
年末の九州紀行で訪れた地のひとつである
宮崎県の
都城市。県南西端に位置しており、人口は約17万人と県都・
宮崎市に次ぐ規模を誇る町です。
私はこの町に一泊しましたが、その時にちょっと感じたことがありました。
都城駅にほど近いビジネスホテルに宿泊したのですが、夕食は近くにあった巨大なショッピングモールの中で済ませました。このショッピングモールが「
イオンモールMiELL都城駅前」。その規模は本当に“巨大”としか形容のしようが無いほどで、全国的にも珍しい
ダイエーがテナントとして入っているといった特徴もあります。
この施設では夕食を摂りつつ、テナントの電器店でちょっとした買い物、さらに
ダイエーでもホテルの部屋で飲むためのドリンクなどを購入しました。
日付は12月の25日、時刻は19時すぎから1時間半くらいは施設内にいたでしょうか。なかなかの賑わいを見せていること、さらにはとても多種多彩な店が揃っていることに感心しつつ、地域への功罪ともに影響は決して小さくないだろうと予想したのです。
翌朝。ホテルをチェックアウトして鹿屋方向に車を走らせましたが、その際に都城の市街中心部を通りました。残念ながら全国各地の地方都市で多く見られる、ドーナツ化現象の進行を感じずにはいられない空気が漂っています。駅と古くからの商業施設や官庁街は思ったよりも離れていましたが、残念ながら活気は昨夜訪れた巨大施設の比ではありません。
●都城大丸が閉鎖 負債総額49億4000万円
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宮崎日日新聞 2011年1月5日
都城市を代表する中心街の商業施設で、市内で唯一の百貨店だった「都城大丸」が民事再生法の適用を申請して、店舗の営業を終了しました。この店は
日本百貨店協会にも加盟していますが、
大丸松阪屋百貨店の傘下にある
大丸とは全く無関係の、地元資本の老舗百貨店です。
調べてみると、元々は都城市街中心部には複数の百貨店や大型商業施設があり、大変な賑わいを見せていたそうです。これが1970年代から'80年代にかけてのことだそうですが、その後はモータリゼーション社会の発達に伴い全国チェーンの大規模な商業施設が進出して、中心街は衰退の一途をたどる事になったようです。
こうした事例は全国あちこちで見られます。確かに商売として如何に客に対して魅力的な商品やサービスを提供し続けていく事が出来るのか、そこはまず大きなポイントとなります。しかし、利用者が重要視しているのは利便性。駐車場のキャパシティが圧倒的に大きい巨大なショッピングセンターに客が集まるのは、全国的にどこでも見られる傾向です。
モータリゼーション社会の拡大が背景にはありますが、これから迎える高齢化社会においては不安要素ともなり得るものです。
今や“買い物難民”という言葉が生まれているくらい、例え県庁所在地のレベルであっても食料品や日用品などの日常的な買い物を徒歩圏内で済ませられない中心市街地が増えてきています。郊外に大型の商業施設が進出したことで地域の商店が影響を受けて現象、結果としてクルマという移動手段を持たない高齢者などにしわ寄せが来ています。
逆に言えばクルマが無ければモノひとつ買えないというわけで、例え高齢者になってもクルマを運転せざるを得ない地域というのは日本の大半であるのが現実。高齢者の交通事故がこれからますます社会問題化するであろうことは明白ですが、だからといってクルマ無しでは買い物や通院が出来ないとなると簡単に運転免許の返上を求めることも出来ません。
こうした地域の事情は、細部については各自治体が責任を持って行なうべきです。その上で都道府県や国は脆弱な予算に喘ぐ自治体を支援する体制が求められます。
全国すべて津々浦々を平等にすることはもちろん困難ですが、最低限でも町の中心部や人口密集地域と、主要な商業施設や医療施設、公的施設などを結ぶ公共交通機関の整備は必須でしょう。具体的には全国に事例が増えているコミュニティバスなどですが、なかなか予算的に苦しいという地域も多いと聴きます。利用者の声を細かく拾って利便性を高めつつ、削れるところは削るコスト抑制努力を惜しまず、その上で都道府県や国の支援体制も構築していって欲しいものです。
もしかしたらひとつの考え方としては、ドラスティックに町の中心と位置づけるポイントを、従来とは異なる価値観で見いだす必要性があるかもしれません。
駅前を中心とした市街地の空洞化が全国各地で叫ばれていますが、その一方では同じ町の中で郊外に振興住宅地が造成されて若い世代が増えていたり、ロードサイド型や大規模ショッピングモールなどが出店して賑わいを見せている場合も少なくありません。
次の世代のために、新しいグランド・デザインを描く必要があるという地域も、決して少なくないような感じがしています。
Posted at 2011/01/13 19:34:37 | |
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