
5月13日付の
MSN産経ニュース(産経新聞)を見ると、ちょっと気になる自動車に関する報道がありましたので、ここでもご紹介したいと思います。
その報道とは「車両火災」について。
一時期は特定メーカーの不祥事に端を発して、ややワイドショー的なノリで報道が続いたこともあった「車両火災」ですが、昨今のテレビや新聞における"熱しやすく冷めやすい"報道体質ゆえか、すっかり話題にのぼらなくなってしまっています。
しかし、現実には車両火災は思っている以上に身近な災害であり、いつ自分自身が被害者の立場になるかもわかりません。
そんな中で伝えられたのが次のニュースです。
●ぞうきん、軍手で発火? 自動車火災に「意外な原因」
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MSN産経ニュース(産経新聞) 2010年5月13日 22時57分
記事によると、
国土交通省の統計を見るとエンジンルーム内に置き忘れた可燃物などが車両火災の原因になっているということです。
ここで
総務省消防庁の資料を紐解いてみると、2009(平成21)年の車両火災発生件数は5,325件。建物や林野などを含む全火災発生件数は51,124件とありますので、実にそのうちの1割を車両火災が占めているということになります。
次に車両火災の原因を見ると、なんと1位は「放火」で車両火災全体の12.0%。
盗難とは異なりなかなか防ぐ手だてを講じるのは難しいかもしれませんが、例えば自宅車庫であれば特に夜間は簡単に車に近づけないように柵を設けたり、センサー式の防犯灯を備えるなどの対策が必要かもしれません。月極駐車場を借りる場合も、利便性のみならず防犯面からの条件もしっかり検討したほうが良さそうです。
原因の2位は「排気管」で10.8%。
要するにマフラーなどの排気系が加熱したことによる発火と思われますが、ちょっと気になるのがアイドリングをしたままで仮眠しているような車両。
ETC休日特別割引の実施以降、高速道路のパーキングエリアや道の駅などで車中泊をしたり、仮眠をとる車を多く見るようになりました。その中には暖房や冷房を効かせたいのでしょう、延々とアイドリングを続けている車も少なくありません。
環境保護の面から好ましくないのは言うまでもありませんが、運転席で睡眠中に無意識のうちにアクセルペダルを踏み込んでしまうケースも考えられます。この場合、排気管の加熱を引き起し、車両下部や後部に紙や草などの可燃物があると発火する恐れがあります。
少なくとも、停車中はエンジンを切るという大原則をしっかり実践することは、環境保護に効果的である上にまさかの火災を防ぐことも出来ることを覚えておきたいものです。
原因の第3位は「放火の疑い」で7.5%。
発火理由を特定するには至らなかったものの、周辺に火の気が無いなど放火と思われる要素が強い事案ということでしょう。改めて、駐車場の防犯対策を見直してみることをお薦めします。
原因の第4位は「マッチ・ライター」で3.7%。これに続く第5位が「たばこ」で3.6%です。
マッチ・ライターについては私の個人的な想像ですが、車内に放置されたガスライターによる火災ではないかと思います。ご承知の通り、特に夏場の車内は短時間で想像を超える暑さになります。私自身が過去に取材で行った実験では、気温30度の炎天下に放置した車両は、30分ほどで車内の温度が25度から55度にまで上昇しました。
こうして高温になった場合、特に不用意に車内の日射しが直接あたるような場所に置かれたライターは自然に発火、そのまま車両火災へとつながる危険性が高いのです。
第5位のたばこは、単純に火が車内に落ちたことに気付かなかったことが原因の火災かと思います。
6位以降をさらに見ると、「衝突の火花 (3.4%)」「内燃機関 (2.9%)」「電気装置 (2.3%)」「電気機器 (2.2%)」と続きます。
ここで
総務省消防庁の資料を基に、独自に都道府県別の全発生火災に対する車両火災の割合を計算してみました。
最初に全国ベースで見ると、全火災件数のうち車両火災が占める割合は10.4%となります。
次に都道府県別で見ていくと、最も車両火災割合が高かったのは北海道で18.8%。2番目が滋賀県の16.5%、3番目は奈良県と福井県で15.5%と続きます。以下、香川県(15.0%)、石川県(13.2%)、京都府(13.0%)、徳島県(12.7%)、岐阜県と富山県(ともに12.6%)、静岡県(12.3%)、愛知県と栃木県(12.1%)と続いていきます。
47都道府県中、ちょうど全国平均と同じ10.4%となった秋田県を境に、22道府県がこれより大きい車両火災比率。
逆に比率が小さいところを見ると、長崎県の5.3%が最小で、2番目が福島県の6.8%。3番目は鳥取県、高知県、島根県が7.0%で並んでいます。
ちなみに東京都は8.1%で全国で10番目に車両火災比率が小さく、大阪府も8.3%で小さい方から13番目です。
都道府県別データでは意外にも大きな車両火災比率の差が出る結果になりましたが、このデータをどう読み解くかは私自身もちょっと今すぐに結論を出すには至っていません。
ただ、少しばかり気になったのは、北陸地方の車両火災率が高いこと。福井県、石川県、富山県、さらにあえて含めれば新潟県までもが全国ベースの平均値を上回っています。
一時はセンセーショナルな報道ばかりが目についた車両火災事案ですが、統計資料などを精査した上で各方面が連携しての防災啓蒙活動が望まれるところですし、個々のユーザーも火災の危険性は放火を含めて決して他人事ではないと自覚する必要がありそうです。
Posted at 2010/05/15 04:41:05 | |
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