
今や重要な社会インフラのひとつとして認識されているインターネット。少々古いデータではありますが、
総務省が2009年4月に発表した内容によると、日本のインターネット利用者数は同年1月の時点で9,000万人を突破、人口普及率は実に75.3%にまで達しています。
その利用手段もパソコンからが8,255万人、モバイル端末からが7,506万人、さらにそのうちの併用者が6,196万人となっています。調査が行なわれた2009年1月から現在までの間には「
i-Phone」などのスマートフォンが爆発的に普及していることから、利用者はますます増加しているのではないかと想像されます。
こうしたインターネットの普及は、情報を簡単に素早く入手出来るというメリットに加えて、自らが情報を発信する側に立つことも出来るという既存の媒体とは決定的な違いがあり、社会の構造そのものを根底から変えている面が存在します。
個人レベルでもウェブサイトやブログ、TwitterやFacebookなどでの情報発信は珍しいことではありませんし、企業や官公庁も積極的に情報発信を展開しようとしています。従来型の媒体に比べて安価なコストで確実に伝えたいことを発信出来るのですから、そのメリットはとても大きなものがあると言えるでしょう。
そんな中で、ちょっと気になるニュース。
●「関らら日記」どう読む?日本一の市職員ブログ
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YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2011年1月13日 15時45分
岐阜県にある人口9万3千人余りの
関市。県の中央部に位置しており、日本の“人口重心”がある町としても知られています。また、刃物や調理器具のメーカーとして広く知られる「
貝印株式会社」の創業地でもあり、刃物産業の集積地としては世界的にも知られている土地です。
この町の市役所職員が運営している「
関らら日記」というブログが人気を集めており、楽天の自治体ブログでアクセス数トップの座を何度も獲得しているというニュースです。
早速、「
関らら日記」を拝見しました。見栄え的には特に凝った要素のないブログですが、やはり人気を集めるだけあって内容の充実度はなかなかのものがあります。地域の細かい情報や観光情報、グルメスポットの紹介など、地元からの発信ならではの有益な情報が頻繁に発信されています。
また、これらの情報は決して受け売り的なものではなく、しっかり取材をした上で掲載されていることも一目瞭然です。
こうしたクオリティの高さゆえ、人気が集まるのも納得出来ました。
私自身もインターネットを主として情報を発信することを仕事としていますが、特にウェブサイトの場合は“作ること”よりも“活かすこと”の方が大切です。例えば企業紹介的なページであれば作ることに大義がありますが、ほとんどのウェブサイトは新鮮な情報を出すことで存在意義があるもの。しかし現実には広告代理店などが収入の糧とするために“作ること”を提案して生まれたウェブサイトが、その後の更新が滞って“死に体”になっているケースがとても多いのです。
私の場合はウェブサイトの制作や運用を提案する場合、とにかく“作ること”よりも“作った後に活用すること”に主眼を置いてクライアントさんにお話しをする機会が多いのですが、意外と作った後の運用については深く考えていないサイトが多いのは残念なことです。
また、この「
関らら日記」もそうですが、しっかりと“何かを伝えよう”という意志の下で運営されていることも大切な要素です。
昨今は既存メディアの劣化も目につくようになり、自動車関係で言えばお手軽な週刊系の雑誌は「予想CGによる新車スクープ」と、似たような言い回しの羅列にすぎない「新車試乗レポート」で埋めつくされています。これはインターネット媒体でも大差が無く、多少の動画コンテンツが増えている程度で、書き手や作り手が変わらなければ内容の飛躍的なレベルアップは望むまでもありません。
モータースポーツ系の情報にしても相変わらずの特定カテゴリー偏重が見られ、かつ選手のブログやチームのインターネット上での発表などをそのまま掲載しているケースも珍しくありません。本来、媒体が持っているべき取材力や考察、新しい情報の発掘などが見られないのです。
今後、ますますインターネットが当たり前の存在になるに連れて、情報産業は大きな変化を迎えることでしょう。
企業の宣伝や広報の手法も変化を見せつつある中、果たしてどれだけの既存媒体が生き残れるのか、注目していきたいと思います。
Posted at 2011/01/18 20:56:36 | |
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