前城を眺めながら、話題の函館名物を食す!
時刻もお昼時ということでランチタイム。
2月という冬場の訪問ゆえに残念ながら松前城の資料館や藩屋敷施設はどこも冬期休館中。松前と言えば桜の名所として知られる地ですから、この街のベストシーズンは桜が咲く5月の大型連休頃となりそうです。
但し「松前さくらまつり」の期間中は、相当な人出で混雑するようでもあります。
さて話は戻ってお昼ご飯。
松前城の天守を望む駐車場に停めた車の中で、函館出発時に調達しておいた"函館名物"をいただきます。

それが「
ハセガワストア」の"
やきとり弁当"。
函館出身の"
GLAY"が火付け役となって、すっかり新しい"函館名物"として全国区になりました。
ちなみに私の友人は"
GLAY"のメンバーと幼なじみだそうで。
この弁当、"やきとり"と銘打っていますが、その正体は豚肉。
北海道では
函館市を中心とした道南地区や、
室蘭市などでは、"豚の焼きとり"が一般的です。
さらに特徴的なのは、店頭で注文を受けてから焼いていること。"たれ/塩だれ/塩/うま辛だれ"という4つの味付けから好きなものを選べ、ボリュームも大・中・小と用意されています。
今回はご飯200gに豚精肉串の"焼きとり"が3本載せられている、あま辛だれの小サイズ(399円)を購入。店頭で注文用紙に記入して店員さんに渡すと、その場で焼き上げてくれます。
既に購入から2時間以上を経過していますが、弁当というのは冷めても美味しいからこそ価値があるもの。
この点"やきとり弁当"はコクのあるタレが絶品で、冷めていても食が進みます。
もちろん作りたての熱々は更に美味しいでしょうから、次回訪問の際は作りたても試してみようと思います。
ところでこの"焼きとり弁当"は観光客向けに開発された商品ではなく、昔から地元に根付いている商品のひとつ。全国的に知られるに至り観光客も多く買い求めるようになりましたが、もしかするとこうした状況になって一番驚いたのは、お店の皆さんかもしれません。
■松前町で美味しい名物を買い求める
昼食を済ませ、車で中心街のメインストリートへと向かいます。

そして
松前町を訪れた最大の目的が、この街の"特産品"を買い求めることにあります。
その品とはホテルの朝食でも味わった「松前漬」。
スルメと昆布、数の子を漬け込んだ郷土料理で、醤油ベースの味付けは食を進めるご飯のお供や酒の肴に最適な逸品です。
その昔、数の子が現在のような"貴重品"でなかった時代に、豊漁で余った数の子を日持ちさせるための食べ方として生まれたという「松前漬」。

町内には松前漬を販売しているお店がいくつかありますが、今回はメインストリートに面した「
松前物産館 よねた」を訪れてみることにしました。
店内には「松前漬」をはじめとした特産品が所狭しと並べられています。
昆布や乾きものの珍味類は日持ちもするのでお土産にも最適。生鮮物はクール宅配便での地方発送も可能です。
肝心の「松前漬」は最もスタンダードな品を購入。大きな数の子入りやキムチ味などのラインナップもありますが、やはり最もベーシックな品が本来の味わいを楽しむには最適かと思います。
さらに天日乾しのスルメも購入。こちらはまさに"噛めば噛むほど味わい深い"逸品で、スルメ本来の旨味が凝縮されています。店の方も仰っていましたが、やはり天日干しでしか生み出せない味わいがあるようです。
これら商品は、インターネットが発達した現在では通信販売で手軽に買い求めることも出来るようになりました。
しかし、その土地を訪れて名産・特産品の生まれた背景を垣間見たり、地元の方々からエピソードなどをお聞きできるからこそ、わざわざ現地に赴いて購入する価値があるというものです。
【松前物産館 よねた】 北海道松前郡松前町福山57 電話番号 0139-42-4545
営業時間 8:30 ~ 19:00 定休日 無休 駐車場 無料駐車場15台分 |
■続いて松前の老舗菓子屋でデザートを調達!
松前漬をはじめとしたお土産を買い求めた後、「
松前物産館 よねた」の向かいにあるお菓子屋さんが目に留まりました。
そこでちょっと気になったのでのぞいてみる事に。
「
御菓子司 中村屋」は、松前の老舗菓子店。
和洋菓子を幅広く手がけており、店内にはお土産やおやつに適した和菓子と、色とりどりのケーキがショーケースに並べられていました。

この中で私が気になった商品は二つ。
「あわび最中」は、松前が天然蝦夷あわびの産地であることから商品化されたもの。
最高級の餡がたっぷり詰まった最中は、その名の通り"あわび"の形を模しています。さらに餡には貝柱に見立てた餅が入っており、食感も楽しめます。
もう一つ「花の松前」は、桜の名所・松前らしい一品。
桜酒を用いた"しっとり系"のカステラは、桜風味の芳醇な香りがひきたつ上品な味。
これらをバラ売りで購入して食べたのですが、その美味しさに「花の松前」は土産用に改めて購入。個別包装の箱詰めもありますが、カステラということで一本モノも売られています。
ちなみに「あわび最中」には、"あわび"そのものは入っていません。しかし店員さんによると、商品の企画開発中には"あわび"を使うことも考えられ、試作品も作られたとのこと。しかし"あわびの肝"を使って作った試作品はとても食べられる代物では無かったそうで、現在の形に落ち着いたということです。
【御菓子司 中村屋】 北海道松前郡松前町福山3 電話番号 0139-42-2162
営業時間 7:00 ~ 18:30 定休日 日曜日 (松前さくらまつり期間中は無休) 駐車場 なし |
■相撲ファン必訪の道の駅!
いよいよ松前ドライブも帰路につくことに。
往路と同じ国道228号を戻るかたちで函館方面へと車を進めていきます。
海岸のルートは右手に津軽海峡を望み、青空の下で気持ちよいドライブコース。ただしアスファルトが出ている路面とはいえ、日陰などの一部では雪が残っている場所もありますので、慎重なドライブが求められます。

町境を超えて
福島町に入り、市街中心部にやってくると左手に見えてくるのが「
道の駅・横綱の里ふくしま」。
この町は大相撲の第41代横綱・千代の山と、第58代横綱・千代の富士を輩出しています。
そのために道の駅には"横綱の里"という名称が加えられているのですが、さらに一般的な道の駅施設に加えて「
横綱千代の山・千代の富士記念館」も併設されています。
記念館には両横綱の足跡を紹介する展示のほか、
九重部屋の土俵が再現されており、夏場には同部屋の力士たちが合宿を行うこともあるそうです。
【横綱千代の山・千代の富士記念館】 北海道松前郡福島町字福島290 電話番号 0139-47-4527
開館時間 9:00 ~ 17:00 入館料金 一般(15歳以上) 500円、小・中・高校生 250円
駐車場 道の駅を利用 |
■演歌ファン必訪の道の駅!
福島町の隣、
知内町にも、ちょっと気になる道の駅があります。

「
道の駅・しりうち」は国道228号沿いの立地ですが、先程の「
道の駅・横綱の里ふくしま」とは打って変わって市街地から離れたところにポツンと建てられています。
もっとも、だからこそ休憩やトイレなどに重宝するというもの。
この道の駅は
JR北海道の知内駅が併設されています。
要するに本来の鉄道駅と道の駅が同じ敷地内で隣り合っているのですが、建物の規模や存在感は道の駅が鉄道駅を圧倒しています。
さて、この
知内町出身の有名人といえば、ご存じ"サブちゃん"こと
北島三郎さん。
道の駅では屋外に向けてスピーカーから"サブちゃん"の名曲が絶えることなく流されています。
建物内には土産物を扱う売店がありますが、こちらは壁一面に"サブちゃん"のポスター。
ということで、演歌ファンならちょっと立ち寄ってみたくなる道の駅ではないでしょうか。もっとも名称にもお隣に習って"サブちゃんの里"とついていれば、よりアピール度は高まったでしょうが・・・。
【道の駅 しりうち】 北海道上磯郡知内町字湯の里48-13 電話番号 01392-6-2270
開館時間 8:00 ~ 18:45 (トイレは24時間利用可) |
■これは"食べ物"ではありません・・・
松前ドライブを無事に終えて函館市街地に戻ってきました。
そろそろ日も西に傾き始めていますが、これからの時間帯は車の運転に一層の慎重さが求められます。
なぜなら冷え込みに伴い、日中は雪が溶けてアスファルトも顔を見せていた路面が凍結してアイスバーンと化していくからです。

さて、夕暮れの函館とも間もなくお別れ。
ですが空港に向かうには少々時間の余裕もあったので、最後の見学スポットとして「
函館どつく」を選んでみました。
ここは1896(明治29)年に設立された函館船渠を源流とする造船所。
大型貨客船の建造から補修・点検に加え、自衛隊の艦船や海上保安庁の巡視船についても補修・点検を請け負っています。
なお会社名の正式表記は"どつく"と全て大文字。しかし一般的には"どっく"と呼ばれています。
"ドック(dock)"は船舶の修理・建造施設を現す英単語。全面検査などを行う場所であることから、"人間ドック"という言葉の由来にもなっています。
ちなみに・・・。
"函館どっく"と聞いて同行したウチの社員嬢は"
こんな勘違い"をしていたようです。
その豊富な想像力には感心させられましたが、思えば私は子どもの頃から"函館どつく=造船所"というのが当たり前に刷り込まれていたので、むしろ一般的ではないのかもしれません。
【函館どつく】 北海道函館市弁天町20-3
・船舶建造設備 第1号船台 (長さ240m×幅33.6m、建造能力 35,200G/T)
・船舶修繕設備 第1号ドック (長さ181.1m×幅24.45m×深さ9.05m、入渠能力17,00G/T) 第2号ドック (長さ140.0m×幅21.48m×深さ7.40m、入渠能力9,000G/T)
一般向けには非公開。但し進水式については一般公開する場合あり。
最寄りの公共交通機関 函館市交通局 どつく前電停 |
■二泊三日の函館・道南紀行も無事終了!

「
函館どつく」を終えた頃には、すっかり夕暮れ模様が色濃くなってきています。
今日の搭乗便は
函館空港を18時55分に出発する
ANA(全日空)の
東京国際空港行き最終便。
名残惜しいですが函館市内を
函館空港へと向かいます。
ターミナルから少し離れたレンタカー会社の店舗で車輛を返却して精算。
そのままターミナルまで送ってもらい、無事にチェックイン。あとは搭乗までの時間を空港内の売店でショッピングするなどして過ごし、無事に定刻通りに出発した
エアバスA320で1時間25分のフライトを経て東京に帰着。
この二泊三日紀行、2月下旬の訪問をベースにして若干順序を入れ換えるなどして、よりスムーズに各地を巡ることの出来そうなコースに仕立ててご紹介してきました。
長くなってしまいましたが、いかがでしたか?
ぜひ冬場の道南も美味しい海の幸などが豊富ですから、訪れてみていただきたいと思います。特に日付によってはオフシーズンということでリーズナブルに楽しめますので、お薦めです。
●ルートマップ|松前城 → 道の駅・横綱の里ふくしま → 道の駅・しりうち → 函館どつく → 函館空港