
カレンダーも10月後半に入り、モータースポーツの世界では2009年シリーズも終盤に入りつつあります。
既にシーズンの公式日程を終えたカテゴリーもありますが、大半のカテゴリーは最終戦を残すだけというような状況になりつつあり、シリーズチャンピオン争いが大詰めを迎えています。
そんなカテゴリーのひとつである「スーパー耐久シリーズ」。
先に行なわれた第7戦・仙台ラウンドは波乱含みの展開となったこともあり、4つのクラス全てでチャンピオン争いが最終戦持ち越しとなりました。
これは本来ならとても最終戦の戦いぶりに注目が集まり、激戦が期待出来る好ましい展開なのですが・・・。
今年の最終戦は11月28日(土)に
ツインリンクもてぎで行なわれますが、舞台となるのはオーバルコースのスーパースピードウェイ。
昨年はシリーズポイント外のスペシャルステージとして開催されたオーバル戦が、今年はシリーズ戦に組み込まれ、しかも最終戦にされてしまったのです。
ご承知の通り、強いカントのついた楕円のオーバルコースは、同じサーキットとは言っても全く異質なもの。本来はオーバルレース専用のマシンが競い合う舞台です。
来月の最終戦では昨年同様にバンク部にポールでシケインを設けて、給油作業のないミニ耐久を2レース行ないます。
要するに本来のスーパー耐久とは全く異質のコースで、"耐久"ではないレースを競うのですが、ここで全てのクラスがチャンピオンを決する展開になってしまったのは残念でなりません。
私からすればこのオーバル戦は、使い道が少ないオーバルコースを何とかしたいというサーキット側のエゴで生まれたレースに過ぎないとしか思えません。
主催関係者の一部には「スーパー耐久の発展にはこうしたレースも必要」という人もいますが、本来の耐久レースやスーパー耐久の魅力をロクに普及させられず、入場動員数や参加台数の激減傾向に対して効果的かつ実効的な策を打てずに来ている中で、「何を世迷い言を」という感じです。
ところで時期的に来期のモータースポーツ活動に向けた営業を始めているケースが多いからか、私のブログにも検索エンジンに「スーパー耐久 参戦企画書」とか、「スーパー耐久 観客数」といったキーワードを打ち込んでやってくる人が増えています。
全8戦、うち十勝大会が休止となったため7大会となっている2009年のスーパー耐久シリーズ。
最終戦を残している現時点ではありますが、これまでのデータを簡単にまとめてみました。
観客動員数については、これまでの合計(主催者公式発表)が63,010人。ちなみに5月に行なわれたSUPER GTの富士大会は入場者数が予選日で28,500人、決勝日で50,000人の合計78,500人と発表されています。
最終戦のオーバルは昨年実績が5,000人、もう少し増えたとしても2009年のスーパー耐久シリーズは年間の観客動員数で、SUPER GTの富士大会以下ということになりそうです。
今年は参加経費抑制のために予選と決勝を1日で行なう「1Dayレース」が、鈴鹿と富士以外の大会で採用されました。つまり、公式予選日と決勝日がひとつにされたため、昨年までのように予選日単独の入場者数が公式発表されなくなったという背景があります。
そこで"決勝開催日"の大会あたり平均入場者数を出してみると、今季はこれまでで6,987人。昨年は16,175人ですから、実に対前年比で56.8%もの大幅減です。
この決勝開催日比較は"1Day"または"2Day"いずれの開催でも関係なく、かつ決勝開催日の入場者数合計を大会数で割ったものなので年間の開催数にも影響されない数字。純粋に前年から入場者が激減していることを裏付けられます。
さらにちょっと振り返って比べてみると、2003年の決勝日平均入場者数は27,968人。なので今年と比べると75%減というあり得ない様な数字が算出されてしまいます。
これが現在のスーパー耐久が置かれている実情です。
来年は前身のN1耐久シリーズ発足から記念すべき20周年を迎えますが、やれ海外進出だの小型車クラスの新設だのといった話だけは聞こえてきますが、果たしてシリーズ発展に向けて実効的な具体策があるのかは甚だ疑問です。
何事も多角的な視野が必要で、短期的なものと長期的なビジョンの両方を持ち、発展に向けた策を講じていくべきと思いますが、残念ながら今のスーパー耐久シリーズにはそのような動きも見られません。
確実に来期に向けてはスポンサー活動の厳しさが増すことになるでしょう。
そうなると海外に目を向けることも結構ですが、よりコスト削減に向けた策を練るとか、例えば1Dayレースのような実施したコスト削減策が現実的に効果的だったのかといった検証作業も必要だとは思いますが、そうした動きも今のところ見えません。
思いつきのような施策を重ねてきて現在に至っているという印象が拭えないこのシリーズですが、そろそろ"検証作業"や"大胆な組織改革"といったことも必要になっているのではないでしょうか。
例えばマフラーの触媒導入にしても、一部に「環境対応で一歩先を行くシリーズであることをアピールしたい」という思惑があったようですが、それにしては公式なメディアリリースひとつすら出していないのですから・・・。
Posted at 2009/10/24 17:25:17 | |
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