
12月のカレンダーも中盤に突入。街はクリスマスや歳末ムードが色濃くなってきており、時期的には忘年会シーズンもピークを迎えようとしています。
年末は何かとお酒が入る季節。また北国に限らず降雪や、朝晩の気温低下にともなう路面凍結などの恐れもあり、交通事故防止に向けた一層の心構えや取り組みが一人一人のドライバーに対して求められる時期でもあります。
全国的には春と秋に交通安全運動が展開されていますが、もちろんこの年末も交通事故防止啓蒙活動や悪質な交通違反の取締りなどが頻繁に行われています。私もここ数日、都内を中心とした外出をした中で、幹線道路でのスピード違反取締りや夜間の飲酒検問などが行われている場面に度々遭遇してきました。
特に東京では、
警視庁がこうした活動に躍起になっている大きな理由があります。
●交通事故死者数:東京、43年ぶり全国最多の可能性--今年
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毎日jp(毎日新聞社) 2010年12月10日 東京朝刊
今年1月1日からの全国における交通事故死者数、12月9日現在で都道府県別ではワーストワンが北海道の201人。これに続くのが東京で193人と、その差は僅かに8人。3番目は茨城の189人、昨年まで5年連続のワーストワンという不名誉な記録が続いていた愛知は178人で全国で4番目に多いものの、前年までに比べて確実にその数を減らしています。
もし東京が北海道を抜いてワーストワンになると、43年ぶりの不名誉な日本一。
1960年代後半の当時を振り返ってみると、1966年にはトヨタカローラや日産サニーが発売され、庶民にもモータリゼーションの波が押し寄せた時代。1967年には首都高速道路都心環状線が全線開通、翌1968年には東名高速道路が部分開通し、1969年に全線開通に至っています。
当時と現代が決定的に異なるのは、自動車が庶民に広まっていた43年前に対して、現代は都心を中心に“自動車離れ”が進んでいること。自動車そのものの安全性も大幅に向上、事故件数や死者数も減少している中で、順位付けで再びワーストワンになる可能性が東京にあるというのも、何か不思議な感じがしてしまいます。
ここで、このニュースをちょっと違う観点から検証してみましょう。
東京都の人口は2010年11月現在で13,051,965人。軽自動車や貨物自動車などを含んだ自動車保有台数は4,466,750台(2010年9月現在)という数字が公式なデータに掲載されています。対する北海道は2008年のデータで人口が約5,571,770人。自動車保有台数は東京都の数字が掲載されていたものと同じデータによると3,669,501となっています。
人口比は東京を1とすると北海道は約0.43。自動車保有台数は東京を1とすると北海道が0.82。人口に対する自動車の数が北海道は多いことがわかりますが、これは北海道において自動車が生活必需品であることを数字でも示したものと言えるでしょう。
今回の交通事故死者数のようなデータを検証する場合、絶対数のみならず、人口や自動車保有台数などの地域差も考慮した数字にも目を向ける必要があります。
そこで確認しておきたいのが、「人口10万人あたりの死者数」「免許人口1万人あたりの死者数」「自動車1万台あたりの死者数」というデータです。
これを見ると、意外な結果がわかります(以下の数値は2010年10月末現在)。
「人口10万人あたりの死者数」では、ワーストワンは鳥取県で5.9人。2位が栃木県の5.8人、3位が山口県の5.6人となります。
次に「免許人口1万人あたりの死者数」ですが、なんとこちらもワーストワンは鳥取県で0.91人。2位が山口県の0.87人、3位は高知県の0.84人となるのです。
さらにもうひとつ、「自動車1万台あたりの死者数」では、ワーストワンが山口県と鳥取県でともに0.77人。3位が高知県の0.75人となっています。
ちなみに参照したデータにはもうひとつ、「道路実延長千キロあたり死者数」という項目もあり、これのワーストワンは大阪府の8.26人。2位が東京都で7.20人、3位は神奈川県の5.49人。この項目で数字が小さいほうを見るとトップは島根県の1.39人、2位が岩手県の1.61人、3位が北海道で1.89人。要するに人口密度が小さく、道路整備が行き届いている(=道路距離がある)自治体は、結果的に小さい数字になるということです。
さて、話は戻って気になる3つの項目について。
目立つのは鳥取県、山口県、高知県といったところですが、これらの県の交通事故死者数は鳥取が35人で全国ベスト3位、高知県は42人で9位。山口県は82人で28位と絶対数も少々多めですが、ここでは県内を中国自動車道や山陽自動車道といった交通量の多い大動脈が貫いていること、さらにカーブの多い事故多発区間を抱えていることも背景にあるかと思われます。
交通事故死者に関するニュースは、どちらかというと絶対数の多い・少ないに注目した報道が主体。ゆえに死者数の少ない地域に住んでいる方は、安心感を覚えたりすることもあるのではないかと思います。
しかしこのように視点を替えてデータに向き合うと、また違った現実が見えてきます。
住んでいる場所などに関係なく、年齢や性別を問わず、そして車種や使用目的を問わず。
とにかく運転者として一度クルマのステアリングを握って走らせたら、事故防止には最善を尽くす義務と責任が生じますので、一人一人のドライバーが改めて安全運転についてしっかり自覚を持つことが必要だというのは、当たり前ですが折りに触れてしっかり考えるべきことなのは言うまでもないでしょう。
Posted at 2010/12/14 00:16:36 | |
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