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2011年02月04日 イイね!

“でんでん虫”と“お宮”

“でんでん虫”と“お宮”最近、東京都内などを走っているタクシーを見て、ちょっとした変化が生じていることに皆さんはお気づきでしょうか?
その変化とは、タクシーの象徴とも言えるルーフの「行灯(あんどん)」と呼ばれる防犯灯にあります。

例えば白いボディに青いラインでお馴染みの東京都個人タクシー協同組合。こちらの加盟車両は、全てが“でんでん虫”と呼ばれる黄色い防犯灯(社名標示灯)を装着しています。この“でんでん虫”は協会設立の2年後、1965(昭和40)年から制定された歴史のあるもので、今では個人タクシーそのものの象徴とも言える存在になっています。

この装備は遠目からでもタクシーであることを客にアピールするための効果がありますが、名称として“防犯灯”と呼ばれることもあるように本来の目的はこちらにあります。タクシー強盗などが発生した場合、運転手が車内でスイッチ操作をすることにより、この防犯灯が赤く点滅します。これによって周囲に緊急事態の発生を知らせ、仲間のタクシーなどが警察に素早く通報することが出来るという仕組みになっています。

さて、この“でんでん虫”が最近になってどう変化したのか。
その大きさが従来のものに比べて高さ方向で3分の2程度に小型化されました。そして台座部分が完全に一体化されたり、角の部分が丸められていたりと、全体のイメージはこれまでと変わらないものの細かく変更されています。
2009年12月よりこの新しい防犯灯への変更が始まり、今では加盟全車の交換が終了していると思われます。

変更された理由は、2010年3月6日付のエントリにも記した「外部突起要件対応」にあります。国際基準に日本の保安基準も準拠する流れが進められていますが、今回はその一環として歩行者保護のために車体全体の形状はもちろん、バンパーやエアロパーツ、ドアミラー、アンテナ、灯火類などの突起を規制することとなり、道路運送車両法の保安基準第18条が改正されて2001(平成13)年に公布されています。

その対象車種は3、5、7ナンバーの乗用車(乗用車ベースで改造された8ナンバーを含む)で、2009(平成21)年1月1日以降の新車登録車に適用されます。業界全体として規定以前の登録車についても対応させようという流れの一環なのでしょうが、一方で全国に多数あるタクシー事業者の中には対応するための費用的な問題もあり、適用の猶予を願い出る声も大きかったようです。
そこで現在の流れとしては、タクシー(一般乗用旅客自動車運送事業用自動車)と霊柩車について、2017(平成29)年3月31日まで適用を猶予する方向となったようです。

やはり前回のエントリにも記したように、タクシーよりも規制対応が困難と思われるのが霊柩車。特に日本古来の伝統的スタイルである宮型霊柩車については、その大半が乗用車ベースでの改造車ゆえに規制対象車両となります。しかしご承知の通り、職人の手によって作られた柩をおさめる“お宮”の部分は、自動車というよりは建築物に近いデザインのため、突起規制に対応出来ない箇所が多数存在しています。
参考までに全国に霊柩車がどれくらいあるのかを見てみましょう。社団法人全国霊柩自動車協会の会員1,426社で見ると、その数は2010年初頭の時点で5,821台。そのうち宮型と洋型がそれぞれ約23%ずつ、バン型が47%、バス型が7%という内訳になっています。

そしてこの“お宮”は一品ものの製作ゆえに大変高価で、そう簡単に規制対応したものへの入れ替えを出来るというものではありません。昨今は宮型霊柩車が数を減らしてきていますが、6年先の猶予期間終了までに全国の事業者が新しいものに対応出来るかには疑問も残ります。場合によっては宮型霊柩車が完全に姿を消してしまう地域も生じるかもしれません。
もちろんその代役は洋型霊柩車などで実務的には事足りるのかもしれませんが、前回のエントリでも訴えたように宮型霊柩車は単なる自動車の枠を超えて日本の伝統文化的な存在であることも忘れられません。

今回の突起物規制の前には、補助制動灯(ハイマウント・ストップランプ)の義務化でも霊柩車業界は頭を悩ませました。地上0.85m以上の高さという規定にあたる位置がちょうど柩を出し入れする扉にあたるためです。これについては最新の車両はしっかり対策がされていますが、追突事故防止のためになるべく旧来の既存車両にも早急に追加装着してほしいところです。
一方で突起物規制については若干の疑問が残ります。もちろん公道を走行する自動車である以上は交通事故の当事者になる可能性がゼロではありませんが、では果たして霊柩車の事故率というのはどの程度のものなのでしょうか。基準の統一化、平等・公平という観点で言えば宮型霊柩車だけを特別扱いすることは難しいでしょうが、大正の時代に大阪で考案された霊柩車は時代とともに装飾や材質などに芸術的な進化も見られ、また関西・北陸・中京などでは地域色の濃いものも根付くなど、大衆文化の一端にも位置づけられる存在です。
無理を承知でひとつ提案するとしたら、「自動車の用途等の区分について(依命通達)」の用途区分通達4-1-2によって分類される車体形状“霊柩車”については適用除外としても良いのではないかと思っています。
Posted at 2011/02/08 21:11:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記

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