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2011年02月16日 イイね!

“先食い”の恐怖

“先食い”の恐怖 16日(水)のニュースで気になるものの筆頭といえば、これに尽きる気がします。

●高速道路 : 新料金、普通車平日上限2000円 ETC非搭載も
毎日jp(毎日新聞社)  2011年2月17日 東京朝刊

国土交通省が発表した、当面の高速道路料金の割引関する内容。

●高速道路の当面の新たな料金割引について
国土交通省 2011年2月16日・報道発表資料

内容を改めておさらいすると、自民政権時代の麻生内閣で緊急経済対策として施行された“土曜・日曜・祝日の普通車ならびに軽自動車等の上限料金1,000円”は継続されることに。そして新たに平日についても上限料金が設定され、その額は普通車で2,000円、軽自動車等ならびにエコカー免税対象車は1,000円となっています。この措置は当面は3年程度の運用とされることになりました。
一方で平成20年度から開始された時間帯割引(通勤・深夜割引、平日昼間割引)などについても、平成23年度については継続が決定。ETCマイレージ割引についても継続はされますが、平成24年度以降に見直しを行なうと明記されました。

注目されたトラックについては、中型車以上には料金上限制の適用が見送られることになりました。現状の大口多頻度割引や通勤・深夜割引などは継続扱いとなります。

本州と四国を結ぶ本四高速は、NEXCOの高速道路から乗り継いだ場合、土曜・日曜・祝日はトータル2,000円、平日はトータル2,500円となることが決定。また乗り継ぎで言うと首都高速や阪神高速といった都市高速を間に挟んだ場合は、都市高速の前後でそれぞれの料金を徴収されるのではなく、従来通りに一貫した上限料金の適用となります。
なお、大都市近郊区間の設定は残りますので、首都圏や阪神圏の区間内を起点または終点とした場合は、上限額が若干アップします。

都市高速で言えば、首都高速と阪神高速には2012(平成24年)から距離制料金を導入すると明記されています。

なお、上限制度についてはETC搭載車が基本的には対象ですが、現金払い車についても全日を通じて2,000円とされることになりました。都市高速の距離制料金については、現金払い車への対応をどうするか検討するとのことです。


さて、この発表について、みなさんの感想やお考えはどのようなものでしょうか。

私自身で言えば、個人的には高速道路の利用機会が多く、かつ長距離移動がほとんどなので、そのメリットはとても大きなものがあります。実際、現状の休日特別割引についても施行から昨年秋に適用を受けた割引総額が40万円を超えています。取材などで移動する場合、往路は平日深夜に走行して深夜割引を適用、復路は日曜日出発で休日特別割引というパターンが多いので、往路分の割引額も含めると1年半ほどの間で受けた割引総額は50万円を超えるでしょう。
これが平日も2,000円上限となることで、さらに多くの割引を受けることになるのは間違いありません。

つまり、私はこの制度の恩恵をかなり受ける立場にありますが、こうした割引制度にはブログに何度も記しているように反対のスタンスです。
その最大の理由は、これが“割引”ではなく“税金による補填”に過ぎないからです。小泉政権下で民営化された各道路会社が企業努力を行なった結果の割引や値下げであれば、何の文句も無く基本的には賛成です。しかし、厳しい財政事情の中で集められた税金を民間会社に投入している現状は、とても健全なものであるとは言えません。

そもそも、今回の“平日上限2,000円”については、現在の政権がその立場を維持するためだけに決めたとしか思えません。初めて“上限1,000円”が導入された際も決して喜べる内容ではないと思いましたが、少なくともこの時は“緊急経済対策”という理念がありました。しかし今回のものは“高速道路料金の無料化、割引、値下げをしなければ政権を維持できない”という政府のエゴを感じざるを得ません。
国土交通省の発表には平日上限制度の導入理由として「環境への配慮や休暇の分散化」を掲げていますが、この理由付けに納得できる人がどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

その証拠に、今回の“平日2,000円上限”を実現するために使われる財源は、本来は平成20年度から29年度までの10年間に渡って適用されることになっていた時間帯割引のために手当てされたものなのです。単純な話、施行から3年を経て残り7年分となっている財源を前倒しで投入するということ。税金の支出面で無駄を削ったわけでも無く、道路会社が企業努力をしたわけでもなく、元々決まっていた長期的な使い道をねじ曲げて、食い尽くしてしまうだけというものなのです。


高速道路については、国民的な議論が改めて必要な時期にあると思います。
全国各地を実際に走っている身としては、基本的な生活インフラである高速道路の整備状況について大きな地域格差を感じています。具体的には山陰や九州東部は余りに貧弱。これらの地域には物流や災害への備えなどという面からも高速道路の整備が必要ではないかと思っています。

元々は料金プール制で運用され、順次無料開放されることになっていた日本の高速道路。しかし現実的には償還による無料化は事実上難しい状況なのですから、政治家は変な言い逃れをしたりまやかしを続けるのではなく、有料を前提とした国家的な交通インフラ体系の整備を促進すると公言すべきではないでしょうか。
その上で高速道路と国道を中心とした一般道路の役割を再検討し、鉄道や船舶・飛行機・バスなどといった公共交通機関との共存、さらには環境保護という視点も加えての政策立案と遂行が求められます。


今回の発表を行なった国土交通省には、自動車交通のほかに前述の鉄道や船舶、飛行機といった分野を監督するセクションも存在しています。そして今回の割引内容についてはこうした業界から反対の声も上がっています。
現実的な話として、官公庁の各セクションは自らが担当している分野のベストを追求するのが仕事。もちろんその上で、セクションを横断してひとつの省庁として“国づくり”の方針や予算策定、様々な企画立案などを実行することが求められます。
しかし、広い視点に立っての“国づくり”は、本来は政治のやるべき仕事。この先、超高齢化社会を迎える日本という国をどのようにしていくのか、生活しやすい“国づくり”のためのインフラ整備や展開を考えるべきなのは政治であり、事務方はそれをサポートするのが仕事のはずです。
これこそが本当の意味での“政治主導”かと思うのですが、今の政治主導は政治の権力争いに過ぎないという非常に残念な状況にあります。


地方路線で行なわれている無料化実験も、いろいろな変化をもたらしています。ひとつの改革には必ず功罪両面が存在していますが、懸念すべきは国家という強大な権力を持つ組織が行なうことは、例えそれが“実験”であっても民間や地方行政のレベルでは太刀打ちできないということ。無料化によって船舶や鉄道、航空といった分野に出ている影響、これが最後にはどのような結末を迎えるのか。
「実験の結果として、公共交通機関は不要ということになりました。」
最後にはこんな報告書が出来るような事態にならないことを祈るばかりです。
 
Posted at 2011/02/19 01:25:27 | コメント(1) | トラックバック(0) | 自動車全般 | 日記

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各種取材やウェブサイトを中心とした制作業務を行なっています。 主なテリトリーは自動車/モータースポーツ、飛行機などの交通関係。 自動車は乗用車からトラッ...
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